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2021年9月10日金曜日

Ride 27 遅い夏休み (高崎〜ひするまキャンプ場)

 遅い夏休みを1週間取れたので、自転車でキャンプをしながら新潟を回ることにした。

僕のグラベル・ツーリングバイクは、キャリアをつけられるようにいろんなところにダボ穴(キャリアの取り付けステーを、ボルトでフレームに直接つけられるように設けられた穴)があいている。キャリアを買って、リアの左右に取り付けるパニアバックを手に入れて、セッティングを済ませておいた。

フル積載で走るのは、高校生以来のこと。果たして体力が持つのかどうかだけが心配だ。

9/10金曜日から夏休みがスタート。昼少し前に、歯医者さんの予約を入れていたので、ゆっくり出発とする。

朝のうちに家のもろもろの雑事を片付けて、フル積載したバイクで歯医者さんに向かう。そう、治療が終わったら、歯医者さんからそのまま夏休みツーリングへとスタートというわけ。

覚悟していたほどキツくはないけれど、やっぱり荷物の重さは感じる。停止すると、再スタートが地味に脚にくる。それと、リアのパニアバックの位置が悪いらしく、ペダリングの時に左右にゆらゆら振られている感じ。

汗だくで歯医者さんに行くと、先生や歯科助手さんたちに迷惑をかけそうだ。汗をかかないように、踏み込まずのんびりとバイクを進ませて歯医者さんに到着。

荷物多い患者ランキング No.1

治療を終えて、午後イチの出発になりました。

今日は沼田あたりまで抜けようと思っていたけれど、無理は禁物。ふと、以前から気になっていたキャンプ場を思い出して電話をしてみた。そうしたら、予約が取れたのでそちらに向かう。

「ひするまキャンプ場」に到着。オーナーさん?管理人さん?は作業中のようで、チェックインは後回しで、先に設営してくださいとのこと。ちょうどベンチがあって、日当たりが良い場所に空きがあったので、そこに陣取る。

というか、お客さんが全然いないw
20年物のMOSS Hooped Outland テント

設営を済ませたところで、管理人さんが登場。

えっ?自転車?弱ったなぁ…
えっ?(なに?なに?なんで弱るの?)

もしかして1人?
はい…
それは困ったなぁ。
????

いくらもらったらいいんだろ…まぁ、いっかサービスで〇〇‼︎
えっ?

www
www

いやそんなわけにいかないでしょ?
いやーだってさー最近、自転車で一人でキャンプで、平日来るなんて…
高校生ぐらいだからね…

www
www

まぁーなんだ、高校生扱いということで!
あざーす! (僕、55歳なんですけどねw)

と言う、到着の儀式を経て落ち着きました。

結構ヤブ蚊がいるので準備は万端にしてどうぞ

利根川がすぐそこを流れていて、トイレはウォッシュレット。ただしシャワーはないし、売店や自販機も無い。急な坂道を上がったところにファミマがあるから、車やモーターサイクリストは買い出しにこまらないけれど、徒歩やサイクリストは事前に購入しておくのが吉です。

ビールを飲んでテントに入る。標高が低いので暑くて寝苦しい…と思っていたら寝落ちした。

2021年9月9日木曜日

中古ホイールセット買いました(追記)

今回買った、Fulcrum R5DB を、鉄下駄とくらべてみよう。

リムサイドにメーカーロゴが入っていると、見た目の印象が結構変わる。最近のモデルは、クロリムにグレーのロゴみたいな、ダークラベルとか、シャドウとか、地味目なのが多い。なので、ちょっと古い印象になるのだけれど、もともとクロモリの細いフレームで、トレンドからは外れたバイクなのでこれはこれでいいのかも。
ちょっと見かけがワチャワチャする?

