このブログを検索

検索キーワード「センタリング」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示
検索キーワード「センタリング」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示

2021年3月13日土曜日

チャネルとESTでBRTNは何を失ったか

バートンのチャネルボードに、他社製のバインディングを付けることはできます。ほとんどのブランドのセンターディスクには、チャネル用のビス穴があるか、専用のセンターディスクが付属しています。

ですから、BRTNのチャネルボード+FLUXとか、Union とかの組み合わせもできます(快適に滑れるとは言っていない)。

Unionのバイン、青い手袋の指先がチャネル用ビス穴
チャネルは2本留めなので穴が2つ、4x4に比べると太い

BRTNのESTバインディングは、チャネル専用で4x4ボードには付けられない。他のブランドの板と、時々は付け替えて乗りたいって人はESTバインは使えないことになる。こうした人たちを、むざむざ他のバインディングに取られることは避けたかったらしく、BRTNはバインディングをESTと、Re-Flexの2つのシリーズに分割した。そして、Re-Frexは、他社のバインディングと同じ様に、センターディスクを変えれば、チャネルにも、4x4にもつけることができる。

BRTN Re-Flexバインのセンターディスク 上が4x4、下がチャネル

これで、全部うまくいく!わけではなかったのだ。

まず、チャネルボード+ESTバインは天国だ。多分、間違いない。使ったことないけど。

では、チャネルボードに、他社製バインまたはRe-Flexを付けてみよう。
対応センターディスクをセットしてと…チャネルでスライドするから、セットバックもスタンスアングルも、スタンス幅も自由に決められるね!あれ???センタリングの微調整ができないじゃん?
Re-Flexの場合は…ディスクに3つの選択穴が開いていてそこでやる。上中下、松竹梅、的な。フロントフットのセンタリングは、すごく微妙で、3mm 動かすだけでフィーリングが大きく変化する。なのに3段階、6mmくらいの幅で大雑把にしか調整できないって、3Dより退化してるじゃん。

出典: amazon.co.jp

この写真は3D用のセンターディスクだが、5段階に調整穴が空いている。センターからトウもヒールも、2段階、微妙にずらせるのがわかるだろう。

じゃぁ、UNIONはどうかというと、上の写真で見るとわかる通り、チャネル対応ディスクの穴は2個しか無い。で、センタリング 不可!かというとそうではなく、ヒールカップの位置を前中後の3段階にずらしてセンタリング をすることになる。(注1)

ヒールカップをスライドさせて、3ノッチの調整ができるUnion

さぁ、では、他社製ボードの4x4に、Re-Flexバインディングを付けてみようか。この場合も、センタリング の幅は3段階…怒

で、ですね、僕の場合はもともとは、BRTNの3Dシステムボードと、他社製4x4ボード(ROME)を履いてました。だから、BRTNがチャネル&ESTに完全シフトして、3D用バインディングをやめたとき、Re-Flexを買いました。BRTN好きだったしね。でもですね、3段階センタリング で一番かかとよりにしても、もう3mmか6mm、ヒールに寄せたかったんです。多分練習すれば、この違和感は消えるんだろうなって努力したんですが、どうしてもダメで、Unionに乗り換えたら一発でセンター出て、笑いました。数シーズンをRe-Flexに付き合ったせいで、無駄にしたなと。

もともとBRTNは他社の4x4を尻目に、互換性のない3Dをずっと使ってきて、そして今はチャンネル+EST…なんというか、うちの組み合わせが最高なんだから、それ選べ。それ以外選ぶのは勝手だけど、まぁ、好きにしろ。くらいの天上天下唯我独尊。

中の人にしてみれば、チャネル+ESTという、スノーボード 史上最高のシステムができたんだぜ!これさえあれば、他のものなんていらないんだよ!なんで別の選ぶんだよ!って感じなのかも。

でもね、チャネル+ESTにBRTNが完全移行して、そっちに行かない人たちには、Re-Flexを置いてった。で、Re-Flexはセンタリングが大雑把に3段階に劣化した。まぁ、それはいいだろう。しかし、なんで他のブランドも、3段階劣化版に合わせにいくかな?

国内設計で、日本人ライダーの体格とか体力にあったバインディングを作ることにこだわります!って言ってた FL◯X …  確か…以前は…前2、後ろ2の5段階調節できるビス穴があるセンターディスクだった。この間見たら、3つ穴で、前・中・後の3段階に劣化してる。なんで?BRTNが3段階だから、それでいいやって思ったの???

センタリングが大雑把にしかできなくなったことで、最高のライドフィールを失ったライダーは僕を含めて沢山いるはず。そして、なんで今、うまく滑れないんだろう?って思っている人も結構いるんじゃないかな?だから、あえて言おう。

Union最高! (注2)

(注1)Unionの可動式ヒールカップを、「ブーツサイズに合わせて調整するためのもの」って説明しているショップあるみたいですが、嘘ですから。それがホントなら、サイズMのバインに、サイズ下限のUS7ブーツセットしたら、ヒールカップ一番前にださないとガバガバになるよね。そんな風にぜったにならないから!トウストラップが前後で位置調整できるのも、ヒールカップでのセンタリングに合わせて、前後移動させるためのものだから!

(注2)可動ヒールカップで6mm単位で大きくセンタリング して、ディスクのノッチ3mmで微調整できるのがいいよね。そして、ヒールカップで3段階のセンタリングできれば大丈夫!ってラッキーな人は、ディスクを横向きに使ってスタンス幅を調整できる。そんな自由度が高いのが、Unionのいいところ。さすがバインディング専門のメーカーって感じ。
機会があれば書くけど、日本人(アジア系)の足の小さいライダーが、欧米メーカーのボードを乗りこなすには、センタリング が鍵になる気がする。BRTNのライダーがどんどんUnionに移っているように見えるのは、このあたりが原因なような気がするなぁ。国●君とかね。

2021年3月12日金曜日

チャネルとESTがBRTNに何をもたらしたか

このブログの内容はすべて創作です

確か2003年ごろ、Forum Snowboards の経営がヤバいという話が流れた。どうなるんだろうと思っていたら、社内メールでジェイクからのメッセージが流された。要約すると、

ForumがBRTNにジョインするぜ!めっちゃ興奮してるぜ。
コアなスノーボード ブランドを、スキーメーカーが吸収する流れはもうウンザリだ。
だから、一緒にやることにした!みんなも興奮してくれ。 
きっといい科学反応が起こるはずだぜ Yeah!

