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2021年4月8日木曜日

なにはなくとも自力下山、ヘルメットしようぜ

*警告* ヘルメットは重要な安全装備です。正しい情報はメーカーやプロショップから得るようにしてください。このブログの内容は、非専門家による、個人的な感想です。

僕はゲレンデでもBCでも、スノーボード のときは必ずヘルメットをする。スノーボードの魅力の一つはスピードで、原付バイクぐらいスピードが出る遊びだから。

ちょっと言いにくいけど、ヘルメットしてなかったらヤバかったって転倒は…何回もある(ゲレンデです、BCではありません)。ヘルメットを忘れたとしたら、ゲレンデだろうが、BCだろうが、滑らずに帰っちゃうかもしれない。

もちろん人によって考え方は違う。ヘルメットを被らない、持っていない人もいるし、僕は人にかぶるように強制したりはしない。

ただ、谷川岳とか、八方尾根周辺とか、富士山とか、斜度があって滑落のリスクがあるとか、落石が多いとか、そんなところに出かける場合はヘルメットの着用を強く推奨する。特に少人数の場合、誰かが怪我すると限られた人数でのレスキューになる。その人一人の問題じゃなくて、パーティ全体のリスクがあがっちゃうからね。

この投稿では、スノーボード に求められるヘルメットの性能について考える(注1)。そして「他のスポーツ用ヘルメットを流用することは可能なのか?」ってことも、僕の考えを書いてみる。

スノーボード 用ヘルメット
1 耐衝撃性 (全方向)      ◎
2 対貫通性能           ◎
3 耐久性(反復する衝撃の吸収)  ◎
4 重量              △

スノーボードでは、あらゆる方向に転倒する可能性があるし、回転しながら滑落することもある。だからすべての方向の衝撃を吸収できるようになっている。フィールドには岩や木などの尖った物もあるので、それらが容易に貫通しないような対策もされている。斜面で転倒した場合、一度だけでなく繰り返し衝撃を受ける可能性があるけれど、その場合でもある程度は耐えるようになっている(注2)。安全に振った設計なので、重量はそれなりに嵩む。

下の写真で僕はスノーボード用のヘルメットをかぶっている。このときは単独行で、同行者のレスキューを期待できない。だから絶対に行動不能になってはいけない。たとえ重量がかさんでも、ハイクアップで邪魔になろうとも、もちろんスノーボード 用ヘルメットを携行です。

Shibakurasawa, Mt. Tanigawa


クライミング用ヘルメット(スチロール)
1 耐衝撃性 (全方向)      △
2 対貫通性能(上のみ)      ◯
3 耐久性(反復する衝撃の吸収)  △
4 重量              ◎

スポーツクライミング用のヘルメットは、上からの衝撃と耐貫通性能が最優先されている。理由はもちろん落石対策。それ以外の保護は、モデルによって違うものの犠牲にされることが多い。特徴として、上部には通気口が開けられない。開口するとそこから落石やデブリが侵入しちゃうからね。で、蒸れを防ぐための通気孔は側面に取る。だから、側面の強度は落ちてしまう。

このタイプは、「万が一の落石」に備えるためのもの。もし一発くらったら、そのまま撤退するって感じだから、反復する衝撃に耐えることは想定していない。重力と戦うクライミングというスポーツの性質上、軽量で携行は楽なモデルが多いかな。

欠点を理解の上で、軽量化が鍵なハードなBCで、落石が最大のリスク…みたいな場所で使うならアリでしょうね。谷川岳の芝倉沢とかね。
 
Climber: Tetsuya, Black Rock (Lion Rock, Komochi) 

クライミングヘルメットにはハードシェル型ってのもある。これは、落石が頻発するところとか、一発くらって撤退するのに何日もかかるから、その間になんども落石食らう可能性があるとか。それか、沢登みたいに、そもそもゴツンゴツンぶつけながら進むの前提。

耐久性(反復する衝撃に耐える)を最大限重視するかわりに、軽量性は犠牲になる。椅子にもなるくらい丈夫だしw、便利といえば便利。

Ishidera3, Black Rock-Komochi


バイク(スポーツサイクル)用ヘルメット
1 耐衝撃性 (全方向)      ◯
2 対貫通性能           ×
3 耐久性(反復する衝撃の吸収)  △
4 重量              ◎

ロードバイクやクロスカントリーMTB用のヘルメットは、前方への転倒が多いので、前面(おでこ)の保護が中心だけど、それ以外もそこそこ保護されている。

対象とするスポーツは運動量が多く、発汗対策が重要なので、通気孔が多く開いている。通気孔のせいで対貫通性能は非常にプアだ。このタイプのヘルメットを登山やBCに流用する場合は、落石対策としては無意味であることを理解しておくこと(注3)。

Rider Yohichi, Mt. Akagi Single track

スポーツサイクル用でも、MTBダウンヒル用はチンガードがあって、保護機能はさらに充実している。岩角や木の枝など鋭利なものへの衝撃も考慮されているので、安全性も高い…けど、スノーボードで使っている人はほとんど見ないね ←あたりまえw

Rider: Kei & Yuta / Location: Fujimi Panorama resort

まとめ

スノースポーツ用のヘルメット買いましょうね。日本製・米国製・EU製の中から選ぶこと。そして、Mips対応が最低条件(注4)、GIROとかBolle とかが安い割によくできてると思う。上手に探すと、1万円くらいでちゃんとしたの買えるし。

中華製品はやめようね。Ama●onとかで、激安商品が出品されてるけど…気がついたら死んでたって、嫌でしょ?

まぁその、万全の準備をするとそれ以外のところを怪我するんだけどね。

ヒジが痛いヨ〜 Rider Thomas F.

スポーツクライミングのヘルメットを一つ持っておくと、いろいろ(スノーボードでは欠点もあるけど)使い道があるかもね。MTBライドでも、コースによっては使えるし。

Rider Jibe, Usui single track.



大事なことが最後になっちゃったけど、
MTBライドで、タンクトップとショートパンツはヤメような。
約束だよ!


おしまい



注1 長くなるので端折ったけど、ゴーグルとの相性や、保温と通気のバランスもウインタースポーツでは重要。暖かいだけじゃなくて、春先にはイヤーマフ(耳当て)が外れるようになってて涼しいとかね。

注2 メーカーは、一回でも衝撃を受けたら廃棄しろって言ってます。でも、そもそもの想定しているリスクがどうなってるかって話です。内側の衝撃吸収材が、一発で砕ける最低限なのか、複数回は耐えられそうなのかって話。

注3 タウンサイクル用のヘルメットには、柵とか車とか、街中にある障害物の貫通対策を施したものがある。通気孔を減らし、表面にポリカーボネートなどを使うことで、異物が貫通するのを防いでくれる。ただし、通勤や通学などの比較的短時間の使用を前提にしているので、重量面で不利だったり蒸れることもあるようだ。

注4 Mipsの効果がどれほどあるのかは正直わからない(実験では有効性が証明されている)。ただ、こうした先端技術があるのに、それを積極的に取り入れていない製品は信用できないと思いませんか?