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2022年11月5日土曜日

レンタカーでオープンエアドライブ

僕が最初に手に入れた車は、スズキジムニー JA71のバン、軽自動車だった。

昔の軽自動車は2ストロークエンジンで排気量360cc。
衝突安全対策で車体が大きくなり、排気量規格は550ccまで拡大した。
排気ガス規制が厳しくなり、2ストロークでは対策ができずに絶滅。
キャブレターも廃れてEFIのみになり、エンジンは4ストロークになった。
必要最低限の燃料だけを吹いて、穏やかに回る上品なエンジンはパンチに欠け…

そんな550cc3気筒の小さなエンジンに、ターボチャージャーとインタークーラーつけて、パワーアップしたモデルがJA71-Ⅲ型のバンだった。
空が見えるドライブ
当時僕はスキーに狂っていて、毎週末はR17でスキー場に向かっていた。雪道でジムニーはレガシーの次くらいに無敵だった。高速では、一番左の車線が定位置だったけれど…

雪のない時期は、林道のどん詰まりで沢に降りて行水したり、湧き水でそうめんとか、うどんとか。野宿しつつ焼肉とかして、満足して乗っていたのだけれど…やがてジムニーの幌屋根モデルがどうしても気になるようになってきた。
アガる黄色、黄色っていいよね
結局早いタイミングで、ジムニーの幌屋根モデルJA11に乗り換えた。これは排気量が660ccに拡大された軽新規格で、発進とかの低速トルクが劇的に改善されていた。何よりも、幌屋根をガバッと開くと、頭上と後ろが完全にオープントップになるのが魅力だった。
曇り空もまたよろしい、日焼けしないし
ジムニーのヒーターは、幌屋根モデルを基準にしているらしい。断熱性に欠ける幌屋根でも、厳冬期のスキー場でも無問題でガンガン暖まる。さらに、僕が買ったJA11は、エアコンも装備していた。エアコンもジムニーの車体サイズにしてみればオーバースペックなものが装備されているらしい。

そんなわけで、ほぼ外みたいな幌屋根JA11でも、屋根をクローズすれば、ほぼ不満の無い空調が手に入る。

そして、天気に恵まれた日は、屋根を下ろして…ただ走るだけで楽しかった。
トンネルの反響音もまた楽しい
そんなジムニーに満足して乗っていたのだけれど、やがて…三菱ジープがどうしても気になってきた。

今はもう退役したけれど、一昔前、日本の自衛隊が正式採用していたのが三菱ジープ。これは、屋根が取れるのに加えて、ドアも外せる。そして、フロントのウインドシールドも前に倒すことができた。

「家族ができたらこんな車ぜったい持てない」と自分に言い聞かせ、「今しかない」と、三菱ジープ J59 を手に入れた。J59は、ガソリンエンジンの2000ccを積んでいた。J58, J59, J57 のガソリンジープは、低速トルクはヂーゼルエンジンには負ける。けれども、エンジンの吹け上がりとか、高速道路の巡行、低騒音・低振動に優れていた。
たーのしーーい!と奥様
でまぁ、その、前置きが長くなったけれど、 JA71から JA11経由 J59までという、「自分の好き勝手に車を選んでいた」時のチョイスとは「オープントップ」で「マニュアルシフト」で「ガソリンエンジン」だったんだ。 

結婚して、ジープが排ガス規制で都内で登録できなくなることが決まり、子供ができて、僕はオープンエア・モータリングにサヨナラした。
あやしい人
肩を手術して、ストレスの発散方法に悩んだ僕は、奥様と千葉に出かけたのだ。
そこに、ダイハツ・コペンという、軽のオープントップスポーツカーをレンタルしてくれるところがあったから。

そのショップのHPとブログを読んでいるうちに、僕は…もう一度空を見ながらドライブしたいという気持ちを抑えられなくなった。

ショップで黄色いコペンを受け取ると、まずは僕がハンドルを握った。もよりの港町を目指して峠を超え、海岸線に出て走る。
港町のお寿司
なんというか、もう、「あぁこれこれ」という感じ。このコペンという車、ジムニーとかに比べるとずっと繊細でダイレクトな操作感。そしてオープンエア。コペンでスノースポーツとかキャンプとかは無理がある。だけれど、車を複数台持てるなら、そのうちの一台をこんな車にできたら幸せだろうね。

お寿司のランチを済ませて、帰り道は奥様がハンドルを握る。

奥様はずっと笑顔で、楽しいと言い続けていた。

そうだよね、僕たちはJ59でキャンプに出かけていた。

幌屋根と幌ドアを外し、フロントのウインドスクリーンを倒し、リアにはキャンプ道具を満載して、キャンプに出かけていたのだから。

J59にはエアコンがない。猛暑の日には、頭の上だけ申し訳程度の屋根(ビキニトップという幌屋根)を張り、リアに積んだクーラーボックスから、氷水のボトルを取り出して、飲み、頭からブッカケて…二人で山に向かっていたのだから。
帰り道のSAでご褒美ゴディバ
あー楽しかったねーと、奥様
でまぁ、そこのショップは、整備済み中古のコペンも売っていた。
僕はそのうちの一台、黄色のヤツに心を奪われてしまった。

過走行だけれども、ボディの状態は良く、機関系・冷却系のパーツも交換済み。
基本ノーマル&純正で、なによりもシートが綺麗でヘタリがない。

そして、僕は…ひとまず娘が無事に大学を卒業するまで…学費をちゃんと払い終わるまでは、と、魔法の呪文を呟きながらそこを去った。

死ぬまでには、一度、コペンの旧型を手に入れて…遠くまで走りに行きたい。
当然屋根を降ろして。

そんな、新しい人生における目標ができた秋の一日(おおげさ)