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2023年11月5日日曜日

学生寮の話(新歓サバイバル・自己紹介…させていただきます)

忘れている人もいるかと思うので、念のためにもう一度書くけれど…
このブログはフィクションです、ソコントコヨロシクゥウ

昭和の男子学生寮と聞いただけで、ものすごい封建的で、上下関係に厳しいイメージがあると思う。僕が4年間を過ごした学生寮もそうだった、新歓コンパまでは。

入寮(僕らは「入塾」と呼んでいた)のプロセスはこうなる。

入塾面接(不合格だと入れない)

引越し 

新入塾生オリエンテーション
部屋回り
新歓コンパ
…以下略

とりあえずオリエンテーションの話をしよう。
写真と本文は関係ありそうな無さそうな…

新入塾生を集めて、2年生が学生寮の「しきたり」について説明をする。もっとも基本かつ重要なのが「自己紹介」のやり方だ。まずは2年生の先輩が、お手本を見せてくれる。

じこしょーかいさせていただきます!!!
しめい!!  和敬太郎ぅ!!
学籍ッ!!  馬鹿田大学ぅ商学部ッ!!
しゅっしんちーー!!  群馬県渋川市ぃ!!!
しゅっしんこー!!!

 

            ハアハアハア

 

群馬県立ぅしぶかーわこーとーがっこうですぅ!!!

まるで…この先輩は気が(ピーーー)ってしまったのか?
何か変なものが憑依したのか?
おかしなものを拾って食べたのか??

呆気にとられていると、
息継ぎの後に最後のフレーズを吐き出しながら、腰を90度まげてお辞儀をする。

どうぞよろしくぅ!!! おながいいたします!!!!

この…「お手本」を見せられた段階で…新入塾生の半数くらいの表情は曇り、3割くらいは「ムリ」という死んだ目になる。

残りはというと…

まぁ、あるよねーこーゆーの

と、冷静に受け入れる。

ちょっと話はズレるが、僕は高校で空手部だった。空手部ってものすごい上下関係とか厳しくて(ピーーー)なところがあるって思うでしょう?確かにそーゆー噂のある学校もあった。

でも、僕が通っていた高校はリベラル(「日本的リベラル」ではなくて、真の意味でのリベラルね)な雰囲気だったのだ。そこでは武道系の部活でも上下関係は緩やかで、いじめとかしごきとかも無かった。

ただ、武道なので「気合」の練習はする。
新入部員は声が出ない。

ター
トォー
セィィィ

顧問の先生(殺人術のプロであり、自衛隊で格闘戦教官を勤めたことがある空手八段)は苦笑しながら浅い中段突きをミゾオチに入れてくる。腰が入っているから力が入ってなくても痛い

ほらぁ、腹をギュッと締めて、ヘソの下から気合出すんだよ、わかるだろ?

まがりなりにも進学校とされている高校の、理系科目の先生らしく、わかりやすく理論的なご指導、誠にありがとうございます、押忍

そうやって日々練習していると、だんだんと気合の入った声が出るようになる。

サァアッツ!
タァァッ!
ダァァアッ!!

 

チェェストォオー!! ← これはなぜかダメ出しされた 

 

アチヨ!アチヨオオー!! ← これもやはりダメ出しされた

馬鹿らしいと思うかもしれないが、空手の型演舞では「気合」(声出しね)が採点基準になる。

組手だって、「審判がついつい一本取ってしまうくらいの裂帛の気合」で、実際は極まってなくても、気合いだけで勝ち残るやつもいるくらいだから練習は必須なのだ。

気合いが重要なのは剣道もそうだ。

竹刀がカスリ気味に入っても、気合次第で一本もらえることもある 
(剣道部談)

柔道部はちょっと違って、「お前らなんで気合かけないの?」って聞いたら、

うっかり舌噛んじゃったら死んじゃうから

…それは…そうだよね…口開けられないよねって納得した。

柔道やってる奴って絞め技で落とされて、脳細胞やられてる感じなのに、論理的でちょっと意外だった。

弓道部は…まぁいいや…

一射毎に「セィイイィイィィーー!」とか気合入れてたら、周囲から一斉射されそうだもんね。

キングダムの弓隊に狙われた歩兵かよ…

話を戻して…

元塾生という人に「自己紹介やって見せてください」とか、冗談でも言わないように。

奴ら、やるから、マジで
そこがザギンだろうが、ギロッポンだろうが
チャンネェのいるクラブだろうが、高級ホテルのラウンジだろうがやるから奴ら

「自己紹介」というワンフレーズを聞いた瞬間に、肺が空気を取り込み始め、横隔膜はアップを始める、それくらいにココでは「自己紹介」を叩き込まれるのであった。

就職活動の面接で「自己紹介」を披露して内定もらったとか、
それを真似して役員面接でフルパワー自己紹介やって落とされたりとか、

人生を左右するくらいインパクトのある自己紹介、それが和敬塾流の自己紹介。