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2025年11月1日土曜日

ロングライド向きのロードバイクとは?

そもそもサイクリングの「ロングライド」とは、どれくらいの距離を言うのだろうか。普通の人にとって、丸一日10時間走れば相当頑張ったと言えるだろう。ブルベペースの時速15kmで10時間走れば、走行距離は150kmになる。そう考えると、150kmを超えるくらいの距離になれば「ロングライド」と言って良いのではないだろうか。

まぁ、強い人ならその距離は半日で走ってしまうのだが…そーゆー人はこんなヘボサイクリストのブログなんか来ないからいいのだ。

さて、ボクはブルベを初めて2シーズンをRidgeback Ramble (ツーリングバイク)で走ってきた。このバイクで600kmとか400kmのブルベを3本ずつ完走できたので、ロングライド向きのバイクではある。

そしてこの夏に、Trek Emonda SL(オールラウンドタイプのレーシングバイク)を増車した。増車した背景についてはココを参照。Trekで数本の短めブルベ(200と300ね)を走って、Ridgebackと比較することで見えてきたことがある。

簡単に言えば、ツーリングバイクは姿勢が立っていて、風の抵抗が大きくスピードが出ない代わりに身体がラク。レーシングバイクはその逆であるという…当たり前の結果だった。

もう少し具体的な話をすると、ツーリングバイクとレーシングバイクの速度差は、「グロス時速で1km程度」だった。

それしか変わらないの??って思うかも知れないが…ロングライドとかブルベだとこの違いは地味に大きい。グロス15時間走行すると、走行距離が15km違ってくる。距離15kmは、ブルベペースの時速15kmだと1時間。感覚的には、丸一日ちょい走ると、1時間の短縮になる計算で、300km20時間のブルベなら、1時間半程度の短縮になる。

それでは、身体への負荷はどんな違いがあるのだろうか?

レーシングバイクとツーリングバイクの一番の違いは、「速さ」へのこだわりだ。(ブルベに比べると)短時間・高強度のペダリングを強いられ、想定する速度域が速いレーシングバイクは、空気抵抗を下げる工夫がいろいろ施されている。

そして、走行時の空気抵抗を左右する要素として、車体そのものよりもサイクリストの体によるもののほうが大きくなる。速く走るために前傾を強いることで、前面投影面積を減らして「空力」を改善する。この体勢はどうしても負荷が高くなり、快適性は犠牲になる。

ポジションの違いは、ハンドルバー(ブラケット)とサドル、そしてペダルの位置によって生み出される。具体的にどうなのかを見てみよう。

左右2cmくらい狭くなる

ツーリングバイクのハンドルは幅が広い。

グラベル、落ち葉や枯れ木などの障害物や、深い轍の外乱もある。荷物が多いので、フレームジオメトリは安定優先。なのに低速でタイトターンを切ることもある。そんなわけで、しっかり車体を抑えられるように、幅の広いハンドルバーが付いている。

レーシングバイクは、空気抵抗を減らすために両腕を絞った体勢を作れる狭いハンドルバーが使われる。ブラケットの位置も絞りぎみになる。ステムもハンドルも、サイクリストの強い入力に耐えられる剛性が高いものだし…振動やショックを和らげるなんらかの工夫がないと、上半身の疲労は早めにやってくる。

BB下りはほとんど一緒


Ridgeback とTrekのBB下りはほとんど一緒だった。ヒラヒラ感や、反応性に影響するここが同じなのはちょっと意外だった。

フレームの中心であるBBが同じなので、リーチの違いがそのままフロント三角の大きさの違いになる。

ツーリングバイクのリッジバックはリーチが長く、フロントタイヤとシューズのつま先には十分なクリアランスがある。ただし、32c対応のフルマッドガードを付けると、切り返しの時につま先が当たる。

泥除けにつま先が当たる

レーシングバイクのTrekは、リーチが短いので、泥除けがなくてもつま先があたる。

泥除け無くても当たる

タイトターンでシューズのつま先が当たるのは怖い、確かにそうなのだが、実際に乗ってみると問題にはならない。一つの理由は、ターンの作り方がハンドルなのか、車体の傾きなのかの違いだ。

Ridgebackは「真っ直ぐ行こうとする車体をハンドルで曲げる」。対してTrekは「視線を向けて体を傾けるだけで曲がる」。Trekは、停止寸前の速度を除いて、ハンドルを大きく切る必要が無いのだ。

ちなみに、どちらのバイクもペダルとサドルは同じモデルを付けてある。

信頼のXTR・ショートスピンドル

信頼のFabric Scoop Radius

ここを共通化することで、バイクを乗り換えた時に調整が不要で、単に乗り味の違いだけを楽しむことができる。

ただし、サドルの角度だけは微調整が必要で、Trekのほうが前下がりになっている。
理由は、ハンドルバーとブラケットの位置が違うから。

ブラケットの高さ・遠さ

ブラケット位置を上から見る

前傾が深いTrekの場合、尿道の下がサドルの先端で圧迫されて、痛みが出やすい。そこの圧迫を逃すために、ほんの少しサドルのノーズを下げてある。

ツラツラと書いてきたが、300kmまでのブルベならばツーリングバイクでもレーシングバイクでもどちらでも完走はできるだろう。そして…そこまでの距離ならば、レーシングバイクの方が速く走れると思う。

時速1kmの速度差は、ブルベ走行中はどんな感じになるかイメージできるだろうか。

信号ストップがない、平坦な河川敷のサイクリングロードなどがわかりやすい。Ridgebackで走っていると、後方から他の参加者がジリジリと迫ってくる。そしてパスされて、ジリジリと離されていく。この、「ほとんど同じ速度なんだけれど、ジリジリと差が開いてく」のが1kmの速度差と考えて良い。

今までのボクの走り方は、他の参加者よりもペースが遅い。ジリジリと離されて遅れるのだけれど、補給や休憩の取り方を工夫して挽回する感じだ。で、完走者の中では下位10%くらいだが、Trekで走ると中位ちょい下あたりでゴールできる感じになる。

300km超え、400kmや600kmのブルベはどうだろうか。正直ボクはTrekで400km は走れると思うが…600kmはまだ確信がない。

300kmを走り終えた後の消耗は、Trekのほうが大きいのだ。サドルとペダルの位置関係は両方とも揃えているので、下半身の消耗度合いは同じようなものなのだが、上半身に違いが出る。

特に肩と、首のこわばりが激しく、完走後2〜3日程度は肩こり・偏頭痛が出る。こうした痛みやこわばりはRidgebackでは起きないので、400km超のブルベでどうなるかは来年走ってみないとなんとも言えない。

Trek ならば Emonda を持っていて Domaneを買おうか、またはその逆かで悩んでいる人がいたら、参考になれば嬉しいな。

2025年10月22日水曜日

買い換えるべきか? スノーボードブーツのヘタリ

そろそろ25−26シーズンに向けて早割リフト券とか、シーズンパスをどうするか、ソワソワし始めている人もいるのではないだろうか。何を隠そうボクもです。

ギアを買い替えようか考えている人もいるだろう。ギアの中で、買い替えの判断が難しいのはスノーボードブーツではないだろうか?

