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2022年3月20日日曜日

春雪ストラクチャー加工

ブログで何度か「春雪用ストラクチャー」って書いたけど、「なんのこっちゃ?」って思った人も多いだろうね。

「ストラクチャー」という言葉を知っていても、「自分ではできない」と思っている人も多いはず。高価なストーングラインド仕上げのマシンに、専用の器具を入れて、初めて加工ができると、チューニングショップの広告にも書いてある。

高齢者である僕は知っている、ストラクチャーのアイデアがどこから来たか。

今から40年以上前の話だけれど、スキーのソールは、ラッカー塗装仕上げの物がまだまだ多かった。ソールがポリエチレン製なら、高級品の証だった。

スキーヤーは買ってきた板のソールに、ワックス(キャンドル・蝋燭)を溶かして、はけ塗りする。アイロン(コテ)塗りする人も居て、繰り返しそうやってると、ワックスが染み込んで良く水を弾き、滑走性がよくなる、と言われていた(注1)。

使い込まれたスキーのソールは、それが単に木にラッカー塗って、蝋燭を磨き込んだだけとは思えないくらいに、「ピカピカに光って」いた。

ソールがポリエチレンに移っていっても、「ピカピカ」「ツルツル」ほど「エライ」という…毛根がやや機能不全な、ハ◯の人が羨ましく思うようなのが常識だった。

ホットワックスして、スクレイプし、最後は「コルク」のブロックで磨き込むのが当時のワクシングだった。そして、光にかざして見て、ピカピカ加減にうっとりする。
左:加工済み 右:加工前
しかし、ここで不都合な事実がある、春の悪雪、湿り雪、ストップスノー、いわゆる「妖怪板掴み」(注2)が生息するような雪で、ピカツルソールは無力化される。
左は細かい縦溝が入っている
実際のところ、ソールの傷に無頓着なスキーヤーが、涼しい顔で滑り降りている横で、ツルピカースキーヤーが、モンドリ打って前転してるみたいな光景は普通だった。

 なんでこうなるの?

で、ある日、スキー雑誌に「ストラクチャー」という話題が掲載されたのだ。

曰く、

 平滑すぎるソールでは、水分の逃げ場がない
 2枚のガラスを合わせて、間に水を入れると剥がれなくなる、アレ
 雪面とソールの間に水が入って張り付くのがストップスノー
 雨の日に溝が減ったタイヤがスリップする、ハイドロプレーニングと同じ
 つまり、水を逃す溝を掘れば良い。

ほんで、「溝」といっても、大きいのを何本も掘る必要はなく、細かいのを沢山掘ればいいということだった。一番滑走性が低下するのが、ツルピカソールだと。

で、滑走性が勝負のマジ◯チ真剣なスキーヤーたちは、こぞってソールに傷をつけ始めた。

この間まで

 ツルピカサイコー!
 ソールが光れば全てヨシ!
 ソールを鏡がわりにして、毎朝ヒゲを剃ってます!

そう言っていた人たちが、

 時代はストラクチャーだよね、ツルピカ?プッ…

思いっきり手のひらを返して、転向したのだ。

その時、僕は「大人って信用できないな」と思った。
電ドルに回転ワイヤーブラシ
僕は、自分でストラクチャーを掘っている。

数シーズン前から、いろいろなやり方を試してみた。YES. PYLには、結構大胆に入れてみたけれど、目で見てわかる程度の細かい傷でも、効果にはあまり差がないことが分かったので、今はあまり大きいのは入れていない。

が、目で見てわかる傷、ではあるので、見かけは正直あんまり良くないかも。

個人的な感覚だけど、滑走性はこんな感じ。

ノーマルソール
 100 レーシングバーン、人工雪の圧雪
   80 コーデュロイ、乾燥した粉雪、トップシーズンの圧雪
   60 降雨後のシャバ雪、ザラメ
   50 普通のシャバ雪、汚れたザラメ
   20 黄砂・花粉で汚れたザラメ
    5 ストップスノー

DIY加工ストラクチャーソール
   90 レーシングバーン、人工雪の圧雪
   75 コーデュロイ、乾燥した粉雪、トップシーズンの圧雪
   60 降雨後のシャバ雪、ザラメ
   55 普通のシャバ雪、汚れたザラメ
   35 黄砂・花粉で汚れたザラメ
   15 ストップスノー

