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2025年8月1日金曜日

真夏のロングライド・暑さ対策 2/3 気化熱冷却編

草稿を書いていたらあまりにも長くなりすぎたので、3部作にしました…

サイクリングは、自然とともに過ごす遊びだ。

自然と闘う必要は無い…のだけれど、自然が目の前に置いてくる障害はうまくマネジメントしなければならない。それは、冬の寒さだったり、真夏の暑さだったりする。ちなみに、真冬の寒さをどうやってマネジメントするかこの投稿を参照してほしい。

ボクの考える、自転車乗りの暑さ対策は3つに分けられる。
  1. 遮熱
  2. 気化熱冷却
  3. 氷冷却

今回は2の、気化熱冷却について書いてみる。

シャーっとな

気化熱による冷却は、水分を蒸発させて熱を下げること

暑い時に汗が出る理由はまさしくこれで、体表面で汗が蒸発することで、気化熱冷却が起こり体温が下がる。

ただし、発汗とそれに伴う気化熱冷却にはメカニズム上の問題が2つある。

まず、最初の問題について説明しよう。

発汗のメカニズムは、人間が「動物として」、「普通の環境」で、「普通の行動」ができるように発達した機能だということ。

でねぇ…動物はね…
35度以上の気温で、10時間とか、心拍上げた状態で動かないからね?
暑い時は昼寝してるからね?彼ら

つまり、「動物としての普通」を超えていくスポーツでは、発汗機能の限界を超えるので、何かしらの対策は当然に必要になるということなのだ。

もう一つの問題は、汗をかくと体力が削られて消耗するということ。汗の元になる水分は、経口摂取する。この水が、

胃腸(大部分は腸)から「吸収される」
血液・リンパ液内を通じて「全身を巡る」
発汗組織を通じて「皮膚表面に出る」

この全てのプロセスで、体力を消費するのが「発汗」だ。で、このサイクルが早すぎると、際限なく吸収と放出を回さなければならないので、早く消耗してしまう。

消耗すれば、当然エネルギー補給が必要になる(「食事と補給について」参照)。

発汗に伴いミネラルが不足すれば、水中毒のリスクも高まる(「ミネラル補給について」参照)。暑い時期に1日サイクリングすると、こんな感じで汗染みができる。

塩ですが何か?

このキモい模様は発汗で失われた塩分。補給しなければ、当然体調は崩れていく。

で、栄養分やミネラルを経口で補給すると、消化吸収で消耗する…無限ループやんか
そんなわけで、発汗機能をなんらかの方法でサポートしてやる必要があるのだ。

シンプルなのは、汗の代わりにボトルの水を被ること。

プシャー!

ただ、通常のボトルだと、水流が細くて広がらず、広い範囲を濡らすことが難しい。

それと…真夏は、ボトルを2本運用する人が多いと思うのだが、「ドリンク用(スポドリ)」と「真水(掛け水用)」を取り違えると悲惨なことになる。

実際…自分はくっそ暑い日に頭からポカリスェット被ってしまったことがある…次に見つけた児童公園の水飲み場で沐浴するまではベトベトに悩まされた。

沐浴は沐浴で、気持ちよかったがな…

そんなわけで、掛水用のボトルは「シャワーキャップ」に交換してある。ボトルのトップキャップに切り替えレバーがついていて、これを捻ることで「直流」「閉まる」「シャワー」のモード切り替えができるのだ。

切り替え付きキャップ

キャップの裏側はこんな感じで、基本的に分解清掃ができないから、真水のみの運用になる。

キャップ裏側

「直流」モードにすれば、もちろんドリンクボトルとして使える。口をつけずに、ボトルを潰して口の中に水を流し込むような飲み方になる。

直流

走行中は、レバーをシャワーモードにしておく。体温が上がってきたと感じたら、前回の「暑さ対策・遮熱編」で書いた、ヘルメットキャップの後ろ垂れや、アームカーバーにシャワーを振りかけて気化熱で冷却してあげる。

