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2022年4月25日月曜日

DAY38BC13尾瀬至仏山 シーズンエンド

僕は、人が休んでいる時に働き、人が働いている時に休む、そうした生業をしている。つまり、GWをフルに休むということはできない。

そんな僕にとって問題になるのは、至仏山のBC。というのは、あそこは雪が多すぎると道路が開かないので入れず、ルート上の雪が少ないと、植生保護のために立ち入り禁止になる。

で、雪が多過ぎず、少な過ぎない時期、入山許可の期間ほとんど全てはGWとかぶっている。

僕にとって至仏山BCは、GWという狭いwindowの中の限られた僕の休日に、登山に適した天候が重なるのを祈る、そんなイベントなのだ。まぁ、当然、行けそうな日は全部抑える。そして、天気がダメそうなら、その日は諦めて…そうだなぁ、4~5日抑えておいて、2~3日入れれば上等、自然を相手にする遊びというのはそんなもんだよね。

モロちゃん、たかやん、シンヤー、僕の4人パーティ
前回から中1日あけて、今日は足前が揃った4人パーティ。モロちゃんたかやんは、グンマー國のクライミングジムで繋がった、リアル山屋。シンヤーは、雪山宴会部のスノーボード番長。
あのー ハイクのスピードが早いんですが…
この日も快晴で、風は西風。山頂周辺を除きルート上は風裏になるので、みんなすかさず半袖になってハイクスタート。
俺が晴れ男だからね、いや、僕です、私ですが何か?
オヤマ沢田代には、エアーボードが残置してあった。いや、これ山で見るの初めてだけど、確かにオープンバーンならヒップソリよりも楽しそうだよね。
Mベル関係者疑惑?
いつもの場所で、いつものタカヤンの写真を撮る。いつもの尾瀬ヶ原といつもの燧ケ岳。
サイコーっすね
尾瀬ヶ原の積雪は、昨年よりはある。
そして、山頂は昨年よりもはるかに少ない。やっぱり、なんだか今シーズンは変。
ベタな記念写真
今日も山頂は人でいっぱい。ただ、ここの場所はマナーがいい人ばかりなので、不快な気持ちになることは今まで一度もない。

前の人に声をかけて、撮影をし、今度は後ろの人にカメラを預けて撮影をしてもらう。
そんな、素敵なフローが出来上がっていく。
シンヤーが撮影するの図
至仏山の残雪期って、経験を積んだ一般登山者であれば無理なく登れる(しかし初心者・初級者はいない)。そして、山スキーの歴史が長いので、ここに仲間を連れてくるリーダーはみんな…経験が豊富な人たちなんだろうね。それがこの山の独特な雰囲気を作っているように思う。

ムジナ沢の下降点を偵察しに、少し降りてみた。おおっぴらに滑走痕が残ると「滑れるのか?」と思われて、真似する人が出てしまうので、人目につかないように、斜面の一番端をゆっくりと落とす。
例年だとギリギリ繋がっている稜線も雪線が切れている
はい、完全に諦めつきましたーーーー
野原だよw
濃い緑がハイマツ地帯
滑れる時は、ハイマツ帯の向こう端に、2本雪線が繋がって、そこを下れる。今シーズンはそこも完全に切れている。
登り返し

偵察終わったので、規制線の上部まで登り返して、待っていてくれる仲間の元へ。改めて、ワル沢の源頭から、スキーヤーズレフトへ回り込みながらドロップ。

テレマーカーのモロちゃん
タカヤン 後方左手は燧ケ岳
大斜面のオープンバーンがここの醍醐味
オレンジって映えるね シンヤーのバックサイドターン
タカヤン 後方奥に平ヶ岳
半袖でスノーボードは危ないのでヤメましょう
山の鼻に降りて、鳩待峠へのハイクバックは猛暑。
僕は、シェルを脱ぎ捨てて、スパッツにショートパンツが一体化してるフィットネスウエア。
タカヤンはコンバーチブルパンツの裾無し、要するに短パン。
モロちゃんは、スパッツもっこりマンで、鳩待峠へと登る。
今日も良く…遊びました
 1シーズン、最低でも2回は来たい至仏山BC、今日で2回これたから、ボード納めとしましょうか。みんな、本当に今シーズンもありがとう、遊んでくれてありがとう。

