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2025年7月28日月曜日

真夏のロングライド・暑さ対策 1/3 遮熱編

草稿を書いていたらあまりにも長くなりすぎたので、3部作にしました…

サイクリングは、自然とともに過ごす遊びだ。

自然と闘う必要は無い…のだけれど、自然が目の前に置いてくる障害はうまくマネジメントしなければならない。それは、冬の寒さだったり、真夏の暑さだったりする。ちなみに、真冬の寒さをどうやってマネジメントするかこの投稿を参照してほしい。

ボクの考える、自転車乗りの暑さ対策は3つに分けられる。
  1. 遮熱
  2. 気化熱冷却
  3. 氷冷却
今回は1の遮熱について書いてみる。

 効果は限定的なアームカバー

遮熱は、光や熱気を遮ること

最初に残念なお知らせだが、「遮熱」は真夏のロングライドにおいて、効果は限定的だ。

日傘による遮熱を例に取ろう。日傘の表面は日射を反射してくれるのだが、熱吸収がゼロになるわけではない。どんなに熱線反射率の高い素材を使ったとしても、日傘の裏面は熱を持つ。日傘の裏面と体の間に空間があって、そこに風が通っているので涼しく感じるのだ。

砂漠の民が身につける装束も、ゆとりがある。あれも同じで、熱反射させる素材と体表面の間の空間が、断熱層として働いている。

サイクリングウェアは、空気抵抗が少ないほうが有利なので、ウェアと体の間は密着している。だが、さきほど書いた通り、「遮熱」には、熱反射層と体の間に十分な空間が必要…

そんなわけで遮熱は、サイクリングにおいて暑さ対策のメインにはなりにくい。

ただ、光を反射する遮熱層と、体の間に空間が取れれば効果はある。

1番のお勧めは、「うなじを覆えるヘルメットライナー」だ。ヘルメットの内側に被るヘルメットライナーの後ろ側に、長い垂れ布を付けてある。これでうなじの部分をカバーすることができる。


帽体の後ろに垂れ幕が付く

うなじや首筋が熱を持つと、血液の循環によって脳の内部温度が上がってしまう。そうなると、意識障害とか、頭痛とか、めまいの原因になりうる。

このタイプのヘルメットライナー、うなじの日射を遮る効果は想像より大きい。垂れ幕とうなじの間に風が通っていることも、遮熱効果を感じやすい要因だ。

垂れ幕の形は様々

垂れ幕の覆う面積や形は様々で、布地の素材もいろいろある。高い物ではないので、何種類か買って試してみるのをお勧めする。

全面を覆うバラクラバ

ヘルメットライナーよりも広い範囲を覆う、目出し帽(バラクラバ)はどうだろうか?バラクラバは保温を目的とした冬季用と、接触冷感素材などの夏季用がある。バラクラバのほうがカバーする範囲が広いので、熱線・紫外線防御には優れているのではないか?

僕はあまりお勧めしない。

バラクラバを使うと、前面からの風を遮ってしまうからだ。サイクリングで体が受ける走行風をいかに活かすかが、暑さ対策でもっとも重要だと僕は思っている。バラクラバは、その風を遮ってしまうので熱がこもりやすい。

暑さ対策のバラクラバが生きるのは、「外気温が割と低く」「運動量が少なく(発熱が少ない)」「紫外線が強い」環境。春先のゲレンデスキー・スノーボードが一番活躍できる。

他の具体的な遮熱対策には、熱反射率の高い色を着用すること。ウェアやヘルメット、シューズを白系統にすると、まぁまぁの効果がある。

ちなみに、接触冷感素材のウェアは、暑さ対策には…あまり効果が無い。あたりまえだが、「接触冷感」とは、あくまでも「冷たいような感じがする」だけのものなのだ。

新型コロナが流行し始めた時に、「熱さまシート」が話題になった。実際に効果があるのかどうなのかという議論だった。あれも、「スーッと冷えたような気がする」だけなので、冷却する効果は限定的…というか…発熱時に体温を下げる効果は、ほぼ無いという結論だった。

接触冷感素材のものも同じと考えて、過度な期待は禁物だ。接触冷感を謳った、織り方が密で風を通さないウェアよりも、メッシュパネルを配置して通気を確保したウェアのほうが、暑さ対策では断然有利になる。

ボクは、春から秋に参加する、300km以上のブルベではモンベルの半袖ジャージを基本としている。200kmなら、極論を言えばジャージはなんでもいい。だが、走行時間が20時間設定の300km以上のブルベだと、昼と夜の異なる温度域で行動し続ける必要がある。そんなハードな環境では、「山岳」で鍛えられたノウハウを持つモンベルとかのウェアのほうが安心だし、実際に快適だ。

話を戻そう。

接触冷感素材にはあまり期待するべきではない。だが、熱反射率の高い白色のカバーならば、熱の吸収を減らす・日焼けを防ぐ効果はある。また、次の項目で説明するが「水で濡らす」ことで、気化熱冷却の有効な装備にはなりえる。使うなら、素材の特性を理解して使って欲しい。

熱反射率の高い白が基本

アームカバーもレッグカバーも、どうしても熱がこもりやすい。下り坂ならまだしも、ヒルクライムが続くエリアでは暑くて体力が消耗する。

ヒルクライムが始まる前に、アームカバーは手首側に丸めておく。こうすれば、前腕・上腕が風を受けて冷やされる。手首に丸まったカバーは、汗どめのリストバンド代わりになる。ハンドルバーが滑るのを防げるし、顔の汗を拭き取ることもできる。

リストバンドモード

ヒルクライムのピークを過ぎたら、アームカバーを一度伸ばしてダウンヒルに入る。染み込んだ汗が蒸発するので、気化熱冷却が起こるし、日焼けの防止も期待できる。

アームカバーはこんなふうに、上げたり下げたりがやりやすい。レッグカバーはそんなわけにいかないので、僕はアームカバーだけを使う…こともある。

次回、暑さ対策3部作、その二 気過熱冷却編…に続く