斜めから見ると気にならない、かも?
ロゴはステッカーなので飽きたら剥がそう…

重量はこんな感じになった。
ホイール本体のみだと、セットで 1.7kg 軽くはないけど2kgオーバーの鉄下駄よりはマシ。QRのシャフト&レバー、ディスクブレーキロックリングを追加して、前後1.9kgになった。ローターを追加すると、前後で2kgは超える。
(赤字)20gのリムテープを外して4gのカプトンに交換

せめてもの軽量化として、リムテープを外す。
リムテープ20g

カプトンテープをリムテープの代わりに貼る。これはチューブレスリムテープとして購入したものなんだけれど、軽くて丈夫なので、クリンチャー用ホイールのリムテープとしても流用している(注)。
カプトンテープは 4g

ホイールの重量は「素」の状態と、いろいろ付属品がついていった状態を考えなければならない。わりと影響が大きいのはやっぱりタイヤ。

700 x 35C のセミスリックグラベルタイヤを履かせた鉄下駄ホイール(フロントは 1.7kg)。
持つとズシッとくる重さw

Fulcrum R5DB のフロントは、同じ条件で1.5kg。
これなら輪行もなんとか…

フロントで200g 、前後で400gの削減は大きい。今回は、鉄下駄ホイールのクリンチャータイヤを、前後ローテーションしてそのまま使う。そのタイヤが寿命を迎えたら、チューブレスレディタイヤに組み替えれば、さらに前後で100g程度は削減できるかな。

秋の長雨の合間を狙って、平地を30km程度走ってきた。漕ぎ出しとハンドリングが軽快になった。700 x 35C でグラベル&キャンピング用と思っていたけど、これに28c の軽いタイヤ履かせても面白そうだな。と、妄想が止まりません。


注 カプトンテープをリムテープの代わりに使う場合は、自己責任でやってください。僕はカプトンテープ一周、バルブホール周辺だけオーバーラップ30cm 程度で組んでいて問題はありません。グラベル・ツーリングバイクなので、タイヤは低圧運用。前後とも3Bar以下です。普通のロードバイクは7Barとかだと思うので、そこまで空気圧をあげると、カプトンテープが耐えられるかどうかはちょっとわかりません。テープを2周にするとかよりも、普通にハイプレッシャーリムテープを使うほうがいいかもね?

2021年9月8日水曜日

中古ホイールセット買いました (2/2)

さて、次はリアホイールのオーバーホールだ。

ハブボディには、フロントと同様にシールドベアリングが圧入されている。違いは、フリーボディがついていること。 そのせいで、分解と清掃がちょっとだけ手間が増える。

ただ、昔のルーズボールベアリングみたいに、ベアリングを落としてしまって、泣きながら探し回るようなことはないのがありがたい(注1)。

まずは球押しを緩めて、ハブシャフトとフリーボディと一緒に引き抜く。
フリーラチェットの摩耗と埃の汚れ

シャフトそのものの汚れはなく、サビも見当たらない。
シャフトは綺麗で汚れもない

さて…フリーボディのロックナットを緩めてシャフトから引き抜いてと…

ロックナットが固着していて回らない…

シャフトの両端に、スパナをハメてクイって回せば外れるのだけれど…よく見ると、ノン・ドライブサイドの、スパナを噛ませるところが…微妙にナメている。

実は、ここのロックナットは「逆ネジ」なのだ。

ははーん! ピンと来た。

前のオーナーは、逆ネジに気がつかなかったのかも?そして、緩めようとしたけど緩まないので、ぎゅっと締め込んでしまってドツボにハマったのか?

こんな風に締めちゃったナットは、慎重な扱いが必要だ。オーバートルクで締まってるので、オーバートルクで緩めないといけない。だが、オーバートルクをかけると、スパナが滑ったり、外れたりするリスクが高まる。スパナが滑ってナットの山を舐めると、取り返しがつかなくなる。

本来ならば、山が甘くなった片側は、万力でがっちり固定しておく。そして、山が生きている反対側にスパナをしっかり効かせて、慎重に緩めていくのだけれど…万力がない。

万力が欲しいなぁ

仕方がないので、モンキーレンチを作業台に万力で固定。固着したロックナットには Wako's のルブを浸透させて慎重に…外れた!