板やバインなら、シーズン中でもなんとか納得のいくものを買えるだろう。でも、ブーツは、サイズとフィット(甲高とか)とフレックスと、組み合わせする要素が多い。

なによりも、「平均的なブーツサイズから外れる人」は、在庫のあるシーズン初めでないと希望のサイズが手に入らないことがある。

ボクなんか足のサイズが 25.0cm…  US7…

バートンとかの大手ブランドや、小柄な民族もいるヨーロッパ発のブランドはまだマシなんだけど、北米オンリーのブランドだと結構厳しい。北米の新興ブランドだと、メンズモデルのサイズ下限がUS9 なんてこともある。そうなると、もう最初っから選択肢に入らない。ウィメンズならサイズあるけど…もうサロモンでいいです

そんなわけで、シーズンが始まる前の今、ブーツを買い替えるべきか迷っている人に向けた投稿を書いてみた。

「ブーツのヘタリ」には、「アウターシェルの剛性低下」と、「インナーブーツのクッション性低下」の2つの面がある。

アウターシェルの剛性低下(フレックス・レスポンスの低下)

シェルがフニャフニャになってサポートが不足した状態がこれ。こうなると、トウサイドエッジがうまく抑えられなくなる。

トウサイドエッジを強く踏む時、ブーツのタンをスネで押し込む動きが出る。押されたタンがトウボックスを押し込み、ボックスが力をエッジに伝えてくれる。

ということで、プレッシャーが集中する、「タンとトウボックスの境目」にダメージが出る。
裂けちゃった…

ブーツメーカーもそれは分かっているので、この部分の素材を変えたりして補強する。でも、繰り返し繰り返し加わるプレッシャーは、ここにシワを作り、やがては縫い目から裂けたり、素材に折り目ができて崩壊する。

タンそのものにもシワや変形が起きる。
BOAやスピードレーシングのような、細い紐やワイヤーでタンを抑えるモデルは特に注意が必要だ。可能ならば、履くたびに、紐がかかるところを少しずつずらしてやるといい。閉める場所が1箇所だと、そこにクセがついてやがてそこから折り目ができる。

タンの足首にできる溝

ブーツのフレックスを固くする時、「変形しにくい・剛性の高いタン」を使う方法と、「アウターシェルの剛性を高くする」方法がある。もちろん、どちらかだけではなくて、両方を組み合わせて、狙ったフレックス(固さ)とレスポンス(反発のスピードと強さ)を出していく。

で、モデルによっては、タンやアウターシェルに嵌めて剛性を高めるパーツが付属している。

ボクがここ数シーズン履いている、サロモンのブーツにはアウターシェルに嵌め込むパワーバーが付属している。

サロモン・マラミュート

上の写真、左手で押さえているバーで「この辺りに収まる」というイメージがわかると思う。写真の下側に、アウターシェルの一部が写っている。ここに赤く見えるのが、この強化バー。アウターシェル内側の上下に、バーの端っこが収まるポケットがあって、そこにバーを嵌め込んで固定する。

ボクは剛性が高めのブーツを好んで履いてきた。今は、Salomon Malamute を履いている。以前は Burton Driver Xを履いてきた。

個人的な印象だけれど、Driver X はタンの剛性で、Malamuteはシェルの剛性で、それぞれフレックスとレスポンスを高めていると感じている。んで、ボクは、Malamute のほうが合う感覚があったので乗り換えた。

バートンとサロモン

インナーブーツのクッション性低下(フィット感の低下)

「ブーツのヘタリ」のもう一つの要素が、インナーブーツのヘタリだ。クッション性が低下して、足の一部が圧迫されたり、むくんだり、擦れたりといったトラブルが起こる。

ブーツのクッション素材には、可塑性のあるゴムやスポンジが使われている。素材の特性として、ヘタったり、加水分解を起こしたりするのは避けられない。

個人的な感想だけれど、クッション性が優れてソフトなインナーブーツのほうがヘタリが早い感じがする。熱成型方式のサーモインナーも同じで、初期のフィット感がどれくらい続くかというとなかなか難しい。

サーモインナーとクロックスっぽいインナー

上の写真右側の、グリーンが差し色に入っているインナーブーツは、BurtonのSLXで使われていたやつ。確か…2015年くらいだったかな…

昔のバートンには、クロックスみたいな素材でできたインナーブーツがあった。これは重いし蒸れる感じがするけれど、へたりにくく、変な圧迫もなく、とても気に入っていた。アウターシェルと足の間を隙間なく埋めてくれるので、ブーツをフレックスさせた時の反発の出方も自然だった。

バートンがこのインナー素材をやめて、サーモインナーに変わったのもブーツを乗り換えるきっかけになった。

タンが沈み込んでいく

上の写真は、処分する直前のDriverX
タンにスピードレースが擦れた跡がついているのがわかるだろう。そして、その位置が大きくずれているのも見て取れる。

ついている跡は、「インナーが生きていた時についた」跡だ。アウターシェルと足の間に、しっかりとクッションがあるインナーが「みっちり」詰まっていた。

ブーツを履き続けていると、インナーがだんだんと痩せてしまって、シェルと足の間に隙間が生まれてくる。その隙間を埋めるために、タンを上から押さえるので、過去についた跡とちがうところにシューレースがかかるようになる。


長くなったのでそろそろまとめよう。

「今シーズンいっぱいブーツが保つかどうか?」を、今の時期に見極めるとしたら…

アウターシェルのトウボックス周辺に、「シワ」「変形」「縫い目の裂け」がないかどうか。そして、「タンに付いたレースの擦れ跡」を良く観察してほしい。

そして…
自分が小足族か大足族であるという自覚があるならば…在庫がある今のうちに…目星をつけておくことをお勧めしたい。








2025年9月13日土曜日

山力(ヤマヂカラ) 山の生活技術・番外編

山力(ヤマヂカラ)について、ここでボクは何度も書いてきた。

山力とは、体力・(登山)技術・生活技術の3要素の掛け算で表せる、山屋としての総合力評価のこと。ただ、「山の生活技術」といってもピンとこないかも知れない。

今はどうだか知らないけれど、昭和の時代に「山の生活技術が優れている」人たちは、だいたいが山岳部とかワンゲル上がりだった。

山岳部は口数が少ないが、いざ口を開くと声が太い。悪天候の岩場で視界が無くてもコールが届くようにだろうか、普段から腰が入った話し方をする。装備もなんというか独特で、巨大なバックパックザックは色褪せている。

テン場で彼らは早い時間に寝る。いきなりピタッと静かになって寝る。一般登山者がのんびり酒を飲み、声を落として会話を楽しんでいる中、彼らの大きなエスパーステントだけが静まり返っている。

そして…彼らは深夜2時くらいに起きるのだ。

彼らの実力は、撤収に要する時間と、その間に出す音、先輩が指示する声と内容で推し量ることができる。

夜間のテント撤収は重要な生活技術

ある日ボクがテン場で泊まっていた時、山岳部であろうグループと一緒になったことがある。

それは5人くらいのパーティで、ボクの隣に幕を張った。夕暮れにちょっと挨拶を交わして、彼らは誰よりも早く眠りについた。そしてボクが朝4時くらいに起きたら、キレイさっぱり撤収を済ませて居なくなっていた。