トップシーズンなら、「ツルン」が「シュルン」に落ちる。その代わりに、最悪のコンディションで、「グググッ」が「ズズズッ」に「ビタッ」が「ジリジリ」に改善する。

BCで妖怪に捕まると、ものすごい体力を消耗させられる。僕はそう思っているので、手持ちの板で、BCに持っていく可能性のある奴には、全部春雪用ストラクチャーを入れている。

あくまでも僕の場合は、ということなんだけどね…

注1 ホットワックスを繰り返すほど、ソールにワックスが染み込んで滑走性が高まるって言われている。僕は、その話はここから来ているんじゃないかなって思う。ラッカー仕上げの木のソールは、確かにワックスを吸収しいていたと思う。でもさー、今のソールってポリエチレンだよ。ワックス…染み込まないよね。表面の細かい凹凸に染み込む、それはあるだろう。でもさー、何度も何度もホットワクシング繰り返したら、「奥まで浸透する」ってことは無いように思うんだけどなぁ。

注2 滑っていると、いきなり板が雪面に張り付いてしまって、前方に放り出されて転んでしまうような雪のこと。雪の中にいる妖怪が、板を掴んで離さないみたい、というところから来ている。

2022年3月19日土曜日

DAY31/BC10 尾瀬岩鞍でアップして2つのルートを巡る

ユーヤパイセンと道の駅で待ち合わせして、車をデポ。

今日は、2つの、別々のルートを1日でやろうという計画。んで、2つめのルートは全然違うところに下山するので、車をそこに置いておかないと返ってこれない。

ゴンドラで2本アップしながら、雪質を確認。昨晩は雪の予報だったのだけれど、残念ながら夜半から雨になったようだ。

ゲレンデは圧雪の上に3〜4センチの湿り雪で、表面が少ししまっていて引っかかる。なかなか難しいコンディション。
締まった雪面でハイクが捗る
ハイクに入ると、表面は3cmくらいのブレーカブルクラスト。だが、そのすぐ下に、しっかりとした下地があるので、潜ることもない。

ハイクはやりやすいけど、滑るのには結構トリッキーだね。
ユーヤ
ボードをひっかけて怪我しないように、木に突っ込まないように、セーブして滑る。
本日はスプレーナッシング
まぁでも、妖怪風味薄目で、そこそこ走ってくれるので割と楽しい。
開けた沢地形に出る
浮遊感
地形に当て込んで浮遊感を感じながら切り替える。スノーボードならではの楽しさ。
ユーヤが動画を撮ってくれた。

最初に滑ったのは、ツリーランが中心のルート。
次は、沢状地形を下るK沢のルートに向かう。

リフトで標高を稼いでからハイクに入る。相変わらず雪面は固く、ユーヤの足取りは軽く、ドロップインポイントへ。この辺りはどこから入ってもいいんだけれど、とりあえず全体像を把握するために、一番スタンダードなところから。
雪庇の切れ目からドロップイン
最初はスティープなオープンバーンなんだけど、この間の暖気と雨のせいかうねりが強い。
ドロップイン
うねりの先にクラックが開いていたりするとまずいので、スピードが出せない。雪質もどんどん変化するので、慎重に高度を下げていく。沢の流心には、デブリが出始めているので、わずかに沢床を外しながら滑る。
トップシーズンにまた来よう
オープンバーンは収束していって、ナチュラルパイプになる。
右岸上部にもおいしそうな斜面が…
デブリを避けながら当て込んで行く
この辺りまで来ると、少し妖怪がチラホラと出て来る。
そして、沢筋が急に開けて、明るい河原状になる。
ザラメになったら気持ちいいのにね。
メローな沢地形がとても楽しい。
いやー、こーゆーのいいすね、
地形が楽しいっす
この先危険
滝の落ち口が見えるところまで滑って、そこから8mくらいの斜面を高巻きで超える。
短い距離なので、ツボ足で超えるが、腐った春の雪で膝まで潜るので結構大変。
暑い!
焦ると進まないので、膝で雪面を押し付けて固めて、その上にキックステップで確実に高度を稼ぐ。んで、右岸の木の葉落としが、ツリーホールだらけだし、ボトムは沢出ちゃってるしで、意外と神経を使った。
割とアドベンチャーでしたねw
ここから荒れた渓相が始まる。この間、下見でハイクアップした時は、ほぼ埋まっていた沢なんだけど、今日はだいぶ落とし穴が増えている。
BC慣れてないとかなり苦労しそうな場所
スピードを殺さないと、落とし穴や流れに落ちそうになる。しかし、スピードに乗せないと、腐れ雪のトラバースを通過できない。アドベンチャーです。