アルミシャフトに、浅いネジピッチ、スパナのかかりが浅いロックナット。こうした設計は「決してオーバートルクで締めないでください」というサイン。3mm 以下のヘックスボルトや、アルミのナット・ボルトなども同様で、特に注意がなければ1~3Nm 程度のトルクで締める。もし、緩みが心配になる部分なら、中強度の緩みどめをつけるべき。

で、そんなパーツを緩めようとして、ダメな場合はよくマニュアルを見るべきだ。「逆ネジ」であった場合は、取り返しがつかなくなるから(注2)

ちょいサビ・汚れ

フリーボディ内部のベアリングからは、わずかに赤錆汚れ。グリスはほぼ抜け切って、汚れを吸っている状態。まだゴリ感は出ていないので、ギリギリセーフなタイミングかな。

綺麗に清掃し、奥に入った汚れはパーツクリーナーで洗い流す。そして、ベアリングと、フリーボディの爪にはチタンスプレーを浸透させる。

清掃完了

グリスを溢れさせがなら組み付けるのはフロントと同じ。ここがグリス切れすると、洗車の時に水が入ってサビを呼ぶことになる。
むにゅっとなー

ここで注意しなければいけないのは、フリーのラチェット部分には専用グリスを使うこと。「フリーハブ・グリース」という、ちょう度のひくい、粘度の低い、つまりは柔らかいのを使う必要がある。
専用グリス、右は汎用グリス

ラチェットの爪が寝たり立ったりすることで、フリーハブは機能を発揮する。ペダルを漕いで時計回りにトルクがかかった時は駆動力を車輪に伝える。ペダルを逆回転させる、またはペダルをこがずに前進するとき、フリーは連結を解いて空転する。

これが、自転車に乗っていて空走状態の時に聞こえる「チーーーー」というラチェット音の正体だ。

固いグリスを入れてしまうと、爪が立ち上がってくる動きを邪魔してしまう。これが極端になると、空走状態から加速しようとペダルを踏み込んだ時が問題だ。ペダルを踏み込んだ時に、爪が起き上がらず、ラチェットに噛まず、ペダルをスカッと空振りする。こうなると、良くてキン◯マを強打、最悪は落車となる。

そして、爪とハブのラチェットはいつでも触れ合っているわけで、ここに異物が入ると途端に寿命が短くなる。そんなわけで徹底的に清掃して、汚れがつかないように注意しながらグリスを入れる。

清潔なヘラでグリスを入れていく

フリーハブグリスは、柔らかいので、浸水防止効果は弱い。そこで、フリーボディをハブに押し込んで行って、パッキンがハブ体に入り込む直前で汎用グリスを封入してやる。
追っかけグリスで防水

フリーボディとハブが一体化すると、この追いグリスは、ほとんど表側にはみ出してきてしまう。実際のところ、これがどれだけ意味があるのかは微妙で、ほとんど自己満足の世界だろうね。まぁその、自己満足が素人メカニックの原動力なんだし、趣味でやってるのだから、危険を招かなければ好きにすればいいかな。
これぐらいの量があればシール効果は期待できる
乗るのが楽しみだなぁ

注1 中学・高校時代にハブの分解清掃では散々痛い目にあった。教訓は、「芝生の上でやってはいけない(磁石で探さない限り発見不可能)」「砂利の上でやってはいけない(同じくw)」「アスファルトの上でやってはいけない(穴に入って見えなくなる)」「コンクリートのもいけない(弾んでどっかに跳んで行くw)」「薄暗いところでやってはいけない(論外w)」。ボールベアリングを落とした時の絶望感w