シャワー

もちろん、頭から被ったり、アイウェアを外して顔を洗ったり、腕、腿、ふくらはぎや胸背中を濡らすこともお勧めだ。

ボクの実感だと、25度〜35度くらいまでの気温帯なら、このシャワーボトルによる気化熱冷却が大変に効果的だ。

ふくらはぎが攣りそうになった時、水をかけると回復する場合もある。眠くなった時に顔を洗ったり、信号で停止した時に胸や背中を濡らしたりする。

初めてこの方法をとった時、水分があっという間に蒸発していくのに驚くことだろう。それだけ、気づかない間に発汗していたということだし、発汗による体力の消耗もまた侮れない。

掛け水をすることで、人為的に体温を下げることができ発汗量が減る。いわば、汗を水で代替することで、真夏のロングライドでの消耗を防げるというわけなのだ。

走行中に公園を見かけたら、水飲み場で体を濡らさせてもらう。自動販売機でスポドリと真水を買い、スポドリはドリンクボトルへ、真水は掛け水ボトルから散水する。そんな頻度を上げながら走ることが大事だ。

なお、35度前後まで気温が上がると、ボトルの水だけでは冷却が間に合わなくなってくる。

そして…関東平野や新潟平野などの平地で起こりがちなのが…フェーン現象

フェーン現象下の平野部は、熱風が吹く。走っている時に追い風を受けている時は、要注意だ。相対速度がゼロに近く、走行風が受けられない時は体温が上がりがちになる。追い風なのにペースが上がらない、そんな時は気化熱冷却がうまく働いていない可能性がある。

気温が体温レベルに達した時は、無理せずにその後のコースプロファイルやモロモロを検討すべきだ。そこから先に、アップダウンやヒルクライムがある、そんな時は気化熱冷却の限界と判断したほうがいい。

公道で走るサイクリングのメリットは、コンビニにがあること。次のコンビニでピットインして、次の投稿で説明する「暑さ対策3部作のその3 氷による冷却」を参考にしてくれれば、ボクも嬉しいです。

今日も一日、どうぞご安全に。
つづく






2025年7月28日月曜日

真夏のロングライド・暑さ対策 1/3 遮熱編

草稿を書いていたらあまりにも長くなりすぎたので、3部作にしました…

サイクリングは、自然とともに過ごす遊びだ。

自然と闘う必要は無い…のだけれど、自然が目の前に置いてくる障害はうまくマネジメントしなければならない。それは、冬の寒さだったり、真夏の暑さだったりする。ちなみに、真冬の寒さをどうやってマネジメントするかこの投稿を参照してほしい。

ボクの考える、自転車乗りの暑さ対策は3つに分けられる。
  1. 遮熱
  2. 気化熱冷却
  3. 氷冷却
今回は1の遮熱について書いてみる。

 効果は限定的なアームカバー

遮熱は、光や熱気を遮ること

最初に残念なお知らせだが、「遮熱」は真夏のロングライドにおいて、効果は限定的だ。

日傘による遮熱を例に取ろう。日傘の表面は日射を反射してくれるのだが、熱吸収がゼロになるわけではない。どんなに熱線反射率の高い素材を使ったとしても、日傘の裏面は熱を持つ。日傘の裏面と体の間に空間があって、そこに風が通っているので涼しく感じるのだ。

砂漠の民が身につける装束も、ゆとりがある。あれも同じで、熱反射させる素材と体表面の間の空間が、断熱層として働いている。

サイクリングウェアは、空気抵抗が少ないほうが有利なので、ウェアと体の間は密着している。だが、さきほど書いた通り、「遮熱」には、熱反射層と体の間に十分な空間が必要…

そんなわけで遮熱は、サイクリングにおいて暑さ対策のメインにはなりにくい。

ただ、光を反射する遮熱層と、体の間に空間が取れれば効果はある。

1番のお勧めは、「うなじを覆えるヘルメットライナー」だ。ヘルメットの内側に被るヘルメットライナーの後ろ側に、長い垂れ布を付けてある。これでうなじの部分をカバーすることができる。