ゴルジュ帯を抜けると林道に出る。ここで本格的に妖怪が出没し、ストック滑走、一部ではスケーティング+ストック滑走で下る。
舗装路ハイクの準備
舗装路に飛び出して、デポした車まで車道歩きを30分。今日のあそこが良かった、ここがやばかった、次はこんな時期に来よう、おしゃべりが止まらない。
装備を全部背負うと重いよね
舗装路歩きの僕のスタイルはこんな感じ。

 バックパックにボードを固定する。
 スノーシューを重ねてボードの上に置く。
 前後のバインのハイバックにポールを挟んで、トウストラップでテンションを加える。
 ポールとボードの間にスノーシューががっちり挟み込まれるというわけ。

ハイバックの形や、ストラップの長さとかによっては、うまくいかないかもしれないけどね。

デポ車回収と片付け済ませて気がついたら、まだ1時ちょい過ぎだった。14時までの、芳味亭営業時間に余裕で間に合いました。早っ!
芳味亭の牡蠣フライカレー
今日も納得のBCツアーになりました。ユーヤありがとう

2022年3月18日金曜日

Towing Hole を開ける(工作教室)

スノーボードを Towing で引っ張るためには、ボードの先端に穴(Towing Hole)が無ければならない。

しかし、最初からこの穴が開いているボードは、変態的にマニアックな、ガチなモデルしかないはずで、普通の人が普通に使うには、硬すぎたり何かと問題があるはずだ(偏見です)。
仕上がりイメージ
で、ここでは「ぼくのかんがえたさいこうのとーいんぐほーるのあけかた」を紹介する。
真似して失敗しても、クレームは一切受け付けないので、その点は4649哀愁…
マーキングして捨て板を固定
最初に、表面を広めに養生する。養生テープでもマスキングテープでもどちらでも良い。

穴を開けてエポキシパテでグロメットを接着するのだけど、はみ出たパテがトップシートにくっつかないようにしておくのだ。そして、テープに穴あけの位置をマーキングする。

どんな場合でもそうだけど、ドリルで貫通穴を開ける時には、裏側に捨て板を固定しておくこと。ドリルの先端が向こう側に抜け出していく時、そこが何もない空間だと、穴の周囲にメクレやササクレができてしまう。それを防ぐために、穴が開いてもいい、不要な角材を取っておいて使うのだ。

最初はパイロットホール(誘導用の穴)を開ける、ボクは3mmを使う。この目的は二つあって、次の2つを確認している。

位置がずれていないか
コア材は何か?空洞ではないか?

人間の目はすごく繊細なので、センターを外して穴を開けてしまうと、ものすごく違和感が出る。最初から本ちゃんの穴を開けずに、小さく開けて、離れてみると良い。

ドリルが入っていくと、削りカスが出てくるはずだ。それをよく見ること。普通は、トップシートの薄いプラスチックの後、ウッドコアのカス(木の破片ね)が出てくる筈。稀に、アルミのインサートとか、エポキシとかが出てくるかもしれない。要するに、内側がどうなっているかを念のために確認する。

場合によっては、トップシートを抜けたドリルがスカッて空洞を抜けて、ソールに当たるかもしれない。この場合、内側がハニカムとか、特殊な空洞のコアである可能性が高い。

まぁ、カーボンハニカムコアみたいな、値が張るボードに自分で穴を開けるようなおバカな人はいないだろうから、いいけどね。

ほぼ間違いなく木屑が出てきたと思うので、話を進める。次に、「木工用のドリルビット」で、「留め穴」を開ける。
ソールは残す
留め穴ってのは、「貫通させない」穴のこと。木工用のドリルはこれができる。トップシートが削れて、コアの木が削れる。こまめにクズを掃除しながら少しずつ削っていって、ソール材が現れたところで留める。なぜソール材を残すかは、後で説明する。
パテ抜き穴5mm
次に、余分なパテを抜くために、5mm前後のドリルでパイロットホールを広げる。
これで、表から見ると 12mm くらいの留め穴、その底にソール材が残っていて、真ん中に5mmの穴が開いている状態になった。
裏からみたところ
次のステップは、パテでグロメット(アルミのハトメ)を埋め込んで接着固定する。で、このパテの量が少なすぎると、固定が甘くなるし、ひび割れて水が入りやすくなってしまう。表側の穴を広げた理由は、そのためなんです。
粘土タイプのエポキシパテ
本来、ハトメは表と裏のパーツをカシメて結合させる。しかし、ほとんどのハトメは、皮革や布の穴を保護するために作られているので、カシメ高さはせいぜい3~4mmしかない。だからボクは割り切って、ハトメのパーツの表面だけを使う。

