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2025年10月1日水曜日

自分史上もっとも過酷なブルベに挑戦した話

以前の投稿でボクは、「DNFは勇者の証」と書いた。自分の限界に挑戦した結果のDNFは決して敗北では無く、勲章である、みたいなことを書いた。

でも…そんなこと書いてる自分は…どうか?

加齢と衰えを言い訳に、限界っぽい挑戦をしていないんじゃないか?そんなふうに自問自答をして、エントリーしたのが 300kmで 4,300m+アップのブルベ。

ただ、これが走れないとSRが取れない。それは困るので、保険の意味で1週間前に別の300kmを走っておいた。もうSRは確定したので、途中で嫌になったらやめればいいや、もう歳も歳だしネ…

さて、ブルベのルートの難易度には2つの要素がある。一つは言うまでもなく走行距離。もう一つは獲得標高だ。この組み合わせでそのブルベが、どれぐらい困難であるかが「だいたい」分かる。

ボクは登りが苦手なので、長くてもフラット気味なルートのほうが得意だ。そんなボクがほぼほぼ完走できると判断するのは、距離200kmなら獲得標高2,000mくらいまで。300kmなら 3,000m くらいまでなら、貯金を持ってゴールできる。これが400kmくらいになると疲労が蓄積されるので、獲得標高が3,500mくらいが完走できそうなプロファイルになり、600km になれば4,000mくらいになる。

今回のブルベは、300kmの4,300m アップ…
距離が短いので、貯金を稼げるボーナス区間もほとんどない。小さなタイムロスを丁寧に潰して、トラブルを避けるのが最重要になる。

ただでさえ鈍る思考力、限られた時間…安全に完走するには、「いかに余計なことを考えないで済むように準備するか」が重要になってくる。

ポイントのメモ
最近やっているのがこれ。マスキングテープに、チェックポイント(CP)の距離と名称を書いて見えるところに貼っておく。コンビニがCPになっていれば、レシートをもらい、それをブルベカードにこのマスキングテープで貼っておく。こうすれば、CP不通過も、CP間違えも、レシート紛失も避けることができる。

今回はこれに加えて、顕著なピーク(峠)の標高と、走行距離も貼り付けた。ペース配分を上手にやって、脚を残しておかないと帰って来れなくなるからだ。

前夜に天気予報をチェックしたら、天候も風向きも上々。わずかに残っていた降雨予報も消えたので、前後のドロヨケを外し、レインパンツは置いていく。レインジャケットは、モンベルのゴアテックスで、ウインドブレーカーがわりにも有用なので持っていく。

スタート地点の高崎まで車で移動し、秋晴れの中を走り出す。

安中杉並木

横川を通って坂本宿でダブルボトルを満タンにする。ここまで脚を使わないように気をつけていたのでペースは遅いけれども、20分程度の貯金ができていた。

碓氷峠は斜度はそんなにキツくない、けど、距離が長い。焦らず軽いギアで、クルクル回して登っていく。

メガネ橋

自分史上最もラクに、疲労を溜めずに碓氷峠旧道トップに抜けた。
碓氷峠旧道最高点

ここのカーブは184箇所。
碓氷は184(イヤヨ)

軽井沢を過ぎて中仙道に入り、宿場町を辿っていく。
望月宿入口

次の峠は、笠取峠。ここを走るのは2回目だ。佐久南に車を駐車して自転車で走り出し、ここを通って池の平へ出て、麦草峠を越えて佐久南に戻ったことがある。その時に、短いけれど割と大変な印象があった。

笠取峠峠松並木

その時気になっていたけれど、見ていなかった松並木。
笠取峠最高点

ピューっと降ってから、和田峠に向かって長い登りが始まる。
中仙道(和田宿周辺)

この辺の旧道をのんびり歩いてみるのもなかなか楽しいんじゃないか、そんなふうに感じる。それこそ Bike & Hike がいい。峠のてっぺんに自転車をデポしておいて、麓からハイクアップする。てっぺんで自転車に乗って、シャーーーって車まで戻ればいい。今度やってみよう。

和田峠の茶屋(廃墟)

和田峠の旧道をそのまま越えていくのが今回のオリジナルルート。ところが、峠の諏訪側が豪雨災害のため通行止め。そんなわけで、一度ビーナスラインに上がって霧ヶ峰を通って諏訪湖に降りる。
ビーナスライン(車山のドーム)

