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2024年9月6日金曜日

ブナ立て尾根から烏帽子…はずみで…船窪へ周回

登山をしていると、「日本三大なんとか」を目にするようになる。

剣岳早月尾根とか谷川岳西黒尾根とか燕岳合戦尾根とか甲斐駒ヶ岳黒戸尾根烏帽子岳ブナ立て尾根とか…がいわゆる急登コース。組み合わせによって、日本三大急登とか、アルプス三大急登とか呼ばれている。

ボクは西黒尾根は何度も何度も、合戦尾根も黒戸尾根も数回登っている。未踏のうち、早月尾根は先日登ったので、ブナ立て尾根が残っている。

今のうちに登ろうか、そう考えてルートを検討したところ、日帰りで同一ルートの往復なら問題なさそう(注)。そんでもって、烏帽子岳の登頂時間によっては、船窪岳縦走して七倉尾根降りるのもできそう。

てな感じでスタートした。
こんな感じでした

航空写真で、沢筋が白く写っているけど、これが全部崩壊地。風化花崗岩が崩れ落ちて、堆積した岩屑が白く写っているの。

スタートはいつも通り真っ暗。剛脚の皆さんには分からない悲しみw

最初のトンネル
アプローチは車道。いくつもトンネルを通っていく。
トンネルとトンネルの間で、東の空を見る。

夜明けはまだ遠い
車道は管理用道路なので狭くて暗い。
割と怖い
ダムを超えて車道が終わって吊り橋を渡る。
崩壊地の河原を貫く橋

ここにはキャンプ指定地と水場があるはずなんだけれど、土石流が出たようで閉鎖されている。現地を見て納得。

埋まっとりますがな

花崗岩のガラで埋まった川原を詰めると、登山口がある。
ブナ立て尾根スタート

ここまでの車道アプローチが結構長い。自転車とか使えば時間短縮ができるんだろうけれど、「自転車を含めて車両侵入禁止」なので歩くしか無い。でもまぁ、自転車デポするとピストンコース確定になっちゃうので、歩く代わりに先が自由なのもまた良い。

注意書き
尾根の取り付きは崖になっているので、そこを通過するための階段がある。

入り口の階段
樹林の間から、今日行くはずの尾根がチラチラ見えるが、基本的に…谷川岳周辺みたいな登山道。違いと言えば、管理具合かな。白毛門への急登とか、段差が大きいし、洗い堀があったり、根っこだらけだったりして甚だ歩きにくい。それに比べてこちらは、なんなら走れそうなくらい足元がいい。走らんけどね

道標や階段

もしかしたら歩く稜線
割とあっけなく稜線に飛び出し、少し降ると烏帽子小屋。

烏帽子小屋

ここは、今から20年以上前に来たことがある。北アルプス全山縦走(上高地→親不知)にチャレンジしたとき、テン場をお借りした。
懐かしい
管理が行き届いていた、そんな記憶通りの佇まい。
野口五郎岳
その時は9月で、野口五郎小屋がクローズしていたのに気が付いていなかった。幸い早立ちしていて時間に余裕はあったので、ここまで北上してきて泊まったのだ。

烏帽子岳への縦走路に入る。
赤牛水晶
以前、黒部湖から読売新道を上がり、赤牛、水晶へ登ったことがある。その時の稜線が目の前に広がる。その向こうの、横に広く白い山陵は薬師岳。
烏帽子岳
烏帽子に近づくにつれ、奥黒部の視界が広がってくる。
左奥の黒部五郎から薬師岳の稜線
小さいピークを超えると目の前に烏帽子岳。

烏帽子岳と南沢岳
ぱっと見では登攀困難な岩塔だけれども、横を巻いて登れる。
オベリスク

花崗岩の岩壁

鎖の登攀路

見た目より難易度低め

鎖場トラバース

野口吾郎
狭い山頂から少し下に、山頂標識がある。

撮るよね
北側の視界はこんな感じ。
南沢岳と船窪岳の間のコルの向こうは針ノ木岳、その右側が蓮華岳。
南沢岳と船窪岳

シン山頂…無理です

剱岳
高所恐怖症なのでとっとと降りる。時間は予定よりも早いので、このまま縦走路を周回することにした ← フラグ

池塘

七竈

南沢岳

南沢岳手前の池塘帯

アルプス的な…あ、北アルプスか…

けなげに頑張る

南沢岳

針ノ木と蓮華岳

立山と剣岳


槍穂高方面

船窪岳へのコルへ降る

崩壊地のすぐ脇を辿る

スリップしたら死ぬ

通ってきた

振り返る


不動岳通過



でまぁ、ボクは南沢岳から船窪岳のコルが核心である、そう記憶していたわけです。

抉れたコル
で…
実際は、そこから七倉岳への縦走路のほうが核心でした。

深い

マジでこぇーよ

いやいやいやいや…
滑落停止用にアックスとクランポンが欲しい、そんな地形が連続する。

船窪岳の道標がいくつもあって、もはやどれがどれだか良くわからないw


いい加減うんざりしてきたところで、見覚えのある場所についた。船窪小屋キャンプ指定地。20数年まえにもここに泊まった。キャンプ装備満載のバックパックを背負って、今日のルートを通った時のことが蘇る。

2度とこねーよこんなルート…死ぬかと思った…

来ちゃったわけだけどね…
懐かしいキャンプ地
このテン場から少し降ると水場があった。当時から「危険、要注意」とされていたが、今はついに使用禁止となっていた。

テン場から急なハシゴと階段を登ると船窪小屋。

コーラが置いていなかったので、C1000と水を買う。冷蔵庫が無いとのことで、常温だったがあるだけありがたい。

ここから七倉尾根を下って、下に見えるダム湖のさらに下まで降る。
ダム湖が遠い
ブナ立て尾根とほぼ同じような標高差なので、登りでかかった時間とだいたい同じ時間で降れるはず。そうすれば、ギリギリ日があるうちに車道まで出られるはず。
天狗の庭

ダムが見えた
やがて道はハイマツ帯をすぎ、樹林帯に入る。
胸突八丁

唐沢のぞき
目論見通り、日暮れ直前に車道に着いた。

七倉登山口

コースプロファイル

ここから車を運転して帰るのが、ちょっと信じられない。まぁなんとかなるでしょう。

コースは大変厳しかった。でも、体力を上手にコントロールして、危険を丁寧に避け、計画通りに完遂できたのは嬉しいな。なんとなく、自分が登山者として、自立できていると感じる。そんな充実した1日でした。


注: 経験上、ボクは100mの標高差を登るときは15分、降るときは10分かかる。つまり、1時間あれば400m登れるし、600m下れということ。

面白いことに、荷物が多くても少なくても、傾斜が急でもゆるくてもこのペースはほとんど変わらないのだ。