2022年4月9日土曜日

DAY36 から人様のボードに春雪ストラクチャー加工

DAY36は岩鞍の主と、春のシャバ雪でゲレンデ納め。
リフトの上で、妖怪板掴み対策の話になった。

僕の結論は、ワックスにこだわるのもいいけど、ストラクチャー入れた方が走る。

そんで、滑ってるうちにいよいよ雪が緩んで、妖怪が現れたタイミングで、お互いの板を交換して滑って見ることにした。

僕ちんの Bataleon Thunder  には、自分でストラクチャーを入れてある。それで滑ってもらったら、主も納得したみたいだ、明らかに滑ると。

最後の一本、岩鞍のボトムで、僕が減速しながらも普通に滑り降りたところ。主のボードは止まってしまって、スケーティングで降ってきた。

僕の板にも…入れてください…ストラクチャー を…グハァッ!

ただ、マジ板にいきなりDIYでストラクチャー入れるのは怖いので(僕がネ)、まずは春用のサブ板に入れることにした。

んで、Palmer の目玉ボード(限定グラフィックス)を預かった。
これが完了形
一度に広範囲に作業すると、加工ムラができるので、まずはセンターにマスキングする。それと、切削クズが入らないように、バインディングのビス穴もマスキングで養生(写真なし)。
陽の光で見るのがわかりやすい
エッジが丸まっていたので、ファイルを軽く当ててみたら、何箇所かヤキが入っちゃっている。ダイヤモンドファイルでさっとバリをとって、ソール側は錆をとるくらいの感じでファイルを入れる。

サイドウォールを波目ファイルでカットして、サイドエッジを研ぐクリアランスを作る。
褪色した表面の下からフレッシュな面が出てくる
波目ファイルが大活躍
ボーダーカッターよりも、波目ファイルのほうが早く綺麗にカットできるように思うのだけれど、どうなんでしょうね。

89度のファイルフォルダでサイドエッジを研いで、ダイヤファイルでバリ取りしてエッジ調整は終了。

ソールはストラクチャー入れて、メタルスクレーパーで毛羽取ってフィニッシュマット青。ホットワックス入れて、ワックスに絡め取られた毛羽を一緒に、プラスチックスクレーパーで強めに削ぎ取って行く。その後メタルブラシからナイロンブラシかけて、フィニッシュマット白。
細かいケバはフィニッシュマット
さぁ、主人(あるじ)の元に還るがよい
さて…
プロショップで、マシンで入れた深めのストラクチャーには負けるだろうけど…
ノーマルに比べるとはるかに走るようにはなったはずだけど…どうだろうか

2022年3月23日水曜日

Towing Leash トーイング・リーシュ(ボードのお散歩ヒモ)

スノーボードの先端に、Towing Hole を開けたら、次に準備するのは Towing Leash 。
要するに引っ張るためのヒモのことを、カッコつけて トーイング・リーシュって言ってるだけ。

なんども書いているけど、僕はもともとスキーヤーで、BCはテレマークスキーで入っていた。その時、Towing にはなんどかチャレンジしている(注)。

で、その時の記憶を辿りながら、必要な条件について洗い出しながら作ったのがこれ。
全体像
条件はこんな感じ
  1. ボードへの着け外しが楽であること
  2. バックパックのストラップなどへ簡単に着け外しできること
  3. 意図せず外れないこと
  4. 長さの調節が簡単にできること
  5. 耐久性に優れていること
  6. 凍結のトラブルをおこなさいこと
まず、バックパック側はこんな感じ。リーシュの途中に、8ノットでループをいくつか作っておく。そして、適当に束ねながらカラビナを通してやると長さの調節ができる。
バックパックにクリップするカラビナ
リーシュの中間地点に、フリーなカラビナをひとつタイイン(結んで固定)しておく。このカラビナは、長さの調整に使う。そして、このカラビナをつかむことで、ボードを引き上げるのが楽になる。ツリーホールにボードがはまっちゃったり、ノーズがどこかに入り込んだりしたときにね。
中間のカラビナ
肝心なのが先端部分、パーツごとに説明してみる。
まず、トーイングホールに通す部分は、頻繁に擦れる。リーシュが擦れて痛まないように、保護のためにシリコンホースを通してある。
先端部分
一番先は、ラビットノットでループを2つ出してある。こうすることで、摩擦に対して強くなる。結び目の残り部分は、接着剤を着けてまとめて、ウレタンチューブの中にしまう。
ラビットノット
Towing に入る時は、リーシュの先端をHole に通し、折り返してカラビナで止める。