このコース変更のおかげで、距離は10km弱、獲得標高も数百メート増え、ボクにとっての難易度はさらに上がっている。薄い空気の中、余力を削らずかつ速度を維持するようにしながら前へ進む。
霧ヶ峰
霧ヶ峰の通過チェックで時間を見たら、次のチェックポイントまで1時間を切っている…

油圧ディスクブレーキさん…ありがとう…そう叫びながらダウンヒルで借金を返すアブナイ
高島城

CP2の足切りタイムは16時だった。

レジに駆け込んだボクの受け取ったレシートは 15:59の印字wwwww

これ実はCP2の直前でいろいろあった。

ファミマがチェックポイントだったのに、その手前のセブンにボクは入ってしまった。ボクに釣られて後続の Bianch 乗りの人も入ってきて、レシートもらって、あー時間に間に合って良かった〜ってところで、そのBianch さんが「ん?CP2ってファミマな気が?」って気がついてくれたの。あっ!!!ってんで、二人とも鬼立ち漕ぎでファミマに移動して、ギリギリ通過ってなったのだ。

この Bianch 乗りの人、見覚えがあったので尋ねてみたら、やっぱり以前一緒に走ったことのある人だった。一昨年(2023)の銚子400で寒さに震えつつ、コンビニの駐車場でホットドリンクを啜っていた時になんどか出会って話した人だった。バイクとホイール、そして、いかにも優しそうな笑顔で楽しそうに話すので覚えていたのだ。

そんなわけでドタバタしたのでw、諏訪湖の写真は残念ながら無し。

富士見峠に向かって走り出し、富士見パノラマのすぐ脇を掠める。

富士見パノラマ入口
なんだ…富士パノって自走で来れるんじゃん…

長坂のセブンがCP3。貯金はかろうじて30分程度になっていた。野辺山へのヒルクライムに向けて軽食を取り、サドルにまたがって走り出す。

清里まで、何度か休みつつ登るが、野辺山への最後の直登で押しが入って借金生活。

小諸のCP4までの降り基調で借金返して、追分宿までの地味でキツイヒルクライムこなして、碓氷峠を体重ターボですっ飛ばして降って、気がついたら4人くらいのパックができあがっていた。

せっかくだから、つかず離れずで付いていって無事にゴール。

今日もありがとうございました…

走り切れたことが我ながらちょっと信じられず、ボーゼンとしつつ、一緒にゴールした人たちと完走を祝いつつ、片付けをして帰宅しました。

このルートを時間内できちんと完走できたことは、多分一生忘れないんだろうなと思う。

今までイッチバンキツかったブルベは、2023年の「雲海を見に行こう」300kmの3,600mアップだった。その時を超えた自分にお疲れ様。

おしまい

2025年9月23日火曜日

SR(イケてる自転車バカ)への道・300kmブルベ完走しました

前回走ったブルベは、R東京(ランドヌ東京)さん主催の東京発着。真夏の暑さを避けるために、夜の初めに走り出して夜通し走る200kmだった。その記録に書いたけど、2025年のSR(シュペール・ランドヌール)の称号をいただける基準まで、残すは300kmブルベ一本。

そんなわけで、300kmブルベにエントリーして完走してきました、という記録です。

通過チェック!

今回の投稿は短い、写真が無い、なぜか?

コースプロファイルは割と優しめなんだけど、今回は天候が読めなかった。

というより…天候は悪いと読めたのだけれど…悪いと認めたくない感じだったのだ…なんだそれ

それはねぇ、ずっと、ずーーーーっつと向かい風予報。
大体さぁ、スタート・ゴールがほぼ一緒のブルベって、往路と復路があるわけじゃん?行きが向かい風なら、帰りは追い風になるじゃん?往路で借金しても、復路で返せるとか、計算できるはずじゃん?

ところが、予報がこれ…

後になるほどエグい風

往路は信号峠と向かい風で貯金ミニマム…
折り返しあたりで風向きが反転して、復路も向かい風…なんじゃそれw

この予報図は、平均時速15kmで進行した場合でシミュレーションした。終盤になるほど風が強くなる。強いサイクリストなら巻き進行で早めにゴールすることで、強い向かい風を受ける時間を短くすることもできそうだ。だが、貧脚のボクは、踏みまくることができない…カナシイ

