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2021年2月28日日曜日

B●TNスノーボードのすごいところ (その4)

その3で書いた「アクセシビリティ」について、もう一つ。

ある会議で、 B●TNのボードが、日本では品質上の問題で競争力が落ちている、そんな話になった。ソールがコンケーブしているとか、トップシートの塗装にムラがあったり、気泡は入ったりしていると。

スノーボードの雪に接する部分をソールというのだが、これが少し凹んでいるのをコンケーブ、出っ張っているのをコンベックスという。コンケーブは直進性が増すが、逆エッジになりやすく、操作性に問題が出る。コンベックスはその逆。

で、国産のスノーボードは、表面の塗装やソールの仕上げがあきらかに優れている、という話になったのだ。ショップの店頭で比べられると、どうしても負けてしまうと。そして、対策が議論されていた。品質管理を強化して、国産と同等の物以外は今後B品としていこう、そんな風に話が進みつつあった。で、ジェイクが問いかけた。

その、ジャパンメイドのボードは定価いくらなんだ?

ピンキリですが、ボトムは10万円、高ければ20万円くらいですね。

同じ品質を目指して行けば、やがて、ウチのボードも同じくらいの値段になるということ?

そうなる可能性はあります。

そんな値段になったら、普通の人が買えるのか?キッズはどうするんだ?何人もキッズがいる親はどうするんだ? 

コンケーブって言うけど、滑走性に問題があるのか?全部最終的にマシンシェイプでベベル入れてるし、ソールの真ん中がわずかにコンケーブしてても滑走性に問題はないんじゃないか?どうだ?

まぁ、そうなんです。けど、ショップの店頭での見栄えとですね…ホットワックスかける時とか…

見栄えのために作ってるのか?みんなもわかってるだろう?もっといい素材、いい仕上げは確かにある。でも、それを入れて普通の人が買えない値段になるなら答えはNoだ。 

俺たちが作っているのは、芸術品じゃなくて、スポーツをするための道具なんだよ。1日使えば傷がつく、そんな道具を作っているんだ。ボードを買って、お金がなくなって滑りに行けないなんてことがあったら、本末転倒なんじゃないか?スノーボードを買うのは手段で、スノーボーディングをするのが目的なんだ。それを忘れてはいけないよ。

結局、値段にこだわらず、見栄えを求める層には限定品の投入。そして、日本マーケット向けの品質基準を個別に作る。ということで話がまとまった。 

 ジェイク自身はとってもお金持ちで、欲しいものはなんでも買える人だった。だけど、普通の人が頑張れば買える水準でいいものを作る。そのこだわりは本物だった。そして、安価なモデルでも手抜きしないという姿勢も徹底していて、実は社員の間で一番人気だったのはアイコンのカスタムではなく、その一つ下のクラッシュだった。一般のライダーが毎日気軽に乗れて、それでいて性能は上位モデルとほぼ遜色がなく、値段が安いってのがその理由だった。



*このブログの内容はすべてフィクションです。実在のブランド、会社、個人とはまったく関係がありません

*特にこのポストは、伝聞を元に創作しています