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2023年10月16日月曜日

Ride28 榛名山周回

しばらく身体を動かしていないので、筋肉がなんとなく…こう…わかるよね(語彙力)
てなわけでポタリングに出動。
利根川CRを上流へ
勝手知ったる道を上流に向かう。
ですよね
バイパスができて、車ではめっきり前を通らなくなった店。何か買い物をと思ったけど、自転車なのでそのまま通り過ぎる。
創業何年だろうか?
昔の酒屋さん、呉服屋さんは、店構えを北か東向きに取る。直射日光による熱と紫外線が、扱っている品物には大敵だからだ。この店は正しく北向き。

車だとピューんと通り過ぎるこんな場所にも、今日は立ち寄ってみようか。
全容
こうやってしげしげと見るのは、実は初めて。
投入堂的な?
岩盤の祠って独特の雰囲気があって好き。
めり込んでらっしゃいます

祠の裏側

岩との距離感
でまぁ、さらに上流に進んで行くと、またしても「よく前を通りかかるんだけど未訪問」の場所へ。

道路っぱたに駐輪して、階段を登って5分の仙人窟。
どーん

ご本尊

見守り隊
こちらの洞窟は広くて奥行きもある
内側から

修行してみるかなぁしないけど

仙人窟を後にして

ちょっとした階段を上がる
すぐそこにもう一つ見所があるみたいなことが書いてあった。
穴をくぐる

妙義山の第3石門みたい


額縁

舞台



自転車に戻って、ちょっと走ると大戸の関所跡。こちらはどのような関所だったのか、よくわかっていないようで、想像で作ってみたと書いてあった。正直w
イメージによる復元だそうです
そこから普通に先に進むと、もう何度も通った道に出る。それもつまらないので、脇道にそれたら、思いもよらないヒルクライム。

なんか…このまま行ったら榛名湖についちゃうねってところで榛名山の中腹をトラバースして倉淵に出る。

古墳〜


ログはこんな感じ

ま、そんな感じで(雑)トレーニング終了。
ポタリングのつもりだったんだけど、なんだかんだで100km 獲得標高1,000m 越えで良い負荷になりました。

時間はまだ早いので、上半身を鍛えにボルダリングジムへ。
2種目目
渋川のボルダリングジム、ランドマークさんで軽く登って終了。

2023年10月4日水曜日

学生寮の話(四季を感じて・冬)

 「学生寮の話(世間との闘い)」でちらっと書いたのだけれど、寮にはほんのわずかなスペースを除いて冷房は無かった。

暖房はあった。あったのだが、それはセントラルヒーティング。地下にあるボイラーでお湯を沸かし、パイプで送り出す。各部屋には放熱器(ラジエーター)があって、お湯の熱を放出することで…部屋が暖まる、理論的には…
ラジエーター
*画像はwikipediaより*

鉄筋コンクリート造り4階建ての学生寮、冬の住環境がもっとも過酷だったのは、またしても4階だ。単純にボイラー室から一番遠いから、熱湯が上がってこない。しかもボイラーを焚いてくれるのは、日暮から夜10時くらいまでなのだ。

夜ボイラー止まる、夜中から朝まで、ラジエーターから配管から全部冷め切る。

夕方気温が下がってきたところでボイラー焚いて、お湯が配管に出ていって、周辺あっためて、1階あっためて、2階あっためて、3階あっためて、4階…行く頃には夜の10時になってボイラー落ちる。

暖房ぜんぜん効かへんのに、寮費が同じっての納得いかんやん?

4階住人はそんなふうにボヤキ、2階か3階の部屋に避難してタムロするのだ。

1階はどうかというと、ボイラー室から近すぎて、そこは熱帯。

ラジエーターには通水バルブが付いていて、お湯の流入量を調整できるようになっている。バルブを「全閉」にしていても、パイプを伝わってくる熱なのかなんなのか、ラジエーターはチンチンに温まり、部屋は熱帯になる。

北関東出身で寒さに慣れている学生(北海道出身者は意外と寒さに弱い)とかには、1階はあまりにも暑すぎる。寮長さん(寮監・定年退職された管理人さん)に、なんとかならないかと話をした奴もいた。

