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2025年9月13日土曜日

山力(ヤマヂカラ) 山の生活技術・番外編

山力(ヤマヂカラ)について、ここでボクは何度も書いてきた。

山力とは、体力・(登山)技術・生活技術の3要素の掛け算で表せる、山屋としての総合力評価のこと。ただ、「山の生活技術」といってもピンとこないかも知れない。

今はどうだか知らないけれど、昭和の時代に「山の生活技術が優れている」人たちは、だいたいが山岳部とかワンゲル上がりだった。

山岳部は口数が少ないが、いざ口を開くと声が太い。悪天候の岩場で視界が無くてもコールが届くようにだろうか、普段から腰が入った話し方をする。装備もなんというか独特で、巨大なバックパックザックは色褪せている。

テン場で彼らは早い時間に寝る。いきなりピタッと静かになって寝る。一般登山者がのんびり酒を飲み、声を落として会話を楽しんでいる中、彼らの大きなエスパーステントだけが静まり返っている。

そして…彼らは深夜2時くらいに起きるのだ。

彼らの実力は、撤収に要する時間と、その間に出す音、先輩が指示する声と内容で推し量ることができる。

夜間のテント撤収は重要な生活技術

ある日ボクがテン場で泊まっていた時、山岳部であろうグループと一緒になったことがある。

それは5人くらいのパーティで、ボクの隣に幕を張った。夕暮れにちょっと挨拶を交わして、彼らは誰よりも早く眠りについた。そしてボクが朝4時くらいに起きたら、キレイさっぱり撤収を済ませて居なくなっていた。

テントは単なる布なので、隣り合ったテント同士はなんとなく気配を感じるものだ。なのに、彼らが動く気配はまったく感じることがなかった。

クックキットをガチャガチャさせず、ビニール袋をガサガサさせず、5人の若者が静かに、横に寝ている僕を起こさずに早立ちしていったのだ。

テント、寝袋、マットをたたんでパッキングする。共同装備のどれを誰が持つ。食事はなにをどうやって済ます、そうしたすり合わせ一切合切を、パーティー内で会話せずにすませて去っていった。多分ヘッドライトの光量も控えめに、こちらのテントを無駄に照らさずにいてくれたのだろう。

彼らならば、吹雪で視界が無くても、風が吹きすさんいても、互いの声が通らなくても、テントの設営と撤収は問題なしにできることだろう。片付ける時に装備を無くしたり、変な場所にしまうこともないであろう。彼らならば、どんな状況であって確実に体を休め翌日に行動することができるのだろう。

その朝、彼らのテントがあった空間を見ながら改めて考えた。「山の生活技術」とは、山中の生活でムダ・ムラ・ムリを取り去る技術なのだろうなと。

テント泊、冬季、BC、数日以上の縦走になると荷物は増える。何も考えず、荷物の量が増えるに任せれば、背負える限界を超えてしまうことになる。生活技術を磨いてムダを取り去り、荷物を小さく軽くすることで、より挑戦的な山行が可能になる。それが彼らのような集団が求めている生活技術なのではないか。

振る舞いが洗練されていてムダが無い、そんな登山者をテン場や避難小屋で見かけると、ボクは思う。この人がこうなるまでには、どのような背景があったのだろうか。そしてボクはこうした存在に近づけているのであろうかと。

そして…年齢を重ねて体力がさらに落ちた時、ボクが登山を続けられるかどうかは、その辺りにヒントがありそうだ。そんなふうに感じている。

2025年9月6日土曜日

AJP南湖公園195km完走…暑かった…

AJ宇都宮主催のAJP(パーマネントブルベ)は、ほぼほぼ全部走っている。走れなさそうなやつにはエントリーしてない…弱いのがバレちゃうから…

ふとWebページを見たら、新しいコースが追加されていた。獲得標高少なめで、難易度が割と低めの195キロ。夏の間に走っておこうかなとエントリーして完走したという話。

義経の矢が、矢が抜けない!!

キューシートをGPSデータに落としながら確認したら、なんかAJP那珂川と結構重なっているようだ。AJP那珂川は白河発で南に向かって走る。今回は南の宇都宮から北に向かって走るので、十分にありえる話。

あんまり詳しく下調べすると、当日の新鮮さが薄れてしまうので程々にした。

今年の夏も猛暑なので、涼しいうちに登りを済ませよう、そう逆算したらスタートが3時になった。仕事を終えて帰宅して仮眠して、車で宇都宮に移動。良く調べずに「宇都宮駅」近くのコインパーキングに駐車。

ん?東武宇都宮駅前??あれっ?もしかして、JR宇都宮駅と違う?

Googleマップで見たら、スタート地点まで割と距離がある…アヒャヒャヒャヒャヒャ
時間ギリギリになってしまった…マニアッタカラヨシ

JRと東武…気をつけましょうね

暗いうちにスタートして東に向かう。LTRの軌道脇を離れて山道に入り、小さなアップダウンを抜けると最初のチェックポイント。

茂木駅

ここからルートは北上していく。那珂川町あたりで、見覚えのある景色に気がついた。AJP那珂川120kmの往路ルートを逆向きに走っている。

途中でAJP那珂川の往路から外れて復路に入り直す。那珂川ルートの復路は新白河に出るまでに2つ峠を越えるのだけれど、今回は1つめの峠はパスして2つめのやつだけ超える。

獲得標高も、傾斜も優しめで走りやすいが、すでに暑くなりつつある。登りに入る前に、アイスボトルを買って背中のポケットに入れた。

義経伝説の岩

峠の手前に、義経伝説スポットがちょいちょいある。

抜こうとしたけどムリでしたヤメロ

小芝居しつつ、写真を撮ることを言い訳に休む。

タテカン

峠の手前で2つ目のチェックポイント。

那須町の石塔

今まで何度も超えた峠を今日も超えていく。

こっから白川の領土やで

石段登ったことない…

いつもこの神社は、道路から見上げつつ柏手を打つ。今日は時間に余裕があるんだから、お参りしても良かったかもね。

峠からシャーって降りると、白河ラーメンの名店。今日は流石に朝早すぎて、やってません。白河の関も今日は素通りして先へ進む。

今日も素通り…

南湖公園も今度はゆっくり訪れてみたいなぁ。

初めて気がついた石碑

南湖公園が今日のメイン、チェックポイント3。ここから那須高原にちょっと登ってから折り返しになる。

松平定信候の像

最後のアップヒル手前のセブンイレブンで氷を買って、背中を冷やしながら登る。かろうじて猛暑が来る前に本日の最高標高地点。

チェックポイント4 巻狩鍋

この鍋に水入れて行水したい…ヤメロ

ここから基本下り坂!というわけにはいかず、小刻みにアップダウンを繰り返しながら、矢板の手前まで進む。

ドーピング…

最後の数時間を凌ぐために、氷買って、コーラのミニボトル。

最終チェックポイント

ニューバイクのおかげか、穏やかなコースプロファイルのおかげか、普段の200kmブルベに比べると速いペースでゴール。TREK Emonda の新しいギア比はやっぱり正解。アップヒルでローギアが足りなくなることも、下り坂でトップギアが吹け上がることもなかった。

夏場のブルベはやっぱり厳しいけど、新機材のテストが完了して、次の準備ができて良かったです。おしまい