テントは単なる布なので、隣り合ったテント同士はなんとなく気配を感じるものだ。なのに、彼らが動く気配はまったく感じることがなかった。

クックキットをガチャガチャさせず、ビニール袋をガサガサさせず、5人の若者が静かに、横に寝ている僕を起こさずに早立ちしていったのだ。

テント、寝袋、マットをたたんでパッキングする。共同装備のどれを誰が持つ。食事はなにをどうやって済ます、そうしたすり合わせ一切合切を、パーティー内で会話せずにすませて去っていった。多分ヘッドライトの光量も控えめに、こちらのテントを無駄に照らさずにいてくれたのだろう。

彼らならば、吹雪で視界が無くても、風が吹きすさんいても、互いの声が通らなくても、テントの設営と撤収は問題なしにできることだろう。片付ける時に装備を無くしたり、変な場所にしまうこともないであろう。彼らならば、どんな状況であって確実に体を休め翌日に行動することができるのだろう。

その朝、彼らのテントがあった空間を見ながら改めて考えた。「山の生活技術」とは、山中の生活でムダ・ムラ・ムリを取り去る技術なのだろうなと。

テント泊、冬季、BC、数日以上の縦走になると荷物は増える。何も考えず、荷物の量が増えるに任せれば、背負える限界を超えてしまうことになる。生活技術を磨いてムダを取り去り、荷物を小さく軽くすることで、より挑戦的な山行が可能になる。それが彼らのような集団が求めている生活技術なのではないか。

振る舞いが洗練されていてムダが無い、そんな登山者をテン場や避難小屋で見かけると、ボクは思う。この人がこうなるまでには、どのような背景があったのだろうか。そしてボクはこうした存在に近づけているのであろうかと。

そして…年齢を重ねて体力がさらに落ちた時、ボクが登山を続けられるかどうかは、その辺りにヒントがありそうだ。そんなふうに感じている。

2025年8月22日金曜日

学生寮の話: 西寮の無頼漢・タテカンタンカ (2/2)

西寮の先輩らしからぬ、柔和で笑顔が素敵なJun先輩から、ナベちゃんとお酒に誘われた話を続けよう。

「Junさんって欠点って無いの?」そう聞いたら、ナベちゃんは腕組みしてしばらく瞑目し…

酒癖は悪いかも…

ボクはビビってさらに聞く。

酒癖が悪いって…殴るとか?
ん?いや?武道の有段者だから、それは無い。
なんかね、幸せになっちゃうんだよね…ずっとニコニコしながら飲んでる。
それは…別に…酒癖悪く無いと思うが?
んーーーー表現が難しいなぁ…
あの人、いい人じゃん?で、周囲に悪人がいるってこと忘れるくらいにハッピーになっちゃうんだよね。そんで、ニコニコしながら際限なく呑んで、しまいには寝ちゃうんだよ…
で、起こすと殴られるんだ?
いや、だからそれは無いって。

なんか、そんなに心配するほど酒癖悪くなさそうで一安心。ボクは話題を変える。

そもそもだな…なんでJun先輩にお酒誘われたの?
あぁ、今度、彼女とスキーに行くんだって。
どこのスキー場がオススメか教えて欲しいって言われてんの。

なるほど…

当時はスキーブームの真っ只中だった。
ボクはグンマー出身、ナベちゃんは東北出身、スキーの足前には自信があった。オススメのスキー用品や、スキー場や、スキーバスツアーや、色々相談されることもあった。

谷川岳天神平のゲレンデサイド

リフト待ちがとにかく酷かったし、レストハウスも満席があたり前だった。だから、デイパックにランチを入れておいて、ゲレンデサイドで休憩したり。

天神峠のお社

周囲で一番高い場所にある鳥居の下から、なぜか湧き水が溢れ出してるとか、そんなマメ知識が割と役に立つ時代だった。

で、ボクとナベちゃんは、風呂を済ませてから Jun 先輩の部屋を訪問した。

入塾のご挨拶や、自己紹介で散々やらされた作法通りドアノックを3回して、返事を待って入室する。

マメで几帳面で、キチンとしている、そんな性格通りの整った部屋。

シワのないベッドと、4人が座れるラグにクッションがある。ちゃぶ台に、ウィスキーボトルとビールに、ガラス製のコップが並んでいる(洗うのが面倒だし、割れるので、ガラスのビールグラスを使っている人は珍しかった)。

おー入って入って〜良く来たね〜
ヒデオと呑むのは久しぶりだね、今日は色々教えてよ〜
キミと呑むのは初めてだよね?名前は?なんて呼んだらいいの?ヒデオと親しいの?W大?

Jun 先輩は、朗らかに声をかけながらビールを開けて、ツマミを勧めてくれる。なんていい人…  

ふと…なんとなく…違和感を感じて、壁を見るとベニヤ板が立てかけてある。良く見ると、1寸角の杉の角材で畳ぐらいの枠を作り、そこにサブロク(3尺x6尺)のベニヤが向こう側から張られている。和室の襖(ふすま)の、襖紙を貼っていない押入れ側を見ているような感じだ、それが壁に立てかけてある。

それは、演劇部の大道具の一部みたいに見えた。

Jun 先輩… 演劇とかやるんですか?

ボクが聞くと、Jun 先輩は照れくさそうに「裏側を見てごらん」という。ベニヤ板を壁から離して、裏側(本来の表側)を覗き込んで…ボクの呼吸が止まる。

学費値上げ反対!
革◯ル、中◯派、セクト主義粉砕!
大学当局の横暴を許すな!

赤とか黄色とかの原色で書きなぐられた…これは…アカン、アカンやつや…なぜここに?
Jun 先輩は、いつもの温厚な笑顔で続ける。

本当は返しに行かないとなんだけど、ヒデオがやめろって言うから…

そのファーストネームヒデオ、ラストネームナベちゃんが続ける。

Jun 先輩交えて馬場で飲むとさぁ、近いって油断があるのか、いっつも飲みすぎるんだ。早◯田まではなんとか帰って来るんだけどさぁ、◯学部の前あたりでいつも寝ちゃうんだよ。無理やり起こすと、「そこの立て看で運んで」って言うんだぜ。いや、タテ看はやばいっすよって言うんだけど、「ボクはT大だし、普段はここにいないから大丈夫、大丈夫!」って。

ヒデオ〜いっつも飲みすぎるって、それは言い過ぎだろう?
いや…3回ありましたよね?

ん? ボクは壁に立てかけてあるタテ看の裏を見た。そこには…確かに…横倒しで立てかけられたタテカンがあと2枚…あった。

ボクの背中をちょっと嫌な汗が流れる。

バレてないの?

誰かが取ってったことは気づいてる、あたり前だけど。
翌週見に行ったら、「タテカン返せ!」って書いてあるタテカンが立ってたし…

えっ?なにそれ面白い!
タテカン返せってタテカン?面白い!

ちょっと黙っててもらっていいですか?