注2 自転車には、ポイントポイントで「逆ネジ」が使われている。ねじ込み式ボトムブラケット、ペダル、そして今回のようなハブシャフトのロックナット。自動車やモーターサイクルは、頑丈な鋼鉄で径の太いボルトを使って、ハイトルクで締め付けができる。パーツの重量が性能に及ぼす影響は少ないから。だから、軸とその周囲を回る回転体がどっち方向に回っているとかあんまり関係ない。ところが自転車の場合は、高いトルクでの締結ができない(ボトムブラケットで40Nm程度)。だから、そこと接触する回転体が緩み方向に回っていると、いつかはネジが緩んでしまう。で、回転体の締め付けナットは、ロックタイトを使うとか、逆ネジを活用することになる。

2021年9月7日火曜日

中古ホイールセット買いました (1/2)

ロードバイクの、ホイールセットを買いました(注1)。持っているのはこんな感じ。

1 完成車購入時に付いてきたホイール(海外ブランドなので、ガタイのしっかりしたオーナーが使い倒しても大丈夫なくらい頑丈。しかも、グラベル&ツーリングバイクなので、ひたすら頑丈で重い、いわゆる鉄下駄)
2 海外通販で購入したカーボンリムの軽量ホイール(耐久性はある程度犠牲にしてあるけれど、ヒルクライムとかは楽)

僕が今後やりたいのは、サイクルツーリング。キャンプしたりしながら、数日間にわたって放浪する。僕は山に入っていくのが好きなので、途中で補給ができないような場所にも行くだろう。そうすると、自給自足できるような装備を積んでいく必要があって、荷物が多くなる。で、重量もかさむので、丈夫なホイール、1の鉄下駄を使うことになる。

ただ…荷物で重量が増えてさらにこのホイールで峠を超えるとか…罰ゲームかよ…

そして、鉄下駄ホイールはクリンチャーリム。カーボンホイールをチューブレスで乗るようになって、僕はその快適性に虜になった。

そんなわけで、もうちょっと軽くて、丈夫で気兼ねなく使えて、チューブレス運用できるホイールを、安く手に入れたいなーと思っていた。

左が今回買ったホイール、右は鉄下駄

そんな時に、ちょうどいいホイールセットを見つけて購入した。Fulcrum Racing 5 DB、新品の半額弱の25,300円(税込)で売っていた 。

現代のグラベル・ツーリングバイクは、雨や泥の悪条件下でもブレーキが効くように、ディスクブレーキを装備している。マウンテンバイクのブレーキは、カンチレバーブレーキからVブレーキ、そしてディスクブレーキへと移行していった。そのときと同じく、ロードバイクもリムブレーキからディスクブレーキに移行する過渡期があった。そして、様々な規格が生まれては消えていった。

僕のバイクはちょっと古い規格で、前後ともQR(クイックリリース)ハブなのだ。で、最近のグラベル・ディスクロード用のホイールは、前後スルーアクスルハブ。そのままでは使うことができない。このホイールは前後QRで、初級者用モデルでちょっと重量はあるけれど、その代わり頑丈にできている。

とりあえず、オーバーホールを始めながら、状態を確認する。当たりの個体でありますように…南無南無

フロントのハブシャフトを抜く

とりあえずフロントからバラして確認していく。初級者グレードのホイールは、カップ&コーン構造+ルーズボールのベアリングが普通。このホイールは、シールドベアリングが入っていた。防水・防塵効果が高くて耐久性に優れるシールドベアリングはうれしいね。オーバーホールもやりやすいし。
使用感の無いフロント

組み付け時に封入されているはずのグリスはほぼ無くなっているけれど、汚れやサビの無い良好な状態だった。ベアリングを回転させてみると、当たりが出たかどうかギリギリみたいな使用感。

ショップタオルで汚れを綺麗にして、シールの隙間から高耐久オイルを浸透させる。そして、表面には防水用のグリスを盛り上げて、組み上げ。
グリスが隙間を埋めることで雨の侵入を防ぐ

ここまでの写真を見て気がついた人もいるかもしれない。このフロントホイールは、QRがセットしてあるけれど、ハブそのものは、スルーアクスル対応型。12mmのシャフトでフロントフォークと剛結する、現行規格のハブ。