それくらい温度を上げないと、2階・3階が温まらないから我慢しなさい

そんなわけで、1階の住人は、冬でも部屋の中ではタンクトップかTシャツにトランクス。ただ、↑の通り暑いのはボイラー焚いている間だけで、それ以外の時間は…普通に冬。

暑過ぎてほぼ裸でドア開けっ放しで、うっかり寝落ちして、深夜に目が覚めたら凍死寸前だった奴もいた。

あ、そうそう、セントラルヒーティングの大きな欠点を書き忘れるところだった。

セントラルヒーティングとは、ボイラーが熱源で、そこで温められたお湯というかスチームが館内に張り巡らされたパイプを巡る。巡った先で、ラジエーターで放熱して各所を暖めるというシステムだ。

ヒーティングパイプは建設現場の足場に使われる単管パイプを肉厚にしたような代物で、途中で熱が逃げないように断熱材を巻かれたり、壁や天井裏に埋め込まれたりして隅々まで延ばされている。

ここで問題なのは、鉄でできているヒーティングパイプと、それを壁に取り付けるステー(金具)と、壁の材質である鉄筋コンクリートとか木材とか、全部「熱膨張率が違う」。熱膨張率が違うのに加えて、熱が入るタイミングも違う。

パイプにスチームが入ってくると、パイプが温まって伸びる。ところが取り付け先のコンクリートには、熱がまだ伝わっていないので伸びない。そうなると、パイプとコンクリートの壁をつなぐステーが変なふうに引っ張られて、ズレるのか捩れるのか?音が出る。

単に何かと何かがズレているだけのはずなのに、その音は…単管パイプをハンマーで叩くような音になる。日が沈んで、ボイラーに火が入った後、僕らの部屋ではこんな音がする。

シューーーッ…シュッシューーーーッ (スチームが回り始める音)

カンッ!

カカカカカッカカンカーン……コーン…ココココココカーン…

ガッガガン

コンコンコンシューーーシュシュシュシュカーンコココココーン

ガン

ガォゴンガガガガガッガガアガシュシュコーンガガッガコンコンコンコンカーン

シュバシュバシュバプシューカコンココン

でねぇ、このラジエーターが僕らの部屋ではベッドの脇にある訳ですよ。ベッドに横たわると、枕元1.2mのラジエーターからこの音が30分くらい響きわたる。

ボイラーの火入れならまだいい。夕暮れ時で、みんな起きてるし、その時間はみんな食堂に行ってたり風呂入ってたり、誰かの部屋で飲んでたりするから。

ボイラーの火を落とす時、夜の10時過ぎ、熱膨張率のイタズラは逆方向に働く。熱が徐々に逃げていくのでねぇ、これ、なかなか音が収まらないのよ。1時間ちょっとくらいはこの音が続く。

シュバシュバシュバプシューカコンココン

ガォゴンガガガガガッガガアガシュシュコーンガガッガコンコンコンコンカーン

 

 
カカカカカッカカンカーン……コーン…ココココココカーン…

 

コンコンコンシューーーシュシュシュシュカーンコココココーン

 

シューーーッ…シュッシューーーーッ




ふう、ようやく収まったか、そんなタイミングでいきなり不意打ちが来る








カンッ!

 

シュシュシューーー




パイプを伝わってきてラジエーターで放出されるこの音は、不思議なことに1階でも4階でも大した違いは無かった。

気の毒なのは、4階の住人で、セントラルヒーティングの恩恵にはほぼ与れないのに、この騒音問題は等しく影響を受けていたのだ。

まぁそんなわけで、夏に引き続き冬も、4階建の学生寮でもっとも不人気だったのは4階、僅差で1階だった。

えっ?僕?

僕は、入寮時2階、3年次の部屋替もうまく立ち回って2階。

上手くやったなー! だって?

