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2024年6月1日土曜日

エッジングパワーの6要素

スノーボードの面白いところは、ボードとバインディングのセッティングを変えられるところ。

セッティングの自由度が高いのは、スノーボーディングの楽しみでもある。だけれど、自由な反面…セッティングの何が正しいのか訳がわからなくなって、迷路にハマることも出てくる。

そんな人のために、セッティングで重要な要素を整理してみよう、そんなシリーズを始めます。

楽に「カービング・ターン」をしたい人、「圧雪でパウダーボードに乗れない」人、そして「ワンフットが苦手」な人たちです。全てに共通するのは、エッジをうまく使えない人たちです。

エッジングパワーを左右するのは6つの要素があります(下図参照)。


レーダーチャートの上から時計回りに、

  1. ボードが細い方が
  2. ボードが硬い(フレックスとトーション)ほうが
  3. バインディングが踵寄りセットのほうが
  4. ハイバックが前傾しているほうが
  5. ブーツが硬いほうが
  6. フロントのアングルが横向きのほうが

エッジングパワーが強くなります。(3と5については、いずれ詳しく説明します)

サンプルとして、ノーマルボード、パウボード、カービング(アルペン)ボードのレーダーチャートを入れてあります。6角形の面積が大きいほうが、エッジングパワーが大きくなります。

ほとんどのパウボード、ノーズがノーマルボードよりも太い。だから、特に前足のエッジが効きにくくなります。パウダーだと面で滑るので気が付きにくいけれど、圧雪バーンだと上手く滑れなかったり、疲れやすかったりするのはこのせいです。ノーマルボードと同じバインとブーツで、パウボードに乗るとエッジがうまく効かないのはこのチャートで見ればわかります。

カービングボードは、締まったバーンで強いエッジングを可能にするために、細く、硬く(というより張りが強い)セットアップになります。細いボードはドラグしやすくなるので、アングルは前振り、センタリングも踵に寄せられません。硬くて反応の早いバインを使い、ハイバックの前傾は強く、それとバランスを取るためにブーツも硬くなります。

現在の滑りで何が不満で、どう改善したいのか考えて、この6要素をどう変化させるかが上達の早道だと、ボクは思います。

え?そんなボクはさぞかし早く上達したんでしょうね?ですって?

嫌だなぁ…さんざ迷って遠回りして、もっと早く知っていれば良かったなぁ、そんな話をしようということですよwww

まぁ…こーゆーシリーズってトラフィック全然上がらないのですが、一人でも参考になる人がいればいいなぁ、ということで… つづく

2024年6月11日火曜日

エッジングパワーの6要素 グラトリ・初心者のセッティング

エッジングパワーを決定づける、6つの要素について前回説明をした。

6要素をどのように組み合わせて活用したらいいのか?そんな話をしてみよう。

僕はグラトリはしないというかできない、ジブもしない。

そんな僕がジブ・グラトリについて語るのはおこがましいのだけれど、「エッジが不意にひっかからないようなセッティング」だと理解してください。

エッジがひっかかると困るのは、初心者スノーボーダーも同様。友達に、「スノーボードを始めたい!」と相談されたら、このセットアップの話を思い出して欲しい。

レーダーチャートの上から、時計回りに説明してみよう。

ボードは標準よりちょっと太めが良いよね。。エッジの効き方がマイルドになるし、トリックの時に安定感が出るはず。

フレックス柔らかめのボードを選ぶことで、細かい操作がしやすくなる。カッチカチのボードはやめようね。

センタリングは標準でいい。「標準」とは、ワンフットで安定して真っ直ぐ滑れる位置。バインがトウ側かヒール側にずれていると、真っ直ぐ滑れない。ここで注意しなければいけないのは「見た目のセンター」ではないということ。それぞれの骨格とか、筋肉のつき方で重心位置は変わってくる。だから、見た目が踵よりとか、つま先よりに「見える」位置であったとしても、あなたがワンフットで真っ直ぐ滑れるのならそれが正解。


ハイバックは立たせ気味でいい。「立たせ気味」というのは、ブーツの前傾角度とほとんど同じくらいの角度ということ。ブーツを履かないで、そのままバインに嵌めてみよう。この時に、ブーツのふくらはぎ部分とハイバックが、上から下まで密着している状態。