…ジェイク…興奮しすぎだ…

で、Forumはスライダーシステムを持っていて、それがバートンにチャネルをもたらした。

スノーボード のバインは、センターディスクでセンタリング 「か」スタンス幅を微調整できる。「か」がポイントで、センタリング をすると、スタンス幅は調整できないし、スタンス幅を調整すると、センタリング は調整できない。これは、センターディスクを0度か90度のどちらかの向きで使って調整をするからだ。

Union のベースプレートとセンターディスク

上の写真はUnion だが、縦に細長く2列に溝がある。この溝のどの位置でバインをボードに固定するかによって、写真でいうと上下方向に微調整ができる。この場合、ボードに対してつま先よりにするか、かかとよりにするかの位置調整ができ、この調整方法をセンタリングという。

で、中心にある円形のセンターディスクを、90度回転させると、溝が前後方向になる。で、この場合は固定位置を前後方向に微調整できて、バインディング間の幅(スタンス幅)を調整することができる。

で、Forum は、ボードの取り付け穴を前後自由にずらせれば、スタンス幅が自由になるよね。じゃぁ、レール2本埋め込んで、スライダー入れて、4x4のバインなら自由に前後動かせるようにしようぜ。んで、センターディスクはセンタリング 方向の調整に専念な。てことを始めた。

Forum Snowboards でググって、画像見てもらえれば大体のことはわかると思う。

生産はかなり大変だったようだ。

だってさ、バインがすっぽ抜けないような強度のある、金属製のレールを2本、ボードのセンターに入れるんだよ。フレックス、カッチカチやで。

剛性が上がりすぎない様にレールを細くすれば、曲がるし壊れる。それと、ボードの中の構造で非連続面があると、そこのつなぎ目で折れやすくなる。レールをボードの中のどこからどこまで入れて、どんな風に終わらせるか…

で、BRTNにForumが合流してから、4x4スライダー(名前忘れたw)は、チャネルシステムになった。違いは、レール一本、以上。

Forum は、一般的な4x4バインディングで使える様に、片方のバインを4本のビスで固定していた。だから、レールが2本必要だった。

BRTNはこう考えた。うち、バインもトップブランドだから、専用のシステム作っちゃえば無問題!こうして生まれたのが EST!BRTN の黒歴史Aura以来の2本締めシステム!

ESTリリース直後はM5ビスで、固定が緩むって問題もあったみたいだけど、M6にアップデートされて、締結トルクあげられるようになってから問題はなさそうだ。

Forum のスライダーがそうだったように、EST&チャネルのシステムで、スタンス幅もアングルも、セットバックも、シームレスに変更できるようになった。しかも、センタリング も細かく調整ができる。これはほぼ無敵のセットアップと言っていい。BRTNボードとBRTNバインのセットアップがサイコーで問題ない!というかそれ以外ない!というライダーにとっては、最高の自由がもたらされた。

ボードかバインのどちらかを、他社ブランドにするとクソになる可能性がある、そんな不自由さと引き換えに。

つづく

センタリング?ヨユーっしょ By: takuji

2022年12月14日水曜日

初老のスノーボーダーと、Unionバインディング

僕は「初老」と言われる年代に入っている。
孫がいる同級生も…何人もいる。

そんな僕がふと、スノーボードをやっていると言うと…若者の反応が面白い。

 へー (ほぼ息を吐いてるだけ)
 スノボやるんすねー (興味ナッシング)
 どれくらいやってんすかー  (年に1〜2回っしょ?)  的な…

まぁ、そーゆー反応は理解できる。

僕が20代から、30代の半ばくらいまでは…おっさんスキーヤーを冷めた目で見ていたから。

腹が出てレーシングスーツを着るのに苦労するんだ、とか
今、履いてるこの限定モデルがどれだけ特別なのか、とか

なんでこの人は…リフトで一緒になっただけの僕に…しょーもないことを、延々と喋ってるんだろう?とか思っていた。

で、僕は、できれば格好良く歳を取りたいな、そう思っていた。そうは言っても、腹は出たし、歳をとったし、目は霞むし、最大筋力も持久力も、柔軟性も心肺機能も落ちている。

そんな僕が、いかに楽にカッコいいおっさんに近づくかを考えて、たどり着いたのは UNIONのバインディング。今後もUNIONしか履かないと思う…その理由はこちら

そう、UNIONのバインディングは可動式ヒールカップが最大の魅力。
(Drake とか RIDE とか ROMEとか にもあるよね?とか言っちゃダメ)
三段スライドのヒールカップ
一般的にはブーツサイズに合わせてスライドさせ、フィットさせるって言われてるけど嘘です(断言)。

僕のブーツサイズはUS7 (25cm)。ヒールカップがサイズ合わせのためなら、当然一番前のはずです。

僕の好むのは一番後ろで、サイズ合わせのためならこの位置はL〜XLサイズ用になるわけ。アメリカサイズのXLってことはUS13 (32cm) とか?そこに僕の25cm ブーツを入れたらガバガバになるはず…だが、そうはならない。ブーツとのフィッティングは、ヒールカップの位置にかかわらず、ストラップの長さと取り付け位置の調整でできるのだ。

ということは、この可動式ヒールカップは、サイズフィッティングのためではない。スライドする方向を考えると、これはセンタリング調整のためについている、そう考えるのが合理的だよね。
微調整はディスクでやる
Union のバインは、ヒールカップで大きくセンタリング調整ができる。そして、微調整をディスクでやるという、2段構え。それがUnionのメリットだと、僕は思う。

なんでそこまでセンタリングにこだわるのか?

だって楽なんだもん。

センタリングがバッチリ出せているスノーボードは、本当に楽。

スキーに比べて、太くて重くて安定感のあるスノーボード。滑るボードに乗っているだけでいい。センタリングが出ていれば、両方の足裏を、軽くひねるだけでターンができる。

そう、僕が Union のバインを愛するのは、衰える肉体をカバーするため。

小狡いノウハウを手に入れて、小生意気な若造を手玉に取るため
そうやって、元気な若者になんとか着いていくため。

よく考えてみると、僕がスキーヤーだった時にも、そんなおっさんはいた。

どう見ても蒼氷だよねって急斜面を、スパーって滑り降りていく人がいた。

ん? 見かけほど凍ってないのか?