まぁね…

夏も冬も、1階と4階の住人が避難してきてタムロしてることを除けば、ラッキーだったかもね www

2023年10月2日月曜日

引越し前に最後のBBQ

訳あって、転居することになった。
いろいろと思うところはある、いや、あった。

この家も築後10年経って、いろいろなところが壊れ始めている。メンテナンスとか、必要なところもあって、自分でフォローできるところは手入れしているけれど…これ以上はオーナーさんが責任を持って直して欲しいなぁってところが増えてきた。

ま、そんなわけで、退去することにして、SNSでBBQを誘ったら数家族が集まってくれたという記録。
スペアリブソースをつくる
メインはスペアリブ。
ソースを作りながら、リブをおおまかにカットして下拵えをする。
何屋だよw
僕がスペアリブを作る時に気をつけているのは、しっかり火を入れること。豚肉だしネ。

しっかり火が入っているのに、ジューシーでプルプルしているスペアリブ。それを作るためにいろいろ考えている。
おやすみスペアリブ
今日集まるのは、犬がいる家族たち。普段より、ドッグランを広くしたいなと考えて、ネットの位置を移動させておく。
普段の5割マシのドッグラン
愉快な仲間たちが、東京やら横浜やらを出発した。そんな連絡を確認して、最後の仕上げに入る。
魂を込める火入れ
スモークの隠し味
僕のスペアリブはちょっと燻製風味。
切り分け
今日は北風が強い日、タープが風をはらむ。
ロングペグでガッチリ固定
風が強いグンマーでBBQやってるわけで、タープは、強度・剛性考慮したオーバーサイズ(太径)のメインポールで張っている。ペグももちろんロングタイプなんで、ちょっとやそっとの風なら無問題。
pizza time!
敷地の北側に家屋が建っているので、日当たりのいい南側は風裏になる。
あはは
トイプー3頭+ボーダーコリー1頭の集いスタート
みんな大好きサツマイモ
こうやって、友達が来てくれて、いい家だったなぁ。




みんなありがとう

4年半住まわせてもらった感謝と、少しの寂しさと、新しい環境へのワクワク。
今度の住まいに庭はないけれど、引き続き面白いことをやりたいと思っています。

遊びにきてね。

あ、奥様はどうしても抜けられない仕事で不在でした…

2023年9月27日水曜日

学生寮の話 (四季を感じて・夏)

「学生寮の話(世間との闘い)」でちらっと書いたのだけれど、寮には空調設備が無かった。

僕が住んでいた学生寮は、硬派(死語)を気取っていた。

硬派であるとは、暑いとか寒いとかゴタゴタ言わずに、質実剛健、豪放無頼、人生適当を旨とするのである。

寒くて死ぬやつはいるが、暑くて死ぬやつはいない

帝国陸軍のような考えのもと、冷房は共用スペースのごく一部にしか無かった


いらすとや様よりお借りしました

そんな環境に住んでいると、季節の移ろいを肌身で感じるようになる。

学生寮は鉄筋コンクリート造りの4階建てだった。

住環境的にもっとも過酷だったのは4階だ。夏の日射に照らされて、屋上のコンクリートスラブは裸足で歩けないくらいに熱くなる。それが4階の天井になるわけだから、昼間はもちろん熱伝導で暑い。

夜になったら涼しいかというと、そんなことはない。夜風が一番通るのは確かに4階だ。けれども、そもそもコンクリートは蓄熱性に優れている。昼間たっぷり太陽に炙られて蓄熱した天井は、夜になるとジワジワジワジワ室内に向かって放熱する。

あれなぁ、天井一面に電気ストーブ埋め込まれてるようなもんやで

4階住人はそんなふうにボヤキ、2階か3階の部屋に避難してタムロするのだ。

1階はどうかというと、日射の影響は少ないが、そこは虫地獄。僕らの北寮と南寮の間には緑豊かな中庭があり、そこには数多の昆虫類と、それを狙う両生類、爬虫類の皆々様が生息していた。

寮の窓には網戸が付いていなかった。いや、付いていたのかもしれないが、きちんとメンテナンスされて機能を果たしている網戸はほぼ存在していなかった。

1階の部屋でタムロして飲む時は、横に置いてある蚊取り線香の火で、お気に入りのトランクスに穴を開けないように気を付ける必要があったものだ。寮生どうしすれ違う時、金鳥のうずまきの臭いがすると、だいたい1階の学生だった。

