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2021年7月27日火曜日

BIKE & HIKE tips(機材編)

BIKE & HIKE の機材と言えば、自転車とそれに関連する道具のこと。一番のポイントは、どんな自転車を、どのようにデポするか。ここでは自転車本体と鍵について説明します。

どんな自転車を使うのかと言えば、まぁ、その、

好きなの使え

これしかないw

予算に限りがあるならば、ママチャリだっていい。坂道がある場合は変速機があったほうがいいけど。ほぼ下り坂しかないようなコース設定をすれば、大きな問題ではない。いざとなれば、押して歩けば良いしね。

荷物を積めないタイプの車しかなければ、折り畳み自転車しか選択できなこともありえるでしょう。

理想を言えば、マウンテンバイクやグラベルロードがB&Hには向いている。登山口までの道路は舗装が荒れていることが多く、悪路走行ができる車種は安心感がある。そして、こうしたバイクはブレーキ性能に優れていることも好都合です。

今は処分した REI NOVARA Ponderosa いいバイクだった

ただ…マウンテンバイクを持っているからと言っても、それが100万円オーバーの奴とか、30万円くらいの新車だったりしたら……ヤメロと言うでしょう。(注1)。

B&H では、Hikeの時間帯に自転車をデポしているわけだ。デポとは、つまり、「放置」。そしてその場所は、大体の場合は人目の無い山中、盗み放題…

鍵をしておけばいい?

大原則だけど、「鍵は無力である」
絶対に破壊できない鍵は存在しない。

防犯能力を高めるためには、物理的に太くて頑丈な素材を使う必要がある。太ければ重くなるし、頑丈な素材は高い。持って行こうと思えるくらいの重さで、普通の人が買える範囲では、限られた防犯能力しか担保できないのが現実。

防犯能力の高い鍵は重いのが必然。ワイヤーロックは軽くてしなやかだけど、ある種の道具には無力。太いチェーンなら少しはマシだ。しかし、それも、時間をかければ破壊できる。極太の鋼棒材ならさらに時間を稼げるけど、自転車ごと持って行かれたら処置無し。

つまり、太い鋼材で、自転車と立木を同時に取り回しできるようなやつが理想的。太さ3cmのステンレス鋼でできた、フラフープみたいなのね。

むりでしょ、そんなの背負っていくのw

Ridgeback Rambler というグラベル・ツーリングバイク

ケブラーとか、チタンとか、素材を見直して防犯能力を高めたらどうだろうか?しかし、そうした素材は高価。僕の周囲を見回すと、鍵に使う予算は自転車本体の5%くらいが、普通なんじゃないだろうか。

自転車の鍵は、値段が上がるほど効果が高い。だが、5万円の自転車ロックを買うだろうか?大体の人は、自転車の鍵が1万円と聞けばビビるだろう。せいぜい、出して、5千円くらいではないだろうか?

100万円の自転車なら、5万円の鍵でもおかしくは無い。10万円の自転車なら、5千円の鍵がだいたい妥当だろう。2万円の自転車なら?だいたい1千円くらい?ね?5%くらいでしょう?

1万円くらいの鍵は相当開けにくいけど、5千円以下くらいだと…あれだ。千円くらいの鍵は、たんなる気休め。

ただ、山中に自転車泥棒をしに、道具を揃えて来るヤカラもそうはいないだろう。偶然自転車がデポしてあるのを見かけて、はずみで乗っていく、そんな人だけ防げればいい。そう考えると、5千円くらいの鍵を使ってデポする、つまり自転車本体の値段はせいぜい10万円くらいなのが妥当なんじゃないだろうか。

2002年式 GT iDrive 5-3.0

そんな考えで、僕はあまりにも高額な自転車は買わないし、ピカピカの新品バイクをデポするようなことはしないようにしています。

鍵に頼ることができなければ、どうやって安全に自転車をデポするの?

それが次回のテーマです。

つづく


注1 100万円オーバー?自転車に?っていう感覚は正常です。ただ、150万円くらいする自転車って実はそこそこあります。フルサスのマウンテンバイクなら、30万円はごく一般的。

2021年7月26日月曜日

Ride19 + Hike 2 赤城不動大滝

今日も猛暑予報なので、暑くなる前に山に入ろうと出発。しかし、脚が回らない…
グンマー國のあまりの暑さ続きに、地味に体力が落ちている気がする。あ、これが夏バテか?