そう思って、追っかけてドロップインしたら、エッジが引っかかりすらしないアイスバーン。

ドロップ3mで転倒して、なすすべもなく背中とお尻で滑落してボトムに着いたら、貧相スリムで、代謝エコっぽい爺さんが…ニコニコ笑顔で立っていたとか。

リフトを同時に降りた小太りのおっさんが先に行った中里の表の壁。ボコボコのコブ斜面を息絶え絶えに降りた僕を、そのおっさんがはち切れそうなウェアと、あふれそうな笑顔で迎えていたとか。

そう、僕はそんな老人になりたいのです。

ま、腹が出ているのは嫌だけどな…
今シーズンはダメだけどな…

2023年1月16日月曜日

スタンスアングルとエッジングパワー

少し前の投稿で、センタリングについて書いた。というか、僕のブログで「センタリング」って見ると、「またか…」って人もいるだろう、ごめんね。

センタリングの 2.5~3mm が滑りに与える影響は大きいと言っても、ピンとくる人と、そうでもない人に分かれるんだろうなとも思う。ピンとこない人は、ここで終了が吉です。

で、スタンスアングルとセンタリングは、相互に連携している。だけれども、それを考えてセットアップしている人って割と少ない…と思うから書いてみる。

僕は先シーズンの途中から、フロントのアングルを変更した。
養生シートにバインのアウトラインを写し取る
今までのセッティングはF30 R0 という、左足前振りで右足は真横。左足が前振りなことで、「上半身を前方に向けやすく、斜面変化を両目で、高い位置から見られる」 = 「遠近感がはっきりして安全」 これがBCでの安全確保に有利だからこうしていた。

ただ、左足が前振りだと、どうしてもターン前半でエッジの捉えが甘くて反応が遅くなる。ターン中もフロントのエッジングパワーが足りないので、ノーズがフラフラと動いていく。それはあきらめて、ターンの途中から後半にかけて後ろ足を強く締めてターンを仕上げる。そんなイメージだった。

で、だんだんと…ターン前半の、フラフラキョロキョロ安定しない感覚が嫌になってきた。そこでフロントを21度に引いて、横向きのセッティングにした。
母指球の延長線上に線を引いておく
これが大正解で、ハードバーンでもノーズの捉えが確実に素早くなり、結果として安定した滑りにつながった。で、なぜ横ノリだとエッジが良く効くのか、理由をビジュアル化してみよう。

バインのアウトラインと、母指球の延長線がどこに向くかを、養生シートに書き写したのがこれ。
横方向で3mm程度の変化
21度にすると、エッジへの距離が3mm 近くなる。エッジへの距離3mm というのは、センタリングで言えば、センターディスクで1ノッチの距離と同じ。それだけエッジへ近く乗れれば、エッジングパワーが大きく増えるのも当然だ。

前後方向の荷重ポイントが移動するのも見逃せない。
2cm くらい踏むポイントが後ろになる

前振りにすると、つま先の位置が前に出るので、フロントサイドターンの時の荷重ポイントは前に移動する。逆にかかとの位置は後ろに下がるから、バックサイドターンの荷重ポイントは後ろになる。ということは、毎回毎回ターンの時に、積極的に前後に体を移動させる必要がある、というのが前振り。

で、僕みたいに、フロントだけ前振りにしていて、ターンの仕上げはド横乗りの後ろ足で仕上げる、みたいな人は、前後の荷重ポイント移動はさほど起こらない。ただ、前足が前振りで後ろ足が 0度の横向きだと、トウ側はワイドスタンスになり、ヒール側はナロウスタンスになるということ。

で、スタンス幅を広くするとボードがしなりにくくなるかわりに、安定する。スタンス幅を狭くするとその逆ということは聞いたことがあると思う。僕の今までのセッティングは、フロントは安定する代わりに反応が鈍く、ヒール側は動きがクィックになるということ。

で、僕は、フロント前振りを長く推奨してきたわけだけれど…アングル変更によって、エッジングパワーとスタンス幅がどのように変化するかを考えると…極端な前振りはしないほうが、ボードの性能を活かしやすいだろうなと思うようになった。で、今の僕のベストは F21 R0 というわけ。

いや、でも、カーバー(カービングをする人)は前振りですよね?だって?

アルペンボーダーもカーバーも前振りだけど、彼らが生息するのは、ハードパックバーン。固いバーンには細いボードが必然だし、細いボードでドラグしないギリギリの前振りスタンスで…カント角を入れられるバインやプレート入れたりする。

で、アルペンボードとかカービング専用ボードを履いていないならば、ドラグするからという理由で前振りするのはお勧めしない。

初心者、初級者の時は、「どうやってエッジを深く立てるか」が課題になる。しかし、中級レベルになってくると、「エッジは立てられて当たり前」になる。そんでもって、ターンのキレとか、後半の加速とか、次のターンへの連続性を考えると、エッジを立てすぎても意味がないことに気がつくようになる。

ボードの太さに合わせたスタンスアングルを取ると、それに合わせた上体の向きができる。できるだけエッジに近い位置で踏めるようになっている状態、それが、ボードを設計した人の意図しているポイントなわけ。で、乗る時には、「ドラグしないようにコントロールしながらエッジにプレッシャーを入れる」のが大事だ、そう僕は思う。

ただまぁ、ターンに何を求めるかも人それぞれ。僕はターンの加速、キレ、スピードのコントロールを大事にしたい。そして、ターンにスタイルを求めるとかも全然ありだとは思う。

どんなスタンスアングルでも、乗ってれば慣れる。実際、「えっ?そんなんで良く乗れるよね?」って上手い人もいる。ド前乗りなのにスイッチが超上手い人とかね。

僕は凡人なので、できるだけラクで確実に乗れる方法を考えて生きていこう、そんな風に思っています。

2025年12月18日木曜日

クィックエントリー・バインディング購入 (Bataleon FASE)

最近はクィックエントリー・バインディングが流行りだ。

ボクはもともとBurton SIバインディングを使っていた。そして、Accubrade で痛い目にあって、ストラップバインディングに乗り換えた。正直…Unionのストラップバインディングになんの不満もない(Union推しな理由はこちら)。

そんなボクだが、最近のクィックエントリー・バインディングの進化を見て、もう一度試したくなった。ゲレンデ用に、楽で便利で、多少ルーズなやつがあってもいい気がした。

もちろん、使えるならBCでも使いたい。脱いだり履いたりが必要なルート、川場のS沢、N沢、谷川の湯檜曽川沿い、岩鞍のK沢とかで楽ができたらいいなと。

Bataleon の FASEシステム

ボクがFASEを選んだ一番大きな理由は固定方式だ。リリースレバーワンプッシュのシステムは、誤解放が怖い。さらにリリースレバーを「上から押す」仕組みだと、BCでの危険性がさらに高まる。

BCでは、デブリやアイスブロック、ブレーカブルクラストの破片が板の上に溜まることがある。特にブレーカブルクラストの破片が厄介で、コンクリート平板みたいなやつとか、エッジが立った棒みたいなやつは、引っかかりが多いのでお互いに絡み合い、なんらかのはずみでレバーを押してしまう。非常に稀ではあるけれど、実際に起こった事例をボクは知っている(その人はワンフット転倒で膝の靱帯断裂)。

