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2023年6月13日火曜日

断捨離始めました…

転居することになりました。

タイミングはまだ未定だし、どんな家に移るかはこれから考えていく。ただ、今の家ほどの収納がある家って賃貸ではなかなか無い。

だから、持ち物は整理していかないとダメなんだろうな。
そんなわけで、断捨離のスタート。

まずは思い出の品
ガッシャーブルムG5
昔履いていた革の登山靴。これはもう30年くらい前に買って、ソールを3回貼り替えて、最後には職人さんから

アッパーが裂け始めてる
本底の革がもうボロボロ

そう言われて、修理不能を宣告された登山靴。これは高崎にあったICI石井スポーツで購入した。石井オリジナルの登山靴は、ガッシャーブルムシリーズのGと、ランクが高いほうから順に1、2、と割り振られる数字の組み合わせで型番が決まっていた。

シリーズのトップモデルがG1、次がG2、これはG5だから裾物の初心登山者向けモデルだった。裾物でも、20年くらいの酷使に耐える登山靴を売っていたのは、さすがICIって感じ。

もう履けなくなってしまったこのブーツ、いつか表面にラッカーでも塗って飾ろうかと思っていたのだけれど、久しぶりに見てみたらカビが生えている。

過去の思い出を大事にしようとか考えてる癖に、カビさせてしまう程度のケアしかしていないという悲しい事実。潮時と判断しました。

次の思い出アイテムは、これもICIで25年くらい前に買ったキャンピングパッド。
セルフインフレーションパッドの最初期品
当時はパンクしたらアウトのエアマットか、パンクしないけど鬼嵩張るウレタンマットしかなかった時代。そんな時に、バルブを開ければ勝手に(ある程度は)膨らむという Self-inflation mat は魔法の絨毯。キツく丸めて収納したマットの内側に、板状のスポンジが封入されている。スポンジが元に戻ろうとする力を利用して、息を吹き込まなくても7割くらいは勝手に膨らむというマット。しかもスポンジが内部の空気の動きを制限するので、断熱性も高くなる。
知ってる人には刺さる
Cascade Designs が出したこのマット、後には THERMAREST サーマレストとしてブランドが確立されることになる。

このマットはまだ現役なんだけれど、表面素材がツルツルなのが欠点。テントの設営地が少しでも傾いていると、寝袋ごと滑り落ちて、気がつくとテントの床にそのまま寝ている。そんなことが何度かあって、僕はサーマレストの新型を買い足して、このカスケードマットは2軍落ちのまま仕舞われていた。 

クライミングシューズも断捨離。
あと2ヶ月はクライミングができないし、その後徐々に上げていくにしても、以前のようなレベルで登れるようにはならないだろう。
銘品ミウラー
昔はタイトな靴のほうが登れるようになると言われていたし、僕もそのことを信じていた。普段25cmの靴を履いているのに、このミウラーは23.5cm 改めてみてみると、頭がお◯しいサイズ感。つま先側のソールがすり減って、一度貼り替える程度には使っていたのだけれど、二度と履ける気がしないのでサヨナラした。
2/3をドナドナ
外のシューズ3足のうち、一番使い込んで履き心地が良い Verdon だけ残した。
後ろの Quantum (青い紐靴)と、 Drago (黄色) は、仲間に引き取ってもらった。

「もしもボックス」(BCに携行する緊急キット)の中身も見直し。
備えよ常に」でブログ内検索すると出てくる、これ。もしもボックスの冬版ね。この中身も劣化するので、定期的に見直さないといざという時に役に立たない。
古いストラップを外して捨てた
スノーシューについているストラップが一本切れたので、そのペアについているストラップは全数交換とした。
切れてます
折クセがつき始めると寿命が近い
変色・褪色・硬化・粉吹き そんな症状が出たら早めに入れ替えるのが吉。