開放的な1階の窓から藪蚊が入ってくる、 プーーーん
藪蚊を追いかけてカエルが入ってくる、 ピョーン
カエルを追いかけてトカゲが入ってくる、 サワサワ
トカゲを追いかけて蛇が入ってくる、 ニョロニョロ

そんな食物連鎖のピラミッド構造を、ベッドから横目で見るだけで学べるのが1階だった。

僕ら寮生は、地方出身者が多かった。田舎で生まれ育った寮生は虫には慣れているので、1階の虫地獄は基本無問題だった。しかし、一部関西都市圏出身者、大阪・神戸・奈良とか?にとって、1階はかなり過酷な環境だった筈だ。

あ、そうそう、中庭にはゴキちゃんも多数生息していた。

ある友人は、机の上にうっかり食べ物を置いて寝てしまった。翌朝、ふと見たら…机の上が茶色くワサワサ波打っていて、良くみたらそれが小さめのゴキちゃんだった…

別の友人は、ベッドで飯を食いながら寝落ちした。ふと気がついたら枕やシーツにこぼれ落ちた食べ物のカスを狙って、ヤツラが目の前10cmで集結しているのを見てしまった。

あれは相当のトラウマだとぼやく友人に、横から誰かが慰めるように言う。

あいつら基本落ち葉しか食うてへんから、 
街のゴキちゃんちごうて清潔なんやで

まぁでもだからと言って、その誰かが積極的に1階の部屋を選ぶかと言ったらそれは無いのだが。4階建の学生寮でもっとも人気だったのは2階、次が3階であったのはそんな理由だった。

2023年9月25日月曜日

Ride27 BRM924雲海を見に行こう300km 完走

今年からブルベという遊びを始めた。

ブルベデビューは今年の6月。無事に完走してメダルゲットして、なんとなくブルベっていいなぁと思った。

今回は2回目のブルベ…300km

えっ?ブルベ2回目でいきなり300kmって大丈夫なの?って思うかもしれない。

自身のワンプッシュの最長はTDL往復280km。これはアップダウンが無いので参考にはならないけど…他にも200~250kmくらいのライドは結構経験している。グンマーから銚子港(230km)、寺泊港(230km)とかね。完走したAJPの最長は240km。

そんなわけで、300kmの距離は、それなりに勝算がある…あるのだけれども、大きな不安要素が3つ

スタート地点まで200km超のドライブ 
深夜0時スタート
浄土平へのヒルクライム

少しでも睡眠時間を確保したかったので、前日は午後半休を取った。帰宅して準備してシャワーを浴びてすぐ出発。途中のSAで仮眠を取った。眠れはしなかったけれど、目を瞑ってリラックスするようにして、ウツラウツラはできたかな。

当日走り出したらもう一つの不安要素が降りてきた、それは気温の変化。
夜間走行12度…サムっ
夜間スタート時は寒いのだけれど、昼間はポカポカ陽気になる見込み。クロージング(ウェアね)の選定が難しい。

会津坂下あたりから、以前DNFしたAJPと同じルートを辿る。AJPのルートは、猪苗代湖のすぐ脇を通っているのに、猪苗代湖の姿は見られないという「焦らしプレイ」。
猪苗代湖が近い
AJPのルートから離れて、猪苗代湖につながっている湿原地帯に入る。
湿原
猪苗代湖
ついに会えたね猪苗代湖。
ほんでもって、会津坂下からここまで500m くらい登らされてるんですが。
スワン
チェックポイントのセブンイレブンで、改めてルートを確認する。

ふむふむ、ここの標高は500mで…
折り返し点の浄土平までは標高差は 1,000m…ちょいね…
ざっとここまでコツコツと積んだ貯金と合わせて計算すると、この標高差を3時間で走ればなんとかなる…

行けるかーーーー!!!💢

まぁ、帰りは降り基調なんで、借金1時間程度までなら取り返せるかも…てなわけで走り出す。
お、おう…笑
登りの斜度が結構エグい場所があって、観光客の皆さんの車が横を結構なスピードでパスしていく。
暑いけど風は寒い
気温は低いのだけれど、日差しは暑い。
DNFがチラついてくる
写真を撮るフリをしながら休む。

僕の今までの経験だけれど、ヒルクライムで「押し」と「頻繁な休憩」が入らなければ、ブルベの制限時間には間に合う。どんなにゆっくりであっても、僕のバイクの、フロント24t リア34tを信じて「漕ぎ続ければ」制限時間には間に合うはずだ。
写真を撮るフリして休む
とは言え、今のペースだと復路の借金が返せないくらい嵩みそう。
向かいの尾根の右端から上がってきた
ようやく…このヒルクライムの…最高地点にやってきた!
道路最高点1,622m…ん?