桐生方面に行こうか、赤城にしようか…とりあえず雲に覆われて涼しそうな赤城に登る。
できるだけ車の通らない農道を選んで進む

小沼(この)、大沼(おの)に上がって、覚満渕あたりを散策しようかと思っていたのだけれど、赤城神社で気が変わる。
ちゃんとお参りするのは今日が初めて

赤城山のてっぺんまで行かなくてもいいから、今まで走ったことのない方に進んでみようかと、進路を東に。すると、自然歩道の入り口が現れた。
遊歩道入り口

4連休明けの平日で、駐車場にも車が無いので、そのままちょっと自転車で失礼する。
延命猿泉

延命の水で口を湿らせていただいたので、寿命が延びたに違いない。赤城不動の神社についたら、想定を上回る立派さ&歴史感にびっくり。

山門、隣には手入れの行き届いたお手洗いがある

山門をくぐると本社がある

本社脇には豊富な湧き水

本社脇から自然歩道を20分ほど歩くと、大滝に着く。靴を濡らさずに渡渉するのがちょっと難しいかも?というポイントが3箇所くらいある。濡らさないように気をつけるよりも、むしろ、濡れてもいい靴でジャブジャブ歩くのが楽しい。
思いの外立派な不動大滝





川坊主が現れた小渕

乗車できるポイントは少ないけれど、木陰で快適な遊歩道

また来るね

車道まで降りて、せっかくだからそのまま林道を奥へと進む。少し登って、尾根と沢筋をいくつか超えて下ると、大猿園地についた。

そこにも由緒正しそうな神社の案内があったので、砂利道の林道を奥へと進んでみる。こちらの御神体は…陰陽のなんというか、素晴らしいものでした。ぜひ一度ご参拝をお勧めします。

澳比古神社

ここまでは雲の中で、涼しいくらいだった。どうも疲労感が抜けないので、早めに帰ることにして、坂を下って猛暑の中に。

地元の酒蔵 桂川さん

こちらの桂川は、辛口がメインストリームのご時世においては貴重な「旨口」。だがしかし、自転車のポタリングで、日本酒をお土産で買うのはハードルが高い。

早めに帰ってきてしまったので、ペルー料理の EL KERO さんで牛肉チャーハン。


帰宅してシャワー浴びたら辛抱たまらず、お昼寝2時間。やっぱり疲れていたみたいですね。

みなさんも体調管理にはお気をつけて。

おしまい

2021年7月25日日曜日

BIKE & HIKE の始まり 伽藍沢(ガラン沢)

僕がB&Hを始めたばかりのころにやって、印象に残っているガラン沢。

一般的にはカタカナでガラン沢と書かれるけれど、多分、元々は伽藍沢。尻焼温泉の上流で長笹沢と分岐し、志賀高原横手山に突き上げている。

横手山スキー場や渋峠スキー場に行ったことがあれば、北〜北東方向に「遭難多し」「進入禁止」「スキー場管理区域外」という看板が多く見られることに気がついたと思う。そこが、ガラン沢の源頭部にあたる。

ツアースキーが盛んだった時に、北西風に押されてガラン沢に迷い込み、遭難した人が多かったようで、「魔の沢」とも呼ばれている。

入渓したては余裕がある

ただ、冬場は魔の沢だけれども、夏の渓相は異なる。過去の記録や地形図で研究したところ、この沢は技術的には易しい。困難な滝は無くて、遡行に危険な箇所はほぼ無い。また、酸性の川水で藻の発生がない。つまり、滑らず、草鞋やフェルトソールの専用シューズが不要で、ゴム底の運動靴で十分。

歩いても歩いても伽藍の中

ただし、草津スキー場まるまるひとつ+αの標高差を稼ぐことになるので、体力は必要だ。そして、尻焼温泉から志賀高原までの距離を歩くので、日帰りはムリ。途中で野営が必要になる。エスケープルートも無く、上部で大雨とか降られたら増水の危険性もある。

そして…見た目キレイな沢水は鉱泉水なので飲用不可。湧水もそこらじゅうが温泉地帯の草津エリアなので、基本飲用不可。だから2日分の水を担いで行かなければならない。

ほとんどの滝は直登できる

もろもろを検討した結果…僕らは遡行計画をたてた。

えっとねー、まず、参加者は全員MTB持ってるよね〜
押忍…
沢登だから、みんなヘルメット被って登るよね
押忍…
じゃぁ、沢登って帰りはダウンヒルすっか
押忍…え?マジすか?
うん、だってさ、横手山突き上げて、そっから帰ってくる方法がないじゃん?
車を一台デポして…とかはどうすか?
それじゃー普通でつまんないじゃん。せっかく行くんだからとことん楽しまないと!