エポキシパテを良く練って、穴に押し付けるようにして延ばし入れる。そこにハトメの表側パーツをムギューって押し込んで、浮き上がらないように押さえる。

余分なパテは裏側の穴から押し出されてくるので、固まる前に取り去る。
そもそも、このエポキシパテはソール材にくっ付かないから、翌日固まってから取っても大丈夫。
三本のボードに穴をあけました
ハトメの内側にのこったパテは、翌日にドリルで削り出すから気にしないで大丈夫。
ある程度パテか固まってきたら、養生テープとかマスキングテープをそっと外して、はみ出たパテと一緒に取り去る。
とりあえず完成
ハトメで表面(トップシートとコア材)は保護されるわけだけど、裏側はどうするのって?

そのために、ソール材を残して留め穴にしたのです。ソール材は、柔軟性・耐衝撃性・耐水性に優れた、ポリエチレン。へたなハトメより、よっぽど耐久性があるから、開口部を最小限にしておけばそれで十分なんです。
回転ヤスリで穴を少しずつひろげていく
1日おいて、パテがすっかり硬化したら、表から金属用ドリルで穴を開けながら綺麗にしていく。そして、表と裏、両方から、回転ヤスリで少しずつ穴を広げつつ、パテを除去しつつ、綺麗にして完成。

こうやって書いていくと大変そうだけど、慣れたら、穴一つの加工はせいぜい20分くらいでできる筈。そして、翌日の清掃と修正で15分くらい。やってみると意外と簡単な作業です。

まずは捨ててもいい板で、練習してみると良いと思います。
ボクはいきなり買ったばかりのSUSHIでやったけどね www

2022年3月17日木曜日

Towing (ボードとお散歩)

前にアップした投稿で、スノーボードを towing (引っ張って歩く)ということについて書いた。
ボブスレーコースみたいなトレース
普通のスノーボードは、先端に穴が開いていないのでこのテクニックは使えない。

BC用スキーには、先端に穴が開けてあるモデルが結構ある。"tip-hole"とか言うのかな、正式な名称はよくわからない。
右側の赤いスキー先端にある穴がそれ
この穴、「緊急時に、スキーをつなぎ合わせてソリを作る」ために開けてある。怪我人を搬送する時に、担いだりとかは無理なので、何本か並べて、スキーポールを渡して細引きで結んで橇を作るのです。

そして、この穴に leash (ヒモ)を付ければ、towing と言って、スキーやボードを背負わずに「引っ張って歩く」ことができる。

ただ、スキーで試した時は、あまり意味が無いと思っていた。幅が狭いスキーは、ゴロンゴロンと横倒しになったり、ひっくり返ってしまうのだ。

スノーボードの場合は幅が広いので、Towing は割と有効だ。
特に向いているのは、こんなシチュエーション

 木の枝が煩い斜面の登行
 強い向かい風
 トレースがはっきりしている
 荷物が重い
 踏み抜きやすい雪面
 穏やかにだらだら続く登り

要するに、背中の重さを減らすことができる。微妙に踏み抜くか踏み抜かないか、みたいな、クラスト斜面とかでは地味に効果がある。踏み抜いたあとのリカバリーも楽になるし。ボードを背負わないから、バックパックが軽いし、バランスがいいから振られない。

そして、ボードをバックパックに取り付けると、先端を頭の上に突き出して登ることになる。 Towing だと、それがないから、横から木の枝が張り出しているような斜面のハイクアップでは楽ができる。枝を避けるためにしゃがまないで済むからね。