12mmスルーアクスルシャフトの代わりに入れると、QRとして使えるアフターマーケットパーツが入っていた(注2)。
Micro Hero のQRアダプター
ピンクパープルのシャフトがそれで、Micro Hero という台湾のブランド。Made In Taiwan の自転車パーツは、中国本土製と比べるとまったくレベルが違う。というか、台湾製は僕は信頼しています(個人の感想です)。

フロントホイールは、ほぼ新品と言っていいくらいのコンディションだった。逆になぜこのホイールセットを手放したのか?ちょっと気になりつつ後輪のメンテナンスへと続きます。

つづく

注1 スポーツバイクのホイールは、前後で組み合わせて販売しているものをホイールセットと呼びます。

注2 リムブレーキからディスクへの移行は、規格が乱立していた。
フロント QR9mm x w100mm → TA 15mm x w100mm または TA12mm x w100mm
リア QR10mm x w135mm → TA12mm x w135mm  (ブースト規格では w142mm)
これはロードの場合で、MTBやファットバイクはさらに複雑。
で、フレームの規格を変えるのはいろいろ大変だけど、フロントフォークは比較的簡単。なので、前後QRから、前後TAに移行する間に、フロントフォークだけTAで、フレーム(とその一部のリアエンド)はQRという規格のモデルが結構あった。で、ホイールセットにも、前だけTAでリアQRというパターンも存在した。このホイールの前オーナーは、そんなモデルを買って、前後QRのバイクで使っていたんじゃないかな?

2021年9月5日日曜日

バイクメンテナンスのヒント ディレーラーハンガー(2/2)

 前回の続きです

    3.プーリーケージが微妙にスポークに当たっている

**3の症状は深刻な問題に直結するので、今すぐ乗るのをやめましょう**

と書いたわけだけれど…なぜ…「3. プーリーケージが微妙にスポークに当たっているの状態で乗り続けてはいけないのだろうか?

答えは…ディレーラーがホイールに巻き込まれてドツボにハマる直前だから。

ディレーラーハンガーはあえて柔らかいアルミで作られている。だから、ディレーラーをヒットしたり、チェーンに木の枝などを巻き込んだりすると、簡単にゆがんでしまう。そして、ハンガーがゆがむことでフレームが守られるわけだ。

問題は、ハンガーが内側にゆがんだ場合、ディレーラーとホイールのクリアランスが少なくなる。そんな状況で、リアをロー側にシフトしたら…回転するスポークがディレーラーを巻き込んでしまう。

新車の時、ディレーラーのプーリーケージとリアホイールのスポークには、十分な隙間がある。その隙間が少なくなっているということは、ハンガーが内側にゆがんでいるということ。そして、ディレーラーがホイールにいつ巻き込まれるかわからないということなのだ。

これがフィールドで起こると、わりと大変なことになる。

かれこれ15年くらい前に、MTBでよく行っていた古い峠道がある。そこで、いきなりヨーイチが叫び声をあげて停止した。面倒くさいから置いて行こうかと思ったのだけれど、心優しい誰かが止まってあげてたので、仕方なしにみんなで集まった。

どしたの?
いや、チェーンに枝を巻き込みまして…
…?
ペダルを逆回転させまして…
ほうほう…
枝が外れたと思ってペダル漕いだんです。
……
そしたら、なんか引っかかってまして
www
で、ま、大丈夫かってペダル踏んだらガツーンて来ました!! 
wwwwwwwwww
wwwwwwwwww 
 
あのな…
はい?
そんな時は踏み込むな!
押忍!