そして、冬用装備の一部も断捨離を決めた。

僕は雪山で寝るのが好きだった。
REIのゴアテックスビビィサック
死体袋みたいなビビィサックに、厳冬期用の寝袋を入れる。それだけで、凍死することは無いという安心感。実際…半雪洞というか、単に塹壕を掘ってそこで寝泊まりしたこともある。
溝を掘ってかりそめの屋根をかける
変な人
2泊くらいするなら、ちゃんとした雪洞を掘るとか、テントを張るほうがいい。でも、一泊で安定した天気予報なら、こんな適当なやり方で山に入っていた。

この写真のビビィサックは、内側の防水膜がベタベタになって剥離し、ずいぶん前に廃棄した。で、もうそこまでシビアな冬山に入ることは…ないだろうと思うので、ダウンの寝袋も処分する。
REI厳冬期用
これは、限界マイナス36度、快適マイナス20度くらいの超厳冬期用。マイナス15度くらいだと、パンツに半袖Tシャツでも暑くて寝ていられず、ジッパーを開けて寝る…みたいな。
幅広のダウンバッフル(寒気避け)
首元の寒気避け
表面はゴアテックス
シームシーリングはされていないから、防水ではない。けれど、表面はゴアテックスなので、水やお湯をこぼしても軽く振れば無問題。雪や、テント内の結露による露、霜、氷にもわずわされないで済む。

しかし、ゴアテックスカバリングのせいもあって、収納性に難あり。
500mlのペットボトルが小さく見える
何よりこのロフト感がすごい。
高さw
ダウン製品は保管の際に「ふうわり」とさせて、「圧縮されない」ことが大切。そうは言っても、このクラスの寝袋2つで押し入れの1/4がパンパンになるのはちょっと…

え?このクラスの寝袋2つ?
はい、実はもう一つあるのです。
REI冬季遠征用
こちらは表面がゴアでなく、封入されたダウンの量も…少し控えめ。
限界温度マイナス20度、快適温度マイナス10度くらいだったかな…
ロフトw
こちらもボリューミーなダウンバッフル付き。

どれくらい無敵なのか、Nanga のダウンバッグ・三季用と比較してみる。
日本サイズとアメリカサイズ
使用を前提としている場所が全然違うんで比較するのも変なんだけど…
なんかおかしいことがわかってくれると思う。
厚みが…違いすぎる
Nanga が流石だなぁと思うのは、冷えやすいところだけダウン量が増やしてあるみたいなとこ。全体的なダウン量は控えめなんだけど(スリーシーズン用なので当たり前だけど)、足首から先の、末端で冷えやすいところは明らかにロフトが大きいんだよね。

ということで、冬用のダウンバックは2本とも断捨離する予定です。

おしまい

2021年7月3日土曜日

備えよ常に: サイクルツーリング

 僕がサイクリングに出かける時の荷物は、正直ちょっと多すぎると思う。

ただ、僕は単独で走ることが多い。そして、山があれば山に行くし、グラベルがあればそこに入る。単独で行くのも、山に入るのも自分の勝手であり、結果は自己責任。だから、基本的なトラブルなら、自力で帰ってこれるように備えている。

グラベルに入る時は、超軽量チューブの Tubolite を入れたクリンチャータイヤを履いている。基本的なグッズはこんな感じで、基本はパンクからどうやって復帰するか。

ツールボトルにツメツメに入れる

左上から、スペアチューブ、tubolite専用のパンク修理パッチ、虫除けジェルとムヒの小分けボトル、タイヤが裂けた時の補強シール、ブチルチューブ用の修理キット、小型のアーミーナイフ(ハサミ付き)、9機能のマルチツール、そして真ん中がチェーン切り。

Tubolite はウレタン製で、普通のパンク修理キットは使えないから、専用のパッチを持つ。バルブ周辺とか、パッチでどうしようもないトラブルなった時を考えて、通常のブチルチューブも持つ。そして、もし、交換したチューブがパンクした場合を考えて、通常の修理キットを持つ。行き先がもし、やばいところなら、もう一本通常タイプのチューブを持つかも。

ダートはほとんど入らない場合は、チューブレスタイヤの軽量ホイールを選ぶ。その場合は、Tubolite 用のパッチと、パンク修理キットは持たない。で、下のこれを入れる。

