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2025年8月17日日曜日

学生寮の話: 西寮の無頼漢・タテカンタンカ (1/2)

ホントーにくどいですが、このブログの内容はフィクションです

時々ふと記憶をたぐって書く、学生寮の話は結構人気がある。
今回は、Jun さんという先輩の思い出話をしてみよう。

まずは長い前振り

今はすでに遠い昔になりつつある、バブル期の飲み会は「闘い」だった。新宿にあった「居酒屋ビル」でコンパした時の写真がこれ。

居酒屋の垂れ幕がヤバい

ボクが所属していたサークルは、「イッキはあった」が「強制はなかった」。飲めない人、飲みたく無い人は飲まずにすんだ。何を言っているのか分からないとおもうが、当時の雰囲気では、理性的なほうではあったと思う。救急車騒ぎは…あったけれど。

闘いに敗れる10分前

なんというか、会費の分以上は飲まないと負け、みたいな雰囲気で、酔い潰れるまで飲む。で、酔い潰れると、後輩がワラワラと、油性マジック持って集まってくる。

コンパにマジック持ってくるんじゃねぇよ…なんで油性なんだよ…水性でいいじゃねぇかよ…なんで極太マッキーなんだよ…

酔い潰れた男は、おもちゃになる。
酔い潰れた女を、おもちゃにしたことはない。その点だけはしっかりしていた。

可哀想な、た◯ぐち君

顔への落書きはまだいい。
いや…よくは無いが…まだいい…

問題なのは、鼻の穴の中とか、耳の穴の中とか、「物理的に洗えない部分」に着色されると、数日間はそのまま過ごすことになる。夏休み入る前の日のコンパでコレやられて、まぶた、耳穴、鼻の穴…赤やら青やら黒やらで彩色されたまま実家に帰省し…あやうく勘当されそうだった奴もいた…ゴメンよ

何が言いたいかというと、バブル期の学生の飲み会とは…呑むか呑まれるかの戦場であった…ということだ。

前振り終わり

ボクが棲んでいた学生寮、西寮はヤバめの先輩濃度が高かった。

「表札フェチ」事件の後、ボクは西寮を訪問する時は用心にも用心を重ねるようになった。変な人に目をつけられたら、こちらまで塀の向こう側に落ちかねないからだ。

ある日、寮の食堂で西寮のナベちゃん(仮名)と夕食を取っていると、Jun先輩がやってきた。

よう、ヒデオ!(ナベちゃんの下の名前)
後で部屋来てよ、ちょっと聞きたいことがあるんだ!

そして、ボクの顔を見て整った白い歯を見せてニッコリ笑って言った。

君も一緒においでよ、ヒデオの友達なら一緒にお酒飲もうぜ!

Jun先輩は、180cmくらいの長身、色白の艶々肌に切長の涼やかな目、水泳やってそうな広背筋と胸板に引き締まった身体、真ん中でふわっと分けた髪はサラッサラで、うっすらブリーチがかかっている。POPYE や Hot Dog Pressの表紙に出てきそうな、いかにも育ちの良い、サーファーっぽいナイスガイ。

ボクは怪訝に思ってナベちゃんに聞いた。「西寮にあんな先輩いたっけ?」。ナベちゃんは色々と教えてくれた。

Jun先輩はT大の文系看板学部に現役合格。在学中に公務員上級職と弁護士資格を取る見込みだそうだ。勉強してたらどっちも被る分野があるので、どうせなら一緒に取ってしまおうということらしい、なんだそれw

でまぁ、色々がハイスペックなのに加えて、ルックスがあれで人柄も良い。だからもうソートーモテるらしい。先輩の仲間によると、先輩と話した妙齢(17歳〜60歳くらい?)の女性は、先輩と話すと頬を赤らめて、上気した顔で…小走りで走ってきて…「なんかジュンとしちゃった」と言うんだそうだ。そんなバカなと思うだろうが、もう、ほんと全員、モジモジしながら、漏れなくなんか漏れてるのかもしれないがジュンとしちゃった!」っていうんだそうだ。そんで、いろいろあきれた周囲は、なんとなく…先輩を Jun さんと呼ぶようになった。

誰に対しても分け隔てなく接し、フレンドリーで礼儀正しく、モテまくるのに浮いた話はなく彼女一筋。世の中にこんなできた漢がいるのか??