反対に向いていないのは、こんな場所

 アップダウンが多い
 急斜面
 トラバース
 どパウ
 
下り坂になると、ボードが後ろから滑って追いかけてくる。
これが膝裏とか腿とかに突っ込んでくると、地味に痛いwww

急斜面では、後ろに引かれる感じがする。むしろ背負った方が楽。
トラバースは…わかるよねw
深雪の場合は、有効な時もあるけど、ボードが雪に潜っちゃったり、雪を運搬するみたいになっちゃう場合はやめた方がいい。
1枚目の写真みたいなトレースがちゃんとついているところは、トーイングを選ばない理由はない。
リーシュを付けたイメージ
ここまでで、大体のところはイメージできたはず。

さて、ここで問題になるのが… 「だって、穴開いてないじゃん!」ということ。

そう、普通のボードには穴がない…ならば…開ければ良いのであるwww

2022年3月16日水曜日

スノーボードのソールリペア(リペアスティック編)

リペアキャンドルでのソール補修になれたら、リペアスティックの補修にもチャレンジしてみるといい。

ハンダゴテが必要になるけど、溶かす相手は金属ではなくて、ポリエチレン。30W程度の、低容量のやつで十分。

先日、浅間山の火山礫で傷ついたSUSHIのソールを補修したので、それで説明してみる。

まずは、ソール傷の清掃をする。
ささくれてたり、砂粒が食い込んでいたりしたらそれを綺麗に取り除く。
PTEXの細い切れ端
この傷はササクレが出てることが、滑っててわかるような傷。これをカッターで切り取ろうとすると、切れ味が鋭すぎて、余計なところまでカットすることがある。
メタルスクレーパー2種類
ボクは、メタルスクレーパーの角を押し当てて、シュッてスクレーピングしちゃった。

あ、そうそう、エッジのすぐそばに傷がある場合、エッジも確認すること。エッジにバリが出てたり、丸まっちゃったり、ヤキが入っちゃってる場合がある。そんな時は、ダイヤモンドやすりでタッチアップしてスムージングするといい(注)。
ワックスリムーバーを全面に
ソールを綺麗にする。
リムーバーをたっぷり吹いて、汚れを浮き上がらせて、ショップタオルで拭き取る。
リペアスティックをピンセットで挟んでおく
買い置きしてあったリペアスティックが見つからず、20年位前に買ったスティックで作業。まぁいいか、自分のボードだし…
ハンダゴテで溶かして埋めていく
ハンダゴテでソール側をかるくナデナデして、溶け始めた感覚を探る。柔らかくなり始めたら、すかさずリペアスティックをコテ先に当てて溶かして、一体化させる。
段ができないようにムラなく
キャンドルと違って、火を付けないので、ススが出にくい。ただ、作業時間が長引くと、それでもススっぽいのが出てくる。コテ先を拭いて綺麗にできるように「濡らしたウェス」があるといい。
波目ファイルでフラット出し
キャンドルよりは手応えがある、PTEXと基本同じ素材だしね(密度は違います)。
薄く溝が残った
温かいうちにフラット出しすると、完全なフラットにはならない。人から預かったやつなら、これにもう一回薄付けでリペアする(その場合はキャンドルでもいいと思う)のだけど、自分のだからいいや w
角度を変えてみる

ここは綺麗に埋まった
ホットワックス
滑走に影響がなければ、ボクは仕上げにはそこまで拘らない。
ホットワックス入れて、一晩放置。
完了
春用ストラクチャー
ホットワックスにもう一度熱をいれて、ペーパーでクリーニング。
そして、メタルとプラのブラシかけて、フィニッシングマットで仕上げました。

これでまた出動できるね。

注 エッジを石とかにぶつけると、「焼き入れ」がされちゃうことがある。工具(鋸とかね)で、刃先に「衝撃焼き入れ」加工とかしてる製品があるけど、それと一緒。火花が飛ぶくらいに、バチーンて衝撃が加わると、鉄は「刃物」みたいな鋼になっちゃう。で、こうなったエッジを普通のヤスリで研ぐと、ヤスリがやられちゃう。それを防ぐためには、鋼も研げる道具を使う必要がある。具体的には、「オイルストーン」か「ダイヤモンドファイル」。要するに砥石か、ダイヤヤスリでないと歯が立たないってことね。

スノーボードのソールリペア(リペアキャンドル編)