でもって、ボクが貯金を作るには「休憩減らす」「補給ストップ減らす」「写真撮らない」くらいしかできないのだ。

しかも、雨予報…

だいたい予報通りの降水でした…

出走前1週間くらいは、予報がコロコロと変わった。もしかして雨降らないかも?そんな瞬間もあった。

だが、最終的に確定したのがこの予報。スタート雨、いっかいやむけど、昼前から降り初めて、日が暮れる前にザッと降るかもという予報。

雨で嫌なのが電子機器類の浸水。

ボクのiPhone はバッテリーが弱くなってきている。R東京主催のブルベは、通過チェックもゴール申請もスマホが無いとできないから iPhone は生命線。そんなわけで、「雨が降っていない時間帯に充電」して、雨が強い時間帯は防水パックをフル活用という感じになるのだ。

結局、風も雨も予報通りで、特に雨は「豪雨」っぽく降った時間帯もあり、なかなか過酷なブルベになった。でもまぁ、巻き進行の結果、貯金多めでゴールできたのでその点は良かったかも。

今年の自転車シーズンも、もう少しで終わる。来週も300kmエントリーしてはいるんだけれど、こちらはDNF覚悟の厳しいコース。なんか、出走しないでもいいかなぁ、なんて気持ちになりつつある…オイ

冗談はさておき、もう一本AJP(パーマネントブルベ)でエントリーしているやつがある。これも準山岳コースで、ボクにとってはかなり厳しいルート。期限が10月末までなので、そちらもなんとかチャレンジしてみたいと思っています。

おしまい

2025年9月6日土曜日

AJP南湖公園195km完走…暑かった…

AJ宇都宮主催のAJP(パーマネントブルベ)は、ほぼほぼ全部走っている。走れなさそうなやつにはエントリーしてない…弱いのがバレちゃうから…

ふとWebページを見たら、新しいコースが追加されていた。獲得標高少なめで、難易度が割と低めの195キロ。夏の間に走っておこうかなとエントリーして完走したという話。

義経の矢が、矢が抜けない!!

キューシートをGPSデータに落としながら確認したら、なんかAJP那珂川と結構重なっているようだ。AJP那珂川は白河発で南に向かって走る。今回は南の宇都宮から北に向かって走るので、十分にありえる話。

あんまり詳しく下調べすると、当日の新鮮さが薄れてしまうので程々にした。

今年の夏も猛暑なので、涼しいうちに登りを済ませよう、そう逆算したらスタートが3時になった。仕事を終えて帰宅して仮眠して、車で宇都宮に移動。良く調べずに「宇都宮駅」近くのコインパーキングに駐車。

ん?東武宇都宮駅前??あれっ?もしかして、JR宇都宮駅と違う?

Googleマップで見たら、スタート地点まで割と距離がある…アヒャヒャヒャヒャヒャ
時間ギリギリになってしまった…マニアッタカラヨシ

JRと東武…気をつけましょうね

暗いうちにスタートして東に向かう。LTRの軌道脇を離れて山道に入り、小さなアップダウンを抜けると最初のチェックポイント。

茂木駅

ここからルートは北上していく。那珂川町あたりで、見覚えのある景色に気がついた。AJP那珂川120kmの往路ルートを逆向きに走っている。

途中でAJP那珂川の往路から外れて復路に入り直す。那珂川ルートの復路は新白河に出るまでに2つ峠を越えるのだけれど、今回は1つめの峠はパスして2つめのやつだけ超える。

獲得標高も、傾斜も優しめで走りやすいが、すでに暑くなりつつある。登りに入る前に、アイスボトルを買って背中のポケットに入れた。

義経伝説の岩

峠の手前に、義経伝説スポットがちょいちょいある。

抜こうとしたけどムリでしたヤメロ

小芝居しつつ、写真を撮ることを言い訳に休む。

タテカン

峠の手前で2つ目のチェックポイント。

那須町の石塔

今まで何度も超えた峠を今日も超えていく。

こっから白川の領土やで

石段登ったことない…

いつもこの神社は、道路から見上げつつ柏手を打つ。今日は時間に余裕があるんだから、お参りしても良かったかもね。

峠からシャーって降りると、白河ラーメンの名店。今日は流石に朝早すぎて、やってません。白河の関も今日は素通りして先へ進む。

今日も素通り…

南湖公園も今度はゆっくり訪れてみたいなぁ。

初めて気がついた石碑

南湖公園が今日のメイン、チェックポイント3。ここから那須高原にちょっと登ってから折り返しになる。

松平定信候の像

最後のアップヒル手前のセブンイレブンで氷を買って、背中を冷やしながら登る。かろうじて猛暑が来る前に本日の最高標高地点。

チェックポイント4 巻狩鍋

この鍋に水入れて行水したい…ヤメロ

ここから基本下り坂!というわけにはいかず、小刻みにアップダウンを繰り返しながら、矢板の手前まで進む。

ドーピング…

最後の数時間を凌ぐために、氷買って、コーラのミニボトル。

最終チェックポイント

ニューバイクのおかげか、穏やかなコースプロファイルのおかげか、普段の200kmブルベに比べると速いペースでゴール。TREK Emonda の新しいギア比はやっぱり正解。アップヒルでローギアが足りなくなることも、下り坂でトップギアが吹け上がることもなかった。