腕っぷしはどうなの?そう聞いたら「拳法の黒帯で合気道は袴持ち…」

歌舞伎町で、酔っ払ったヤーサンたちに絡まれたことがあったそうだ。先輩は、ことを荒立てないように、ひたすら謝っていた。そうしたら、ヤーサンは調子に乗って、一緒にいた女子に集団でちょっかいを出し始めた。先輩は、仕方なしに、謝りながら制圧したらしい。

あっ、ごめんなさい!

そう言いながら外腿への下段蹴りで動きを止める

もうもうやめましょうよ、危ないですよ!

そう言いながら相手のパンチを受けつつ、手首を掴んで放り投げる。新宿駅東口交番からお巡りさんが駆けつけた時は、3人を同時に組み伏せながら…謝っていたらしい。

ヤーサンたちは本署に、先輩は交番に連行された。調書をとっているときに判明したのが、当時の新◯暑の署長さんが Jun さんの同窓の先輩…相手に怪我もさせていないし、事情が事情だし、相手も相手なので無罪放免になった。

欠点って無いの?そう聞いたら、ナベちゃんは腕組みしてしばらく瞑目し…

酒癖は悪いかも…
えっ?ちょちょちょっちょ…さっき俺たち、酒に誘われたよね? 
なになになになに?なにが起こるの?

コワイヨー
ダレカタスケテー

つづく

2025年8月14日木曜日

学生寮の話: 西寮の無頼漢・表札フェチ

 ホントーにくどいですが、このブログの内容はフィクションです

ブログ主として励みになるのは、アクセスログ。
こんな国から見に来てくれてるのか!とか、こんなにたくさんの人が読んでくれたのか!とかね。踏み台使ってとか、ロボットとかそーゆー話はいらんのだよ。

当たり前だけど、マニアックすぎる話はアクセスが少ない。結構時間かけて書いた投稿が、全然読まれてないと結構凹む。それに引き換え、僕が棲んでいた学生寮の話は、結構人気がある。何かが降りてきて、さらっと書き殴った投稿にびっくりするくらいのアクセスがついたりすると、

君らヒマなん?

そんな悪態もつきたくなる。

寮から徒歩3分の教会

僕が棲んでいた学生寮は、お上品で高級な文教地区にあった。


すぐ近くには、有名な教会があり。
すぐ隣には、当時都内でトップ5に入る高級ホテルがあり。

わりと近くには、地方出身の優秀な女子学生が集う女子大があった。 

可愛い娘を手元から離したく無いご両親の目を欺く、じゃない、親の愛というくびきを振り切るために、「良妻賢母になる勉強をするから!卒業したら地元に帰るから!」という言い訳で上京してた、カントリー・ヤング・レイディのための女子大だった。彼女たちが卒業後、本当に地元に帰ったのかはよく分からない。

そして…
お隣と言っていい距離に、元総理大臣のお屋敷があった。

その学生寮は、食堂・講堂・浴室がある本館を囲むように、北・南・西の3つの寮棟が建っていた。各寮独特の文化があって、ボクの居たのは硬派の北寮。そして、軟派の南陵、野人の西寮…という感じだ。

各寮の交流は…「年に1度の体育祭」という名前の、血で血を洗う抗争以外は…あまり無かった。ただ、ボクは、西寮に何人か親しい奴が居たので、オドオドしながら遊びに行ったことがあるw

この投稿はそんな感じで西寮に遊びに行った時の話(前置き長っ!)

友人の部屋でだべっていたら、先輩に呼び出されての部屋に遊びに行くことになった。

ビールをいただいて飲んでいると、隅に表札が2つ転がっている。見るからに高級そうな表札で、表面には「T中」と書いてある。

ん??「T中?」先輩の苗字とは違うやんな?

不思議そうに見ていると、先輩が気がついてこう言った。

おう!お宝に気ぃついたか?
一個目は、去年手ぇ入れたんやで。
機動隊のおっちゃんがしっつこく追っかけてきてなぁ、危うかったんやぁ。

えっ?き、機動隊?それってもしかして???

せやで!!一個めは単独犯やぁ!

そう言って先輩は愉快そうに笑った。

あのぉ、一個めは単独犯?ってことは?