実際にブーツを履いて、バインをセットしてみよう。リラックスしてちょっと膝を曲げた状態が、あなたにとって「自然な体勢」で、長時間滑っても疲れにくい姿勢。この時、ブーツの後ろは、ハイバックから微かに離れるはず。この隙間が、車のハンドルでいう「あそび」(不感ゾーン)にあたる。立ち気味にセットしたハイバックは、バックサイドターンのエッジングをマイルドにしてくれる。

ハンドルがクィックすぎる車は疲れる。逆にあそびが大きぎると、キビキビした感覚に欠ける。滑ってみて、ちょっとあそびが大きすぎるかな?そう思ったらハイバックを1ノッチずつ前傾させていくのだ。

ブーツの硬さはもちろん柔らかめがイイ。フロントサイド、バックサイド、両方のターンでエッジの効き具合が異なるとリズムが取りにくい。ハイバックのところで説明したように、バックサイドターンのエッジングがマイルドなセッティングになっているので、フロントサイドのエッジングもマイルドにしたい。そのバランスを取るために、柔らかめのブーツを選ぶのだ。そう、硬いブーツは、トウエッジの踏み込みがパワフルになる。

で、レーダーチャートを見てみよう。赤いノーマルセッティングに比較して、緑線で囲まれている面積がずいぶん小さいのが分かるよね?

このセッティングだと、エッジングパワーが小さい。ずらしやすいし、逆エッジのリスクが減るということ。

…でも…このセッティングだと…必要な時にエッジを効かせることすらできないということ?

そう、そのデメリットの一部を相殺するために、横向きのスタンスアングルを取るのだ。

前6度、後ろ-6度位のアングルを試してみてほしい。スイッチで滑りやすいのは、スピンなどのトリックを練習するのにいいだろう。初心者・初級者が、自分のやりたい滑りを探すのにもいい。

そんでもって、隠れたメリットは、「立たせたい時にはエッジがしっかり立つ」のが横向きセッティング。なんとなくしっくりこないようなら、前足を9度か12度にしてみるのもいいと思う。

特にちょい太めのボード(ノーズが太いパウボードも同様)で、前足のアングルが21度を超えてくると、エッジの踏み込みが効きにくくなる。

まぁその、全体的にルーズなのだけれど、スタンスが横向きなことでバランスが取れているのがこのセッティングということでした。

2024年7月27日土曜日

エッジングパワーの6要素 カービング向けセッティング

以前はスキーにハマっていて、今はスノーボードにハマっている。

そんなボクが、2つのスポーツに共通すると思うのは、「キレとズレをいかにコントロールするか」が大事ということ。

このブログ、「エッジングパワー」というキーワードで検索すると、スキーもボードも結構な数の投稿がヒットする。それは、ボクがエッジングを大事に考えているから。

今回は、スノーボードでカービングをグリグリやりたい人のセッティングについて。
レーダーチャートの上から、時計回りに説明してみよう。

「カービング向け」とされているボードは、標準より細身。細いとエッジの切り返しが速く、エッジプレッシャーも上げやすい。

カービング中は強い遠心力を受けるので、それに耐えるためにフレックスは硬めになる。限界スピードが上がって、急斜面でのカービングをやるようになると、さらに硬いボードが欲しくなるかもしれない。その代わり低速では曲がらないかも知れないけどな…

ボードの幅が狭いので、センタリングは調整する余地がない。ドラグしない範囲で、微調整をするだけ。それでもドラグするなら、プレートを噛ますか前振りにする。

ハイバックは深い前傾になる。板を履くにもコツが必要になってくる。

ブーツのタンを軽く押し潰して、前傾させた状態でないと、ブーツのかかとがバインの奥まで入らないはずだ。アンクルをしっかり絞めないと、ブーツは勝手に押し出されてくる感じ。

ブーツのふくらはぎはハイバックに密着し、わずかな動作に反応してヒールエッジを立ててくれる。それでも反応が遅いと感じるなら、固いハイバックとベースプレートを装備したバインディングを選ぶべきだろう。

ブーツはもちろん固め。フロントサイド、バックサイド、両方のターンでエッジの効き具合が異なるとリズムが取りにくい。ハイバックのところで説明したように、ヒールエッジがパワフルなセットなので、バランスを取るために硬くて反応の速いブーツを選択する。