夏場のブルベはやっぱり厳しいけど、新機材のテストが完了して、次の準備ができて良かったです。おしまい

2025年8月27日水曜日

山屋のブルベ戦略・ペース配分と機材

ボクら「雪男山男兄弟舎」は基本的には山屋の集まりだ。

僕らは山屋としての強さを、「山力」があるとか、ないとかで表している。山力とは、「体力」「技術」「生活技術」の3要素の掛け算。ブルベを始めた時、ボクはこの考えをロングライドに活かせるんじゃないか?そう考えた。

ボクは体力的には凡人だ。というか、周囲の仲間には、ウルトラマラソン(100km)とか、トレラン(100キロとか100マイルとか)…走り回ってる人たちがいるので迂闊なことは言えない。そもそも、体力って人それぞれで、一朝一夕に向上するのは難しい。老境に入ったボクなんかは、この先ずっと下り坂…良くて現状維持…無理はできない、実感こもってるぅぅ

「体力はそこそこ」を現実として受け入れ、まずは「技術」を磨いて総合力を上げようと考えた。「サイクリストとしての技術」とは、走行に関わるものと、機材に関わるものがある。ブルベにおける走行技術とは、簡単に言えばペース配分だ。

ボクは心拍数とケイデンスを、サイコンの上部に表示させている。心拍数は110くらいから、145くらいまでで走る。頑張りすぎて心拍が上がったら、ペースを落としギアを軽くする。

登り坂になると、速度が落ちてケイデンスも下がる。ペダルに込める力を増やすと、心拍数が上がってしまう。これをボクはやらないのだ。心拍数をさほど上げずに、ケイデンスを無理なく維持できるまでギアを軽くしていく。

ケイデンスの維持は80〜95くらいにしている。負荷が上がってケイデンスが落ちて80を切ったら、一枚ギアを軽くする。速度は少し落ちるが、ケイデンスがレンジ内で落ち着くならそのまま。それでもさらにケイデンスが落ちるとか、心拍が上がるならば、もう一枚軽いギアにシフトする。

ここまでの話で気がついたと思う。

筋負荷を下げるためにギアを軽くしていくボクの走り方だと、普通のロードバイクだと軽い(低速より)のギアが足りなくなる。

ギア比変えました

そんなわけで、ボクのロードバイクは、マウンテンバイクのドライブトレインを入れた。なんと、フロント 38-28 リア 11-34t 過去の投稿はこちら。

遅いけど海だって行けちゃうぜ

で、TREK の Emonda を新しく買ったわけだけれど、これはオールラウンドのレーシングモデル。 50-34 に 11-30t なので、ボクの走り方にはギア比が全然合わない。なので、GRXを入れて軽いギア比を実現した。過去の投稿はこちら。

これで、フロント48-31にリア11-34になったわけだけれど、デメリットもあった。まず、フロントのチェーンウォッチャー(チェーンキーパー)が役にたたない。

純正チェーンキーパー

GRX クランクは、チェーンラインが外側に移動する。加えてインナーチェーンリングが小さくなる。この二つが合わさってチェーンラインは外・下方に離れてしまう。チェーンキーパーとの隙間が開くのでチェーン落ちが防げない。

ごめんよTREK

そもそもセッティングがちゃんと出れば、チェーン落ちはほとんど起こらないもの。でも、ボクはセッティング出しの途中で2度ほどチェーン落ちを経験し、うっかりクランクを回してしまった。とりあえず傷は清掃して、UV硬化型レジンで埋めたけれど、チェーンキーパーはなんとかしないとまずい。

そして、やっぱりもっと軽いギアが欲しい。そう思って探したら、GRX互換でこんなのがあった。こーゆーヘンタイというかマニアックな製品を作っているのは案の定のフランス人。メルシーボクー