チューブレス用組み合わせ

CO2ボンベは通常2本持っているのだけれど、予備をさらに1本追加。そして、チューブレスの場合は、CO2ボンベから確実に空気を入れる必要性が高くなるので、信頼できるバルブ。ガソリンスタンドとかでエアをもらえるように、仏 →  米式 バルブコンバーター。そして、チューブレス用のパンク修理キット。これは、車のチューブレス用修理キットと同じやつで、穴にラバースティックをグリグリねじ込んで無理やり漏れを止める奴。

ちょっとしたパンクなら、チューブレスはシーリング剤を入れているので自然に修復される。今まで自然修復されなかったのは、2〜3mmのカットで、これはさすがにシーラーでも止まらなかった。ただ、エアを補充すれば、20km くらいは走れたので、ボンベ2本使えばほぼ間違いなく街までは下れる計算。

それで間に合わなければ、グリグリ補修キットの出動。で、それでも止まらなければ、一本持っているスペアチューブを入れて、チューブドクリンチャーとして走行する。j

それと、僕は基本的に輪行袋は持って出かける。自力解決ができないくらい最悪の場合、公共交通機関で帰れるようにね。問題は、グラベルロードはタイヤが太いので、ホイールがかさばる。だから、それがちゃんと収納できる輪行袋は、大きめサイズでかさばる奴。

僕のバイクはツーリングバイクなので、ボトルケージが3箇所ある。一番下はツールボトルで、上で紹介した修理関連のツールが全部ここに入る。のこりの2箇所でドリンクボトルと輪行袋の組み合わせ。

軽快感皆無…

CO2のボンベ2本と、空気入れ兼インフレーターがここに付いている。

ふと入ったプロショップで見つけたボントレガーのポンプツール

やっぱり道具が多すぎるかもねw
前はもっと多かったwww

日本一周とかなら…持って行くかも?

若い時は、とにかくいろんなものが付いているツールが欲しくて、こんなのも買った。でも、結局、通常の整備をちゃんとして入れば、携帯ツールは本当に基本的なものがあればいいことが分かった。

そうだ、言い忘れた…

ここまでで説明したのは、あくまでも、バイクのトラブルに関わる持ち物の話。人間が怪我した時の備えとか、ブユ避けとか、クマ避けとか、その辺りはまた別の機会にね(続くんかいw)

では、皆様ご安全に!

2021年5月6日木曜日

備えよ常に(冬版)

僕はコンディションが良ければ単独でもBCに入る。

単独なので、もしものトラブルでも、自力解決が求められる。

経験が浅かった時は荷物が多くて、30〜40Lくらいのバックパックが、ほぼいっぱい。今は、春先であれば18L。厳冬期であっても、22Lのバックパックで対応できるくらいに持ち物を絞り込んでいる。

防寒着、シェルター、スコップやバーナー・コッヘルや救急用品など、基本装備は普通の物。
それ以外のトラブル対策品を紹介してみる。
左下のプラスチッックケースに入れる「もしもボックス」

左下から時計回りに
パーツケースと表面に貼った強力ダックテープ。
細挽きとインシュロック
プライヤー
バートンの+ドライバーセット
MSRスノーシューのラバーストラップ
ステンレスの針金
ビス他のスモールパーツ

スモールパーツの中で特に重要なのはこれ。

MSRスノーシューユーザは必携 M4ステンレス割りピン

MSRスノーシューのハーネスとデッキはクレビスピンで留まっている。ところが、このピンを紛失するトラブルが結構あるみたい。ピンが抜けちゃうと、グラグラしちゃってまともに歩けなくなってしまう。

一応クレビスピンの予備も持っているのだけれど、これをセットするのはプライヤーを使った細かい作業になる。とてもじゃないけど、フィールドではやってられない。ワッシャーを挟み込みながら割りピン入れて、抜けないように先を曲げて固定すれば、下山するくらいまでは持つでしょう。

レザーマンはオートキャンプ用に

プライヤーだけど、ホームセンターで売っている1,000円しないような奴。というのも、フィールドでの補修は結構力任せになったりする。本当は切っちゃいけないくらいの太さの針金を揉み切ったり、グリングリンって先っぽで穴あけしたり。そんな使い方をしても惜しく無いくらいの物で、シンプルで軽いやつを選んでいる。