おう、一個目がちょいギリギリやったんや…
そんでな、ほとぼりさまそう思てな、2個めは1年我慢したんや。

たまに近く通ると、機動隊のメンツ変わっとるのが分かるやろ?あぁ、人事異動あったんやな、去年の人はどっか行ったかな?そんなタイミング待っとったんや、さすがに同じ隊員さんやったら警戒しとうやろうからなぁ

ほんで、2個めは頭を使った連携プレイや!山下(仮名)おるやろ、あいつに直前に酒ぇしこたま飲ませてなぁ。機動隊の前まで頑張って行かせて、そこでぶっ倒れさせるんや。

機動隊っちゅうてもなぁ、あそこに回されてくるんはなぁ…心根の優しゅう、人のいいおっちゃんばかりなんや。もうみーんな心配して、駆け寄ってくる。

その隙に後ろからそーっと近づいていって、パッと!

そう言って、先輩は豪快に笑って続けた。

そしたらな、敵もさるもの、裏側が接着されてた!簡単に取られてたまるか!そんな気合い感じたやで。

でもなぁ、そんなこともあるかと思って、マイナスドライバー持ってってたんや。それで、ベリベリってな。

それが2個めの奴や。

そう言って、先輩はビール瓶を手に取ってボクのグラスを満たしてくれた。

他では言わんといてな、これ、このビールが口止め料や!
おまえもこれで共犯やで!

そんな先輩が何人かいらしたのが…野生の西寮…

口止め料ももらったし、墓場まで持っていくつもりではいた。

でもすでに時効だし、年齢的に先輩はもう…役職定年か転籍出向とかのはず。バレても失うものもなさそうなのでまぁいいか…

あっ、違う違う、そもそもこのブログ、ぜーんぶフィクションだからさ。真剣に受け止めないでね?そこんところよろしくね?

続く…かも…

2025年8月12日火曜日

真夏のロングライド・暑さ対策 3/3 氷冷却編

草稿を書いていたらあまりにも長くなりすぎたので、3部作にしました…

サイクリングは、自然とともに過ごす遊びだ。

自然と闘う必要は無い…のだけれど、自然が目の前に置いてくる障害はうまくマネジメントしなければならない。それは、冬の寒さだったり、真夏の暑さだったりする。ちなみに、真冬の寒さをどうやってマネジメントするかこの投稿を参照してほしい。

ボクの考える、自転車乗りの暑さ対策は3つに分けられる。
  1. 遮熱
  2. 気化熱冷却
  3. 氷冷却

今回は3部作最終回、「氷冷却」について書いてみる。

氷冷却とは…コンビニ氷で体を冷やす戦法だ

グビグビっと中から冷やす

そもそも日本はコンビニ王国。街道を走れば、必ずコンビニがあり、氷や冷たい物を補給できる。登山とかではありえない、サイクリングならではのメリットがコンビニ補給。

第一の戦略は、「冷たい飲み物で体の中から冷やす」

熱風の中を走り続けるには、氷入りの冷たい飲み物が欠かせない。

でもねぇ、35度超えるような気温だと、ドリンクがあっという間に温くなっちゃうんだよね。下の写真真ん中が、通常のソフトタイプボトルの保冷強化版。「断熱材」が仕込んであって、保冷効果がある…のだが…あまりにも非力。氷を半分くらい入れておいても、35度前後の外気温で1〜2時間も走れば氷は溶けて無くなってしまう。

保冷ボトルと言えるのは、真空断熱の魔法瓶的な奴だと思えばいい。左側は、ステンレスの真空断熱ボトル。魔法瓶なので、保冷効果は段違い。氷を半分くらい入れておけば、半日程度は冷たい…けどずっしり重い。

右側は、Thermos の保温・保冷ボトルで、こちらはホットドリンクにも対応。さすがは魔法瓶メーカーだけあって、保冷効果はピカイチ。丸一日は冷たさをキープできるし軽い。

保冷ボトル3種

保冷効果はThermos が一番良いし、ボタンでパカンって開くカバーがあるおかげで飲み口が汚れない。カバーは保温・保冷効果を強化している感もある。じゃぁThermosでいいじゃん?となるのがだ…この飲み口は、飲み方にちょっとコツがあるのだ。