ここのカラビナは、雪や氷で凍りついてしまわないように、ワイヤーゲートタイプを選ぶのが重要。そして、不意に外れてしまわないように、カラビナはダブルにして、ゲートの向きを反対方向になるように固定する。

これは、クライミングの考え方と一緒。
絶対に外れてはならないところは、外れ防止のロッキングカラビナを使う。しかし、ロッキングカラビナは凍結しやすいので、この場所には不向き。そんなふうに、なんらかの理由ロッキングカラビナを使えない、でも外れては困る場所には、カラビナをダブルで、互い違いにして使う。
ワイヤーゲート(重要)のミニカラビナ2個
ラビットノットから出た2つのループを、このミニカラビナに通して固定するのだ。
カラビナの向きがずれないように、インシュロックとシリコーンチューブを使っている。
ゲートの向きを背中合わせに
リーシュは、登山用品店などで切り売りしてくれるアクセサリーコードを使っている。細いけれど強度は十分。

まぁ、そもそも… 穴あきのボードを使っている人がほとんどいないから… 参考になるかどうかは甚だしく疑問の投稿ですね…

おしまい

---
注 スノーシューに比べると、スキーでの行動は圧倒的に楽。登高も滑走も、スキーは履きっぱなしで良いのがスキーのメリット。ただ、シールで直登するにはちょっと斜度があるような斜面を、キックステップで登るような時は、スキーをどうにかしなければならない。

バックパックに背負えばいいんだけど、キックステップとシール登高を交互に使い分けるような時に、Towing が有効なんじゃないかなって思ったのだ。

そんな場所ある?って思うよね。イメージは、谷川岳の天神尾根。ゲレンデ出口の急斜面は、ツボ足のトレースがあるから、キックステップで良い。その先の痩せ尾根は、基本シールだけど、トレースがあればツボでもいい。で、肩の広場まで上がれば、その先はシールで、みたいな。

2022年3月22日火曜日

備えよ常に…BCギアのメンテナンス

バックカントリースキー・スノーボードでは、ちょっとした道具の不具合が大きなトラブルの元になる。だからこそ、事前のメンテナンスが重要になるのだ。

BCスノーボードの情報と言えば、パウダーヒャッホーイとか、ノートラックとか、そんな楽しいことばかり。ちょっと無責任かも(あ、僕もそうだw)。

BCは楽しいだけじゃなくて、いろいろちゃんとしないと危ないよ。そんなことも書かないと行けないんじゃないかな。

そして、僕はこのブログを、「情報を集めるきっかけ」にするために書いている。

webで「タダで手に入る」情報をそのまま全部信じないほうがいい。

岳人とか山渓とか、先人が書いた専門書籍とかを買って読む、これが大事なんじゃないかな…余計なお世話か…

まずは、凍結の防止、要するに、凍りついて、動かなくなるとかを防ぐ。
湿り雪は妖怪の巣
厳冬期は意外と凍結のトラブルって無い。
凍結のトラブルって、隙間に入った「水」が凍りついて起こる。

厳冬期は寒すぎて、「最初から凍ってる」のだ。雪と氷だけで、「水」が存在しないから、凍結のトラブルが無い(注1)

湿り雪は、「妖怪板掴み」の巣、滑りが不快なのはもちろんなんだけど、「湿り雪」ということはそこに水分が存在するということ。日向の湿り雪ですっ転んで、日陰に入ってしばらくしたら、いろんなところが凍っていたみたいなトラブルはよく目にする。

最初に、ポールの凍結防止について。下の写真のように、テントフレームみたいな構造の奴が要注意。この差し込むジョイントのところが凍結すると、短く収納できないので困る。
伸縮式ポールのジョイント部に凍結防止剤
シリコーンスプレーとか、凍結防止の専用スプレーを吹いておく(注2)。
ちなみに、ハイクアップして滑走準備する時に、ポールが凍結していると焦る。そんな時は、凍結した部分を、ウエアの裾から突っ込んで、お腹か背中で温めれば抜ける(こともある)。

スノーシューにもシリコーンスプレーは有効だ。デッキの裏表、ハーネスにも吹き付けておくこと。
スノーシューには全面にシリコーンスプレー
メンテナンスとはちょっと違うけど、色々な物を無くさないように、流れどめとかリーシュとか言われるものもチェックすること。厳冬期にグローブを無くすと、致命的なトラブルになりかねない。だから、BC用のグローブには、グローブリーシュが付いている。もしくは、リーシュをタイイン(結ぶ)するためにループが付いている。