これがわかっているBurtonとAccubradeのリリースレバーは、引き上げ開放。そしてBurton の Step On は、リリースレバーの位置を高くして、crud snow (腐れ雪)に覆われないようにしている。Accubradeはレバー位置が低いのだが、ノブを回転させるとロックがかけられた。

そんなこんなを観察していくと、Burton Step-Onはかなりイケてるように見えるのだが…ボクはSalomonのブーツがお気に入り。今更他のブランドで冒険するつもりもない。だから ブーツとバインがセットのシステムになる Step On はチョイスから外れた。

気に入っているブーツがそのまま使える、 Nidecker Supermatic はリリースレバーが押し下げなのと、後述するけどヒールカップがボリューミーなので選択肢から外れた。

年齢的に、怪我をしたら治りが遅いボクは誤解放が起こらない、ラチェット方式にこだわりたい。ラチェットは、何かのはずみでリリース用の爪が引かれても、一段、二段ずれて止まるだけ。「引き続けない限り」開放しないという信頼感はやはり大きいのだ。

で、FASE登場までは、ラチェット式のクィックエントリーは…SPとかFLOW。ユーヤパイセンもSPを好んで長く使っていた。だが、スリッパタイプは雪が詰まるとスリップインがとても困難になるみたいだし、SPは時々マイナートラブルの話を聞く。

普通のストラップバインは、少しぐらい雪がソールについていようが構わず履けるし、スペアパーツも携行しやすいし、山で応急修理もできるから…って考えると、SPやFlowに移行しようというモチベーションが湧きにくい。見た目も重そうだし

スペア・パーツと言えば、Bataleon は最初から消耗部品の予備が付いてきた。これは嬉しい。他社のスペアパーツは結構な値段がする。納期も遅かったり、廃盤になってたりもするし、バインのモデルチェンジがあると、買い置きの予備パーツが適合しなくなってゴミになったりもする。

最初からついてくるスペア・パーツ

クィックエントリーのシステムは傍に置いて、Bataleon のバインディングとしての性能はどんな感じなのだろうか?その辺りを書いてみよう。

Bataleon のボードをボクは好んで乗りついでいる。その理由は、ちょうどいいホドホド感を感じるからだ。なんというか、雪面が荒れてきたり、コンディションが悪くなってきた時にイジワルをしない。コブとか入るとよくわかるけど、変なエッジの引っ掛かりが無い。

コブに脱力して入りボードを自由にしてあげると、ノーズがスルスル動いて一番いいポイントに適当に入っていく。乗り手は、ちょうどいいところでエッジを入れてやるだけで、スピードコントロールとバランスが取れる。コブで乗りやすいボードは大体がBCでも乗りやすい。スプーンカット、流水痕、ブレーカブル…BCでは斜面のコンディションもさまざまで、そんなところをうまくイナせる相棒がBataleonのボード。そんなブランドがチューニングしたバインに興味があったのだ。

パッと見てわかるのはミニディスク。ボクが初めて履いたストラップバインは、Genesis の Re-Flex だった。ボードのフレックスを活かすために、柔らかいセンターディスクを使っていた。ガチガチのAccubradeから乗り換えた時は、頼りないフラフラ感にめまいがしたが、慣れたらその自由さに目が醒めた。ミニディスクもボードのフレックスを活かすための仕組みで、Re-Flex特有のネガも無いから興味を持っていた。

ミニディスク

ミニディスクと言えば、UnionのContact Pro。買おうかと真剣に悩んだことがあった。結局はAtlasにしたのだけれど、ミニディスクはボードフレックスを活かせるのはいいがセンタリングができないのだ。

センタリングはできない

Bataleon のミニディスクもそうだけれど、ディスクのスリットを前後方向に向けるのがデフォルトだ。つまり、スタンス幅は変えられる。ディスクを90度回転されられないので、トウ・ヒール方向の調整(センタリング)は、ディスクではできない。

スタンス幅の微調整はできる

センタリングは、ヒールカップをスライドして前後させることで調整する。これは、Union、Drake、Rideなど、同様の構造をもっているバインに共通する考え方だ。

センタリングはフレームの取り付け位置で調整

このスライド機構はブーツサイズに合わせた調整用だと誤解されているが、実際はセンタリングのためだ、根拠はこちら

左右非対称のレール構造

Bataleonのこのバインは、左右非対称構造が特徴の一つ。その効果はよくわからなかった。ボクが鈍感だったせいもあるかもしれない。他のバインと比べて明らかなのは、前後のバインの間に重心を置くのがすごく楽ということ。これが非対称構造によるものか、後述のカントによるものかはよくわからない。

全面ブッシングで母指球下だけ固い

このバインはベースプレートの裏側全面が厚いブッシングで覆われている。多分感覚はルーズになるのだろうけど、荒れた雪面ではとても有効だろうと期待していた。実際に履いてみると、ルーズさはほとんど感じない。エッジの噛みも普通に良いし、それでいながら不快な振動はカットしている感が強い。

2度のカント

ベースプレートには2度のカントが入っている。そのせいか、ボードのノーズ〜テール方向のバランスが取りやすい。

ボクは重心を、前後バインディングのディスクセンター内側に維持して滑ろうとしている。前乗りしても、重心はフロントバインのディスクセンターを超えないし、後ろも同様だ。で、実際に滑っていると、外乱の影響で体の位置が想定よりも前後することがある。そんな時でも我慢して堪えていると、重心がなんとなくwセンターに戻ってくる。

ブーツソールとのフィッティングはガスペダルで

ガスペダルはなんの変哲もない。ただ、表面の溝が縦方向に切ってあるのが良い。ガスペダルに溜まった雪を、トウ側とヒール側に払う時に何の抵抗もない。ガスペダルのデザインが凝っていると、ここに微妙に雪が凍りついて不快な感覚になる。Genesisのガスペダルとか、もう

フォワードリーンは2段階

Contact Pro を買わなかった理由にはもう一つあった。それは、フォワードリーン。調整が2段階しかなくて、あんまり前傾入れられそうに無かった。前述の通り、ミニディスクのバインはセンタリングの調整幅が少なくなる。それに加えてハイバックリーンが入れられないと、バックサイドでキレるターンを作れないような気がしてやめた。買ってから気がついたけど、Bataleonのこれも2段階しかなかったw

実際に履いてみて分かったけど、元々のハイバック角度が適切なら、調整は2段階で不満なかった。荒れてて固い人工雪バーンで、強いバックサイドターンを作ろうとすると、流石に工夫が必要になるけど、それ以外のシチュエーションでは、まったく不自由がない。