キャップを開いて、飲み物を口の中に注ぎ込むのだが、この時おとがいを上に向ける必要がある。前傾姿勢の強いロードバイクだと、一瞬視界が路面から外れて地味に怖い。

Thermosのボトルは、クロスバイクやMTB、ツーリング・キャンピングバイクなど、上体が起きたライディングポジションには一番良いチョイスだと思う。

ロードバイクに向いているのは吸うタイプの飲み口。顔は前を向いたまま、飲み口を咥え、ボトルを顔の横に持ち上げてくる。必要なら、目線を前に向けたまま、顔をちょっと斜めにすれば、飲み物が口の中に入ってくる。

吸うタイプと流し込むタイプ

そんなわけで、夏は吸うタイプのキャメルバッグ・ステンレスボトルがオススメ。冬は、保温でも使える Thermos がいい。

そもそも熱い飲み物は、吸い込むと危ない。それが Thermos タイプの飲み口が保温・保冷対応の理由なのだ。寒い時期、信号待ちでほっと一息、少しずつ啜るみたいな飲み方で Thermos の魅力が生きてくる。

さて…

外気温が35度を超えて体温レベルになると、常識的な対策では間に合わなくなってくる。

第二の戦略は、「氷で直接体温を下げる」

35度超の気温では、少しバランスを崩すだけで熱中症一直線。ボクが頼るのは、コンビニのロックアイス。

真夏の恋人ロックアイス

ボクのブルベベストは、背中にポケットが付いている。ここに、ジプロックに入れた氷を詰め込んで走る。
アイスポケット付きのR250ブルベベスト

ただ、このポケットに入るくらいの量(500mlペットボトル2本が押し込んで入る)、1リットルくらいのロックアイスだと、せいぜい持って2時間程度。なので、38度とかの日は、ロックアイスの袋から空気だけ抜いて、そのまま背中に押し込んで走る。ジャージと背中の間に、プラスチックバッグに入った氷を押し込んで走るのだ。これはかなり効果がある。心肺が一気に楽になるし、手足や頭の熱が取れていく感じがする。

なお、ロックアイスの袋そのまんまだと、肌触りがあんまり良くない。ツルツルするから、ふと気がつくと位置がずれて、変なところに移動してたりする。それが嫌なら、登山用品店で、防水のスタッフバッグか、アイスバッグ(氷嚢)を手に入れるといい。

ハイドレーション機能のあるバックパックを使って、氷を入れたウォーターバッグを密着させるのも良いだろう。いずれにしても、この「氷冷却」を使う必要があるくらいの気温は、事故と紙一重であることを忘れないようにしてほしい。

ちょっと大きめ麦茶ボトル

コンビニで手に入る、凍らせたドリンクボトルも有効だ。

アクエリアスのアイスボトルを背中に入れて走れば、ドリンクボトルがカラになったタイミングぐらいでアイスボトルが溶ける。アイスボトルの中身をドリンクボトルに移せば、補給回数を一回減らすことができる。

凍ったアクエリアス

パウチで凍らせたドリンクを複数持つのもいい。ただし、これくらいの小ささだと、あっという間に溶けることは知っておいたほうがいい。

氷の冷却は、散水と組み合わせるとさらに効果がある(散水冷却は 暑さ対策2/3気化熱冷却を参照)。使える手立ては全部使う、それが、真夏と真冬のロングライド。

それでは、今日も1日ご安全に。

おしまい

2025年8月6日水曜日

BRM802東京 金太郎(夏)200km・ニューバイクで完走

2025年のブルベ、ここまでのレザルトを振り返ってみよう。

パーマネントブルベは SPR (Super Permanent Randonneur) を達成している。
通常のブルベ(BRM)は、最初に頑張る400km と やっぱ海600km を完走している。あと、200km と 300km を完走すれば、今年もSRの認定をいただける。

ブルベシーズンは年末まであるのだが、ボクの住んでいる北関東の冬は寒すぎるし、空っ風が吹くので冬はオフシーズンになる。そんなわけで、9月末くらいまでにBRM・SR認定に必要な、200km と 300km を完走しておきたい。

とりあえず9月開催の地元発着300kmにエントリーした。ただ…これは…ボクの走力では完走できるかどうかギリギリっぽい。なので、9月に行われる東京発着の300kmを追加でエントリーした。

両方完走できればSR認定はいただける。しかし、どちらかをDNSかDNFしたらSRに届かない。だったら、早めに…確実に完走できそうな200kmを走っておきたいな…と考えて出走した記録。