前夜草津に集合して渋峠まで上がってMTBをデポ。尻焼温泉まで戻って適当に寝る。翌朝は車で入渓点まで移動して遡行開始。

長い遡行で疲れたところで、小雨となった。増水に備えて、高台の平地にシートを設置して野営に入る。

楽しみにしていた焚き火はできなかった

二日目は早めに出発したが、小雨が続いていたので写真が無い。横手山に突き上げる最後の斜面が、「降雪で下向きに曲げられて密集したネマガリ竹の薮」という、やや地獄のトラップになっていて、苦しかった記憶がある。

当初の予定では、横手山ヒュッテでランチして、渋峠から芳ヶ平経由でMTBダウンヒル。しかし、横手山に上がった僕らは、竹の皮でいろいろすりむき、目ん玉を薮でつつかれ、2日間の疲労で膝はカクカク…とりあえず帰ろうというムードだった。


横手山ヒュッテでランチ

ランチしながら天候待ちしたけど、雨が止まないどころか本降りになってきた。諦めて渋峠に降り、自転車を回収して尻焼温泉目指して下る。

渋峠

仕事の都合で参加できなかったヨーイチが、渋峠に車できていたのはちょっと笑った。 そして、ここからはダウンヒルだ〜!ひゃっほーい!と下り始めたのだが…

山田峠周辺と、湯釜周辺で地味に登り返しがあったのは誤算だった。疲れ切った腿でペダルを踏む苦しさ…

当時の愛車 REI Ponderosa

すごい疲れたけど、充実した旅でありました。
おしまい

2021年7月24日土曜日

R18 川坊主を探して芝倉沢

 いつもこの時期になると、川坊主を探しに出かける。今日は久しぶりにマウンテンバイクを引っ張り出して、車載して湯檜曽公園。ここから芝倉沢を目指してGO。

今日発見した川坊主@芝倉沢出合い

公園からゆっくりのんびりペダルを漕ぐ。月曜日に行った苗場山登山の筋肉痛が、結局消えなかったのは黙っていればバレないはず。

コロナの影響で紆余曲折があったビジターセンターもオープンしている。開所の準備をしている、感じの良いお姉さんに声をかけられた。「寄って行きませんか?9時からですけど…w」
ビジターセンター
先を急ぐ旅の者故、失礼つかまつる。
谷川岳ロープウェイ
ロープウェイ正面駐車場の係員のお父さんが、声をかけてくる。「自転車かい、頑張るねー!ロープウェイ乗っていけば?」

先を急ぐ、旅のモ(略)
マチガ沢園地

久しぶりの一の倉沢
幽ノ沢
ブナのしずく水場
芝倉沢出合、奥にはまだ雪渓が残る
今年の四月はこんな感じの場所。路盤の下にある滝状は埋まっている。
芝倉沢出合い、右斜めに旧国道の路盤が伸びる

今日のメインイベントは、絶滅危惧種の川坊主探索。そして…
ランチセット(一人前)
焼肉です!
グンマー名産、金華亭ホルモン
まずはホルモン焼き。え?焼「肉」じゃないよね?って?

何言ってんの、昔日本は貧しかったの。牛肉なんて、めったに手に入らなかった。だからこそ、「ビフテキ」って、特別感のある言葉が産まれたわけで。

焼肉と言えば、ホルモン。
すき焼きと言えば、豚肉。
蒲焼きと言えば、サンマ。
焼き魚と言えば、丸干しか、みりん干しか、丸干しか、文化干し

で、まぁ、フライパンは、アルミか鉄に限るよねと、いつも思う(注1)。

焼肉(ホルモン)を美味しくいただき、次はちょっと高級なソーセージを焼く。

オリーブ&チーズのソーセージ

最初はヒタヒタに水を入れ、フツフツと煮立って、ソーセージに芯まで熱が通ってから表面に焼き目を付ける。

ビールが進んでたまらん、発泡酒だけどw

〆は棒ラーメン。災害対策でストックしてある。本来なら、普段使いして、ストックが減ったら買い足し。そうすれば、在庫の賞味期限管理が可能になるのだけど、夫婦揃って糖質削減ダイエットしてるので、全然減らない。