ナベちゃんと今後どうしたらいいか相談した結論は、とりあえずほとぼりが冷めるまでこのまま。いつかタイミング見計らって、解体して粗大ゴミで捨てるしかないか…

ふと振り向いたら、Jun 先輩は横倒しになって寝ていた。
スヤスヤと寝息を立てて…なんか、寝顔もニコニコしていて…ちょっとだけイラッとした

2025年8月17日日曜日

学生寮の話: 西寮の無頼漢・タテカンタンカ (1/2)

ホントーにくどいですが、このブログの内容はフィクションです

時々ふと記憶をたぐって書く、学生寮の話は結構人気がある。
今回は、Jun さんという先輩の思い出話をしてみよう。

まずは長い前振り

今はすでに遠い昔になりつつある、バブル期の飲み会は「闘い」だった。新宿にあった「居酒屋ビル」でコンパした時の写真がこれ。

居酒屋の垂れ幕がヤバい

ボクが所属していたサークルは、「イッキはあった」が「強制はなかった」。飲めない人、飲みたく無い人は飲まずにすんだ。何を言っているのか分からないとおもうが、当時の雰囲気では、理性的なほうではあったと思う。救急車騒ぎは…あったけれど。

闘いに敗れる10分前

なんというか、会費の分以上は飲まないと負け、みたいな雰囲気で、酔い潰れるまで飲む。で、酔い潰れると、後輩がワラワラと、油性マジック持って集まってくる。

コンパにマジック持ってくるんじゃねぇよ…なんで油性なんだよ…水性でいいじゃねぇかよ…なんで極太マッキーなんだよ…

酔い潰れた男は、おもちゃになる。
酔い潰れた女を、おもちゃにしたことはない。その点だけはしっかりしていた。

可哀想な、た◯ぐち君

顔への落書きはまだいい。
いや…よくは無いが…まだいい…

問題なのは、鼻の穴の中とか、耳の穴の中とか、「物理的に洗えない部分」に着色されると、数日間はそのまま過ごすことになる。夏休み入る前の日のコンパでコレやられて、まぶた、耳穴、鼻の穴…赤やら青やら黒やらで彩色されたまま実家に帰省し…あやうく勘当されそうだった奴もいた…ゴメンよ

何が言いたいかというと、バブル期の学生の飲み会とは…呑むか呑まれるかの戦場であった…ということだ。

前振り終わり

ボクが棲んでいた学生寮、西寮はヤバめの先輩濃度が高かった。

「表札フェチ」事件の後、ボクは西寮を訪問する時は用心にも用心を重ねるようになった。変な人に目をつけられたら、こちらまで塀の向こう側に落ちかねないからだ。

ある日、寮の食堂で西寮のナベちゃん(仮名)と夕食を取っていると、Jun先輩がやってきた。

よう、ヒデオ!(ナベちゃんの下の名前)
後で部屋来てよ、ちょっと聞きたいことがあるんだ!

そして、ボクの顔を見て整った白い歯を見せてニッコリ笑って言った。

君も一緒においでよ、ヒデオの友達なら一緒にお酒飲もうぜ!

Jun先輩は、180cmくらいの長身、色白の艶々肌に切長の涼やかな目、水泳やってそうな広背筋と胸板に引き締まった身体、真ん中でふわっと分けた髪はサラッサラで、うっすらブリーチがかかっている。POPYE や Hot Dog Pressの表紙に出てきそうな、いかにも育ちの良い、サーファーっぽいナイスガイ。

ボクは怪訝に思ってナベちゃんに聞いた。「西寮にあんな先輩いたっけ?」。ナベちゃんは色々と教えてくれた。

Jun先輩はT大の文系看板学部に現役合格。在学中に公務員上級職と弁護士資格を取る見込みだそうだ。勉強してたらどっちも被る分野があるので、どうせなら一緒に取ってしまおうということらしい、なんだそれw

でまぁ、色々がハイスペックなのに加えて、ルックスがあれで人柄も良い。だからもうソートーモテるらしい。先輩の仲間によると、先輩と話した妙齢(17歳〜60歳くらい?)の女性は、先輩と話すと頬を赤らめて、上気した顔で…小走りで走ってきて…「なんかジュンとしちゃった」と言うんだそうだ。そんなバカなと思うだろうが、もう、ほんと全員、モジモジしながら、漏れなくなんか漏れてるのかもしれないがジュンとしちゃった!」っていうんだそうだ。そんで、いろいろあきれた周囲は、なんとなく…先輩を Jun さんと呼ぶようになった。

誰に対しても分け隔てなく接し、フレンドリーで礼儀正しく、モテまくるのに浮いた話はなく彼女一筋。世の中にこんなできた漢がいるのか??

腕っぷしはどうなの?そう聞いたら「拳法の黒帯で合気道は袴持ち…」

歌舞伎町で、酔っ払ったヤーサンたちに絡まれたことがあったそうだ。先輩は、ことを荒立てないように、ひたすら謝っていた。そうしたら、ヤーサンは調子に乗って、一緒にいた女子に集団でちょっかいを出し始めた。先輩は、仕方なしに、謝りながら制圧したらしい。

あっ、ごめんなさい!

そう言いながら外腿への下段蹴りで動きを止める

もうもうやめましょうよ、危ないですよ!

そう言いながら相手のパンチを受けつつ、手首を掴んで放り投げる。新宿駅東口交番からお巡りさんが駆けつけた時は、3人を同時に組み伏せながら…謝っていたらしい。

ヤーサンたちは本署に、先輩は交番に連行された。調書をとっているときに判明したのが、当時の新◯暑の署長さんが Jun さんの同窓の先輩…相手に怪我もさせていないし、事情が事情だし、相手も相手なので無罪放免になった。

欠点って無いの?そう聞いたら、ナベちゃんは腕組みしてしばらく瞑目し…

酒癖は悪いかも…
えっ?ちょちょちょっちょ…さっき俺たち、酒に誘われたよね? 
なになになになに?なにが起こるの?

コワイヨー
ダレカタスケテー

つづく

2025年8月14日木曜日

学生寮の話: 西寮の無頼漢・表札フェチ

 ホントーにくどいですが、このブログの内容はフィクションです

ブログ主として励みになるのは、アクセスログ。
こんな国から見に来てくれてるのか!とか、こんなにたくさんの人が読んでくれたのか!とかね。踏み台使ってとか、ロボットとかそーゆー話はいらんのだよ。

当たり前だけど、マニアックすぎる話はアクセスが少ない。結構時間かけて書いた投稿が、全然読まれてないと結構凹む。それに引き換え、僕が棲んでいた学生寮の話は、結構人気がある。何かが降りてきて、さらっと書き殴った投稿にびっくりするくらいのアクセスがついたりすると、

君らヒマなん?

そんな悪態もつきたくなる。

寮から徒歩3分の教会

僕が棲んでいた学生寮は、お上品で高級な文教地区にあった。


すぐ近くには、有名な教会があり。
すぐ隣には、当時都内でトップ5に入る高級ホテルがあり。

わりと近くには、地方出身の優秀な女子学生が集う女子大があった。 

可愛い娘を手元から離したく無いご両親の目を欺く、じゃない、親の愛というくびきを振り切るために、「良妻賢母になる勉強をするから!卒業したら地元に帰るから!」という言い訳で上京してた、カントリー・ヤング・レイディのための女子大だった。彼女たちが卒業後、本当に地元に帰ったのかはよく分からない。

そして…
お隣と言っていい距離に、元総理大臣のお屋敷があった。

その学生寮は、食堂・講堂・浴室がある本館を囲むように、北・南・西の3つの寮棟が建っていた。各寮独特の文化があって、ボクの居たのは硬派の北寮。そして、軟派の南陵、野人の西寮…という感じだ。

各寮の交流は…「年に1度の体育祭」という名前の、血で血を洗う抗争以外は…あまり無かった。ただ、ボクは、西寮に何人か親しい奴が居たので、オドオドしながら遊びに行ったことがあるw

この投稿はそんな感じで西寮に遊びに行った時の話(前置き長っ!)