Bataleon のこのバインディングをまとめると、Union の Contact Pro をクィックエントリーにした感じ?で、このバインディングを履いてみて、Contact Proに持っていたネガティブなイメージは払拭された。で…ボクが次に買うBC用のバインは、きっと Union の Contact Proだなw

まとめると、バインディングの基本性能ではなんの不満もない。バックサイドターンはハイバックで倒すというよりは、踵で押し込む感じになる。トウサイドも面で踏み込むのだが、アンクルストラップのサポート力が強くてレバレッジが効く。だからアンクルストラップをあんまり締め込まなくても済む。ベースプレートのカントのためかセンターに乗りやすい。ブッシングとミニディスクのおかげか、ジャガイモ畑やアイスバーンでも振動がカットされて疲れにくい。期待以上に、滑走性能のバランスが良かった。

クィックエントリー・バインディングとしてみると、ちょっと微妙ではある。トウストラップの位置が一発で決まらないので、微調整が必要になる。そして、踏み込んだだけではロックされない仕組みなので、エントリーして、アンクルストラップのラチェットをスライドさせて、2アクションくらい巻き上げ操作する必要がある。踏み込んでからラチェット操作するまでの間、後ろ足の荷重はカカトになるから、滑りながらの装着はチョット難易度が高い。でも、普通のバインに比べると、装着のスピードは確実に速い。

そんなわけで、ゲレンデで使うにはかなりおすすめできる。

BCではどうか?ちょっと微妙なところがある。

ハイバックを畳んだ時、ヒールカップからジョイントバーが突き出すのだ。ヒール側で蹴ってスケーティングする人(ボク)にとっては、このバーがスネに刺さりそうで怖い。実際は面取りがされていて、スネは無事なのだがあまりいい感じはしない。

畳めるハイバック、突き出すジョイントバー

BCではワンフットでの移動がわりと発生する。そんな時に、ヒール側に転倒したら、このバーは雪面にブッ刺さる。そこが、ちょうどバーが刺さるくらいのブレーカブルクラストだったらどうだろうか。何かしら壊れそうな予感がする。

ドラグしやすさについても書いておこう。BCで良くあるのが、高度を下げたくないトラバースだ。高度を維持するために、速度を維持する必要があるのだが、このとき表面が柔らかい crud snow だと問題がおこる。FASEのトウストラップは、表面形状(深いメッシュ状ラバーパネル)がドラグしやいので、湿雪やブレーカブルクラストでは強いブレーキになる。

ヒール側のドラグはヒールカップに左右される。装着状態ならば、FASEのヒールカップはノーマルバインと大差がない。トラバースの途中で失速して、後ろ足を外す必要が無ければ問題は無い…が、そんなことが得てしてありうるのがBCの辛いところだ。

BCで遭遇する、「距離は短いけど強烈な傾斜」についても書いておこう。ボクらシロートは、そこをダイレクトに落とすなんてことは無いのだが…そこをトラバースしたり、木の葉で降りないと帰れないみたいなことはある。ゲレンデで超急斜面というとだいたい40度くらい。45度というのが、営業しているリゾートでありうる最大傾斜ってところだろうか。で、バインの設計もだいたい…40度くらいでドラグしないって、そんな目安になっている気がする。

BCでやばい傾斜というのは、40度+α の傾斜で、そこが凍結してたりすると独特のノウハウが必要になる。無造作にヒールサイドエッジでトラバースに入ると、ヒールカップが引っかかってエッジが外れて滑落…こうなると最悪死ぬ。この点で非常に危険なのが Supermatic のボリューミーなヒールカップ。これも大きな理由で、ボクの選択肢から外れた(繰り返すけど、ゲレンデで滑るなら問題はない)。

ちなみに、ボクが経験したやばい斜面というのは、谷川岳西黒沢本谷の落ち込み、谷川岳赤谷川本谷のドウドウノセン・マワットノセンの側壁、上州武尊山剣ヶ峰西方シュート、といったところだろうか。そのあたりだと、斜度で言うと45度前後。滑落防止のアックス持って、トウサイドエッジを使って通過するか、ダブルストック使って早い切り返し(西黒沢本谷の記録に飛びます)でクリアするのが基本になる。

ヒールサイドのドラグ防止に有効なのは、そもそもヒールカップのないFlowやSPだと思う。しかしこの2つについて、ボクには語れるほどの知見が無い。

つらつら書いてきたが、やはりシビアな状況のBCでボクが連れ出すのは、Union の Atlasになるだろう。そして、Atlasを温存するために、Bataleonはゲレンデを中心にフル活躍してもらう。ただ、BCではどうかという視点は、やらない人にはまったく関係がない。なので、ここで書いていることは、参考にしてくれたら嬉しいが、好きなのを選んで使えばいいと思う。

そんな感じで、ボクのクィックエントリーバインディングへの回帰行が始まった。

あ、そうそう、このFASEシステム、履いてみたいという舎員にはどんどん試してもらいたい。ユーヤみたいに、雪面と喧嘩せず、繊細にエッジ角と圧を調整していく…バカっ速なライダーには特に向いているんじゃないかなーとか妄想してます。 オシマイ

2024年8月16日金曜日

エッジングパワーの6要素まとめ: ボクのセッティング遍歴

エッジングパワーの6要素シリーズ」のまとめとは、ボクのセッティング遍歴。

赤線が過去のセッティングだ。ボクはずっと、少し長め(適正より+5センチくらい)の板を選んでいた。スピード出しても安定するし、バックパック背負ってちょうど「推奨ライダーウェイト」のレンジにはいるから、それでいいと思っていた。

ただ、オーバーサイズの板は、幅も適正より少し太め。太めの板はエッジが踏みにくい。それにボクは足が小さくい(25.0cm)。つま先も踵もエッジから遠くなるから、さらにエッジが踏みにくい。

オーバーサイズの板は、ボクにとって固めのボードになる。エッジグリップはいいけど、少し扱いずらくなるのは否定できない。

センタリングは目一杯の踵寄り、ヒールエッジの効きを最優先に考える。トウサイドは…気合いと筋力と固いブーツでなんとか押し込めるからねw

ハイバックは立たせ気味。前傾強いと疲れちゃう。ボクはバックカントリー・スノーボードが第1目的なので、疲れない、疲れていても乗れるセッティングが好き。

ブーツは固いやつ。トウサイドエッジを効かせるために、ブーツのレスポンスと剛性が必要になってくるから。

アングルはF30 R9くらいの前振り。元スキーヤーにありがちだけれど、腰と胸を前に向けないとしっくりこない。しかし、これだけ極端な前振りだとフロントの押さえが効かず、ノーズがフラフラする。

