自転車のメンテナンスの投稿だと、笑っちゃうくらいにアクセス少ないくせに…
まぁ、無理もないよねw
僕は今年55歳になったのだけれど、子供の時から今までの味の記憶を時々振り返る。そして、もっとも味が変わった食べ物と言えば蕎麦だろうなと思う。そして、僅差でうどんが続いている。
「味が変わった」とは、「良い方に変わった」「旨くなった」という意味でだ。
「旨い蕎麦ってこーゆーモンだよね」そんな共通認識ができて、そこを目指してさまざまな工夫が生まれた。蕎麦店も増え、個性的なメニューも増えている。
ある寒い日、無性に天ぷら蕎麦が食べたくなった。一度入ったことはあるのだけれど、いつも混雑していて再訪が叶わなかった、八幡様参道の脇にある蕎麦屋さんに飛び込んだ。
エビ天蕎麦ひとつ
そう頼んでメニューを見ると…このお品だけ…値段が高いwww
店員さんが重そうに、丼の乗ったお盆を運んでくる。これが普通盛り。
俺、ラグビーやってたんで、飯は食いますね、たくさん
そう言いいながら、大盛りの天ざる蕎麦をオーダーしたサラリーマン達、多分20代が隣のテーブルに居た。多少涙目になりながら、一人は完食?他は残していた…
グンマーの蕎麦屋さんは盛りがいいような気がする。特に、田舎蕎麦を売りにする店はその傾向が強い。
印象に残る蕎麦は味もそうなんだけれど、その場所や場面にも左右される。これはうどんだけれど、山の中に自動販売機が並ぶプレファブ小屋がある。そこでコインを入れて天ぷらうどんのボタンを押すと、ウインウインいいながらこれが出てくる。
青唐辛子のパンチが侮れない |
旨いか?と言われると、まぁ、悪くはない。そして、イベント感は半端ない。
はたまた、奥只見湖で、他に何にもなくて、山間部に強いDocomoですら圏外。そんな場所に忽然と現れるお店で食べた蕎麦も、きっと記憶に残り続けることだろう。
「山ん中」⇦店名w の山菜蕎麦 |
乳茸(ちだけ)蕎麦 |
今までいろんな場所で、いろんな蕎麦を戴いてきた。写真も撮らせていただいた。
もう20年以上前になる、それを食べたのは山の中にある一軒宿だった。
昼を少し過ぎた頃に、そこの温泉の日帰り入浴に訪れたのだ。
いいかげんお腹がすいていて、このままお風呂に入ったら低血糖になりかねないなと思った。食事処らしいところは見当たら無かったのだが、「手打ちそば体験」のノボリが出ているコーナーがあった。ちょっと広めのホールに、間隔をあけて殺風景なテーブルと椅子が並んでいる。
イーゼルに乗せられた黒板に手書きで、「もり蕎麦」と出ていた。確か…600円くらいの値段だったはずだ。値段とその場所のしつらえは、「そば打ち教室の片手間に、ちょっと小腹を満たすための蕎麦を出してます」、そんなように見えた。
カウンターの中に、短髪でいかにも職人風のおじさんがいたので声をかけた。
食事できますか?
おじさんは、ちょっと厨房の中を覗いて答えた。
もり蕎麦ならできますけど、1人前しかないですね。おひとり?はい。残り全部ゆでちゃいますね。大盛りにはならない、気持ち盛りがいいくらいなんで、お代は普通盛りで!助かります!
そして…それが出てきた…
真新しいザルの上に、うっすら緑色の蕎麦が端正にまとめられている。ちょっと他で見たことがないくらいに細い。断面が四角のカッペリーニのようにも見える。表面はツヤツヤ光り、麺が細いせいか、ザルがうっすらと透けて見えるようだ。
僕は単に蕎麦が好きなだけで、グルメとかではない。ただ、初めて見るタイプの蕎麦なので、思わず最初の一口はそのまま食べて見た。
細い蕎麦の間に、いかにも山奥の清水です、みたいな口当たりのやわらかい水が含まれている。ほんでもって、今まで食べたことのないくらいに、蕎麦の香りが強い。
つけ汁にちょっと蕎麦を浸けてすする。
東京の下町に住んでいた時に、好んで通った、浅草の藪そばを思い出させるような、しっかりとしたつけ汁。
無心で啜っていたら、あっというまに食べ終わってしまった。
目をあげると、カウンターの向こうでおじさんがニコニコしている。
おにいさん、うまそうに食べるねぇ、こっちも嬉しいよい、いや、旨かったです、実際に。新そばの時期だからねぇそういう問題ではなくて、本当に美味しかった、です。
そんな旨い蕎麦が出てくるなんて、まったく期待していなかったので写真が無い。
すぐに再訪しなければ、そう思いつつ月日が過ぎてしまった。僕の行動する範囲から微妙に外れている場所だし、どん詰まりで、通りかかるとかもない場所なのだ。
今、マップでそこの口コミを見ても、蕎麦の話は出てこない。
今まで美味しい蕎麦をたくさん戴いてきたけれど、僕のいまのところのベストSOBAインマイライフは、あそこ。