なので、たまにこうやって、食べて減らすミッション。
賞味期限2021/2の棒ラーメン

景色を楽しみながら、棒ラーメン2人前盛り

合間合間で、川坊主を探す。

警戒心の強い個体

だがしかし、普段は人跡未踏(大げさ)な芝倉沢出合いに人がワラワラと…

こうなっちゃうと、人嫌いの川坊主は出て来なくなる。ちょうど空には積乱雲が広がり、冷たい風も吹いてきたので帰りましょうかね。
やっぱグラベルはMTB最強だよねw

トンボちゃん

電気バス

旧谷川岳登山センター、というか、火事で焼けたロープウェイ山麓駅の脇から、電気バスが走っている。スピードは遅いし、乗車可能人数は限られているけど、僕はこれは素晴らしいと思う。というか昔は、一の倉沢出合いまで自家用車で入れた、のが間違ってたんだよね。

こんな狭くて、路肩がいつ崩れるかわからなくて、ガードレールもまともにない(注2)こんな道を、車を相互通行で通すってのが間違い。

久しぶりにフル洗車

帰宅して、少し丁寧に洗車をする。今度友達に貸すかもしれないから。自分が乗る分には、少々の不具合があっても我慢する。でも、初めて?MTBに乗る友人が、これに乗って不快な気持ちにならないように、ちょっと丁寧にメンテナンスをする。

ログはこんな感じ(往路のみ)

やっぱり猛暑日は、川坊主ですよね。

おしまい

注1 何かの気の迷いで、チタンのフライパンを買ったんだけど、失敗。熱伝導悪すぎ&焦げ付き過ぎ。アルミのコーティングか、むしろ浅めのアルミ鍋が一番使い勝手がいいかな。

注2 豪雪地帯では、ガードレールは除雪の障害になるので設置できない。ガードワイヤー(秋に撤去して、春に再設置する)か、ガードポールくらいしか、転落防止柵としては設置できないんですよね。

2021年7月23日金曜日

沼の釣り師、N口さん (2/2)

僕とN口さんは、思わず目を合わせると爆笑した。

両手で、剣道の素振りのように振るフライフィッシングの竿…
それは…確かに…日本では振れる場所がなさそうだ

沼…

僕はさらに尋ねる、日本ではそんなの見たことないと。

そうですねー日本では見かけないですね。
カナダは川がでかいんですよね。半端ない距離を飛ばさないと、魚がいるところまで届かないんです。
それと、日本だと風向きによって、どちら側からキャストするか決められるでしょ?
カナダだと、対岸に渡れるポイントが無いんです。
風向きが悪い時にフライを飛ばせないと、それで終了です。
だから、長くて重量のあるラインを飛ばすために、何もかもがでかくなりますね。

ふと思って僕は尋ねる。

そうやって何を釣るの?レインボーとか?
いやー、基本はサーモンですね、キングサーモン。
とにかく、人がいないところで釣りますから…っていうかそもそもカナダって人がいませんから…魚がスレてないんですよね、入れ食い。

じゃぁ、毎日朝晩サーモンばっかり食べるの?
基本そうですねwww 
泊まりはテントで、食料を全部持っていけるわけでもないので、現地調達で。 
周囲にはクマがたくさん居ますから、残飯残して、匂いがすると危険です。
だから、食べるためにキープするのは、1日1匹だけ。あとは全部リリースです。

そもそも、外れやすいフックにしてるんですよね。
フッキングして小さいと思ったら、わざと外しちゃうんです。
引っ張ってきたら、リリースしてもやっぱり疲れちゃうでしょ、魚も。
うまくいくと、魚も何があったのかわかんない内に外せてますね。

クマ…怖いよね?

ブラックベアはまだいいんですけど、ブラウンのやつ、グリズリーですね、あれ、ヒグマの巨大化した奴ですから洒落にならない。

じゃぁ、クマがいたら逃げる?

いや?

クマ見てて逃げてたら釣りにならないんで、横目で見ながら釣りします。
クマも横目でこっち見ながらサーモン捕まえて貪り食ってます。なんか連帯感みたいな。

そこで僕は道具の話に戻って、飛距離とか、向かい風とか考えたら、ルアーのほうがいいんじゃないの?的に問いかける。N口さんは、ニヤリと笑うと、こう言った。

沼…

I塚さんだって、スノーボードやらないでしょう?
いつも、パウダーならスノーボードのほうが楽しそうっていいながら、スキーしかやらないでしょう?(注1)

それとおんなじなんですよね…

僕の場合は、フライも特殊なんで、売ってないので自分で巻きます。材料も特殊なんで、一個数千円、下手すると万札が飛んでいく値段になります。で、しかも、限られた状況でしか使わないようなヤツだと、巻いたけど、10年間、一回も使ってないやつとかもあります。