帽体の後ろに垂れ幕が付く

うなじや首筋が熱を持つと、血液の循環によって脳の内部温度が上がってしまう。そうなると、意識障害とか、頭痛とか、めまいの原因になりうる。

このタイプのヘルメットライナー、うなじの日射を遮る効果は想像より大きい。垂れ幕とうなじの間に風が通っていることも、遮熱効果を感じやすい要因だ。

垂れ幕の形は様々

垂れ幕の覆う面積や形は様々で、布地の素材もいろいろある。高い物ではないので、何種類か買って試してみるのをお勧めする。

全面を覆うバラクラバ

ヘルメットライナーよりも広い範囲を覆う、目出し帽(バラクラバ)はどうだろうか?バラクラバは保温を目的とした冬季用と、接触冷感素材などの夏季用がある。バラクラバのほうがカバーする範囲が広いので、熱線・紫外線防御には優れているのではないか?

僕はあまりお勧めしない。

バラクラバを使うと、前面からの風を遮ってしまうからだ。サイクリングで体が受ける走行風をいかに活かすかが、暑さ対策でもっとも重要だと僕は思っている。バラクラバは、その風を遮ってしまうので熱がこもりやすい。

暑さ対策のバラクラバが生きるのは、「外気温が割と低く」「運動量が少なく(発熱が少ない)」「紫外線が強い」環境。春先のゲレンデスキー・スノーボードが一番活躍できる。

他の具体的な遮熱対策には、熱反射率の高い色を着用すること。ウェアやヘルメット、シューズを白系統にすると、まぁまぁの効果がある。

ちなみに、接触冷感素材のウェアは、暑さ対策には…あまり効果が無い。あたりまえだが、「接触冷感」とは、あくまでも「冷たいような感じがする」だけのものなのだ。

新型コロナが流行し始めた時に、「熱さまシート」が話題になった。実際に効果があるのかどうなのかという議論だった。あれも、「スーッと冷えたような気がする」だけなので、冷却する効果は限定的…というか…発熱時に体温を下げる効果は、ほぼ無いという結論だった。

接触冷感素材のものも同じと考えて、過度な期待は禁物だ。接触冷感を謳った、織り方が密で風を通さないウェアよりも、メッシュパネルを配置して通気を確保したウェアのほうが、暑さ対策では断然有利になる。

ボクは、春から秋に参加する、300km以上のブルベではモンベルの半袖ジャージを基本としている。200kmなら、極論を言えばジャージはなんでもいい。だが、走行時間が20時間設定の300km以上のブルベだと、昼と夜の異なる温度域で行動し続ける必要がある。そんなハードな環境では、「山岳」で鍛えられたノウハウを持つモンベルとかのウェアのほうが安心だし、実際に快適だ。

話を戻そう。

接触冷感素材にはあまり期待するべきではない。だが、熱反射率の高い白色のカバーならば、熱の吸収を減らす・日焼けを防ぐ効果はある。また、次の項目で説明するが「水で濡らす」ことで、気化熱冷却の有効な装備にはなりえる。使うなら、素材の特性を理解して使って欲しい。

熱反射率の高い白が基本

アームカバーもレッグカバーも、どうしても熱がこもりやすい。下り坂ならまだしも、ヒルクライムが続くエリアでは暑くて体力が消耗する。

ヒルクライムが始まる前に、アームカバーは手首側に丸めておく。こうすれば、前腕・上腕が風を受けて冷やされる。手首に丸まったカバーは、汗どめのリストバンド代わりになる。ハンドルバーが滑るのを防げるし、顔の汗を拭き取ることもできる。

リストバンドモード

ヒルクライムのピークを過ぎたら、アームカバーを一度伸ばしてダウンヒルに入る。染み込んだ汗が蒸発するので、気化熱冷却が起こるし、日焼けの防止も期待できる。

アームカバーはこんなふうに、上げたり下げたりがやりやすい。レッグカバーはそんなわけにいかないので、僕はアームカバーだけを使う…こともある。

次回、暑さ対策3部作、その二 気過熱冷却編…に続く



2025年7月21日月曜日

山屋のブルベ戦略・食事と補給

今回説明する戦略は、ボクが思う「ブルベの本道」からは少し外れることを最初に断っておきたい。

ボクが思うブルベの本道とは、自転車での小旅行。旅先での経験…観光だったり食事だったり、人との触れ合いがあってこそのブルベという遊びだと思う。

しかし、ボクにとって現実は大きく異なり、旅の余白を楽しむ時間的な余裕は無い。

強いサイクリストが、グルメを楽しみ、名所旧跡を訪れ、仮眠を取っている時、貧脚のボクはペダルを回し続ける。そうやって分単位で時間を稼ぎ、ブルベを完走しているのだ。だから、ボクのやり方は邪道かもしれない。