これも定期的にチェックして、タイインループが毛羽立っていないか、リーシュは傷ついていないか、緩み留めはちゃんと機能するかを確認する。

ちなみに、グローブリーシュを自作するなら、僕のおすすめは「パラコード」。これはパラシュートに使われるヒモで、細いけどムチャクチャ強度がある。そして、水を弾いてくれるので、凍結しないという、リーシュには最高の素材。
グローブリーシュのおすすめはパラコード
欠点もあって、表面がツルツルなので、結び目をちゃんと作らないと緩んでしまうことがある。ボクはフィギュア8で結んで、強く荷重をかけて、解けないようにしている。

パラコードは伸縮性が無いのと、強度がある意味強すぎるので、なかなか切れない。したがって、首周りに何かをぶら下げるためには使ってはいけない。

緊急時のホイッスルとか、小さなナイフを首にぶら下げたりするには、絶対にパラコードを使わないこと。うっかり首を吊ってしまったりしたら、死にます。

最後に、MSRのEVOを使っているなら、ヒールエレベーター(クライミングサポート)の動きが悪くてイライラしませんか?
ヒールエレベーターの動き改善
溝の形をよく見て、少しずつ削って広げてあげてスムーズに上下するようにしてあげるといいと思います(削りすぎ注意ネ)。


注1 厳冬期に注意するのは、暖かい室内とか、シェルターやテント、雪洞から外に出るとき。雪とか氷が溶けて水になっていたら、よく拭き取らなければ凍る。ゴーグルに露や曇りが出ていたら、それも乾かさないと凍りついてしまう。
 

注2 ポールのそれぞれの段を、ねじ込んでいくと中でロックされるタイプの奴は、シリコーンスプレーしてはダメな奴もある。それぞれのポールの説明書をよく読んでください。

2022年3月20日日曜日

春雪ストラクチャー加工

ブログで何度か「春雪用ストラクチャー」って書いたけど、「なんのこっちゃ?」って思った人も多いだろうね。

「ストラクチャー」という言葉を知っていても、「自分ではできない」と思っている人も多いはず。高価なストーングラインド仕上げのマシンに、専用の器具を入れて、初めて加工ができると、チューニングショップの広告にも書いてある。

高齢者である僕は知っている、ストラクチャーのアイデアがどこから来たか。

今から40年以上前の話だけれど、スキーのソールは、ラッカー塗装仕上げの物がまだまだ多かった。ソールがポリエチレン製なら、高級品の証だった。

スキーヤーは買ってきた板のソールに、ワックス(キャンドル・蝋燭)を溶かして、はけ塗りする。アイロン(コテ)塗りする人も居て、繰り返しそうやってると、ワックスが染み込んで良く水を弾き、滑走性がよくなる、と言われていた(注1)。

使い込まれたスキーのソールは、それが単に木にラッカー塗って、蝋燭を磨き込んだだけとは思えないくらいに、「ピカピカに光って」いた。

ソールがポリエチレンに移っていっても、「ピカピカ」「ツルツル」ほど「エライ」という…毛根がやや機能不全な、ハ◯の人が羨ましく思うようなのが常識だった。

ホットワックスして、スクレイプし、最後は「コルク」のブロックで磨き込むのが当時のワクシングだった。そして、光にかざして見て、ピカピカ加減にうっとりする。
左:加工済み 右:加工前
しかし、ここで不都合な事実がある、春の悪雪、湿り雪、ストップスノー、いわゆる「妖怪板掴み」(注2)が生息するような雪で、ピカツルソールは無力化される。
左は細かい縦溝が入っている
実際のところ、ソールの傷に無頓着なスキーヤーが、涼しい顔で滑り降りている横で、ツルピカースキーヤーが、モンドリ打って前転してるみたいな光景は普通だった。

 なんでこうなるの?

で、ある日、スキー雑誌に「ストラクチャー」という話題が掲載されたのだ。

曰く、

 平滑すぎるソールでは、水分の逃げ場がない
 2枚のガラスを合わせて、間に水を入れると剥がれなくなる、アレ
 雪面とソールの間に水が入って張り付くのがストップスノー
 雨の日に溝が減ったタイヤがスリップする、ハイドロプレーニングと同じ
 つまり、水を逃す溝を掘れば良い。

ほんで、「溝」といっても、大きいのを何本も掘る必要はなく、細かいのを沢山掘ればいいということだった。一番滑走性が低下するのが、ツルピカソールだと。

で、滑走性が勝負のマジ◯チ真剣なスキーヤーたちは、こぞってソールに傷をつけ始めた。

この間まで

 ツルピカサイコー!
 ソールが光れば全てヨシ!
 ソールを鏡がわりにして、毎朝ヒゲを剃ってます!