若い時はレザーマンとか、ウェンガーやヴィクトリノックスのスイスアーミーナイフとかを持ってた。でも、多機能すぎると重くて嵩張るし、高価すぎるので、いつの間にか置いていくことがほとんどになった。

で、今年の冬に持っていた、いざという時の食べ物。

冬は消費カロリーが多いので、いざという時に口にできる物があるかどうかで、もう一晩耐えられるかどうかが変わると思っている。

このフードは、ホワイトチョコレートのブロックに、ラムレーズンがゴロゴロ入っていて高カロリー。凍ることもないし、かなりヤラレていても食べやすい。なによりも、ネーミングが秀逸。

ひとりじめスイーツ

風雪が強まって、シェルターの中で仲間と耐えてたとする。ひもじくて辛い状況の時、これをおもむろに出すのだ。

あ、部長、なんだ、まだ食べるものあるんじゃないですか、分けましょね。
 
これはな、分けられないんだ。

えっ?なんでですか?

ほら、「ひ と り じ め スイーツ」って書いてあんだろ?
………

誤解すんなよ、俺はね、みんなに分け与えたいと思ってるんだ。
………

でもね、これ作ったメーカーが、分け与えてはいけないって言ってるんだ。理由はわからないけど、多分なんらかの重要な理由があるに違いない。

 だから、本当は分け与えたいけど、心を鬼にして、すまないなー、わるいなー、そんな気持ちを持って、俺が責任を持って…食べ…

あっ、何すんだ、なんで追い出すんだ、サムイ、うわっ、さ、寒い、入れてくれ!

すみませんねー部長、このシェルター、二人用なんです
部長を入れてあげたいんですけど、メーカーが、二人用って言ってるんです。外で耐えてください。

そんな風に、タカさんあたりにピシャッと言われている自分を想像すると、ニヤニヤしてしまう。

ひとりで、こんなスイーツ見ながらニヤニヤしていると奥さんに「キモい」と言われる。キモいと言われながら、冬装備の片付けをする一日…春だなー。

おしまい



2022年3月22日火曜日

備えよ常に…BCギアのメンテナンス

バックカントリースキー・スノーボードでは、ちょっとした道具の不具合が大きなトラブルの元になる。だからこそ、事前のメンテナンスが重要になるのだ。

BCスノーボードの情報と言えば、パウダーヒャッホーイとか、ノートラックとか、そんな楽しいことばかり。ちょっと無責任かも(あ、僕もそうだw)。

BCは楽しいだけじゃなくて、いろいろちゃんとしないと危ないよ。そんなことも書かないと行けないんじゃないかな。

そして、僕はこのブログを、「情報を集めるきっかけ」にするために書いている。

webで「タダで手に入る」情報をそのまま全部信じないほうがいい。

岳人とか山渓とか、先人が書いた専門書籍とかを買って読む、これが大事なんじゃないかな…余計なお世話か…

まずは、凍結の防止、要するに、凍りついて、動かなくなるとかを防ぐ。
湿り雪は妖怪の巣
厳冬期は意外と凍結のトラブルって無い。
凍結のトラブルって、隙間に入った「水」が凍りついて起こる。

厳冬期は寒すぎて、「最初から凍ってる」のだ。雪と氷だけで、「水」が存在しないから、凍結のトラブルが無い(注1)

湿り雪は、「妖怪板掴み」の巣、滑りが不快なのはもちろんなんだけど、「湿り雪」ということはそこに水分が存在するということ。日向の湿り雪ですっ転んで、日陰に入ってしばらくしたら、いろんなところが凍っていたみたいなトラブルはよく目にする。

最初に、ポールの凍結防止について。下の写真のように、テントフレームみたいな構造の奴が要注意。この差し込むジョイントのところが凍結すると、短く収納できないので困る。
伸縮式ポールのジョイント部に凍結防止剤
シリコーンスプレーとか、凍結防止の専用スプレーを吹いておく(注2)。
ちなみに、ハイクアップして滑走準備する時に、ポールが凍結していると焦る。そんな時は、凍結した部分を、ウエアの裾から突っ込んで、お腹か背中で温めれば抜ける(こともある)。

