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2021年9月3日金曜日

バイクメンテナンスのヒント ディレーラーハンガー(1/2)

スポーツバイクでシフト(変速)が決まらないのは、嫌なものだ。

新車の時にはスパスパ決まっていたシフトが、少しずつダルになっていく。チェーンやスプロケット、チェーンリングは消耗品。摩耗して隙間が増えてしまうと、シフトがもたつくようになる。

そうした、経年変化による問題はもちろんあるのだけれど、「ある日急にシフトが決まらなくなる」ような問題もある。落車や、駐輪しておいたバイクが横倒しになって、その時を境にシフトが決まらなくなる。そんなトラブルで困っている人向けの tips を書いてみよう。

ここで例にあげるのは、次の3つのような症状だ。
  1. リアの変速がどうも決まらない
  2. ペダルを逆回転させると、スプロケットの上でチェーンが暴れる
  3. プーリーケージが微妙にスポークに当たっている
**3の症状は深刻な問題に直結するので、今すぐ乗るのをやめましょう**

バイクメンテナンスを、ある程度自分でやろうと思うならば、信頼できるガイドブックは1冊持っておいたほうがいい。僕がお勧めするのは、 "The art of ROAD BIKE MAINTENANCE" 英語アレルギーでなければ…ネ
図解が多くてわかりやすい

今回のポストは、下の図で、 "derailleur hanger" と書いてある部分の話。ディレーラー・ハンガーは、フレームにディレーラーを「吊り下げている」部分。ここが歪んでしまうとリアのシフトが決まらなくなってしまう。

説明は英文だけど平易な表現

そもそも、なぜハンガーが歪むのだろうか?

ロードバイクでもマウンテンバイクでも、「普通に乗っている」限りにおいては、十分な耐久性を持たせてある。平均的なアジア人体型の僕らが使っている限り、自転車は壊れない(注1)。

ただ、人間が動力であるスポーツバイクは、どうしても軽さを優先して丈夫さが犠牲になる。軽さと耐久性は、普通はトレードオフの関係にあるからだ。

上級者向けで値段が高いスポーツバイクは、思いのほか扱いがデリケートだったりする。また、ユーザーが適切なメンテナンスをすることを「前提」として作られていたりする。だから手入れをしないと、壊れたり、あっという間に寿命がきたりする。だから、初心者ライダーが、あんまり値段が高いバイクに手を出すと、すぐにぶっ壊れて泣きをみたりすることになる(注2)。

横倒しに落車したり、フレームを尖った物で叩いたり、こじったり、そんなプレイにスポーツサイクルは極端に弱い。さらにショックなのは、落車でフレームがオシャカになったら、ほぼ間違いなく補償の対象外なのだ。自己責任、落車したら、あなたがヘタ悪いってこと。

仕方ないのでフレームだけ購入して、パーツを載せ替えするとしよう。30万円の完成車のフレームってだいたい20万円する。フレームだけで20万円で、パーツ代が15万円、完成車で30万円?計算が合わない?そうだね。

完成車はもともとお得な値付けになっていて、フレーム+パーツで最初から揃えると値段が高くなるのだ。

まぁ、そんな感じで、プロショップでパーツを入れ替えてもらう工賃を考えると…よっぽど掘り出し物のフレームが見つからない限り、新車を買った方が安くつくということになる。

で、まぁ、落車とかならまだしも、バイクを横倒しにしただけで、フレームがオシャカになるようなトラブルが頻発すると、あまりにもアレだ。

バイクを倒した時、ヒットしやすいのがリアディレーラー。フレームとディレーラーを繋いでいる部分がぶっ壊れて、フレームがお釈迦になるとまずい。

そこで、考え出されたのがリプレーサブル(交換式)ディレーラーハンガー。そこの部分を、交換可能にして、あえて柔らかいアルミニウムで作って、いざというときにはそこが壊れることで、フレームを救おうという理屈だ。

フルサスマウンテンバイクの、GT はこんな感じのパーツがついている。フレームの後端の一部とハンガーが一体化していて、奥がオリジナル。
手前が改良型で太い

どうやらハンガーが曲がるトラブルが多かったようだ。手前が交換用パーツなのだが、肉厚になって強度が上がっている。フレームとは、ボルト2本で結合される。

MTB用ディレーラーはぶつけにくいように引っ込んでいる

変形の度合いが少なければ、歪みをチェックして修正する工具を使うことはできる。ただ、柔らかいアルミでできているハンガーを、力技で変形させるという…荒技なので、お勧めはしない。

テコの応用でグイッとな

最初に書いた3つのトラブルのうち、典型的な症状は2番。

2. ペダルを逆回転させると、スプロケットの上でチェーンが暴れる

こうなったら、ディレーラーハンガーを取り寄せして交換するべき。それでも治らなければ、信頼できるプロショップでフレームそのものの芯がずれていないかチェックしてもらうのがいいだろう。

つづく

注1 マジな競技用のバイクは、ライダー+装備で何キロまで耐えられるかという制限重量が設定されている。気になるようならば、マニュアルや、メーカーのHPを確認してください。

注2 普通の人が最初に買うスポーツバイクの値段は、多分20万円くらいが限度なんじゃないかなぁ。あんなエンジンもついてない奴に、そんな値段がついてるのがおかしいって思うでしょ?でもまぁ、スポーツバイクの裾ものは、ロードなら8万円、MTBのハードテイルなら10万円、ロードの中級グレードとMTBフルサスのボトムラインが30万円くらいですかね。だんだんと感覚が麻痺しますので、注意ねw