このブログを検索

2025年12月12日金曜日

流行りのクィックエントリー・バインディング(考察1)

最近はクィックエントリー・バインディングが流行りだ。

ボクもクィックエントリー・バインでスノーボードを始めた。その後紆余曲折を経て見切りをつけ、ノーマル(ストラップバイン)に乗り換えた。両方を経験したボクの、超個人的な考察を書いてみようと思う。

ボクはBurtonのSIでスノーボードを始めた。

Carbon highbackのSIとスプリットボード

クィックエントリー・バインディングは、はっきり言って初心者向きでは無い。装着・脱着いずれのシーンでも、「フロントフット1本で完全にバランスを取る」瞬間が発生するからだ。そして、初心者にとって、片足で立って静止するのはとっても無理ゲー。

でも、もともとスキーヤーだったボクは、いちいち座ってバインをセットするなんてイヤだった。だからスノーボード初日からSIでスタートした。SIは、ソールに雪が付いているとハマりにくかったけど、一度ハマったら誤開放は無かったし、反応が速くてなかなか良いシステムだった。

ところが、Burtonは迷走を始めてステップ・インから撤退を決めた。鳴りモノ入りで投入したPSIがトンデモないトラブルメイカーだったのだ。

業界最大手のBurtonがステップ・インから撤退する…これは参入のチャンスと考えたのか、Salomonが新システムを開発した。プロダクトリリースと予約まで終えた段階で…そちらも販売取りやめになった。

同じタイミングで、Rossignol のバインを受託生産していた某イタリアのバインメーカーも…開発を途中で投げ出したという噂を聞いた。BurtonがPSI初年度でトラブって、2年目でも解決できず傷が深くなり、そーとーヤバイ額の赤字出したって聞いて、みんなビビったんだと思う。腰抜けめ

そんなわけで、アメリカ人とフランス人とイタリア人がビビりまくって、ステップ・インの火が消えたのかというとそうでもない。

日本の…Kissmark これは、鋼鉄製のバーがブーツソールに埋め込まれていて、それを完全フラットなバインディングにブッ刺して(説明が難しい)固定する。歴史は十分にあって、システムの安全性は確認されていた。

真ん中がKissmarkのフラットバイン

だが、バインにハイバックが無いため、ブーツにインナーハイバック的な構造が施されていた。加えて前述の「鋼鉄のバー」なんだからブーツがギプスみたいに重く…なによりもネーミングがダサいダサいダサすぎた…

左のストラップレスがKissmark

アメリカのK2 クリッカー。フラットで超シンプルなバインに、ブーツソールに埋め込まれたクリートをはめ込んで固定する。ボクのスノーボードの師匠であるヨーイチ先生が愛用されていたので、使い勝手を聞いてみた…

ヨーイチ先生

えっ?クリッカーの使い勝手?
まぁカッコイイですよね、ブーツも含めて。

欠点?それはまぁありますよ。バインが小さいのはいいけど、ソールの裏側に隠れちゃうんですよね。だから、嵌める場所が分かんなくなるんですよ。ほら、クリートも足裏にあるでしょ?ふつうはブーツのここと、バインここの位置を合わせて踏めばハマるとか、なんか目印を考えると思うんですけど…そーゆーのが無いんすよね。リフト降り場で滑りながら嵌めようとして、空振りしてすっ転ぶのはだいたいそれです。

それと、ソールとバインがフラットに「密着」する構造なんですよ。遊びとか逃げがないんで、すこしでも雪や氷がついているとハマらないし、そもそも雪や氷がつまりやすいんすよねー。

特にブーツソールは氷付くと最悪です。湿雪の時期や、どパウで埋まって外したりするとまさに地獄って感じです。なんとかならないのって聞いたら、アメリカって湿雪がないから想定してないって言われて…そんなわけねーだろって…

あ、それとブーツが超重いし、システムがバカ高いっす。

ほっとくと止まりそうに無いので、ボクが介入する。

…師匠…なんでそんなのわざわざ選んで使ってるんですか?

んとねー…人と被らないから!
カッコいいから!
値段が高くてマウント取れるから!
ヤフオクで最後高く売れるから!

全身アークテリクスで決めたヨーイチ先生は、朗らかにそうおっしゃられた。

ボクは師匠ほど人間ができていないので、クリッカーに帰依するのはやめた。だって修行いやだもん、修行無しに救われたいじゃん?ビバ大乗仏教。

ただ、アメリカの皆さんって楽をすることに関してはとっても貪欲で、なるほどって思わされるようなギミックもあった。手持ちのスノーシューにつけることで、ワンタッチでつけ外しができるアタッチメントとか。これは後のアキュブレードにも引き継がれた。

そのかーし、アメリカ人…お金はしっかりとる。たしか、インターフェースアタッチメントだけで5マンくらいしたはず。

クリッカーインターフェースとアトラススノーシュー

でまぁ、K2クリッカーがなんとなくうやむやに、日本から消えていきつつある時に、ShimanoがK2のパテント受けて?クリッカーを始め…独自のシステムへ移行した。それがAccubrade。

Accubradeは、前述のクリッカーの欠点を十分に考慮し、解決したって売り文句だったから、ボクはAccubradeに乗り換えた。何しろ、安心の日本製、信頼のSHIMANOが作るんだから、安心しかないよね ← フラグ

つづく