Specialites TA X110 GRX-2 チェーンリング

評価も割と良いので、試してみることにした。これでフロントアウターは48から44へ、インナーは31から28に下げられる。

*4tとか3tの歯数差は僅かに見えるかもしれないが、4/48  3/31 で計算してみて欲しい。おおむね10%程度は低速寄りになることがわかるはずで、乗った感じは別物になる。

アウター比較

インナー比較

この28tインナーで、MTBのクランクつけていた今までのバイクと、インナーローは同じ軽さになった。

組み替え前

わかっていたことだけれど、Emondaのフロントディレーラー台座はフレーム直付け。ディレーラー位置を一番下に下げても、チェーンリングとの間には大きく隙間ができる。

ディレーラーケージの位置…

シマノのすごいところは、これでも変則性能はそこまで悪化しないこと…ただし、チェーン落ちのリスクは通常よりも高くなる。

見つけたのが、KCNCのこれ。

KCNCチェーンウォッチャー

これは、フロントディレーラーの取り付けボルトを利用して固定する。

純正のチェーンキーパーは外す

位置はこんな感じ。インナーチェーンリングとの距離が遠いように見える。



これよりもチェーンラインに近づけると、インナーローに入れた時にチェーンに擦ってしまう。その辺りのギリギリを狙って固定。

一安心

このセッティングにした後のチェーンドロップ頻度は、おおよそ100~150km走行に1度くらいかと思われる。走行中にチェーンが暴れて、落ちたような音がしたが、実際にはチェーンはインナーリングに乗っていた。とりあえず、これで様子を見ながら使ってみようと思う。

ペース配分についてつらつらと書いてきたが、ケイデンスと心拍数を一定にして走るということは、「走行速度」 は変化し続けるということだ。

斜度、向かい風、高温・低温、キツイ環境だと時速は6キロくらいまで下がることがある。逆にボーナスタイムなら速度は上がるし、借金を返済するチャンスも巡ってくる。

出走を繰り返していくうちに、焦らなくても時間には間に合うことが、だんだんとわかって来た。たとえ「押し歩き」するような坂が出て来ても、それが30分程度ですむのなら大丈夫。ゆっくりでも止まらなければ、時間には間に合うのだ。

こんな遅くて…完走できるのか?そんな不安に負けてペダルを踏み込むよりも、ペースを保ちながら消耗を防ぎ休憩の頻度と時間を減らす。そのほうが結果的には、安定した結果が出る。

ブルベに要求されるグロススピードは15km/h、これは休憩や信号停止など含んでの速度。対して、「走っている時間だけの記録」であるネット走行速度は、ボクの場合はだいたい20~22km/hくらいだ。「えっ?遅くない?」そう思うかも知れないけれど、前方の信号が赤になったら惰性で走るとか、歩行者がいるので減速するとか、そんなこんなで公道の平均時速はそんなレベルに落ち着いている。

その速度域で、消耗せず、動き続けられるように、ボクは心拍数と筋出力を一定にすることを考えて走っている。誰にでも当てはまる走り方ではないかもしれない。でも、これがボクにとって一番合理的な走り方と、機材のセッティング。

2025年8月12日火曜日

真夏のロングライド・暑さ対策 3/3 氷冷却編

草稿を書いていたらあまりにも長くなりすぎたので、3部作にしました…

サイクリングは、自然とともに過ごす遊びだ。

自然と闘う必要は無い…のだけれど、自然が目の前に置いてくる障害はうまくマネジメントしなければならない。それは、冬の寒さだったり、真夏の暑さだったりする。ちなみに、真冬の寒さをどうやってマネジメントするかこの投稿を参照してほしい。

ボクの考える、自転車乗りの暑さ対策は3つに分けられる。
  1. 遮熱
  2. 気化熱冷却
  3. 氷冷却

今回は3部作最終回、「氷冷却」について書いてみる。

氷冷却とは…コンビニ氷で体を冷やす戦法だ

グビグビっと中から冷やす

そもそも日本はコンビニ王国。街道を走れば、必ずコンビニがあり、氷や冷たい物を補給できる。登山とかではありえない、サイクリングならではのメリットがコンビニ補給。

第一の戦略は、「冷たい飲み物で体の中から冷やす」

熱風の中を走り続けるには、氷入りの冷たい飲み物が欠かせない。

でもねぇ、35度超えるような気温だと、ドリンクがあっという間に温くなっちゃうんだよね。下の写真真ん中が、通常のソフトタイプボトルの保冷強化版。「断熱材」が仕込んであって、保冷効果がある…のだが…あまりにも非力。氷を半分くらい入れておいても、35度前後の外気温で1〜2時間も走れば氷は溶けて無くなってしまう。