浄土平って1,500mくらいだったよね?
なんで着かないんだろう?浄土平?って思ってたら、こっから降るんかいーーー!!
えっ?往路ゴールここじゃないの?
そう、つまり、最高標高点を通り過ぎて「一度浄土平まで下って」、改めて「道路最高点まで登り返す」というルート。
証拠写真
借金1時間超…
浄土平観光無しに、写真撮って速攻で引き返す。
観光余地ナッシング
今度…車で来ようかなw
結局帰りも夜間走行
もう復路は休憩ミニマム
喜多方ラーメンとか、余裕無し
隙があればペダルを回す
上り坂(また、この会津から新潟までの、県境ヒルクライムがきつい)はひたすら我慢
下りはスピード出しすぎると危ないので、脚を休ませる

結局、最後の最後で、「スタートゴール地点」に戻るのに峠を越えるという…
あの…
コース設定した人…
サドですか?
この疲れ切った脚で最後の最後に峠を越えないと帰れないって…

あんた、鬼や

結局、なんとか45分の貯金を作ってゴール
ログはこんな感じ

しみじみ思うけど、もうちょっと減量しないとダメだな。
重力に逆らうヒルクライム、僕の体重をもう三キロ、できれば五キロ減らさないと、完走率をあげるのは難しそう。

疲れ切って、帰りの高速が危なかったのでPAで仮眠。

翌朝…
営業しているお店が全然なくて…

ついつい 山岡家にIn
翌朝食
ネギ味噌チャーシューメン…大盛り…美味しゅうございました

これやってるから、減量できないんだよなぁぁ

2023年9月13日水曜日

学生寮の話 (世間との闘い)

僕が住んでいた学生寮を出て小道を進み、胸突坂を下ると神田川に出る。

神田川を渡って、古い住宅と、新しいワンルームマンションと、本や雑誌の小さな工場(こうば)が雑然と並ぶところを通り過ぎると、母校の講堂が木立の向こうに見えてくる。

いつもの通り寝坊した僕は、いつもの通り最低限の荷物を突っ込んだリュックを背にし、いつもの通り慌てて寮を出た。

胸突坂を駆けるように下り切ったところで、神田川の橋の上を、急ぎ足で戻ってくる橋本(仮名)が目に入った。

オウ!

橋本はそう声を出して僕の注意を引くと、

お前もかぁ!それ!それ!

と呆れたようであり、ちょっと浮かれたような口調で僕の腰のあたりを指差した。

アッ…

そして僕とヤツは肩を並べて引き返し、狭い胸突坂を登り返して寮に戻った。

写真と本文は関係ありません

話は少し変わるが、80年代の半ばを過ぎた辺りは、バブルの真っ只中だった。景気は良くて当たり前で、世の中は活気に満ちていて、新しいコンセプト、素材、デザインがどんどん生み出されていて、ファッションも目まぐるしく変化していた。

そんな空気感ではあったのだが、僕を含めて寮生の大多数はファッションに興味は無かった。男ばかりが300人近く住んでいる寮、そんなところで青春のリピドー青春の貴重な4年間を過ごそうというのは、やっぱりちょっと変わっていて、地方の男子校から、男ばかりの大学に進んだという奴らが多かったと思う。

ファッションに疎い僕らではあったのだが、服飾史に残るであろう大変革には飲み込まれていた。

その中で、僕らにとっての ディープ・インパクトは、そう、トランクス。

BVD Fujibo様のサイトよりお借りしました

当時、男子学生の下着と言えば、ブリーフが宇宙の中心を占めていた。ブリーフのブランド品と言えば「GUNZE」で、木綿100%の純白が基本だった。学生寮には大浴場があったのだが、そこでの観察結果もほぼ全員がブリーフ。ごく僅か…「ふんどし」を愛用する漢もいたけれども、彼らは例外中の例外だった。