ただ…そんな走り方ではあるものの、ボクのやり方が、高い完走率に繋がっていることは間違いない。頑張っているのだけれど、なかなか完走に繋がらない、そんな誰かの参考になれば嬉しい。

もしも用のフード

走行中アクセスしやすいパッキング場所に、ボクは補給食を仕込んでおく。

補給が切れると身体はエネルギー不足になり、パフォーマンスが落ちる。本当は、そうなるまえに補給すべきなんだけれど、そうなってしまった時には、即効性のあるパワージェルなどが有効だ。

ジェル状フード

ジェル状のパウチフードは、水分を含んでいるので飲み込みやすい。吸収も早くて即効性がある。ただし、持続性の面ではちょっと落ちる気がする。さらに、こうした高機能型ジェルは結構お高いのであくまでも非常用。

吸収性・即効性良好

非常用として考えた場合、カフェインが含まれている物を選ぶのもありだと思う。オーバーナイトブルベは、明け方に睡魔と戦う時間帯がある。そうした時に、エネルギーとカフェインを同時に摂れるのは合理的だ。

もう少し、コスパが良くて気軽に使えるというと、羊羹が良い。コンビニで一口羊羹を買うのも良いし、事前に準備しておくなら「スポーツ用」なんてのもある。

スポーツ羊羹

メインは炭水化物

ジェルや羊羹は、食べて空になったパッケージがベトベトする。ポリ袋などをゴミ入れとして持っておくと良い。

エネ餅もなかなか良い。

薄く延ばした歯応えのある餅で、表面にはオブラート様のシートが貼ってあるからベタベタしない。パッケージを少し開けて、歯先で餅を引き出して半分くらい食べて、残りをそのままパッケージに戻して少し後で食べる、なんてこともできる。
 
エネ餅シリーズ

エネ餅は割と効果が長く続く気がする。長いヒルクライムが始まる前に半分食べて、途中で残り半分を食べる、そんな使い方が向いている。

塩餅の塩分量はそこそこ

羊羹や餅系の欠点は、寒さで凍ったり、固くなってしまうこと。冬期には、ジャケットの内側で携行したりする必要がある。

脱線するが、温度管理が難しいフードといえば、チョコレート系もそうだ。冬はまだいいが、暑さ対策が難しいのでボクはあまり使わない。

スニッカーズなどは、即効性・持続性に優れて総カロリーも大きいので、携行食としては非常に優秀なのだが… 夏はドロドロに溶け、冬はヌガー(キャラメル?)部分がカッチカッチに固まって、前歯が折れそうな思いをするのでキライw

ここまで紹介してきたのは、炭水化物・糖質を中心にした物だ。他には、アミノ酸系のものもある。そのものが燃焼するのではなくて、身体に蓄えられたエネルギーを効率よく使うのを助ける役割がある。

アミノバイタル

アミノバイタルやVAAM (ヴァーム) などが代表的。ボクはラーメンデブなので、ダイエット目的のために、こうした燃焼系を摂ることもある…のだけれど…摂取後にメチャクチャ腹減って…大盛りとか炭水化物ダブル(ラーメン・チャーハン)とか食べちゃって効果台無しになること多し。

さて…

そんな感じで、エネルギー補給系の行動食をメインでブルベを走って気がついた。それは、こうした行動食をメインにすると、ミネラル(塩分)が不足するということ。

パワーは出ているのにだるいとか、ボーッとするとか、足が攣るとかが起こるのだ。そうした時に、塩分を補給するとてきめんに効果がある。←のリンクは、ミネラル補給について書いた投稿なので参考にして欲しい。