保冷ボトルと言えるのは、真空断熱の魔法瓶的な奴だと思えばいい。左側は、ステンレスの真空断熱ボトル。魔法瓶なので、保冷効果は段違い。氷を半分くらい入れておけば、半日程度は冷たい…けどずっしり重い。

右側は、Thermos の保温・保冷ボトルで、こちらはホットドリンクにも対応。さすがは魔法瓶メーカーだけあって、保冷効果はピカイチ。丸一日は冷たさをキープできるし軽い。

保冷ボトル3種

保冷効果はThermos が一番良いし、ボタンでパカンって開くカバーがあるおかげで飲み口が汚れない。カバーは保温・保冷効果を強化している感もある。じゃぁThermosでいいじゃん?となるのがだ…この飲み口は、飲み方にちょっとコツがあるのだ。

キャップを開いて、飲み物を口の中に注ぎ込むのだが、この時おとがいを上に向ける必要がある。前傾姿勢の強いロードバイクだと、一瞬視界が路面から外れて地味に怖い。

Thermosのボトルは、クロスバイクやMTB、ツーリング・キャンピングバイクなど、上体が起きたライディングポジションには一番良いチョイスだと思う。

ロードバイクに向いているのは吸うタイプの飲み口。顔は前を向いたまま、飲み口を咥え、ボトルを顔の横に持ち上げてくる。必要なら、目線を前に向けたまま、顔をちょっと斜めにすれば、飲み物が口の中に入ってくる。

吸うタイプと流し込むタイプ

そんなわけで、夏は吸うタイプのキャメルバッグ・ステンレスボトルがオススメ。冬は、保温でも使える Thermos がいい。

そもそも熱い飲み物は、吸い込むと危ない。それが Thermos タイプの飲み口が保温・保冷対応の理由なのだ。寒い時期、信号待ちでほっと一息、少しずつ啜るみたいな飲み方で Thermos の魅力が生きてくる。

さて…

外気温が35度を超えて体温レベルになると、常識的な対策では間に合わなくなってくる。

第二の戦略は、「氷で直接体温を下げる」

35度超の気温では、少しバランスを崩すだけで熱中症一直線。ボクが頼るのは、コンビニのロックアイス。

真夏の恋人ロックアイス

ボクのブルベベストは、背中にポケットが付いている。ここに、ジプロックに入れた氷を詰め込んで走る。
アイスポケット付きのR250ブルベベスト

ただ、このポケットに入るくらいの量(500mlペットボトル2本が押し込んで入る)、1リットルくらいのロックアイスだと、せいぜい持って2時間程度。なので、38度とかの日は、ロックアイスの袋から空気だけ抜いて、そのまま背中に押し込んで走る。ジャージと背中の間に、プラスチックバッグに入った氷を押し込んで走るのだ。これはかなり効果がある。心肺が一気に楽になるし、手足や頭の熱が取れていく感じがする。

なお、ロックアイスの袋そのまんまだと、肌触りがあんまり良くない。ツルツルするから、ふと気がつくと位置がずれて、変なところに移動してたりする。それが嫌なら、登山用品店で、防水のスタッフバッグか、アイスバッグ(氷嚢)を手に入れるといい。

ハイドレーション機能のあるバックパックを使って、氷を入れたウォーターバッグを密着させるのも良いだろう。いずれにしても、この「氷冷却」を使う必要があるくらいの気温は、事故と紙一重であることを忘れないようにしてほしい。

ちょっと大きめ麦茶ボトル

コンビニで手に入る、凍らせたドリンクボトルも有効だ。

アクエリアスのアイスボトルを背中に入れて走れば、ドリンクボトルがカラになったタイミングぐらいでアイスボトルが溶ける。アイスボトルの中身をドリンクボトルに移せば、補給回数を一回減らすことができる。

凍ったアクエリアス

パウチで凍らせたドリンクを複数持つのもいい。ただし、これくらいの小ささだと、あっという間に溶けることは知っておいたほうがいい。

氷の冷却は、散水と組み合わせるとさらに効果がある(散水冷却は 暑さ対策2/3気化熱冷却を参照)。使える手立ては全部使う、それが、真夏と真冬のロングライド。

それでは、今日も1日ご安全に。

おしまい