友人の部屋でだべっていたら、先輩に呼び出されての部屋に遊びに行くことになった。

ビールをいただいて飲んでいると、隅に表札が2つ転がっている。見るからに高級そうな表札で、表面には「T中」と書いてある。

ん??「T中?」先輩の苗字とは違うやんな?

不思議そうに見ていると、先輩が気がついてこう言った。

おう!お宝に気ぃついたか?
一個目は、去年手ぇ入れたんやで。
機動隊のおっちゃんがしっつこく追っかけてきてなぁ、危うかったんやぁ。

えっ?き、機動隊?それってもしかして???

せやで!!一個めは単独犯やぁ!

そう言って先輩は愉快そうに笑った。

あのぉ、一個めは単独犯?ってことは?

おう、一個目がちょいギリギリやったんや…
そんでな、ほとぼりさまそう思てな、2個めは1年我慢したんや。

たまに近く通ると、機動隊のメンツ変わっとるのが分かるやろ?あぁ、人事異動あったんやな、去年の人はどっか行ったかな?そんなタイミング待っとったんや、さすがに同じ隊員さんやったら警戒しとうやろうからなぁ

ほんで、2個めは頭を使った連携プレイや!山下(仮名)おるやろ、あいつに直前に酒ぇしこたま飲ませてなぁ。機動隊の前まで頑張って行かせて、そこでぶっ倒れさせるんや。

機動隊っちゅうてもなぁ、あそこに回されてくるんはなぁ…心根の優しゅう、人のいいおっちゃんばかりなんや。もうみーんな心配して、駆け寄ってくる。

その隙に後ろからそーっと近づいていって、パッと!

そう言って、先輩は豪快に笑って続けた。

そしたらな、敵もさるもの、裏側が接着されてた!簡単に取られてたまるか!そんな気合い感じたやで。

でもなぁ、そんなこともあるかと思って、マイナスドライバー持ってってたんや。それで、ベリベリってな。

それが2個めの奴や。

そう言って、先輩はビール瓶を手に取ってボクのグラスを満たしてくれた。

他では言わんといてな、これ、このビールが口止め料や!
おまえもこれで共犯やで!

そんな先輩が何人かいらしたのが…野生の西寮…

口止め料ももらったし、墓場まで持っていくつもりではいた。

でもすでに時効だし、年齢的に先輩はもう…役職定年か転籍出向とかのはず。バレても失うものもなさそうなのでまぁいいか…

あっ、違う違う、そもそもこのブログ、ぜーんぶフィクションだからさ。真剣に受け止めないでね?そこんところよろしくね?

続く…かも…

2025年8月12日火曜日

真夏のロングライド・暑さ対策 3/3 氷冷却編

草稿を書いていたらあまりにも長くなりすぎたので、3部作にしました…

サイクリングは、自然とともに過ごす遊びだ。

自然と闘う必要は無い…のだけれど、自然が目の前に置いてくる障害はうまくマネジメントしなければならない。それは、冬の寒さだったり、真夏の暑さだったりする。ちなみに、真冬の寒さをどうやってマネジメントするかこの投稿を参照してほしい。

ボクの考える、自転車乗りの暑さ対策は3つに分けられる。
  1. 遮熱
  2. 気化熱冷却
  3. 氷冷却

今回は3部作最終回、「氷冷却」について書いてみる。

氷冷却とは…コンビニ氷で体を冷やす戦法だ

グビグビっと中から冷やす

そもそも日本はコンビニ王国。街道を走れば、必ずコンビニがあり、氷や冷たい物を補給できる。登山とかではありえない、サイクリングならではのメリットがコンビニ補給。

第一の戦略は、「冷たい飲み物で体の中から冷やす」

熱風の中を走り続けるには、氷入りの冷たい飲み物が欠かせない。

でもねぇ、35度超えるような気温だと、ドリンクがあっという間に温くなっちゃうんだよね。下の写真真ん中が、通常のソフトタイプボトルの保冷強化版。「断熱材」が仕込んであって、保冷効果がある…のだが…あまりにも非力。氷を半分くらい入れておいても、35度前後の外気温で1〜2時間も走れば氷は溶けて無くなってしまう。

保冷ボトルと言えるのは、真空断熱の魔法瓶的な奴だと思えばいい。左側は、ステンレスの真空断熱ボトル。魔法瓶なので、保冷効果は段違い。氷を半分くらい入れておけば、半日程度は冷たい…けどずっしり重い。

右側は、Thermos の保温・保冷ボトルで、こちらはホットドリンクにも対応。さすがは魔法瓶メーカーだけあって、保冷効果はピカイチ。丸一日は冷たさをキープできるし軽い。

保冷ボトル3種

保冷効果はThermos が一番良いし、ボタンでパカンって開くカバーがあるおかげで飲み口が汚れない。カバーは保温・保冷効果を強化している感もある。じゃぁThermosでいいじゃん?となるのがだ…この飲み口は、飲み方にちょっとコツがあるのだ。

キャップを開いて、飲み物を口の中に注ぎ込むのだが、この時おとがいを上に向ける必要がある。前傾姿勢の強いロードバイクだと、一瞬視界が路面から外れて地味に怖い。

Thermosのボトルは、クロスバイクやMTB、ツーリング・キャンピングバイクなど、上体が起きたライディングポジションには一番良いチョイスだと思う。

ロードバイクに向いているのは吸うタイプの飲み口。顔は前を向いたまま、飲み口を咥え、ボトルを顔の横に持ち上げてくる。必要なら、目線を前に向けたまま、顔をちょっと斜めにすれば、飲み物が口の中に入ってくる。

吸うタイプと流し込むタイプ

そんなわけで、夏は吸うタイプのキャメルバッグ・ステンレスボトルがオススメ。冬は、保温でも使える Thermos がいい。

そもそも熱い飲み物は、吸い込むと危ない。それが Thermos タイプの飲み口が保温・保冷対応の理由なのだ。寒い時期、信号待ちでほっと一息、少しずつ啜るみたいな飲み方で Thermos の魅力が生きてくる。

さて…

外気温が35度を超えて体温レベルになると、常識的な対策では間に合わなくなってくる。

第二の戦略は、「氷で直接体温を下げる」

35度超の気温では、少しバランスを崩すだけで熱中症一直線。ボクが頼るのは、コンビニのロックアイス。

真夏の恋人ロックアイス

ボクのブルベベストは、背中にポケットが付いている。ここに、ジプロックに入れた氷を詰め込んで走る。
アイスポケット付きのR250ブルベベスト

ただ、このポケットに入るくらいの量(500mlペットボトル2本が押し込んで入る)、1リットルくらいのロックアイスだと、せいぜい持って2時間程度。なので、38度とかの日は、ロックアイスの袋から空気だけ抜いて、そのまま背中に押し込んで走る。ジャージと背中の間に、プラスチックバッグに入った氷を押し込んで走るのだ。これはかなり効果がある。心肺が一気に楽になるし、手足や頭の熱が取れていく感じがする。