マグネシウム補給

夏も冬も、脚攣り対策で常備しているのが「塩GEL」。

総塩分量はさほど無い

ポイントは、塩GELの成分は、マグネシウムが中心であること。ナトリウム補給は、スポドリ+塩タブでカバーできる。そこでカバーできない、マグネシウムだけを補給することで、ピンポイントで脚攣りに効く。

でねぇ、ボクは不思議に思ったのよ、「なんで行動食メインで動いていると、ミネラルが不足して脚が攣るのか?」

もし、手元に行動食があれば、成分表を見て欲しい。多分、塩分ほとんど入ってないから。

それはある意味当然で、行動食は「エネルギーだけを狙って補給する」ためのものだから。行動食は、行動中に継続して摂取するもので、その塩分含有量が多すぎると問題になる。発汗の少ない時期には、塩分過多になってしまうだろう。

気温の高い環境下で行動食メインで過ごしていると、「口の中が甘くなって食欲が無くなる」ことはないだろうか?もう羊羹はいらない、とか、クッキーとか見たくもないとかね。

そんな時に試してみて欲しいのは、ジャンクなスナック類。

スナック菓子

裏の成分表を見て、塩分が多めのやつを選ぶ。柿の種とかせんべいは王道。短時間でパワーも一緒に出したければ、ポテトチップがいい。炭水化物が多くてしょっぱいやつね。

そんなこと気にしたことないヨ?
塩分補給?エネルギー補給?
いらないヨそんなの!考えすぎ!

そんなことを言うサイクリストもいるでしょうね。そんな人たちが何を食べているか、各地のグルメの普通食を食べてるのよ。

高崎パスタ・シャンゴ風スパゲティ

パスタは、塩分も炭水化物も過剰なぐらいに取れる。

高崎海鮮・魚喜のウニいくら丼

和食のご飯は炭水化物。味噌汁や漬物で塩分補給。発汗多い時期は醤油多めで調整。

沼田・馬鹿旨のトマト麺と餃子

肉体派労働者諸兄の味方、街中華は炭水化物・塩分の桃源郷。しかも、油分たっぷりなので、吸収が穏やかで、長い時間パフォーマンスを維持できる。

結論を言うと、さんざん行動食を紹介しておきながら申し訳ないが、バランス良い補給にはコンビニご飯が一番良い。

どっちにしろチェックポイントでコンビニによるのだから、ブルベではそこをフルに活用すれば良い。汁がある麺類(ぶっかけうどん・蕎麦・ラーメン)とか、パスタとか、消化に問題なければチャーハンとか、丼ものとかを定期的に補給する。

で、峠や海沿いとかで、チェックポイントの間が開いているような場所では行動食を使う。行動食が連続するとミネラルが補給するので、塩タブや塩GELを活用する。

そんな感じで走ることで、300kmを超えるライドでも時間的な余裕を維持しつつ走り続けることができるのだ。

ボクもそうだけれど、制限時間ギリギリ隊は時間を稼ぐ工夫が必要だ。

ただ…稀にだけれど、ちょっとそれはどうかな?というやり方をとる人も稀に見る。

言いにくいけど、一時停止をしない、2段階右折をしない、歩行者変身して歩道をショートカットする…とか…数分ずつ時間を稼いでいく。

でもねぇ、ボクの見ている限りなんだけど…そうした人たちが完走できているかっていうと、そうでも無いような気がするのだ。

ボクは、後味が悪いやり方で完走することに興味は無い。

ボクにとってブルベとは、後で振り返って笑顔になれる、そんな思い出を積み重ねる行為なのだ。もし、制限時間ギリギリで完走したとして…その完走の背景に、自分に恥じることが無いのかどうか?そんなことを思って、ボクはジタバタとブルベを走っている。

2025年7月15日火曜日

山屋のブルベ戦略・装備を練る

もともとは山登りが趣味のボク、ブルベにもその経験を活用している。
ボクの装備品の紹介と、どんな考えでそのようにしているのか、そんな話をしてみよう。

無駄を省く

山登りとサイクリング装備は携行方法が異なる。丸2日間の行動を前提にしてみよう。登山なら、荷物は20〜30Lくらいのバックパックになるだろう。容量には余裕があるので、多少嵩張るものでも収まるし、「ひとまとめに」入れて背負うことができる。