スノーシューにもシリコーンスプレーは有効だ。デッキの裏表、ハーネスにも吹き付けておくこと。
スノーシューには全面にシリコーンスプレー
メンテナンスとはちょっと違うけど、色々な物を無くさないように、流れどめとかリーシュとか言われるものもチェックすること。厳冬期にグローブを無くすと、致命的なトラブルになりかねない。だから、BC用のグローブには、グローブリーシュが付いている。もしくは、リーシュをタイイン(結ぶ)するためにループが付いている。

これも定期的にチェックして、タイインループが毛羽立っていないか、リーシュは傷ついていないか、緩み留めはちゃんと機能するかを確認する。

ちなみに、グローブリーシュを自作するなら、僕のおすすめは「パラコード」。これはパラシュートに使われるヒモで、細いけどムチャクチャ強度がある。そして、水を弾いてくれるので、凍結しないという、リーシュには最高の素材。
グローブリーシュのおすすめはパラコード
欠点もあって、表面がツルツルなので、結び目をちゃんと作らないと緩んでしまうことがある。ボクはフィギュア8で結んで、強く荷重をかけて、解けないようにしている。

パラコードは伸縮性が無いのと、強度がある意味強すぎるので、なかなか切れない。したがって、首周りに何かをぶら下げるためには使ってはいけない。

緊急時のホイッスルとか、小さなナイフを首にぶら下げたりするには、絶対にパラコードを使わないこと。うっかり首を吊ってしまったりしたら、死にます。

最後に、MSRのEVOを使っているなら、ヒールエレベーター(クライミングサポート)の動きが悪くてイライラしませんか?
ヒールエレベーターの動き改善
溝の形をよく見て、少しずつ削って広げてあげてスムーズに上下するようにしてあげるといいと思います(削りすぎ注意ネ)。


注1 厳冬期に注意するのは、暖かい室内とか、シェルターやテント、雪洞から外に出るとき。雪とか氷が溶けて水になっていたら、よく拭き取らなければ凍る。ゴーグルに露や曇りが出ていたら、それも乾かさないと凍りついてしまう。
 

注2 ポールのそれぞれの段を、ねじ込んでいくと中でロックされるタイプの奴は、シリコーンスプレーしてはダメな奴もある。それぞれのポールの説明書をよく読んでください。

2021年5月21日金曜日

備えよ常に: ハイキングシューズ

僕は友達に恵まれている。

SNSでつながっている友達の中には、この人とあの人は合わないだろうなって、なんとなく思うような人もいる。直接会ったらダメ、なのに僕とは繋がっていてくれる。

すごく面白いなって思うのは、すぐに親しくなって、良い関係がずっと続く人がいる。同時に、最初はなんとなく距離があって、別に親しい感じでは無いのに、気がつくと強い信頼関係で結ばれている人もいる。中には、最初から最後まで、まったく合わない人もイルケドネw

山の道具にも相性がある。最初からすぐに馴染んで仲良くなれる奴。ライトハイキングシューズみたいな奴らかな。

最初に履いた時から、まったく当たるところもなくて、あくまでもソフトに、かつしっかりと足をホールドしてくれる。まぁ、その、パッキングウェイトが15kgを超えるようになってきたりすると、流石に踏ん張りが効かないケド、もともとそんな用途じゃないしね。


つま先に注目

昔は布製のハイキングシューズって言ったら、帆布製か、良くてナイロン。雨が降ったり草露であっという間にグシュグシュに濡れてしまう。でも、最近のはゴアテックスのブーティがラミネートしてあったりして、長靴クラスの防水性能があったりする。

ただ、ひとつ大きな問題があって、ミッドソールから加水分解でベロリンチョって剥がれることがある。

僕は、これ、一度だけ経験がある。

わかりやすいように、ペグを支えにして広げてみた

某一流メーカーの、ゴアテックスブーティーライナー付きのハイキングシューズ。アッパーは柔らかすぎて、ソールにはシャンクも入っていない、ヤワヤワのシューズ。でもまぁ、見かけはいいし、水は入らないし、軽いし、せっかく買ったので使っていた。