8月出走のブルベは少ない。あまりにも暑い日本国、猛暑と無縁の場所で開催するか…何かしらの工夫が必要になってくる。その工夫の一つが、ナイトブルベ。

ニューマシンでエントリー

日が暮れてからスタートして、夜通し走って、翌朝暑くなる前にゴールすれば、ずっと涼しいからいいんじゃね?そんな主催者の声が聞こえるようなナイトブルベ。

距離は短い200kmだし、コースプロファイルも優しめだし、都会を走るから補給にも困らないし…ニューバイクのチェックに丁度いいくらいの、ヌルさ? ←フラグ

集合場所

都会スタートなんで様子が分からない。コインパーキングが無くてDNSなんて悲しすぎるので、早めに現地に行った。迷惑にならないところで仮眠して、パーキングに入って、夕食済ませて集合場所へ移動する。

想像していたより、はるかに参加人数が多い。

考えてみれば、300kmから上のブルベには夜間走行がある。400と600ならオーバーナイトで夜通し走る必要もある。200kmしか走ったことがない人が、300km以上にチャレンジするには、ナイトブルベは経験を積む良い方法かもしれないね。

とどろきアリーナをスタートして、中原街道を西進する。もんのすごい…信号ストップの嵐我慢しながらジリジリと前進していくと、以前住んでいた、長津田周辺を通過する。

以前、キャンピングトレーラーを買った、Rocky という店の跡地を通りすぎる。老舗だったのに気がついたら閉店していたんだっけな。

長後にあった J-Wallというクライミングジムの跡地の脇を通って、長後街道をさらに西進。J-Wallの跡地はマンションになっていた…オーナーさんは元気なんだろうか…

今回のブルベ、ナイトブルベなので景色とか観光とかは無い。淡々と走り、2つちいさな峠を超えて、足柄峠の途中までヒルクライムがある。

標高は上がっているのだけれど、気温はなかなか下がらないし、蒸し蒸しするし、あんまり快適では無い。

標高上がっても気温下がらず

折り返し地点は、金太郎伝説の里。予定では、ここまでで貯金が1時間程度。それが割と余裕がない…暑さと信号峠と、向かい風が想定よりも厳しい状態を生み出している。

金太郎伝説の里…入口

折り返してダウンヒル…途中から広域農道に入る。
ここから小田原までの25キロくらいのアップダウンが、心を折ってくる核心だと聞いていた。

まぁ…その…南榛名山林道とか、赤城南面の空っ風街道とか、その辺りみたいな感じかな?と思っていたら、まさしくそんな感じでした…タイヘンダッタ

暑くて心拍が上がっちゃうので、夜景を撮るふりをして休んだりしながら小田原に抜ける。

小田原…かなぁ?

小田原に出たところで、貯金は30分ちょっとくらい。

ローリングスタートで、出発時間が一人一人個別に記録されているから、持ち時間管理を失敗するとDNFになりかねない。スマホ・ガーミン(eTrex)・サイコン(Bryton)のログを確認しながら時間配分を考える。

太平洋のすぐ脇を走り、藤沢に向かう。
潮風の匂いと、海の雰囲気は感じるのだが、すぐ右側を西湘バイパスが走っているので視界はまったくない、夜だしネ。

西湘バイパスが終わって、ようやく海のすぐ脇に出る。
江ノ島が見えてきて、通り過ぎて…写真を全然とっていないことに気がついて…振り向いて写真を撮る。

江ノ島〜〜

海沿いにある休憩施設でトイレとポカリの補給をして、山に入る手前の葉山で写真を撮る。
葉山の御用邸前とか、ビーチとか、いろいろ観光したいところはあったけれど…時間が無い…

海入りたい…

またね〜

海から離れて湘南国際村へのヒルクライムが始まる。
他の参加者の人と意見が一致したのは…

150km走ってきて…この…坂…登れってのは…
オニ!
悪魔!

