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2023年11月27日月曜日

BRM1125東関東600km完走

今年ボクはブルベを始めた。

元々は右肩を怪我して、上半身に負荷がかかる遊びができなくなったからだ。
激しい運動はできない、じゃぁその、軽めの運動で、上半身に負荷がかからないのは?
ということで、初心者向けの200kmブルベ 走って完走した。

ブルベ走って、最初は色々違和感はあった。

ボクが自転車で走る理由は、自由だから。
時刻表もない、乗り継ぎもない、ガス欠もない。
自転車は構造がシンプルだから基本壊れないし、壊れても直せるし…そんなこんなが自由に繋がる
筑波山
それがブルベになると、ルートが決められて、制限時間が決められて、装備も決められて…なんか面倒臭いなぁ。

ただねぇ、ボクと自転車との付き合いは結構長い。今の住まいを起点にすると、周囲…100km圏内ってもう走ったところばかりなんで、新鮮な出会いってほとんどないのだ。

それが、ブルベで「ここ走ってみて!」って指定されたところを走ると、新しい発見がある。

「あぁ、普段走っていたルートの横、数100mにこんなルートがあったのかぁ」みたいに。

ま、たまには…初めて走るルートって楽しイィい!って走ってたら、初めてじゃなかったみたいなこともあるけどな…
Golden Balls
そう、ここは以前AJP那珂川で走った道だった。

今回参加したブルベは600km、宇都宮スタートしてまずは那須に向かう。那須は雪が降っていた。そこから南下して霞ヶ浦かすめて銚子出て、犬吠埼へ。ここら辺で大体300km
犬吠埼灯台
ここからさらに南下して、上総一ノ宮あたりが折り返しの380km 

ボクは600kmブルベは初めて、というか、ワンプッシュ最長は300km…
600kmは想像の埒外…

慎重派のボクは、初体験の時はいろいろ調べることにしている。調べてみたら、普通は400kmくらい走って大休止をとるらしい。走力のある人は400kmくらいで貯金が4時間くらいできる。スタートしてから400kmくらいのところでホテルを取っておいて、3時間くらい仮眠を取って、リフレッシュして残り200kmを走る。600kmだと辛いけど、400km+200km を走ると考えれば無理ないよね?そんな考えらしい。

でもさぁ、そもそも400kmで4時間の貯金ができるということは、残り200kmでさらに2時間の貯金が見込めるということ。だから、貯金4時間ならそれをそのまま仮眠に回せば良い。

ボクにはそんな走力はないので、仮眠は取れるとしてもせいぜい2時間。しかも600kmは初めてだし、そもそもその手前の400kmも未経験だから、どれくらい余裕があるのかまったく読めない。

そこで…ボクは自分の強みを活かしていきあたりばったり作戦で行くことにした。

上総一ノ宮あたりで、余裕をみて1〜2時間仮眠を取る。とる場所は野外、野宿。

春から秋のブルベならその辺でぶっ倒れて寝ればいいけど、今はもう冬。普通はこんな時期に野宿しようとは思わないだろうね。でも、ボクは冬山でそれなりの経験を積んでいる。厳冬期のBCスキー・スノーボードの場合、マイナス10度くらいでも普通に行動するし、吹きっさらしの雪中で数時間停滞することもある。

一ノ宮チェックポイントの少し手前で、貯金は3時間程度あった。そこで、キョロキョロしながら進んでいると、国道の脇に公衆トイレと公園を見つけた。

公園には東屋と、その下にお休み場所があった。畳2畳くらいの正方形の板張りスペース。

当日はほぼ真っ暗だったし、倒れ込むように休んだので写真を撮る余裕がなかった。
木製ベッド(イメージです)
ちょうど通勤途中に似たような場所があったので、写真を撮った。これでイメージできると思う。

下がコンクリートか鉄板だと底冷えがして寒いから、木の寝床はありがたい。
そこに寝っ転がって頭から足先までエマージェンシーシェルターを被る。
冬山かよ
そう、ボクが積雪期に山で使っているシェルターを今回は持参した。これを被れば、相当の低温や強風の環境下でも快適に休める。深夜のコンビニ休憩でも、これさえあれば快適に休めるしね。