沼だね…

沼ですよ…フライは特に深い、深ーい沼です。
これで国内用のタックルとか揃え始めたら破産まっしぐら、です。
正直、ルアーのほうが楽かもとか思いますけど、多分そっちも沼なんですよね。

そう言うと、彼はちょっと腰を伸ばすと、そろそろ仕事に戻りますという目でチラリとこちらを見た。

僕らはオフィスの中にいた。彼は、立ったまま、彼専用のスタンディングディスクで仕事をしている。立ったまま、パソコンのモニターに向かう彼の姿が、チェストウェーダーを履いて沼の中にいるように見えてきた。

彼はそのままズブズブと沈んで行きながら、楽しそうにつぶやく。いやーこれだけ深く沈むと、ウェーダーに浸水しちゃうなー。しかも、こんなんじゃ、竿、振れねーし。

そうこうしているうちに、彼はそのまま沼に沈み込んで行く。水面には彼のフライフィッシングの竿の途中から先だけが出ている。その竿がリズミカルに水面を切り裂き、前後に動きながらラインを伸ばし、魚の元にフライを届ける準備をしている。

僕は首を振ると、そんな白昼夢を振り払うと、自分のデスクに戻って仕事を再開した。

注1 そのころ、僕はスキーヤーで、スノーボードなんて一生やらないだろうと思っていた。今はスキーの道具は処分して、スノーボードに絞ってしまった。この変化に我ながら驚く。

この2編における注: 僕は釣りをやらないのと、N口さんのフライフィッシングがあまりにも規格外なので、正しく理解して書けているか自信がありません。もし、事実と違うまたは、常識では考えにくいような表現がありましたら、それは単に僕の筆力不足によるものです。あ、そもそも、このブログの内容はすべてフィクションでしたねw

2021年7月22日木曜日

沼の釣り師、N口さん(1/2)

N口さんと僕が友人であるかというと、微妙だ。僕は彼のことを心からレスペクトしている。仕事を通じて知った人柄も、趣味に対する情熱も。しかし、友人と言えるほど親しく長く交友が続いているわけではない。

なにしろライフスタイルに接点がなさすぎて、一緒に遊ぶ機会がほぼなかった。付き合いは仕事のみで、1年未満というごく短い期間。

もう、かれこれ15年以上?会っていないのだけれど、
いまだに僕にとって強烈な存在である、N口さんのお話。

沼…

職場でN口さんは立ったままで仕事をしている。ヒドイ腰痛持ちだからだ。彼は言う、「立っていた方が楽なんです」。

N口さんの趣味はフィッシングなんだってね?良く出かけるの?
うーん、行けて年1回くらいですね…
?それは腰痛がひどいから?
いや、釣りに行けるなら不思議と腰痛は一発で痛みが消えるんですよw
じゃぁ、治療だと思って、もっと頻繁に行けばいいのにw
いぇ、そんなお金も休暇もなかなか、ねぇ…

どうもN口さんとの話は噛み合わない

沼…

しかし、彼としばらくの間一緒に働くのだ。コミュニケーションは取れるようにしておきたい。僕は話をつなげる。

いつもどのあたりに行ってるの?
カナダの〇〇川流域が多いですね。
えっ?カナダ?
はい、行けるとなったら、時期によって、その流域でどの川の、このエリアに入ると決めるんです。 
あっ!なるほど!
そうなんですよwww
だから最低1週間、できれば2週間くらい無いと、釣りに行けないんですよwww

それで、行けても年1回、下手すると数年に1回とかなんです…

でもさー、国内で日帰りとか週末にちょっと釣りに〜とかはやらないの?
道具がないんですよねー

やっぱり彼との話は噛み合わない。

沼…

仕事のコミュニケーションとか関係なく、話が面白い方向にズレていっている。

カナダで使う道具で釣ればいいんじゃない?

…説明すると長くなりますけど…
僕がやってるのはフライフィッシングなんです…けど…
I塚さんが想像しているやつとは随分と違うんです。

多分、片手で竿を持って前後にヒューンヒューンと振って…
もう片方の手でラインを操作しながら、少しずつ繰り出す。
そして、狙っているポイントにスッて落とす、そんなイメージですよね?

うん、違うの?

僕のはですね、両手で竿を持って振るんです。

!!!????

剣道の素振りです。竹刀の代わりに、ぶっとくて、長〜い竿を振る。

僕とN口さんは、思わず目を合わせると爆笑した。

それは…確かに…日本では振れる場所がなさそうだ

つづく