見て見たら、ディレーラーがリアホイールに巻き込まれて、テンションケージが変形して、ディレーラーハンガーはあさっての方向を向いている。

正座して反省するヨーイチ

ディレーラーが無事ならば、ハンガーを力技でひん曲げて修正する。ロー側でディレーラーが巻き込まれる可能性があるようならば、L側のアジャストボルトを締め込んで、ディレーラーが巻き込まれる位置まで動かないように規制してやる。そうすれば…とりあえずは走れる。

この時はディレーラーは変形してオシャカ。ハンガーは変形して、シワが寄っている。こうなってしまうと、内側にクラックが入っている可能性が高く、曲げ直した瞬間にハンガーが根元からモゲル。

チェーン切りで長さを詰める

しかたがないので、まずはチェーンを切る。チェーンをケージから抜いて、リアのディレーラーのボルトを緩めてハンガーから外す。シフトワイヤーも外して、ディレーラーは片付けて、ワイヤーは邪魔にならないようにまとめてフレームに固定する。

そして、スプロケットの真ん中あたりのギアにチェーンをかけて、できるだけピッタリの長さになるようにチェーンの長さを詰める。
切ったチェーンと外したディレーラー

シングルスピードバイクになるわけだけど、下り坂なら問題ないし、急な登りなら押して上がれば良い。とりあえず、下界に降りるためだけの応急処置というわけだ。
シングルスピード化

ヨーイチのバイクはTREKの上級モデルだったはず。しかし、その後、MTBで遊んでいるという話は聞かない…

ハンガーとディレーラーを取り寄せるのが面倒くさくて、放置しているのではないだろうか…
あれは、TREKが米国生産を続けていた時代の、希少なアルミフレームのMTBだったはず…
あーもったいないw

駆動系の最終チェックをするヨーイチ
山の中でライドするならば、最低限のツール類は携行しましょう。そして、トラブル対応の経験は積んどいた方がいいよ。ロード・MTB関わらず、スポーツバイクは壊れるものだから、ネ。

皆さんが次回も楽しくライディングできますように!

おしまい

2021年9月3日金曜日

バイクメンテナンスのヒント ディレーラーハンガー(1/2)

スポーツバイクでシフト(変速)が決まらないのは、嫌なものだ。

新車の時にはスパスパ決まっていたシフトが、少しずつダルになっていく。チェーンやスプロケット、チェーンリングは消耗品。摩耗して隙間が増えてしまうと、シフトがもたつくようになる。

そうした、経年変化による問題はもちろんあるのだけれど、「ある日急にシフトが決まらなくなる」ような問題もある。落車や、駐輪しておいたバイクが横倒しになって、その時を境にシフトが決まらなくなる。そんなトラブルで困っている人向けの tips を書いてみよう。

ここで例にあげるのは、次の3つのような症状だ。
  1. リアの変速がどうも決まらない
  2. ペダルを逆回転させると、スプロケットの上でチェーンが暴れる
  3. プーリーケージが微妙にスポークに当たっている
**3の症状は深刻な問題に直結するので、今すぐ乗るのをやめましょう**

バイクメンテナンスを、ある程度自分でやろうと思うならば、信頼できるガイドブックは1冊持っておいたほうがいい。僕がお勧めするのは、 "The art of ROAD BIKE MAINTENANCE" 英語アレルギーでなければ…ネ
図解が多くてわかりやすい

今回のポストは、下の図で、 "derailleur hanger" と書いてある部分の話。ディレーラー・ハンガーは、フレームにディレーラーを「吊り下げている」部分。ここが歪んでしまうとリアのシフトが決まらなくなってしまう。

説明は英文だけど平易な表現

そもそも、なぜハンガーが歪むのだろうか?

ロードバイクでもマウンテンバイクでも、「普通に乗っている」限りにおいては、十分な耐久性を持たせてある。平均的なアジア人体型の僕らが使っている限り、自転車は壊れない(注1)。

ただ、人間が動力であるスポーツバイクは、どうしても軽さを優先して丈夫さが犠牲になる。軽さと耐久性は、普通はトレードオフの関係にあるからだ。

上級者向けで値段が高いスポーツバイクは、思いのほか扱いがデリケートだったりする。また、ユーザーが適切なメンテナンスをすることを「前提」として作られていたりする。だから手入れをしないと、壊れたり、あっという間に寿命がきたりする。だから、初心者ライダーが、あんまり値段が高いバイクに手を出すと、すぐにぶっ壊れて泣きをみたりすることになる(注2)。