ということでした。

最後のチェックポイントで貯金は45分…
ここから川崎までは、割と強めの向かい風予報、そして信号峠と暑さ…貯金を維持しながら走ることを目標に坂を下る。

予想通り、信号峠でペースが上がらず、横浜港周辺の写真も最低限になった。

赤煉瓦倉庫群

母方の祖父母が暮らしていた思い出の場所、すぐそばも通ったのだけれど立ち寄る余裕もなかった。

想定通り、ゴールまで貯金を作れるような場所は皆無。

日が出て気温も上がり、ストレスが上がる状況で、微妙なアップダウンと信号峠。気持ちよく走れる場所が皆無の30km程度をやり過ごしゴールへ。

後で確認したら、DNF比率が15%を超えていた…200km でこのDNF率は結構高いんじゃないかな、それくらい過酷なブルベでした。(フラグ回収w)

ニューバイクの TREK EMONDA は、いいバイクだった。ただ、乗り手のボクが考えるべきことが結構ある。

レーシングバイクだけあって、速度上げやすい…のだけれど、前半で飛ばしすぎると、後半にツケがくる。ちょっと怖いのは、飛ばしている感覚が無いのに平均ペースが上がっていて、体力が削られていることがあること。

それと、ギア比がやっぱり高い。平地巡行で、フロントアウターだけで停止からのスタートまでカバーできるようであるといいかな。そして、ヒルクライムではローギアがもう2枚くらいあると助かる。GRX純正では、これ以上軽いセッティングは無いのでちょっと考えてみようか。

TREKにして正解だったか?それは、これから400とか600走ってからでないと分からない。
ただ、今回のブルベは完走者中の、真ん中くらいの位置でゴールしている。今までの Ridgeback Ramble の200km 完走データでは、完走者の中で下位25%くらいでゴールしているので、平均速度は上がっているようだ。

平均時速が1km/h上がると、300kmブルベだと、だいたい1時間くらい時間が短縮できる計算だ。そうなるともうちょっとブルベの旅程も楽しめるのでは無いか?そんな気がしている。

天気予報はこんな感じで、実際もそんな感じだった。

風向・風速はほぼ予報通り

朝は晴れてゴール前は30度超えていた

200kmのナイトブルベは、景色も観光も無く、記録のためだけに走るような感じになってしまった。東京発着は信号峠も厳しいので、サイクリストのグンマー國民は恵まれているなぁ、そう実感する。

それにしても、これだけ暑い時期に、こんなに交通量の多いエリアで、ブルベを走りたい!というサイクリストのために頑張るR東京さんはすごいなとつくづく感じた。エントリーから出走、完走申請まで、クラウドを使ってシステマチックなプロセスなのも素晴らしかった。

ありがとうございました。

<おまけ>
朝ゴールなんで、仮眠したら一日有効に過ごせるかな?そんなふうに思っていたら、甘かった。帰りの渋滞がエグすぎる。環八ですでに渋滞していて、練馬入ったら大渋滞。

うんざり

北関東って渋滞もないし、本当に遊ぶ環境に恵まれてるんだな、そんな気持ちを新たにした遠征でした。

おしまい

2025年8月1日金曜日

真夏のロングライド・暑さ対策 2/3 気化熱冷却編

草稿を書いていたらあまりにも長くなりすぎたので、3部作にしました…

サイクリングは、自然とともに過ごす遊びだ。

自然と闘う必要は無い…のだけれど、自然が目の前に置いてくる障害はうまくマネジメントしなければならない。それは、冬の寒さだったり、真夏の暑さだったりする。ちなみに、真冬の寒さをどうやってマネジメントするかこの投稿を参照してほしい。

ボクの考える、自転車乗りの暑さ対策は3つに分けられる。
  1. 遮熱
  2. 気化熱冷却
  3. 氷冷却

今回は2の、気化熱冷却について書いてみる。

シャーっとな

気化熱による冷却は、水分を蒸発させて熱を下げること

暑い時に汗が出る理由はまさしくこれで、体表面で汗が蒸発することで、気化熱冷却が起こり体温が下がる。

ただし、発汗とそれに伴う気化熱冷却にはメカニズム上の問題が2つある。

まず、最初の問題について説明しよう。

発汗のメカニズムは、人間が「動物として」、「普通の環境」で、「普通の行動」ができるように発達した機能だということ。

でねぇ…動物はね…
35度以上の気温で、10時間とか、心拍上げた状態で動かないからね?
暑い時は昼寝してるからね?彼ら

つまり、「動物としての普通」を超えていくスポーツでは、発汗機能の限界を超えるので、何かしらの対策は当然に必要になるということなのだ。

もう一つの問題は、汗をかくと体力が削られて消耗するということ。汗の元になる水分は、経口摂取する。この水が、

胃腸(大部分は腸)から「吸収される」
血液・リンパ液内を通じて「全身を巡る」
発汗組織を通じて「皮膚表面に出る」

この全てのプロセスで、体力を消費するのが「発汗」だ。で、このサイクルが早すぎると、際限なく吸収と放出を回さなければならないので、早く消耗してしまう。

消耗すれば、当然エネルギー補給が必要になる(「食事と補給について」参照)。

発汗に伴いミネラルが不足すれば、水中毒のリスクも高まる(「ミネラル補給について」参照)。暑い時期に1日サイクリングすると、こんな感じで汗染みができる。

塩ですが何か?