なお、ロックアイスの袋そのまんまだと、肌触りがあんまり良くない。ツルツルするから、ふと気がつくと位置がずれて、変なところに移動してたりする。それが嫌なら、登山用品店で、防水のスタッフバッグか、アイスバッグ(氷嚢)を手に入れるといい。

ハイドレーション機能のあるバックパックを使って、氷を入れたウォーターバッグを密着させるのも良いだろう。いずれにしても、この「氷冷却」を使う必要があるくらいの気温は、事故と紙一重であることを忘れないようにしてほしい。

ちょっと大きめ麦茶ボトル

コンビニで手に入る、凍らせたドリンクボトルも有効だ。

アクエリアスのアイスボトルを背中に入れて走れば、ドリンクボトルがカラになったタイミングぐらいでアイスボトルが溶ける。アイスボトルの中身をドリンクボトルに移せば、補給回数を一回減らすことができる。

凍ったアクエリアス

パウチで凍らせたドリンクを複数持つのもいい。ただし、これくらいの小ささだと、あっという間に溶けることは知っておいたほうがいい。

氷の冷却は、散水と組み合わせるとさらに効果がある(散水冷却は 暑さ対策2/3気化熱冷却を参照)。使える手立ては全部使う、それが、真夏と真冬のロングライド。

それでは、今日も1日ご安全に。

おしまい

2025年8月1日金曜日

真夏のロングライド・暑さ対策 2/3 気化熱冷却編

草稿を書いていたらあまりにも長くなりすぎたので、3部作にしました…

サイクリングは、自然とともに過ごす遊びだ。

自然と闘う必要は無い…のだけれど、自然が目の前に置いてくる障害はうまくマネジメントしなければならない。それは、冬の寒さだったり、真夏の暑さだったりする。ちなみに、真冬の寒さをどうやってマネジメントするかこの投稿を参照してほしい。

ボクの考える、自転車乗りの暑さ対策は3つに分けられる。
  1. 遮熱
  2. 気化熱冷却
  3. 氷冷却

今回は2の、気化熱冷却について書いてみる。

シャーっとな

気化熱による冷却は、水分を蒸発させて熱を下げること

暑い時に汗が出る理由はまさしくこれで、体表面で汗が蒸発することで、気化熱冷却が起こり体温が下がる。

ただし、発汗とそれに伴う気化熱冷却にはメカニズム上の問題が2つある。

まず、最初の問題について説明しよう。

発汗のメカニズムは、人間が「動物として」、「普通の環境」で、「普通の行動」ができるように発達した機能だということ。

でねぇ…動物はね…
35度以上の気温で、10時間とか、心拍上げた状態で動かないからね?
暑い時は昼寝してるからね?彼ら

つまり、「動物としての普通」を超えていくスポーツでは、発汗機能の限界を超えるので、何かしらの対策は当然に必要になるということなのだ。

もう一つの問題は、汗をかくと体力が削られて消耗するということ。汗の元になる水分は、経口摂取する。この水が、

胃腸(大部分は腸)から「吸収される」
血液・リンパ液内を通じて「全身を巡る」
発汗組織を通じて「皮膚表面に出る」

この全てのプロセスで、体力を消費するのが「発汗」だ。で、このサイクルが早すぎると、際限なく吸収と放出を回さなければならないので、早く消耗してしまう。

消耗すれば、当然エネルギー補給が必要になる(「食事と補給について」参照)。

発汗に伴いミネラルが不足すれば、水中毒のリスクも高まる(「ミネラル補給について」参照)。暑い時期に1日サイクリングすると、こんな感じで汗染みができる。

塩ですが何か?

このキモい模様は発汗で失われた塩分。補給しなければ、当然体調は崩れていく。

で、栄養分やミネラルを経口で補給すると、消化吸収で消耗する…無限ループやんか
そんなわけで、発汗機能をなんらかの方法でサポートしてやる必要があるのだ。

シンプルなのは、汗の代わりにボトルの水を被ること。

プシャー!

ただ、通常のボトルだと、水流が細くて広がらず、広い範囲を濡らすことが難しい。

それと…真夏は、ボトルを2本運用する人が多いと思うのだが、「ドリンク用(スポドリ)」と「真水(掛け水用)」を取り違えると悲惨なことになる。

実際…自分はくっそ暑い日に頭からポカリスェット被ってしまったことがある…次に見つけた児童公園の水飲み場で沐浴するまではベトベトに悩まされた。

沐浴は沐浴で、気持ちよかったがな…

そんなわけで、掛水用のボトルは「シャワーキャップ」に交換してある。ボトルのトップキャップに切り替えレバーがついていて、これを捻ることで「直流」「閉まる」「シャワー」のモード切り替えができるのだ。

切り替え付きキャップ

キャップの裏側はこんな感じで、基本的に分解清掃ができないから、真水のみの運用になる。

キャップ裏側

「直流」モードにすれば、もちろんドリンクボトルとして使える。口をつけずに、ボトルを潰して口の中に水を流し込むような飲み方になる。

直流

走行中は、レバーをシャワーモードにしておく。体温が上がってきたと感じたら、前回の「暑さ対策・遮熱編」で書いた、ヘルメットキャップの後ろ垂れや、アームカーバーにシャワーを振りかけて気化熱で冷却してあげる。

シャワー

もちろん、頭から被ったり、アイウェアを外して顔を洗ったり、腕、腿、ふくらはぎや胸背中を濡らすこともお勧めだ。

ボクの実感だと、25度〜35度くらいまでの気温帯なら、このシャワーボトルによる気化熱冷却が大変に効果的だ。

ふくらはぎが攣りそうになった時、水をかけると回復する場合もある。眠くなった時に顔を洗ったり、信号で停止した時に胸や背中を濡らしたりする。

初めてこの方法をとった時、水分があっという間に蒸発していくのに驚くことだろう。それだけ、気づかない間に発汗していたということだし、発汗による体力の消耗もまた侮れない。

掛け水をすることで、人為的に体温を下げることができ発汗量が減る。いわば、汗を水で代替することで、真夏のロングライドでの消耗を防げるというわけなのだ。

走行中に公園を見かけたら、水飲み場で体を濡らさせてもらう。自動販売機でスポドリと真水を買い、スポドリはドリンクボトルへ、真水は掛け水ボトルから散水する。そんな頻度を上げながら走ることが大事だ。

なお、35度前後まで気温が上がると、ボトルの水だけでは冷却が間に合わなくなってくる。

そして…関東平野や新潟平野などの平地で起こりがちなのが…フェーン現象

フェーン現象下の平野部は、熱風が吹く。走っている時に追い風を受けている時は、要注意だ。相対速度がゼロに近く、走行風が受けられない時は体温が上がりがちになる。追い風なのにペースが上がらない、そんな時は気化熱冷却がうまく働いていない可能性がある。