横倒しに落車したり、フレームを尖った物で叩いたり、こじったり、そんなプレイにスポーツサイクルは極端に弱い。さらにショックなのは、落車でフレームがオシャカになったら、ほぼ間違いなく補償の対象外なのだ。自己責任、落車したら、あなたがヘタ悪いってこと。

仕方ないのでフレームだけ購入して、パーツを載せ替えするとしよう。30万円の完成車のフレームってだいたい20万円する。フレームだけで20万円で、パーツ代が15万円、完成車で30万円?計算が合わない?そうだね。

完成車はもともとお得な値付けになっていて、フレーム+パーツで最初から揃えると値段が高くなるのだ。

まぁ、そんな感じで、プロショップでパーツを入れ替えてもらう工賃を考えると…よっぽど掘り出し物のフレームが見つからない限り、新車を買った方が安くつくということになる。

で、まぁ、落車とかならまだしも、バイクを横倒しにしただけで、フレームがオシャカになるようなトラブルが頻発すると、あまりにもアレだ。

バイクを倒した時、ヒットしやすいのがリアディレーラー。フレームとディレーラーを繋いでいる部分がぶっ壊れて、フレームがお釈迦になるとまずい。

そこで、考え出されたのがリプレーサブル(交換式)ディレーラーハンガー。そこの部分を、交換可能にして、あえて柔らかいアルミニウムで作って、いざというときにはそこが壊れることで、フレームを救おうという理屈だ。

フルサスマウンテンバイクの、GT はこんな感じのパーツがついている。フレームの後端の一部とハンガーが一体化していて、奥がオリジナル。
手前が改良型で太い

どうやらハンガーが曲がるトラブルが多かったようだ。手前が交換用パーツなのだが、肉厚になって強度が上がっている。フレームとは、ボルト2本で結合される。

MTB用ディレーラーはぶつけにくいように引っ込んでいる

変形の度合いが少なければ、歪みをチェックして修正する工具を使うことはできる。ただ、柔らかいアルミでできているハンガーを、力技で変形させるという…荒技なので、お勧めはしない。

テコの応用でグイッとな

最初に書いた3つのトラブルのうち、典型的な症状は2番。

2. ペダルを逆回転させると、スプロケットの上でチェーンが暴れる

こうなったら、ディレーラーハンガーを取り寄せして交換するべき。それでも治らなければ、信頼できるプロショップでフレームそのものの芯がずれていないかチェックしてもらうのがいいだろう。

つづく

注1 マジな競技用のバイクは、ライダー+装備で何キロまで耐えられるかという制限重量が設定されている。気になるようならば、マニュアルや、メーカーのHPを確認してください。

注2 普通の人が最初に買うスポーツバイクの値段は、多分20万円くらいが限度なんじゃないかなぁ。あんなエンジンもついてない奴に、そんな値段がついてるのがおかしいって思うでしょ?でもまぁ、スポーツバイクの裾ものは、ロードなら8万円、MTBのハードテイルなら10万円、ロードの中級グレードとMTBフルサスのボトムラインが30万円くらいですかね。だんだんと感覚が麻痺しますので、注意ねw

2021年9月2日木曜日

闇を歩く (緊急事態編)

そもそも論として、なぜ夜間行動はやるべきではないのか?