そう言っていた人たちが、

 時代はストラクチャーだよね、ツルピカ?プッ…

思いっきり手のひらを返して、転向したのだ。

その時、僕は「大人って信用できないな」と思った。
電ドルに回転ワイヤーブラシ
僕は、自分でストラクチャーを掘っている。

数シーズン前から、いろいろなやり方を試してみた。YES. PYLには、結構大胆に入れてみたけれど、目で見てわかる程度の細かい傷でも、効果にはあまり差がないことが分かったので、今はあまり大きいのは入れていない。

が、目で見てわかる傷、ではあるので、見かけは正直あんまり良くないかも。

個人的な感覚だけど、滑走性はこんな感じ。

ノーマルソール
 100 レーシングバーン、人工雪の圧雪
   80 コーデュロイ、乾燥した粉雪、トップシーズンの圧雪
   60 降雨後のシャバ雪、ザラメ
   50 普通のシャバ雪、汚れたザラメ
   20 黄砂・花粉で汚れたザラメ
    5 ストップスノー

DIY加工ストラクチャーソール
   90 レーシングバーン、人工雪の圧雪
   75 コーデュロイ、乾燥した粉雪、トップシーズンの圧雪
   60 降雨後のシャバ雪、ザラメ
   55 普通のシャバ雪、汚れたザラメ
   35 黄砂・花粉で汚れたザラメ
   15 ストップスノー

トップシーズンなら、「ツルン」が「シュルン」に落ちる。その代わりに、最悪のコンディションで、「グググッ」が「ズズズッ」に「ビタッ」が「ジリジリ」に改善する。

BCで妖怪に捕まると、ものすごい体力を消耗させられる。僕はそう思っているので、手持ちの板で、BCに持っていく可能性のある奴には、全部春雪用ストラクチャーを入れている。

あくまでも僕の場合は、ということなんだけどね…

注1 ホットワックスを繰り返すほど、ソールにワックスが染み込んで滑走性が高まるって言われている。僕は、その話はここから来ているんじゃないかなって思う。ラッカー仕上げの木のソールは、確かにワックスを吸収しいていたと思う。でもさー、今のソールってポリエチレンだよ。ワックス…染み込まないよね。表面の細かい凹凸に染み込む、それはあるだろう。でもさー、何度も何度もホットワクシング繰り返したら、「奥まで浸透する」ってことは無いように思うんだけどなぁ。

注2 滑っていると、いきなり板が雪面に張り付いてしまって、前方に放り出されて転んでしまうような雪のこと。雪の中にいる妖怪が、板を掴んで離さないみたい、というところから来ている。

2022年3月17日木曜日

Towing (ボードとお散歩)

前にアップした投稿で、スノーボードを towing (引っ張って歩く)ということについて書いた。
ボブスレーコースみたいなトレース
普通のスノーボードは、先端に穴が開いていないのでこのテクニックは使えない。

BC用スキーには、先端に穴が開けてあるモデルが結構ある。"tip-hole"とか言うのかな、正式な名称はよくわからない。
右側の赤いスキー先端にある穴がそれ
この穴、「緊急時に、スキーをつなぎ合わせてソリを作る」ために開けてある。怪我人を搬送する時に、担いだりとかは無理なので、何本か並べて、スキーポールを渡して細引きで結んで橇を作るのです。

そして、この穴に leash (ヒモ)を付ければ、towing と言って、スキーやボードを背負わずに「引っ張って歩く」ことができる。

ただ、スキーで試した時は、あまり意味が無いと思っていた。幅が狭いスキーは、ゴロンゴロンと横倒しになったり、ひっくり返ってしまうのだ。

スノーボードの場合は幅が広いので、Towing は割と有効だ。
特に向いているのは、こんなシチュエーション

 木の枝が煩い斜面の登行
 強い向かい風
 トレースがはっきりしている
 荷物が重い
 踏み抜きやすい雪面
 穏やかにだらだら続く登り

要するに、背中の重さを減らすことができる。微妙に踏み抜くか踏み抜かないか、みたいな、クラスト斜面とかでは地味に効果がある。踏み抜いたあとのリカバリーも楽になるし。ボードを背負わないから、バックパックが軽いし、バランスがいいから振られない。