で、春先に赤湯温泉から苗場山日帰りに行った時に剥がれた。山頂湿原に出る直前で剥がれ始めて、木道に上がった時にはもうつま先がカポカポ言い始めてた。

このルート、春先はまだ雪が残っているので、キックステップをしていたのが良くなかったのかもしれない。それか単なる経年変化なのか。ともあれ、とりあえず山頂まで行ってすぐに引き返す。

下りで使うのはかかとで、そっちはまだ加水分解が進んでいなかったのがラッキーだった。その時持っていたダックテープとか、ポリ袋とか、とにかくいろんな物を使って下山できた。

で、つくづく思ったんだけど、

別れたいなら、事前に匂わせてくれよ
 
こころの準備をさせてくれ。

さっきまで、仲睦まじく過ごしていた。何の不満もないと思っていた、お互いに。それがいきなり、腰を決めた平手打ちというか、掌底打ちを決められて、

「これ以上付き合えるかボケ!」
「あとはええようにしとってやー!」

みたいに去って行くのは無しにしてくれ。

で、僕は、欠点はいろいろあるものの、ここぞと言う時に履いて行くのは昔ながらの登山靴だ。ビブラムソールと、頑丈な皮革製アッパーを、昔ながらの製法で接着と糸で繋ぎ止めたヤツ。

こいつらは重い、油断するとカビる、どんなにワックスとかアマニ油とかで防水しても、わりと速やかに浸水する。そんでもって、一度濡れるとなかなか乾かない。そして、含んだ水の分だけさらに重くなる。なによりも、簡単には僕を受け入れてくれない。最初は靴ズレが必ず起きる。

左 先代、右 後継者

メリットは単純で、重いのでキックステップがバチ効き。
そして…イキナリの別れがないと言うこと。

先代は20年くらいの酷使に耐えて引退した。最初はハトメ飛びが2件あって、ソールはすり減って3回張り替えたけど、やばいトラブルは本当に皆無だった。最後は、ソールを貼り付ける革製のミッドソールが薄くなってしまい、それ以外にも小さな穴がいくつか空いたので引退させた。で、後継者たるブーツを徐々に育てている。

残雪の黒戸尾根、テン場でくつろぐ

春から秋はどうなんですかって?そのくらいの季節なら、僕はだいたい運動靴で歩いている。濡れたってすぐに乾くから、ゴアテックスはいらない。加水分解を考えると、毎シーズン買い換えるのがベストだから耐久性はそこまでいらない。その代わり、毎シーズン気軽に買い換えられる値段であって欲しい。

人によって登山に求めることは違う。だから、使う道具は人によって違うのが当たり前。

ま、原点に戻ると、どんな靴を履くかは手段であるはず。目的は、自分が登りたいところに登って、安全に降りてくることのはず。その辺を見失わないようにしつつ、念のために、ブーツのソールを思いっきり剥がそうとしてみてください。

そして、この投稿を読んでチンプンカンプンな人は、ローカルの登山専門店で助言を受けて買うのがいいと思います。

2021年5月23日日曜日

備えよ常に: ツェルトとかシェルターとか

それなりに登山に親しむ人なら、ツェルト(ザック)を知っているだろう。簡単に言えば、簡易的なテントだ。

フォーカスト・ビバーク

普通のテントと違うことはいろいろあるけれど、いちばん大きな違いは、底布が割れていること。底が長辺方向に割れているので、そこから中に潜り込んで、シェルターとして使うことができる、こんな感じで。

外は暴風雪だけど中はポカポカ

低温下でも、行動中は暑くなる。汗をかくくらい暑くなるようだと、汗冷えから低体温症になる危険がある。だから、ラッセルとか強度の高い運動をする時には、肌寒いくらいの薄着が基本。