気温が体温レベルに達した時は、無理せずにその後のコースプロファイルやモロモロを検討すべきだ。そこから先に、アップダウンやヒルクライムがある、そんな時は気化熱冷却の限界と判断したほうがいい。

公道で走るサイクリングのメリットは、コンビニにがあること。次のコンビニでピットインして、次の投稿で説明する「暑さ対策3部作のその3 氷による冷却」を参考にしてくれれば、ボクも嬉しいです。

今日も一日、どうぞご安全に。
つづく






2025年7月28日月曜日

真夏のロングライド・暑さ対策 1/3 遮熱編

草稿を書いていたらあまりにも長くなりすぎたので、3部作にしました…

サイクリングは、自然とともに過ごす遊びだ。

自然と闘う必要は無い…のだけれど、自然が目の前に置いてくる障害はうまくマネジメントしなければならない。それは、冬の寒さだったり、真夏の暑さだったりする。ちなみに、真冬の寒さをどうやってマネジメントするかこの投稿を参照してほしい。

ボクの考える、自転車乗りの暑さ対策は3つに分けられる。
  1. 遮熱
  2. 気化熱冷却
  3. 氷冷却
今回は1の遮熱について書いてみる。

 効果は限定的なアームカバー

遮熱は、光や熱気を遮ること

最初に残念なお知らせだが、「遮熱」は真夏のロングライドにおいて、効果は限定的だ。

日傘による遮熱を例に取ろう。日傘の表面は日射を反射してくれるのだが、熱吸収がゼロになるわけではない。どんなに熱線反射率の高い素材を使ったとしても、日傘の裏面は熱を持つ。日傘の裏面と体の間に空間があって、そこに風が通っているので涼しく感じるのだ。

砂漠の民が身につける装束も、ゆとりがある。あれも同じで、熱反射させる素材と体表面の間の空間が、断熱層として働いている。

サイクリングウェアは、空気抵抗が少ないほうが有利なので、ウェアと体の間は密着している。だが、さきほど書いた通り、「遮熱」には、熱反射層と体の間に十分な空間が必要…

そんなわけで遮熱は、サイクリングにおいて暑さ対策のメインにはなりにくい。

ただ、光を反射する遮熱層と、体の間に空間が取れれば効果はある。

1番のお勧めは、「うなじを覆えるヘルメットライナー」だ。ヘルメットの内側に被るヘルメットライナーの後ろ側に、長い垂れ布を付けてある。これでうなじの部分をカバーすることができる。


帽体の後ろに垂れ幕が付く

うなじや首筋が熱を持つと、血液の循環によって脳の内部温度が上がってしまう。そうなると、意識障害とか、頭痛とか、めまいの原因になりうる。

このタイプのヘルメットライナー、うなじの日射を遮る効果は想像より大きい。垂れ幕とうなじの間に風が通っていることも、遮熱効果を感じやすい要因だ。

垂れ幕の形は様々

垂れ幕の覆う面積や形は様々で、布地の素材もいろいろある。高い物ではないので、何種類か買って試してみるのをお勧めする。

全面を覆うバラクラバ

ヘルメットライナーよりも広い範囲を覆う、目出し帽(バラクラバ)はどうだろうか?バラクラバは保温を目的とした冬季用と、接触冷感素材などの夏季用がある。バラクラバのほうがカバーする範囲が広いので、熱線・紫外線防御には優れているのではないか?

僕はあまりお勧めしない。

バラクラバを使うと、前面からの風を遮ってしまうからだ。サイクリングで体が受ける走行風をいかに活かすかが、暑さ対策でもっとも重要だと僕は思っている。バラクラバは、その風を遮ってしまうので熱がこもりやすい。

暑さ対策のバラクラバが生きるのは、「外気温が割と低く」「運動量が少なく(発熱が少ない)」「紫外線が強い」環境。春先のゲレンデスキー・スノーボードが一番活躍できる。

他の具体的な遮熱対策には、熱反射率の高い色を着用すること。ウェアやヘルメット、シューズを白系統にすると、まぁまぁの効果がある。

ちなみに、接触冷感素材のウェアは、暑さ対策には…あまり効果が無い。あたりまえだが、「接触冷感」とは、あくまでも「冷たいような感じがする」だけのものなのだ。

新型コロナが流行し始めた時に、「熱さまシート」が話題になった。実際に効果があるのかどうなのかという議論だった。あれも、「スーッと冷えたような気がする」だけなので、冷却する効果は限定的…というか…発熱時に体温を下げる効果は、ほぼ無いという結論だった。

接触冷感素材のものも同じと考えて、過度な期待は禁物だ。接触冷感を謳った、織り方が密で風を通さないウェアよりも、メッシュパネルを配置して通気を確保したウェアのほうが、暑さ対策では断然有利になる。

ボクは、春から秋に参加する、300km以上のブルベではモンベルの半袖ジャージを基本としている。200kmなら、極論を言えばジャージはなんでもいい。だが、走行時間が20時間設定の300km以上のブルベだと、昼と夜の異なる温度域で行動し続ける必要がある。そんなハードな環境では、「山岳」で鍛えられたノウハウを持つモンベルとかのウェアのほうが安心だし、実際に快適だ。

話を戻そう。

接触冷感素材にはあまり期待するべきではない。だが、熱反射率の高い白色のカバーならば、熱の吸収を減らす・日焼けを防ぐ効果はある。また、次の項目で説明するが「水で濡らす」ことで、気化熱冷却の有効な装備にはなりえる。使うなら、素材の特性を理解して使って欲しい。

熱反射率の高い白が基本

アームカバーもレッグカバーも、どうしても熱がこもりやすい。下り坂ならまだしも、ヒルクライムが続くエリアでは暑くて体力が消耗する。

ヒルクライムが始まる前に、アームカバーは手首側に丸めておく。こうすれば、前腕・上腕が風を受けて冷やされる。手首に丸まったカバーは、汗どめのリストバンド代わりになる。ハンドルバーが滑るのを防げるし、顔の汗を拭き取ることもできる。

リストバンドモード

ヒルクライムのピークを過ぎたら、アームカバーを一度伸ばしてダウンヒルに入る。染み込んだ汗が蒸発するので、気化熱冷却が起こるし、日焼けの防止も期待できる。

アームカバーはこんなふうに、上げたり下げたりがやりやすい。レッグカバーはそんなわけにいかないので、僕はアームカバーだけを使う…こともある。

次回、暑さ対策3部作、その二 気過熱冷却編…に続く



2025年7月21日月曜日

山屋のブルベ戦略・食事と補給

今回説明する戦略は、ボクが思う「ブルベの本道」からは少し外れることを最初に断っておきたい。

ボクが思うブルベの本道とは、自転車での小旅行。旅先での経験…観光だったり食事だったり、人との触れ合いがあってこそのブルベという遊びだと思う。

しかし、ボクにとって現実は大きく異なり、旅の余白を楽しむ時間的な余裕は無い。

強いサイクリストが、グルメを楽しみ、名所旧跡を訪れ、仮眠を取っている時、貧脚のボクはペダルを回し続ける。そうやって分単位で時間を稼ぎ、ブルベを完走しているのだ。だから、ボクのやり方は邪道かもしれない。