スノーボードやスキーのソールを傷つけた時のリペア(補修)のコツなどを書いてみる。

ソールリペアとは、簡単に言えば、

 傷や穴を補修剤で埋めて、余分な分を削り取って平らにする。

これだけ。

で、素人が手に入れられる補修剤には、「リペアキャンドル」と「ポリスティック」の2種類がある。リペア・キャンドルのほうが、作業がシンプルなので、まずはそれを使った説明から。
ソールの状態をよく観察する
最初にソールを綺麗にする。

ワックスリムーバーをたっぷりと吹きかけて、汚れが浮いてくるのを待ち、ショップタオルなど綺麗なウェスで拭き取る。
傷の横にマーキング
この写真は、Jones Snowboards の Hovercraft だけれど、白地に透明のソールは傷がどこにあるかわかりにくい。埋めるべき傷の横に、マスキングテープを貼って、マジックで印を付けておく。
クリーナー的なものいろいろ
接着とか、補修とかのコツは、くっ付け合わせるモノ同士を綺麗にしておくこと。特に、油分と水分が大敵。上の写真は、左から、アルコール(イソプロピルアルコール配合)、シリコンリムーバー、そして、ワックスリムーバー。

普通にワックスリムーバーでいいのだけれど、ボクはシリコーンリムーバーも使っている。以前使ったリムーバーが、「ソール保護のために?」よくわからない油分を残してしまうタイプのやつだった。そんな油分もこれなら落とせる。

そして、名前の通り、シリコーンとか、フッ素とか、滑走性を高めるために添加されていて落としにくいようなやつも、これなら落とせる。

穴埋めに使うリペア・キャンドルだけれど、使い方については、説明書を良く読んでください。キャンドルがどのような組成になっているのかは知らない。多分…(適当)補修剤の本体であるポリエチレンと、キャンドル(ロウソク)のミックスだと思われる。で、それに火をつけて、ポリエチレンとキャンドルが入り混じった溶解物を垂らして傷を埋める。
傷の上に盛り上げるように垂らす
コツを書いておくと、

 消化用の水を用意しておくこと
 火を点けて、溶けた「ロウソク」と「ポリエチレン」のミックスを垂らすわけだけれど、うっかり燃えやすいモノの上に垂れるとそこで火がついちゃう。ティッシュとか、ペーパータオルとか、リムーバーの染み込んだウェスとかあると最悪。
 バケツに水、そして、たっぷり水を含ませたウェスとかを、ボードの下に広げておくと安心できる。垂れたキャンドルが、水の上でジュッて消えるようにね。
 暖かい部屋でやる
 ソールが冷え切った状態だと、キャンドルとの温度差が激しすぎるせいかうまく溶着しない。
 キャンドルとソールはできるだけ近い位置で
 熱いキャンドルがそのままソールに乗っかるようにする。キャンドルの炎でソールを温めながら、流し込むようにするとちょうどいい。

傷よりも盛り上げるように垂らしておいて、余分を削り落とす。マニュアルでは、メタルスクレーパーとか、カッターを使うって書いてあると思う。

僕のおすすめは「波目ファイル」。ファイルとは「ヤスリ」のことで、切れ味の良いやすりは、まさしく刃物なので、革手袋などを着用すること。
波目ファイル
ファイルには、キレる方向があるので、向きを確認してスーッと撫でるだけでキャンドルが削れていく。
フラット出し完了
キャンドルが冷え切らないうちにカットしたほうが、柔らかいので簡単にフラットが出る。しかし、それが冷えていくと、充填物(この場合はキャンドル)が少し痩せて凹む。

これは滑走性には全く影響がないので、自分のいたなら気にしないのだけれど…

このボードは預かり物。光にすかしてみると、傷が埋まりきっていないみたいで、ちょっと格好が悪い。
もう一回薄付け
もう一回キャンドルを流す。

仕上げなので、量はごく僅かで済む。だから、室温に冷えて馴染むのも早い。
完成
一つ一つ、補修跡を確認して、小さなディンプルを探す(自分のならやらないケドw)
横にマスキングテープ貼ってマーキング
ここにこんなディンプル(埋まりきっていない小さな凹み)があるというのを、印をつける。ここには、左から小さな点状、1cmくらいの縦溝、滲んだような凹みがあるという印。
完成
リペアキャンドルは簡単で便利なんだけど、柔らかい。波目ファイルを動かしていると、手応えでわかるけど、ソール材はPTEXとかで固い。ロウソクが混ざっているからあたりまえなんだけどね。