ブルベの場合は、丸2日間なら600kmになる。それなりに荷物は多くなるが、1箇所にまとめるバッグはない。いろいろな場所に「小分けして」携行する。これが割と頭を使うし、個性が出るところだとボクは思う。

まずは自転車の、限られた収納スペースについて。

  1. サドルの後ろが サドルバッグ
  2. フレームの前三角、トップチューブ下がフレームバッグ
  3. ハンドルとステムに付いている、縦に長い筒状のものがステムバッグ
  4. ダウンチューブ下にぶら下がっている、黒い筒がツールケース

順に説明していこう、まずはサドルバッグ

ボクはオルトリーブをサイズ違いで2つ使っている。オルトリーブは、防水力が高く、丈夫で信頼できる。また、サドルのアタッチメントが別売りされてるので、バイクが複数台あっても、アタッチメントさえつけておけばバッグを共用できる。

バッグのサイズが変わっても、アタッチメントは共通だ。出走直前に天気予報が変わって装備(雨具とか防寒着とか)が増えたり減ったりした時、必要に応じてバッグを変更することも簡単にできる。

地味に好きなポイントがもう一つあって、アタッチメントの固定がしっかりしていて荷物が左右に振られないこと。滅多にやらないけど、ダンシングなどで車体を振ってもバッグが振られることが無く、走行性能を悪化させない。

ここに常備しているのは、「輪行袋」「インフレーター(空気入れ)」「雨具」だ。

完全防水・容量大きい

300km以下のブルベは小さいサイズを、400km以上や寒い時期には、カイロを含む防寒着、携行食、モバイルバッテリーなどが必要なので大きいサイズになる。

サドルバッグのデメリットは、荷物の出し入れが面倒なこと。そこをカバーするのが他のバッグになる。

フレームバッグは、容量は小さいけれど、アクセスがいい。

ボクの使っているやつは、左側は奥行きが無いサブポケット、右側がメインポケットになっている。左側は、薄くて小さいものしか入らないが、中のものを簡単に取り出すことができる。必要な時にパッと出したい物、小さい物はここに入れる。

  • 左から、「塩タブ」「梅干し純」は熱中症対策。
  • 次が「使い切りの目薬」と「アレルギー鼻炎薬」ボクは鼻炎持ち…
  • 次が小銭入れ。ボクはドリンク補給でコンビニは使わない。コンビニだと、ヘルメットとアイウェアを脱いで入店してお会計で、10分程度はすぐに経ってしまう。自販機なら、停車・ドリンク買う・ボトルに入れる・空き容器捨てる…5分で十分。新札・新500円に未対応の自販機がまだまだ多いので、旧札・旧硬貨を入れておく。
  • その横は、魚の目パッドと、カフェイン錠剤。

ちなみに、登山の場合はファーストエイドに痛み止めを入れる。痛みを堪えてでも動かなければならない状況があるし、山で痛み止めは手に入らない。ブルベの場合はその逆で、痛みがあるならDNFすればいい。それに…必要ならば、薬局やドラッグストアで買えばいい。

ボクは弱い人間なので、痛み止めや、薬を持つと…それに頼ってムリをしてしまうようで怖いのだ。

アクセス最高の場所

フレームバッグのメインポケットは、ちょっと嵩張るものを入れる。

赤いのは防水バッグ、フレームバッグは雨が降ると浸水する。不運にも雨が降ったら、濡らしたくないものはここに格納する。

他は、汗拭きのパックタオルと、アイウェアを拭うマイクロファイバークロス、そしてショップタオル(作業用の使い捨てペーパータオル)。

ショップタオルは…基本的に…鼻かみ用…

欧米の人は、鼻をかむ時にハンカチを使う。そのハンカチを洗濯機に放り込むのだから、家庭内不和が起こりそうだけれどどうなっているのだろう。

ハンカチを使うのも抵抗があるので、ショップタオルを使っている。丈夫で吸水性の高いショップタオルは、一枚でポケットティッシュ2パックくらいの吸水力がある。以前はここにポケットティッシュを3パック入れてたけど、今はその代わりにショップタオルを2枚。