しかし、休憩とか、停滞する時に薄着のままでは、あっというまに冷えてしまう。そこで、フリースとかダウンジャケットとかを着ようと思うのだが、雪とか雨が降ってたりすると、「濡らしてしまったら命に関わる保温着」を出すのは躊躇する。それに、ジャケットを羽織るには、手袋を脱いだりとか、いろいろやることがあるし、下半身の保温はできない。

そんな時に、ツェルトをさっと出して被れば快適に過ごすことができる。メンバー全員が出す必要も無い。3人パーティなら、一人が出せばいいし、4人なら2張り出せば快適に過ごせる。

メーカーとモデルによって違うけど、一人が泊まれて、2〜3人が並んで座って休憩できるやつなら重さはこんな感じ。

500ml ペットボトルくらいの重さ

で、僕はツェルトを数年前にシェルターに切り替えた。だって…ツェルトをテントがわりにして泊まるってこと、随分してないし。シェルターとしてしか使わないなら、それ専用のヤツが良いんじゃ無いかって考えたんだ。

透明窓があって、外の様子が確認できる

エマージェンシーオレンジのシェルと透明窓のおかげで、中はとても明るい。二人が向かい合わせに座って荷物は外に置けば、中でお湯くらいは沸かせる。単に暖を取るだけなら、横並びで3人入れる。

二人並んで快適に過ごせる

テッペンにチョコンと筒状の出っ張りがある。ここにスキーポールのグリップを入れると、内部のスペースを広く確保できる。

これは Rab というブランドの一人用で、重さはこれくらい。ツェルトとは違って、そもそも床面の布地が省略されているので、ツェルトよりもさらに軽い。

カバーは一体化されている

ただ、嵩はツェルトよりも2回りくらい大きい。
透明窓とかのギミックでかさばる

太さも2回りくらい大きい。これは生地の厚みのせいもあって、ツェルトは超薄手、シェルターはやや厚みを感じる。

収納カバーのこちら側がメッシュなのは、ベンチレーションになるから

ちょっとしか重さが変わらないのに、こんなにパッキングサイズが違うならツェルトのほうがいいよね?って?それはそうかもしれない。

でも、実は盲点があって、ツェルトをこのサイズにパッキングするには、熟練の技が必要になるんだ。どこからどんな手順で丸めていくと、うまく空気が抜けるか考えながら、緩まないように小さく丸めていく。そしてスタッフバックに収めて、体重を乗せてギューーーって締め付けてこのサイズ。

で、そうやってパックすると、スタッフバックから出すのも大変。冬用のグローブしてたら、イライラするくらい大変w

そして、しまうのが面倒だから、「できるだけ使わない」ようにしてしまう。

で、僕は、発想を転換した。きちんと丸めてバッグに入れるってことをやめた。

冬用装備って、スノースコップとか、アバランチプローブとか、形が決まっているものが多い。バックパックにそれらを詰めていくと、隙間ができてしまってパッキングの形が決まらない。そこで、それらの隙間、スコップのブレードと、ハンドルの間とか、プローブの横とかに押し込んできれいな形を作ってあげる。

バックパック全体を、スタッフバッグとみなしてしまう

こうやっておけば、スタッフバッグにきちんと収める必要もないし、片付けが苦にならないから、ちょっと寒い時にサッと出して使うことができる。

過去の遭難事例とか見ていると、こうしたシェルターをうまく使いこなせていればってケースも結構ある。ツェルト持ってるのに使わないで、低体温症で亡くなってたりもある。夏山でも、高山帯とか、北海道・東北とかではいつでも低体温症のリスクがあると考えて、やばくなる前にサッと出して使えるように備えることをお勧めします。

ツェルトとシェルターのどちらを選ぶかだけど、簡易的なテントとして泊まることがありえるならツェルトがいいと思う。そして、シェルターとしてしか使わないなら、それ用のやつ。Rab には、これ以外にも4〜6人用というサイズのもあるし、他のメーカーからも、いろいろ出ている。

で、買ったらコンディションが悪い時に試してみようね。スキー場とか、安全が確保された状態で、風雪が厳しい時とかに被ってみる。風で持ってかれないように、バックパックから出して潜り込む手順とか、実際のところ何人まで快適なのかとかね。

皆さんもどうかご安全に。

おしまい