ボトルケージにブッ刺してあったシェルターを広げて被って、ぶっ倒れて1時間仮眠。これで頭がスッキリしたので、再び走り始める。

一ノ宮のコンビニ折り返しで380km、ここから成田空港の脇を掠めて北上していくのだ。

出走時の情報では、「銚子あたりで小雨があるかも?」ということだった。今のところ雨は降っていない。

他の参加者が追い抜いていく。彼らによると、「このペースならギリ大丈夫かもしれないけど、成田あたりで雨が降るかも?」ということのようだ。

ペースの遅いボクは、案の定成田空港の手前あたりで雨雲に捕まった。
成田空港周辺の丘陵地帯は穏やかなアップダウンを繰り返す。そこを雨具着て走りたくはなかったけれど、やがて本降りになったのでやむを得ない。

成田線の安食駅で、数人の参加者が何か相談していた。ここでDNF(Did Not Finish 途中棄権)するのかな?そう思いながら先に進んだところで、前輪が何かを弾き、それがフレームと後輪に当たってどこかに飛んで行った。

あぁ、パンクしたなと思いつつ停車し、前輪を持ち上げて回してみたところ異常無し。
と、再び走り出すと違和感…パンクは後輪だった。
シーラントまみれ
ボクの本気ホイールはチューブレス運用。ちょっとしたパンクなら、シーラントで勝手に穴が塞がってくれる。でも今回は穴が大きめで、しかも雨でシーラントが固まる前に流れてしまうので塞がらない。

ここでDNFか…一瞬そう思ったけれど、ここで諦めるのはあまりにも惜しい。

それに、そもそもボクの荷物は他の参加者よりも多い。それは、ボクが求めているスタイルは「自立しているサイクリスト」だからなんだ。

今の貯金考えてみろよ、1時間や2時間かけて修理してもなんとかなるぜ
持ってる装備よく考えろよ、3箇所や4箇所のパンクならなんとかなるぜ

そうだよね。
頭の中で、パンクした場合の対策をもう一度考える。

1) パンクする > シーラントで塞がる
2) 塞がらない > チューブレスキット(プラグ挿入)
3) プラグでも塞がらないくらいでかい穴
  > タイヤ外して、内側にタイヤブート当てる
  > チューブ入れてクリンチャーとして復帰
4) さらにパンクする
 > チューブレス生きてるほうなら1)に戻る
 > 3で補修した側なら、バラして通常のチューブ補修キットでパンク修理
5) さらにパンクする
 >4)に戻る

うん…そうだね、5回くらい立て続けにパンクしない限り、タイヤに1センチ以上の穴が開かない限りは…無問題だよね。

ということで2)のプラグ挿入で復帰
プラグぐりぐり
プラグで修理、実際にやるのは初めてなんだけれど、ちゃんと直って感動。
はみ出た部分をナイフでカットして走り出し、数キロ走った後で空気を補充したらゴールまで無問題で走れたよ。
また日が暮れる

朝5時スタートして1日走り、夜通し走り、翌日1日走り、日が暮れてゴール。
制限時間40時間で1時間ちょっとの貯金を残してゴール。
ゴールしちゃった
なんというか、自分が600kmブルベ完走できるとは正直思っていなかった。
嬉しいというよりか、呆気に取られたというか…

でもまぁ、雨には降られたものも、コンディションは良かったと思う。ほぼフラットな今回のルート、北風が強く吹くとかなり難易度は上がるはず。今回は、初日は暴風だったけれど、そのほとんどは追い風基調だった。これは大きなボーナス。帰路の北上は、普通なら季節風の北風に逆らって走るけれど、今回は風速2〜3mくらいで、無視できるくらいの影響で済んだ。

自分で自分を褒めるとしたら、降雨は読みきれなかったものの、風向きと風速は予想通りだったこと。たとえ雨が降っても、たとえ気温1桁の低温だったとしても、その辺りは装備と登山の経験でなんとかなる。一番のリスク要因である季節風の影響が少ない、それがチャンスだと読み切れたことが成功の要因かな。

ただ、一本600km走れたから、自分の実力が600km走れるところにある、というわけではないということは当然のこと。それは自戒を込めて記録しておきたい。
手の平ダメージ
走行距離と行動時間が長すぎて、サイコンもガーミンもiPhoneのトラッカーも全部バグってるの笑える。
ログはこんな感じ
結局、ガーミン(eTrex32)が残していたログを取り出して合体させて、無事にログが取れました。そんな感じの 600km 完走…