まだ少し余裕がある

これ以外に、キューシートを丸めたものと、モバイルバッテリーを入れる。フレームバッグにはケーブルアウトレットがあるので、iPhone とか、サイコンの充電はここからできる。ガバガバの穴なので、シリコングリスを塗って防水している。気休めだけどね…

ケーブルアウトレット

ステムバッグは防水性皆無で、容量も少ない。けれどもアクセスしやすい。

ここには、ジプロックで防水したブルベカード、記入用ボールペン、補給食を入れている。オレンジの輪っかはケーブルタイ。鼻をかんだショップタオルを、次のゴミ箱まで一時的にここにはさんだり、濡れたパックタオルやグローブを乾かしたりする。

ケーブルタイは何かと便利

ツールケースの中身はこれ。

左上から、ショップタオルとニトリル手袋にポケットナイフ。
タイヤブートと、パンク修理パッチ、タイヤレバー。
黒い筒のようなものは、チューブレスタイヤのパンク修理プラグ

下段左から右へ、ポケットツール、スペアチューブ、小分けにしたムヒと虫除けだ。オーバーナイトのある400km以上は、ここにガーミン eTrex用の予備電池(単三2本)を追加する。

使用頻度は低いけど必要なものはココ

600kmブルベ中に、チューブレスタイヤのパンクに遭遇した。その時わかったのは、かなり酷いパンクトラブルに複数回見舞われても、これで十分対応できると言うこと。これで足りないようなら、そもそも完走自体が困難だと思う

ムヒと虫除けは、春から秋に入れておく。寒くなったら捨てて、代わりに防寒用品(ホッカイロとかね)を入れる。

ポケットツールは、銘品国産ブランドの TONE 。精度と強度は申し分なく、ボルト穴を舐めるような恐れがまったくない。また、表面のメッキがしっかりしているせいか、汗で濡れた手で触ってもサビ皆無。

チェーン切りは、「チェーンを交換してすぐ出走する場合だけ」携行する。チェーンが切れるのは、交換した直後がほとんどだと思う(個人の感覚です)。程よく馴染みが出て、落ち着いたチェーンが切れるようなことがあったら、それは運がなかったということ。

自宅のブルベ装備品ボックスで出番を待つ

300km以上のブルベは、サイコンなどの電池切れに備えた予備ケーブルを追加する。iPhone の充電ケーブルは、フレームバッグに付いているものとは別に予備を持つ。

長さは最低限

同じく300km以上だが、小分けしたシャモアクリームも携行する。

出走前にクリームは塗るのだが、発汗・降雨などによって流れる。ボクの場合、300km くらいで擦れによる違和感が出て、そこで塗り足しをしないと400km くらいで痛みが出る。

ちゃんと手を洗ったりできない環境で、塗り足しせざるをえない場合もあるから手袋を持つ。手袋をはめて、ささっとチョメチョメゾーンに塗り塗りして、使用済みの手袋は裏返してゴミ袋にする。

チョメチョメガーディアン

雨予報の300kmと、400km以上は小分けしたチェーンルブを持つ。チェーンルブはこの量で3回分くらい。他の参加者にお裾分けだってできちゃうよ?

ルブはAZのロードレースSP

携行品はこんな感じだ。

登山とブルベで共通するのは、「必要なものは必ず持ち、不要なものは絶対に持たない」こと。

必要性の見極めにはちょっと違いがある。

ブルベは行動中の補給ができるので、コンビニで買えるものとかは持たなくてもすむ。ただし、サイクリングは機材スポーツだ。簡単に手に入らないけど、不具合があると走れない物もある。