このキモい模様は発汗で失われた塩分。補給しなければ、当然体調は崩れていく。

で、栄養分やミネラルを経口で補給すると、消化吸収で消耗する…無限ループやんか
そんなわけで、発汗機能をなんらかの方法でサポートしてやる必要があるのだ。

シンプルなのは、汗の代わりにボトルの水を被ること。

プシャー!

ただ、通常のボトルだと、水流が細くて広がらず、広い範囲を濡らすことが難しい。

それと…真夏は、ボトルを2本運用する人が多いと思うのだが、「ドリンク用(スポドリ)」と「真水(掛け水用)」を取り違えると悲惨なことになる。

実際…自分はくっそ暑い日に頭からポカリスェット被ってしまったことがある…次に見つけた児童公園の水飲み場で沐浴するまではベトベトに悩まされた。

沐浴は沐浴で、気持ちよかったがな…

そんなわけで、掛水用のボトルは「シャワーキャップ」に交換してある。ボトルのトップキャップに切り替えレバーがついていて、これを捻ることで「直流」「閉まる」「シャワー」のモード切り替えができるのだ。

切り替え付きキャップ

キャップの裏側はこんな感じで、基本的に分解清掃ができないから、真水のみの運用になる。

キャップ裏側

「直流」モードにすれば、もちろんドリンクボトルとして使える。口をつけずに、ボトルを潰して口の中に水を流し込むような飲み方になる。

直流

走行中は、レバーをシャワーモードにしておく。体温が上がってきたと感じたら、前回の「暑さ対策・遮熱編」で書いた、ヘルメットキャップの後ろ垂れや、アームカーバーにシャワーを振りかけて気化熱で冷却してあげる。

シャワー

もちろん、頭から被ったり、アイウェアを外して顔を洗ったり、腕、腿、ふくらはぎや胸背中を濡らすこともお勧めだ。

ボクの実感だと、25度〜35度くらいまでの気温帯なら、このシャワーボトルによる気化熱冷却が大変に効果的だ。

ふくらはぎが攣りそうになった時、水をかけると回復する場合もある。眠くなった時に顔を洗ったり、信号で停止した時に胸や背中を濡らしたりする。

初めてこの方法をとった時、水分があっという間に蒸発していくのに驚くことだろう。それだけ、気づかない間に発汗していたということだし、発汗による体力の消耗もまた侮れない。

掛け水をすることで、人為的に体温を下げることができ発汗量が減る。いわば、汗を水で代替することで、真夏のロングライドでの消耗を防げるというわけなのだ。

走行中に公園を見かけたら、水飲み場で体を濡らさせてもらう。自動販売機でスポドリと真水を買い、スポドリはドリンクボトルへ、真水は掛け水ボトルから散水する。そんな頻度を上げながら走ることが大事だ。

なお、35度前後まで気温が上がると、ボトルの水だけでは冷却が間に合わなくなってくる。

そして…関東平野や新潟平野などの平地で起こりがちなのが…フェーン現象

フェーン現象下の平野部は、熱風が吹く。走っている時に追い風を受けている時は、要注意だ。相対速度がゼロに近く、走行風が受けられない時は体温が上がりがちになる。追い風なのにペースが上がらない、そんな時は気化熱冷却がうまく働いていない可能性がある。

気温が体温レベルに達した時は、無理せずにその後のコースプロファイルやモロモロを検討すべきだ。そこから先に、アップダウンやヒルクライムがある、そんな時は気化熱冷却の限界と判断したほうがいい。

公道で走るサイクリングのメリットは、コンビニにがあること。次のコンビニでピットインして、次の投稿で説明する「暑さ対策3部作のその3 氷による冷却」を参考にしてくれれば、ボクも嬉しいです。

今日も一日、どうぞご安全に。
つづく