ま、そんなもんだ、そう思って20年くらい滑っていた。



3シーズンくらい前からセッティングをいじり始めた。

BCのメインボードは長めでいいだろう。でも、普段使いには張りが強すぎる、そんな気持ちになってきた。

セッティング見直しで一番大きいのがフロントのアングル。

F30 R9 → F27 R0 → F24 R0 → F21 R0 → F18 R0 → F9 R-3

もともとボクはワンフットが苦手で、リフトの乗り降りでよくすっ転んでいたw
センタリングを踵よりにすることで、バックサイドターンはだいぶマシになった。しかし、フロントサイドは相変わらず、しっかり踏み込めない感じだった。

で、試しにフロントを21度くらいまで横向きに戻したら、ワンフットが苦にならなくなったのだ。エッジングパワーが改善されてノーズがふらつかず、意図する方向へ進むようになった。

股関節の可動域が正面に矯正されてきたのも大きい。これは意図していたわけではない。ブルベやロングライドでビンディングペダルを履いてペダリングしているとき、つま先は強制的に真正面を向く。その状態で、脚の曲げ伸ばしを繰り返すことで、股関節の柔軟性が増して、つま先が正面を向くようになったのだと思う。

そんなわけで、フロントは12~9くらい、リアは0~-9くらいで滑っている。そう、ゆるいダックでスイッチスタンスにもトライを始めている。

横ノリスタンスにすると…エッジングに力がいらない。以前はフロントが流れた分を、リアで辻褄合わせてなんとかする、みたいな…余裕が少ない滑りになっていた気がするのだ。

楽に滑れるので、「硬いブーツでなくても大丈夫かも?」そう思うようになってきた。

ブーツのフィッティングも、以前はしっかり密着!隙間ダメ!が基本だった。今はわりと…緩めでもいいかなぁ、そんな感じで滑れるようになった。この2〜3シーズンで、それまでなんとなく感じていた壁を超えた、そんな気がしている。

未来は…もう少し短くて(適正サイズ)、柔らかい、細身のボードに乗り換えたら、もっといいんじゃないかな?そんな感じがしています。

おしまい

2024年6月1日土曜日

エッジングパワーの6要素

スノーボードの面白いところは、ボードとバインディングのセッティングを変えられるところ。

セッティングの自由度が高いのは、スノーボーディングの楽しみでもある。だけれど、自由な反面…セッティングの何が正しいのか訳がわからなくなって、迷路にハマることも出てくる。

そんな人のために、セッティングで重要な要素を整理してみよう、そんなシリーズを始めます。

楽に「カービング・ターン」をしたい人、「圧雪でパウダーボードに乗れない」人、そして「ワンフットが苦手」な人たちです。全てに共通するのは、エッジをうまく使えない人たちです。

エッジングパワーを左右するのは6つの要素があります(下図参照)。


レーダーチャートの上から時計回りに、

  1. ボードが細い方が
  2. ボードが硬い(フレックスとトーション)ほうが
  3. バインディングが踵寄りセットのほうが
  4. ハイバックが前傾しているほうが
  5. ブーツが硬いほうが
  6. フロントのアングルが横向きのほうが

エッジングパワーが強くなります。(3と5については、いずれ詳しく説明します)

サンプルとして、ノーマルボード、パウボード、カービング(アルペン)ボードのレーダーチャートを入れてあります。6角形の面積が大きいほうが、エッジングパワーが大きくなります。

ほとんどのパウボード、ノーズがノーマルボードよりも太い。だから、特に前足のエッジが効きにくくなります。パウダーだと面で滑るので気が付きにくいけれど、圧雪バーンだと上手く滑れなかったり、疲れやすかったりするのはこのせいです。ノーマルボードと同じバインとブーツで、パウボードに乗るとエッジがうまく効かないのはこのチャートで見ればわかります。

カービングボードは、締まったバーンで強いエッジングを可能にするために、細く、硬く(というより張りが強い)セットアップになります。細いボードはドラグしやすくなるので、アングルは前振り、センタリングも踵に寄せられません。硬くて反応の早いバインを使い、ハイバックの前傾は強く、それとバランスを取るためにブーツも硬くなります。

現在の滑りで何が不満で、どう改善したいのか考えて、この6要素をどう変化させるかが上達の早道だと、ボクは思います。

え?そんなボクはさぞかし早く上達したんでしょうね?ですって?

嫌だなぁ…さんざ迷って遠回りして、もっと早く知っていれば良かったなぁ、そんな話をしようということですよwww

まぁ…こーゆーシリーズってトラフィック全然上がらないのですが、一人でも参考になる人がいればいいなぁ、ということで… つづく

2024年7月27日土曜日

エッジングパワーの6要素 カービング向けセッティング

以前はスキーにハマっていて、今はスノーボードにハマっている。

そんなボクが、2つのスポーツに共通すると思うのは、「キレとズレをいかにコントロールするか」が大事ということ。

このブログ、「エッジングパワー」というキーワードで検索すると、スキーもボードも結構な数の投稿がヒットする。それは、ボクがエッジングを大事に考えているから。

今回は、スノーボードでカービングをグリグリやりたい人のセッティングについて。
レーダーチャートの上から、時計回りに説明してみよう。

「カービング向け」とされているボードは、標準より細身。細いとエッジの切り返しが速く、エッジプレッシャーも上げやすい。

カービング中は強い遠心力を受けるので、それに耐えるためにフレックスは硬めになる。限界スピードが上がって、急斜面でのカービングをやるようになると、さらに硬いボードが欲しくなるかもしれない。その代わり低速では曲がらないかも知れないけどな…

ボードの幅が狭いので、センタリングは調整する余地がない。ドラグしない範囲で、微調整をするだけ。それでもドラグするなら、プレートを噛ますか前振りにする。

ハイバックは深い前傾になる。板を履くにもコツが必要になってくる。

ブーツのタンを軽く押し潰して、前傾させた状態でないと、ブーツのかかとがバインの奥まで入らないはずだ。アンクルをしっかり絞めないと、ブーツは勝手に押し出されてくる感じ。

ブーツのふくらはぎはハイバックに密着し、わずかな動作に反応してヒールエッジを立ててくれる。それでも反応が遅いと感じるなら、固いハイバックとベースプレートを装備したバインディングを選ぶべきだろう。

ブーツはもちろん固め。フロントサイド、バックサイド、両方のターンでエッジの効き具合が異なるとリズムが取りにくい。ハイバックのところで説明したように、ヒールエッジがパワフルなセットなので、バランスを取るために硬くて反応の速いブーツを選択する。

そもそもハイバックが強い前傾なので、常時膝を曲げた姿勢を強いられる。それは空気椅子状態なわけで、脚力だけで支えるのは辛すぎる。ブーツが固くてサポートしてくれれば、すこしだけモモが楽になるというわけ。痩せればいいんだけどね。