早朝に歩くのと、日没後に歩くのは違うと書いた。日没後に闇夜を歩くのは、往々にして時間切れによるものだ。言ってみれば延長戦で、残業で、仕方なしにやるということ。

日没時にまだ行動しているというのは、すでにトラブルを起こしているということだ(注1)。

月光とダケカンバ

僕はどちらかというと心配性で、かなり余裕をもった計画を立てる。だから、下山が遅れて夜を迎えるというのは、今までに2回しかない。2回しかないけれど、下山が遅れた時に、停滞するか、そのまま夜間行動をするかについては考えてある。
甲斐駒ケ岳山頂山体入り口の鳥居
僕の考えを書いておこう。

留まることにリスクがあるなら、動かざるを得ない。停滞することで命が削られるならば、すこしでも安全なところに移動する必要がある。例えば、

暴風と低温で低体温症の恐れがある
メンバーに高山病の症状が出ている
雪崩や落石、鉄砲水の恐れがあるルート上にいる

このような場合は、いつ、致命的な事故にあうのかがわからないので、速やかに行動をする必要がある。その日の最終目的地まで行動するというわけではなく、まずは標高を下げ、風雨を避けて、安全に停滞できそうな場所へ移動する。そしてそこで、それ以降どうするかの判断をする。

夜間行動になんのリスクも無いならば、進んでもいいだろう。ヘッドランプもいらないくらいに月光が明るく、舗装された林道を下るだけで良いならば、停滞する理由もない。

雲海に浮かぶ八ヶ岳

そのほかに検討すべきことをあげておこう。

1 地形 道迷いしやすい地形なら動いてはいけない
2 体力 食事・給水・睡眠は十分か?靴ズレなどはないか?
3 装備 十分に明るいヘッドランプと予備電池はあるか?
4 パーティ メンバーの足並みは揃っているか?

これらの項目すべてにおいて不安が無いことが最低条件だ。

ただし、「なんとしてでも、当日中に下山しなければならない」と思っているならば…夜間下山を諦めたほうがいい。

なんとしてでも
〜しなければならない

そう思っている時点で、心の余裕を失っているからだ。
逆説的になるけれども、「仕事」や「交通機関」などの事情や、悪天が続いて予備日を使い切ってしまった、そんな切羽詰まった状態であるならば、むしろ下山するべきではない。

下の写真は、間ノ岳へ向かう登山道。夜間行動では、これくらいしか視界が確保できない。こんな状況で、焦って動けば本当に危ない。
間ノ岳への稜線

先程の4項目で不安を感じたら、停滞を決めよう。ブーツの紐を緩めて足を休ませる。そして食事を取ろう。必要なら防寒着を着て、可能であれば仮眠を少しでも取ろう(注2)。

薄暗くなり始めたところで行動をやめて、仮眠に入ったとする。そうすると、夜の7時とか8時くらい、ほとんどの人にとっては普段よりも早く就寝することになる。すると、翌朝は普段よりも早く、もしかすると4時頃には目が覚めてしまうのではないか。

朝食をとりながら、周囲の様子を観察しよう。体力が回復し、月が明るく、地形が明確にわかり、何よりもメンバー全員が自信を持って進めるならば下山を開始すれば良い。

前回書いた通り、同じ夜間行動するなら夜明け前にしたほうがいい。4時に下山を始めれば5時ごろには薄明るくなる。当初の計画が間違えていなければ、7時くらいには前日の目的地についていることだろう。
この景色が朝か夕刻かで、こころのゆとりが変わってくる

繰り返しになるけれども、同じ景色でも心の持ちようで、見え方は違ってくる。同じような暗闇でも、こころを落ち着けて注意深く見通すのと、焦って曇った目で見るのでは大きく変わってくる。

時間に追われて残業をした時に限って、データを消してしまったり、関数の設定を間違えたり、よりによってこれを間違えるか?というタイポを見過ごしたり…そんなポカミスの経験はないだろうか?

オフィスでのポカミスも、洒落にならないかもしれない。だが、山でのポカミスは…命に関わることを忘れてはいけない。

次回の山行も、どうかご安全にお過ごしください。

おしまい

注1 トレラン界隈では、100km 走るとか、100mile 走るとか、連続して24時間以上行動するとかが流行っているらしいです。言うまでもありませんが、このブログはそうした人たちではなく、あくまでも一般的な登山者を対象にしています。

注2 こうした仮眠にそなえて、ツェルトかシェルターを持つのは大事です。