そこにトランクスが登場し、僕らの心を鷲掴みにした。

すずしい
締め付けない
おキンキンが蒸れない
おティンティンの形が出ない(出る場合もあるけどな…)

僕ら寮生は、夜な夜な誰かの部屋に集まって酒を飲んだ。冷房なんて付いていないから、梅雨時くらいから秋深まるまでは暑い。暑いから薄着になりたいのだけれど、ブリーフでアグラはさすがに礼儀としてまずい。

だがしかし、トランクスならどうだ?

あれはほぼ短パンみたいなものであって、丈の短い短パンみたいなものであって、丈が短いから変に捲れ上がってアレがポロリンちょしない限りは短パンみたいなものである。

そんなわけで、僕らの寮ではちょっとした下着革命が起こった。

もう…一日中トランクスにTシャツかタンクトップが当たり前。寮内では上半身裸で闊歩することも黙認(流石に食堂で裸は注意されたが)されることになった。

そんなトランクスにもいくつか欠点があった。小さな欠点としては、ジーパンの中で裾がずり上がること。こうなると、ブリーフの裾にシワシワの蛇腹が縫い付けられているような見かけになって、オネエちゃんの前でいざと言う時にかっこ悪い、着心地が悪くなる。

そして、大きな、というか致命的な欠点なのだが…

トランクス ≒ 短パン であるという哲学的概念が、あまりにも一般化されすぎた社会で生きる僕たちにとって、トランクスは所詮は下着であるという倫理学的概念を持つ世間とが激しく衝突するということになる。

しばしば僕たちはうっかりトランクスで外出し、「世間」との世界線で激しいコンフリクトに出会い、すごすごと引き返すことになった。

そして、僕とか橋本みたいなW大生にとって、この世界線は神田川の橋の上に引かれていたのだった。

おしまい


追記: 
「トランクスゆるされるかも世界線」は、人によって、日によって違っていた。

一部の先輩は、トランクスで何も気にせずに通学していた。

僕も、よりによって単位を落とすかどうか瀬戸際のテストの朝、胸突坂の下でこの結界に突き当たり…寮に帰ったら間に合わないので、「世間の目という業火」を掻い潜って出席し「可」をゲットしたことはある。

この先輩と寮の風呂でトランクスの話になった時、二つの点で意見が一致した。「前開きで無いトランクスこそ危機管理の面で至高である」こと。もう一つは、「物干しから取り込む時、陽に透かしてうっすら向こうが見えるようになったら要注意」ということだった。あの先輩、今、何してるんかなぁ。

2023年9月9日土曜日

ハンドルバーテープ交換

夏休みの1週間で、バーテープが剥離を始めてしまった。

今回巻いたテープは3mm厚の高クッション素材を使用した物。普段使いに便利な製品を、気軽に買える値段で出しているブランドを選んでみたのだ。

でもなぁ、安くっても実質1週間で剥離しちゃったら意味ないよね。
表面剥離ペロン
ちょっと色が落ちたり、変色したりなら「味」でいいけど、剥離は手触りにも影響するから嫌。
ブラケットカバーもすでに摩耗が…
と言うことで潔く交換することにした。
クリームホワイトって意外とないので、今度は潔く白。
イメージ結構変わります
厚みも3mmは要らない気がするので、2mmに変更。
そもそも、バーテープの下にバージェル(クッションになるジェル素材シート)を貼ってあるんだよね。それにカーボンハンドルに変えてから、心なしか微振動がカットされているようで手の痺れが少なくて済んでいる。
フィジーク
以前巻いていた Fi'Zi:k のバーテープは、余裕で1シーズン持ってくれた。それが記憶にあったので、今回はフィジークに戻ることにした。
綺麗なバーテープは気持ちいい
バーテープの寿命前に、ブラケットカバーとシフトワイヤー交換のタイミングが来そう。ま、そうしたらまた気分を変えるために、バーテープも巻き替えすることにしましょうね。

おしまい