さて、最後の要素のアングルだけれども、これが問題だ。ボードの幅が狭いので、ドラグを避けるためにフロントを前振りにせざるを得ない。極端に細いボードを選ぶとこれが顕著になる。もっとも極端なのはスクォール(wikipedia)。そして、前振りにするとエッジングパワーは低下する。

前振りはエッジングパワー的にはマイナス要素だけれども、それ以外の要素でエッジングパワーを稼いでいる。トータルではエッジを効かせやすい、それがカービング向けのセッティング。

このセッティングは、デメリットも大きい。
  1. 空気椅子状態で、ターン中を含めて脱力する時間がないので疲れやすい
  2. 前振りスタンスは、ターン中に重心を前後させる必要がある(動作が複雑になる)
  3. 逆エッジを喰らいやすい(特に危険なバックサイド側)
  4. 上下動を使える範囲が限られるので、ギャップの吸収がやりにくい
  5. 姿勢が低くなるので、広い視界の確保が難しい
そんなわけで、広いリゾートを滑り倒すだとか、いろんな斜度、雪質、コブに柔軟に対応するとかは割と苦手だと思う。すごい上手い人は別かもしれないけどね…

まぁそれでも、スノーボードもスキーも、いろいろセッティングを変えてみるのは、自身の成長の糧にもなるからチャレンジするのがいいと思う。

グラトリ・初心者のセッティング」と見比べてみればわかると思うけれど、カービング向けセッティングとグラトリ向けセッティングはある意味正反対。道具を2セット用意するか、期間を決めてどちらかのセッティングで集中的に練習するか、ほどほどのセッティングで幅広く対応力を磨くか…それは自分で考えて決めてみてください。 Happy Riding!

2024年6月11日火曜日

エッジングパワーの6要素 グラトリ・初心者のセッティング

エッジングパワーを決定づける、6つの要素について前回説明をした。

6要素をどのように組み合わせて活用したらいいのか?そんな話をしてみよう。

僕はグラトリはしないというかできない、ジブもしない。

そんな僕がジブ・グラトリについて語るのはおこがましいのだけれど、「エッジが不意にひっかからないようなセッティング」だと理解してください。

エッジがひっかかると困るのは、初心者スノーボーダーも同様。友達に、「スノーボードを始めたい!」と相談されたら、このセットアップの話を思い出して欲しい。

レーダーチャートの上から、時計回りに説明してみよう。

ボードは標準よりちょっと太めが良いよね。。エッジの効き方がマイルドになるし、トリックの時に安定感が出るはず。

フレックス柔らかめのボードを選ぶことで、細かい操作がしやすくなる。カッチカチのボードはやめようね。

センタリングは標準でいい。「標準」とは、ワンフットで安定して真っ直ぐ滑れる位置。バインがトウ側かヒール側にずれていると、真っ直ぐ滑れない。ここで注意しなければいけないのは「見た目のセンター」ではないということ。それぞれの骨格とか、筋肉のつき方で重心位置は変わってくる。だから、見た目が踵よりとか、つま先よりに「見える」位置であったとしても、あなたがワンフットで真っ直ぐ滑れるのならそれが正解。


ハイバックは立たせ気味でいい。「立たせ気味」というのは、ブーツの前傾角度とほとんど同じくらいの角度ということ。ブーツを履かないで、そのままバインに嵌めてみよう。この時に、ブーツのふくらはぎ部分とハイバックが、上から下まで密着している状態。

実際にブーツを履いて、バインをセットしてみよう。リラックスしてちょっと膝を曲げた状態が、あなたにとって「自然な体勢」で、長時間滑っても疲れにくい姿勢。この時、ブーツの後ろは、ハイバックから微かに離れるはず。この隙間が、車のハンドルでいう「あそび」(不感ゾーン)にあたる。立ち気味にセットしたハイバックは、バックサイドターンのエッジングをマイルドにしてくれる。

ハンドルがクィックすぎる車は疲れる。逆にあそびが大きぎると、キビキビした感覚に欠ける。滑ってみて、ちょっとあそびが大きすぎるかな?そう思ったらハイバックを1ノッチずつ前傾させていくのだ。

ブーツの硬さはもちろん柔らかめがイイ。フロントサイド、バックサイド、両方のターンでエッジの効き具合が異なるとリズムが取りにくい。ハイバックのところで説明したように、バックサイドターンのエッジングがマイルドなセッティングになっているので、フロントサイドのエッジングもマイルドにしたい。そのバランスを取るために、柔らかめのブーツを選ぶのだ。そう、硬いブーツは、トウエッジの踏み込みがパワフルになる。

で、レーダーチャートを見てみよう。赤いノーマルセッティングに比較して、緑線で囲まれている面積がずいぶん小さいのが分かるよね?

このセッティングだと、エッジングパワーが小さい。ずらしやすいし、逆エッジのリスクが減るということ。

…でも…このセッティングだと…必要な時にエッジを効かせることすらできないということ?

そう、そのデメリットの一部を相殺するために、横向きのスタンスアングルを取るのだ。

前6度、後ろ-6度位のアングルを試してみてほしい。スイッチで滑りやすいのは、スピンなどのトリックを練習するのにいいだろう。初心者・初級者が、自分のやりたい滑りを探すのにもいい。

そんでもって、隠れたメリットは、「立たせたい時にはエッジがしっかり立つ」のが横向きセッティング。なんとなくしっくりこないようなら、前足を9度か12度にしてみるのもいいと思う。

特にちょい太めのボード(ノーズが太いパウボードも同様)で、前足のアングルが21度を超えてくると、エッジの踏み込みが効きにくくなる。

まぁその、全体的にルーズなのだけれど、スタンスが横向きなことでバランスが取れているのがこのセッティングということでした。

2021年3月25日木曜日

おっさんがスノーボード を始める…いいじゃんね?

僕はハッピーなスキーヤーだった。どれくらいハッピーかというとこんな感じ。

ヨーイチと僕 Yamanohana, Ozegahara

雪山ナメんな!って声が聞こえました…
BC界隈にはおなじみのところですが、2本滑って山小屋行くと生ビールが待っているw
で、ほろ酔いになってから雪道をハイクアップ1.5h…

あーもう、ここで寝たいw

冬の間に不足した日光を求めてるんですよ、体が… Yohichi

スノーボードもいいなとは思っていたけど、道具買って始めるか?って言われると…まぁ、スキーでいいかな?って感じ。

ところが、ある事情で僕はスノーボード業界に転職した(注1)。そこは結構な大手で、スノーボードのギアもウェアも、アクセサリー(ヘルメットとか、プロテクターとか)や、スケートシューズなんかも従業員割引の対象。

従業員割引は…最新モデルはなんとXY%割引、サンプルとか、型落ちとか、B級品とかは…な、な、なんと!ZY%引きで買える!

