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2021年5月28日金曜日

「廃人」は、梅雨の季語

あるハードコアBCスキーヤーがポツリと言った

スキーシーズンが終わると…
普通の人には春が来ますよね。
僕の場合は廃人期が来るんです。

一瞬「ハイジンキ」の漢字が思い浮かんでこなくて、黙っていると、彼は続けた。

時々、あ、これが春なのか?って年もありますけどネ
スキーを、片付けなくちゃって、ふと外を見るとすでに夏なんですよね。
シャ◯中の人が正気に戻るってこーゆー感じなのかな?って思いませんか?

いろいろと大丈夫か?という言葉を飲み込みながら、僕は尋ねた。

「廃棄物」の「廃」に「人」の「廃人」になる季節ってこと?

そーです そーです。
で、少しでも正気でいようって、いろいろ手を出すんですよね、自転車とかクライミングとか。でもですね、廃人期ってちょうど梅雨時と重なって、外遊びが難しいじゃないですか。だから、最近はカヤックとか、沢登とかに逃げてますね。濡れてもできる遊び。

梅雨時になると、あーそろそろ、彼の廃人期が始まる頃だなぁと思う。

僕は彼とは違って、段階的に、シ◯ブを抜き白い粉の魔力から離れて行きつつ、夏を迎える。シーパスとか、リフト券ホルダーとか、無料の駐車許可証とかを車から降ろす。

パウダー4のシーズン券特典の駐車許可証

ボードをワクシングし、ウェアを洗って良く乾燥させ、傷んだ小物は補修するか断捨離し、来シーズンに備えて保管する。

ポイントは、心のどこかで自分に言い聞かせながら、片付けをすること。

俺のシーズンはまだ終わってない
締めは富士山だ
なんならマチガ沢をハイクすれば、近場でも6月末ごろまでは滑れる

そう、あくまでも、まだスノーシーズンは続いているのだと、自分に言い聞かせながら片付けをする。ブーツとボードのワンセット、そしてBCの春用ウェア一式は最後の最後まで片付けない。そうやって、まだ冬は終わってないのだと、気を緩めないようにしながら、自転車の準備を並行で進める。

冬の間は、ローラー台でエアロバイクとして使っているグラベルロードバイクをメンテナンスするのだ。ローラー台用のホイールは普通のクリンチャータイヤなのだが、メインの軽量ホイールはチューブレス。シーラントを補充し、エア漏れをチェクする。

交換するものと関連するケミカルなどは出しておく

ディレーラーのプーリーがすり減って入れば交換する。今回はブッシングプーリーから、純正外のローラーベアリングプーリーを試してみる。

上が純正のブッシングタイプ、下が社外品

チェーンも伸びてきているので、チェーンチェッカーで確認して早めに交換する。新品は余裕を持った長さになっているので、適正な長さに合わせてリンクをカットする。

新旧のチェーンを並べて固定する

手前側の旧チェーンに合わせて新品チェーンの長さを揃える

スプロケットを外し、ついでにフリーボディを外す。ラチェットの当たり面を確認し、清掃し、専用の柔らかいグリスを付け、ベアリングにはオイルを補給して組み直す。 

金属同士が擦れる部分特有の汚れ

昔の機材に比べると、清掃や調整は格段にやりやすくなっている。オイルやグリス、ディグリーザーや洗剤、ウェスやペーパータオル、ニトリル手袋など、メンテナンス用品も進歩を感じる。

消耗品を十分に用意しておくことで、作業が快適になる

というか、僕にとって、バイクメンテナンスって…廃人予防キャンペーン活動…だよね。

晴れてれば、サイクリングか登山に出かける。

整備が済んで、手入れが行き届いた自転車はに乗るのは楽しい。ちょっとした下り坂で、チーーーーーーーっと、小気味良いラチェット音だけを残して、バイクは速度を増し、思う通りにコーナーをクリアして行く。

そして、明らかに冬とは違う日差しを感じ、体全体で空気を押し分けて進んで行くと、「この季節も…これはこれでいいよね」みたいな気持ちがやってくる。

そうやってBCスキー&スノーボーダーは、震える手と、虚ろな目と、力が抜けた膝を、整えながら次の季節へと歩いていく。

面倒臭いな、俺たちってw