そして、ボードをバックパックに取り付けると、先端を頭の上に突き出して登ることになる。 Towing だと、それがないから、横から木の枝が張り出しているような斜面のハイクアップでは楽ができる。枝を避けるためにしゃがまないで済むからね。

反対に向いていないのは、こんな場所

 アップダウンが多い
 急斜面
 トラバース
 どパウ
 
下り坂になると、ボードが後ろから滑って追いかけてくる。
これが膝裏とか腿とかに突っ込んでくると、地味に痛いwww

急斜面では、後ろに引かれる感じがする。むしろ背負った方が楽。
トラバースは…わかるよねw
深雪の場合は、有効な時もあるけど、ボードが雪に潜っちゃったり、雪を運搬するみたいになっちゃう場合はやめた方がいい。
1枚目の写真みたいなトレースがちゃんとついているところは、トーイングを選ばない理由はない。
リーシュを付けたイメージ
ここまでで、大体のところはイメージできたはず。

さて、ここで問題になるのが… 「だって、穴開いてないじゃん!」ということ。

そう、普通のボードには穴がない…ならば…開ければ良いのであるwww

2022年3月16日水曜日

スノーボードのソールリペア(リペアスティック編)

リペアキャンドルでのソール補修になれたら、リペアスティックの補修にもチャレンジしてみるといい。

ハンダゴテが必要になるけど、溶かす相手は金属ではなくて、ポリエチレン。30W程度の、低容量のやつで十分。

先日、浅間山の火山礫で傷ついたSUSHIのソールを補修したので、それで説明してみる。

まずは、ソール傷の清掃をする。
ささくれてたり、砂粒が食い込んでいたりしたらそれを綺麗に取り除く。
PTEXの細い切れ端
この傷はササクレが出てることが、滑っててわかるような傷。これをカッターで切り取ろうとすると、切れ味が鋭すぎて、余計なところまでカットすることがある。
メタルスクレーパー2種類
ボクは、メタルスクレーパーの角を押し当てて、シュッてスクレーピングしちゃった。

あ、そうそう、エッジのすぐそばに傷がある場合、エッジも確認すること。エッジにバリが出てたり、丸まっちゃったり、ヤキが入っちゃってる場合がある。そんな時は、ダイヤモンドやすりでタッチアップしてスムージングするといい(注)。
ワックスリムーバーを全面に
ソールを綺麗にする。
リムーバーをたっぷり吹いて、汚れを浮き上がらせて、ショップタオルで拭き取る。
リペアスティックをピンセットで挟んでおく
買い置きしてあったリペアスティックが見つからず、20年位前に買ったスティックで作業。まぁいいか、自分のボードだし…
ハンダゴテで溶かして埋めていく
ハンダゴテでソール側をかるくナデナデして、溶け始めた感覚を探る。柔らかくなり始めたら、すかさずリペアスティックをコテ先に当てて溶かして、一体化させる。
段ができないようにムラなく
キャンドルと違って、火を付けないので、ススが出にくい。ただ、作業時間が長引くと、それでもススっぽいのが出てくる。コテ先を拭いて綺麗にできるように「濡らしたウェス」があるといい。
波目ファイルでフラット出し
キャンドルよりは手応えがある、PTEXと基本同じ素材だしね(密度は違います)。
薄く溝が残った
温かいうちにフラット出しすると、完全なフラットにはならない。人から預かったやつなら、これにもう一回薄付けでリペアする(その場合はキャンドルでもいいと思う)のだけど、自分のだからいいや w
角度を変えてみる

ここは綺麗に埋まった
ホットワックス
滑走に影響がなければ、ボクは仕上げにはそこまで拘らない。
ホットワックス入れて、一晩放置。
完了
春用ストラクチャー
ホットワックスにもう一度熱をいれて、ペーパーでクリーニング。
そして、メタルとプラのブラシかけて、フィニッシングマットで仕上げました。

これでまた出動できるね。

注 エッジを石とかにぶつけると、「焼き入れ」がされちゃうことがある。工具(鋸とかね)で、刃先に「衝撃焼き入れ」加工とかしてる製品があるけど、それと一緒。火花が飛ぶくらいに、バチーンて衝撃が加わると、鉄は「刃物」みたいな鋼になっちゃう。で、こうなったエッジを普通のヤスリで研ぐと、ヤスリがやられちゃう。それを防ぐためには、鋼も研げる道具を使う必要がある。具体的には、「オイルストーン」か「ダイヤモンドファイル」。要するに砥石か、ダイヤヤスリでないと歯が立たないってことね。