そりゃ始めますわね…

で、まぁ、僕は35歳でスノーボードを始めたので、おっさん初心者がどうやったら幸せになれるか?を書いてみる(前置き長いな)。

まず、おっさんであるからには、お金でなんとかなることはなんとかしよう。ウェアはレンタルとか、友達に借りるのでもいい。でも、品質の良いゴーグルとグローブは用意しておいてください(注2)。

そして、おっさんには怪我が大敵。ヘルメットとケツパッド、ニーパッドは必ず準備してください。スノーボード始めて、続くかどうかってのは最初の30分で決まる。ここで痛い、辛い、怖いって思うと、まずヤメる。続けるかどうかわからないから、ヘルメットとかケツパッドはいらないよ…そう言っている人は続きません。

で、潔く初日はスクールに入ろう。「Burton LTR スクール」でググってみてください。僕はこのレッスンプログラムで、半日でターンができるようになり、午後は一人で初級者〜中級者コースを下りてこられるようになりました。

初心者が痛い目にあう原因は逆エッジ。LTRプログラムは、逆エッジがほぼ起こらないくらいに、極端なチューニングをされたボードを使ってレッスンしてくれるんだ。

さぁ、あなたはLTRのおかげで、転びながらでも下りてこられるようになりました。次に考えるべきは、自分にとって目標となる滑りはどんなものをハッキリさせること。そして、そこに導いてくれる人を探すこと。

僕のスノーボードの師匠、ヨーイチ

おっさんで始めるってことは、時間が無いということ。目標を決めて、そこへ最短で到達するべきなんじゃないかな。僕の場合は、「バックカントリー で確実に滑る」ことと、「パウダーを楽しむ」この二つを目標にしました。で、フリースタイル(注3)的な滑りは全部捨てました。スイッチスタンスもやらない(注4)。

季節外れのパウダーを独り占め Minakami Hohdaigi

で、僕の場合、ラッキーにも、身近にそうした人がいた。スノーボードをやり続けているとわかってくるのが、セッティングがとても重要だってこと。センタリング、ハイバックリーン、スタンス幅、スタンスアングル、なんのことだかわからないでしょ?スノーボードは、セッティングの調整幅が広く、自由だ。しかし、その代わりに何が正解なんだかわからなくなりがち。

なんでうまく滑れないんだろう、そんな時に、ささっとやってきて、ここがこうなってるから、こんな問題が起こるんですよって、調整してくれる仲間が居て本当にラッキーだった。


Mt. Fuji & 仲間たち

おっさんでスノーボードを始めると、心強い仲間はだいたい年下。年齢とか性別関係なく、互いにレスペクトしつつ、愛されるキャラ作りも重要なんじゃないかな(僕がそうできているとは言っていない)。

僕は、スノーボードの入り口はLTR、そのあとは全部自己流だ。ただ、ポイントポイントで、仲間からアドバイスをもらった。あとになってみると、すごいことだったなって振り返るイベントもある。

例えば、僕のスノーボード生涯4日目は、ヨーイチ先生が誘ってくれたBCだった。スキーバブルが終わって、あっという間に倒産?して閉鎖されていた草津シズカ山スキー場で、登って滑るよ!ってこと。

僕はまだスノーシューを持っていなかったんだけど、バートンCustom 166 という長くて太くて重い…スプリットボードは買ってあった。

あ、じゃあ、それで行けますよ。行きましょう。
えっ?まだ、あれで滑ったこともないんだけど?
大丈夫っすよ。癖がない板ですから…知らんけど

当日はものすごい暴風雪になったのだが、決行した。スノーシューで歩くヨーイチ先生が、背中に背負ったボードを風に煽られてコロンとすっ転がるくらいに、激しい風が吹いていた。で、僕はスプリットボードにシールだったので、背中にはボードがない。だから風に煽られても、なんとか耐えてハイクアップしていった。で、ゲレンデトップまで上がったところで、さすがにこれはやばいだろうということになり、そこから下ることになった。

スノーボード初めて4日目で、しかもものすごい暴風雪、足元は30cmくらいのパウダー。で、僕は立ち上がって2m滑ってはすっ転び、立ち上がれず、バインから片足を外し、バインをセットして2m滑ってすっ転びを繰り返しながら下った。

極寒のはずなのにうっすら汗ばんでいた。

ゲレンデの最後の1/3くらいで、やっと僕は一回で20〜50mくらい滑れるようになった。ゲレンデボトムで待っていたヨーイチ先生の唇は、死体のように真っ青で、体は小刻みに震えて、心なしかゴーグルの中は涙ぐんでいるように見えた。そんなに僕の成長を喜んでくれているなんて…僕も感動した。

BCデビューを無事に飾った僕を見て、先生は感極まったのか、絞り出すように言った。

イェーイィィィイ、さぁ、帰りましょうかぁぁ〜〜〜 サムッ

あとで聞いたのだが、ヨーイチ先生はひどい風邪をひいて、次の日仕事を休んだらしい。

初心者の僕に、BCの厳しさ、ゲレンデとは違う技術の大切さを気づかせてくれた、ヨーイチ先生には今でも心から感謝している。


注1 転職決まってから、伊豆城山にマルチピッチクライミングに行って…ショボいスラブでフォールして、左足首の靭帯を損傷。初出勤は松葉杖という…それは本題とは関係ないので省略しますが、この辺りもとっても面白い修羅場ストーリーがw

注2 いいゴーグルと手袋が欲しいってプロショップで言うと、どちらも2万円くらいするのが出てきます。ゴーグルと手袋で4万円。そんな買い物してたら破産するので、どちらも5千円〜1万円くらいで探しましょう。狙い目は、ヒマラヤとかのチェーン展開してる大型店。もしくは、モンベル。どちらも、リーズナブルでありながら、品質的に間違いのない商品が手に入ります。特に最近出てきたモンベルのゴーグルは良さそう。

注3 フリースタイルってのは、パーク(ジブやジャンプとか)で遊ぶやつ。アイテムで結構怪我するんで、おっさんは厳しい、怪我の治りが遅いからw

注4 レギュラーとスイッチの両方のスタンスで滑れると、滑りの幅は広がるし、楽しめることも増えると思う。でも、ハッキリ言って練習時間も倍になるし、セッティングもより複雑になる。で、僕の場合は、ダックスタンスにすると膝が痛くなるし、故障も心配なのですっぱりあきらめた。