例えば、自転車の消耗部品、タイヤ、チェーン、ワイヤー、ブレーキパッドとかね。こうした物を全部持っていったら大変なことになる。

ボクの場合は、消耗部品は早め早めに交換するようにしている。今までのバイクは9速コンポを使ってきたけれど、その一つの理由は、惜しみなく交換できる値段であること。各ブランドのトップラインを長く使うよりも、セカンドラインを選び、予防保全の考え方で交換する。そのほうが心穏やかに走ることができる、ボクはそんなふうに考えてブルベを走っている。

2025年7月11日金曜日

ロードバイク増車しました: TREK EMONDA SL4 購入

ボクのロードバイクはRidgebackのRambleという英国車。

英国は歴史のある自転車大国、一般車、ツーリング車を得意とするブランドが「リッジバック」。モデル名の「ランブル」は、「ブラブラ出かける」「放浪する」という意味で、長期ツーリングを目的とした車体だ。

クロモリの特注フレームは、キャンピング装備をつけて丁度いいくらいの剛性がある。持つとちょっとびっくりするくらい重いのだけれど、ペダルを踏むと不思議なくらいに「スゥウーーー」と走る、そんなバイク。

で、目標だったSRとSPRを達成したので、Ridgeback とキャラが違うバイクを買い足したという話。

先輩と後輩

次に買うバイクは TREK と決めていた。
…買うお店も、Bike Plus と決めていた

理由を書くと、うざいくらいに長くなる。簡単にまとめると…絶対的な信頼感が、このブランドとお店にはあったから。

ローラー台使ってフィッティング

Rigeback のジオメトリ表をベースに、TREKのラインナップを見てみると、ほぼほぼ Domane と同じ。ロングライド向けの車体がブルベに向いていると言われているし、常識的な選択なら Domane。でも、ボクの希望は…

シートアングル立てる
ホイールベース短く
チェーンステイ(リアバック)小さく
リーチ短く
スタック短く

要するに、もうちょっとキビキビ軽快に走れるバイクが欲しかった。
で、お店の人とジオメトリ表を見て、Emonda が一番希望に近いのが分かった。ローラー台で回してみたら、希望したポジションが出せそうだったのでそれにした。

Trek white & Quicksilver

色は思い切って白を選択。

白は黄ばむし、褪色するし、汚れは目立つけど…
もう歳も歳だし、そんな長い期間ロードバイク乗らないだろうし…
好きな色に乗ることにした…

2台そのまま積載できる愛車

入荷したという連絡があったので、Ridgeback 持ち込んで、それを基準にしてTREKのポジションを合わせて貰った。

BB位置から色々違う

キラキラりん

保管場所のバイクフックにハンギングしたら、リアホイールの当たる位置が全然違う。
ホイールベース(特にリアバック)短くしたかったので当然なんだけど、ここまで違うのか…

ホイールベース短っ!

とりあえず、ブルベ装備をセットしてみる。
ハンドルバーが狭くなったので、ライトとサイクルコンピューターなどの場所争い発生。
フロント三角がコンパクトになったので、ボトルとフレームバックが干渉。ボトルケージを横抜きに変更する。

ブルベ装備を仮セット

ダウンチューブ下にボトルケージが付けられず、ツールボトルの行き場を考えなければならない。そんなもろもろを見直す。

職場のフリースペースを借りて組み替え

どんどんバラします

それと…貧脚のボクにとって、フロント50-34、リア11-30はギアが重すぎた。 
なので、フロントはGRXの48-31、リアは11-34に組み替える。

クランク抜いた

ブリーディング準備

ボクが今まで乗ってきたバイクは、メンテナンス性を重視したケーブル外装式。EMONDAはレーシングバイクなので、ほぼ完全内装式。調子にのってカーボンハンドルバー買ったらそれも内装式…

ワイヤールーティングツールを買ったけど、素人には限界がありました…

こんな穴通せないヨ

ハンドルバーのケーブル内装は…左右1本通したところで諦めた。

Jagwire のニードルインサーションツール

油圧ブレーキのホーシング・ブリーディングは、以前MTB乗ってたので無問題。
ホースのカッターから、ブリードキットまで、久しぶりの出番。

ということで、とりあえず設定は終わったので…あとは走って煮詰めようと思います。
フロント 46-28 にする予感がしてる…