ただ…そんな走り方ではあるものの、ボクのやり方が、高い完走率に繋がっていることは間違いない。頑張っているのだけれど、なかなか完走に繋がらない、そんな誰かの参考になれば嬉しい。

もしも用のフード

走行中アクセスしやすいパッキング場所に、ボクは補給食を仕込んでおく。

補給が切れると身体はエネルギー不足になり、パフォーマンスが落ちる。本当は、そうなるまえに補給すべきなんだけれど、そうなってしまった時には、即効性のあるパワージェルなどが有効だ。

ジェル状フード

ジェル状のパウチフードは、水分を含んでいるので飲み込みやすい。吸収も早くて即効性がある。ただし、持続性の面ではちょっと落ちる気がする。さらに、こうした高機能型ジェルは結構お高いのであくまでも非常用。

吸収性・即効性良好

非常用として考えた場合、カフェインが含まれている物を選ぶのもありだと思う。オーバーナイトブルベは、明け方に睡魔と戦う時間帯がある。そうした時に、エネルギーとカフェインを同時に摂れるのは合理的だ。

もう少し、コスパが良くて気軽に使えるというと、羊羹が良い。コンビニで一口羊羹を買うのも良いし、事前に準備しておくなら「スポーツ用」なんてのもある。

スポーツ羊羹

メインは炭水化物

ジェルや羊羹は、食べて空になったパッケージがベトベトする。ポリ袋などをゴミ入れとして持っておくと良い。

エネ餅もなかなか良い。

薄く延ばした歯応えのある餅で、表面にはオブラート様のシートが貼ってあるからベタベタしない。パッケージを少し開けて、歯先で餅を引き出して半分くらい食べて、残りをそのままパッケージに戻して少し後で食べる、なんてこともできる。
 
エネ餅シリーズ

エネ餅は割と効果が長く続く気がする。長いヒルクライムが始まる前に半分食べて、途中で残り半分を食べる、そんな使い方が向いている。

塩餅の塩分量はそこそこ

羊羹や餅系の欠点は、寒さで凍ったり、固くなってしまうこと。冬期には、ジャケットの内側で携行したりする必要がある。

脱線するが、温度管理が難しいフードといえば、チョコレート系もそうだ。冬はまだいいが、暑さ対策が難しいのでボクはあまり使わない。

スニッカーズなどは、即効性・持続性に優れて総カロリーも大きいので、携行食としては非常に優秀なのだが… 夏はドロドロに溶け、冬はヌガー(キャラメル?)部分がカッチカッチに固まって、前歯が折れそうな思いをするのでキライw

ここまで紹介してきたのは、炭水化物・糖質を中心にした物だ。他には、アミノ酸系のものもある。そのものが燃焼するのではなくて、身体に蓄えられたエネルギーを効率よく使うのを助ける役割がある。

アミノバイタル

アミノバイタルやVAAM (ヴァーム) などが代表的。ボクはラーメンデブなので、ダイエット目的のために、こうした燃焼系を摂ることもある…のだけれど…摂取後にメチャクチャ腹減って…大盛りとか炭水化物ダブル(ラーメン・チャーハン)とか食べちゃって効果台無しになること多し。

さて…

そんな感じで、エネルギー補給系の行動食をメインでブルベを走って気がついた。それは、こうした行動食をメインにすると、ミネラル(塩分)が不足するということ。

パワーは出ているのにだるいとか、ボーッとするとか、足が攣るとかが起こるのだ。そうした時に、塩分を補給するとてきめんに効果がある。←のリンクは、ミネラル補給について書いた投稿なので参考にして欲しい。

マグネシウム補給

夏も冬も、脚攣り対策で常備しているのが「塩GEL」。

総塩分量はさほど無い

ポイントは、塩GELの成分は、マグネシウムが中心であること。ナトリウム補給は、スポドリ+塩タブでカバーできる。そこでカバーできない、マグネシウムだけを補給することで、ピンポイントで脚攣りに効く。

でねぇ、ボクは不思議に思ったのよ、「なんで行動食メインで動いていると、ミネラルが不足して脚が攣るのか?」

もし、手元に行動食があれば、成分表を見て欲しい。多分、塩分ほとんど入ってないから。

それはある意味当然で、行動食は「エネルギーだけを狙って補給する」ためのものだから。行動食は、行動中に継続して摂取するもので、その塩分含有量が多すぎると問題になる。発汗の少ない時期には、塩分過多になってしまうだろう。

気温の高い環境下で行動食メインで過ごしていると、「口の中が甘くなって食欲が無くなる」ことはないだろうか?もう羊羹はいらない、とか、クッキーとか見たくもないとかね。

そんな時に試してみて欲しいのは、ジャンクなスナック類。

スナック菓子

裏の成分表を見て、塩分が多めのやつを選ぶ。柿の種とかせんべいは王道。短時間でパワーも一緒に出したければ、ポテトチップがいい。炭水化物が多くてしょっぱいやつね。

そんなこと気にしたことないヨ?
塩分補給?エネルギー補給?
いらないヨそんなの!考えすぎ!

そんなことを言うサイクリストもいるでしょうね。そんな人たちが何を食べているか、各地のグルメの普通食を食べてるのよ。

高崎パスタ・シャンゴ風スパゲティ

パスタは、塩分も炭水化物も過剰なぐらいに取れる。

高崎海鮮・魚喜のウニいくら丼

和食のご飯は炭水化物。味噌汁や漬物で塩分補給。発汗多い時期は醤油多めで調整。

沼田・馬鹿旨のトマト麺と餃子

肉体派労働者諸兄の味方、街中華は炭水化物・塩分の桃源郷。しかも、油分たっぷりなので、吸収が穏やかで、長い時間パフォーマンスを維持できる。

結論を言うと、さんざん行動食を紹介しておきながら申し訳ないが、バランス良い補給にはコンビニご飯が一番良い。

どっちにしろチェックポイントでコンビニによるのだから、ブルベではそこをフルに活用すれば良い。汁がある麺類(ぶっかけうどん・蕎麦・ラーメン)とか、パスタとか、消化に問題なければチャーハンとか、丼ものとかを定期的に補給する。

で、峠や海沿いとかで、チェックポイントの間が開いているような場所では行動食を使う。行動食が連続するとミネラルが補給するので、塩タブや塩GELを活用する。

そんな感じで走ることで、300kmを超えるライドでも時間的な余裕を維持しつつ走り続けることができるのだ。

ボクもそうだけれど、制限時間ギリギリ隊は時間を稼ぐ工夫が必要だ。

ただ…稀にだけれど、ちょっとそれはどうかな?というやり方をとる人も稀に見る。

言いにくいけど、一時停止をしない、2段階右折をしない、歩行者変身して歩道をショートカットする…とか…数分ずつ時間を稼いでいく。

でもねぇ、ボクの見ている限りなんだけど…そうした人たちが完走できているかっていうと、そうでも無いような気がするのだ。

ボクは、後味が悪いやり方で完走することに興味は無い。

ボクにとってブルベとは、後で振り返って笑顔になれる、そんな思い出を積み重ねる行為なのだ。もし、制限時間ギリギリで完走したとして…その完走の背景に、自分に恥じることが無いのかどうか?そんなことを思って、ボクはジタバタとブルベを走っている。