そもそもハイバックが強い前傾なので、常時膝を曲げた姿勢を強いられる。それは空気椅子状態なわけで、脚力だけで支えるのは辛すぎる。ブーツが固くてサポートしてくれれば、すこしだけモモが楽になるというわけ。痩せればいいんだけどね。

さて、最後の要素のアングルだけれども、これが問題だ。ボードの幅が狭いので、ドラグを避けるためにフロントを前振りにせざるを得ない。極端に細いボードを選ぶとこれが顕著になる。もっとも極端なのはスクォール(wikipedia)。そして、前振りにするとエッジングパワーは低下する。

前振りはエッジングパワー的にはマイナス要素だけれども、それ以外の要素でエッジングパワーを稼いでいる。トータルではエッジを効かせやすい、それがカービング向けのセッティング。

このセッティングは、デメリットも大きい。
  1. 空気椅子状態で、ターン中を含めて脱力する時間がないので疲れやすい
  2. 前振りスタンスは、ターン中に重心を前後させる必要がある(動作が複雑になる)
  3. 逆エッジを喰らいやすい(特に危険なバックサイド側)
  4. 上下動を使える範囲が限られるので、ギャップの吸収がやりにくい
  5. 姿勢が低くなるので、広い視界の確保が難しい
そんなわけで、広いリゾートを滑り倒すだとか、いろんな斜度、雪質、コブに柔軟に対応するとかは割と苦手だと思う。すごい上手い人は別かもしれないけどね…

まぁそれでも、スノーボードもスキーも、いろいろセッティングを変えてみるのは、自身の成長の糧にもなるからチャレンジするのがいいと思う。

グラトリ・初心者のセッティング」と見比べてみればわかると思うけれど、カービング向けセッティングとグラトリ向けセッティングはある意味正反対。道具を2セット用意するか、期間を決めてどちらかのセッティングで集中的に練習するか、ほどほどのセッティングで幅広く対応力を磨くか…それは自分で考えて決めてみてください。 Happy Riding!

2024年8月16日金曜日

エッジングパワーの6要素まとめ: ボクのセッティング遍歴

エッジングパワーの6要素シリーズ」のまとめとは、ボクのセッティング遍歴。

赤線が過去のセッティングだ。ボクはずっと、少し長め(適正より+5センチくらい)の板を選んでいた。スピード出しても安定するし、バックパック背負ってちょうど「推奨ライダーウェイト」のレンジにはいるから、それでいいと思っていた。

ただ、オーバーサイズの板は、幅も適正より少し太め。太めの板はエッジが踏みにくい。それにボクは足が小さくい(25.0cm)。つま先も踵もエッジから遠くなるから、さらにエッジが踏みにくい。

オーバーサイズの板は、ボクにとって固めのボードになる。エッジグリップはいいけど、少し扱いずらくなるのは否定できない。

センタリングは目一杯の踵寄り、ヒールエッジの効きを最優先に考える。トウサイドは…気合いと筋力と固いブーツでなんとか押し込めるからねw

ハイバックは立たせ気味。前傾強いと疲れちゃう。ボクはバックカントリー・スノーボードが第1目的なので、疲れない、疲れていても乗れるセッティングが好き。

ブーツは固いやつ。トウサイドエッジを効かせるために、ブーツのレスポンスと剛性が必要になってくるから。

アングルはF30 R9くらいの前振り。元スキーヤーにありがちだけれど、腰と胸を前に向けないとしっくりこない。しかし、これだけ極端な前振りだとフロントの押さえが効かず、ノーズがフラフラする。

ま、そんなもんだ、そう思って20年くらい滑っていた。



3シーズンくらい前からセッティングをいじり始めた。

BCのメインボードは長めでいいだろう。でも、普段使いには張りが強すぎる、そんな気持ちになってきた。

セッティング見直しで一番大きいのがフロントのアングル。

F30 R9 → F27 R0 → F24 R0 → F21 R0 → F18 R0 → F9 R-3

もともとボクはワンフットが苦手で、リフトの乗り降りでよくすっ転んでいたw
センタリングを踵よりにすることで、バックサイドターンはだいぶマシになった。しかし、フロントサイドは相変わらず、しっかり踏み込めない感じだった。

で、試しにフロントを21度くらいまで横向きに戻したら、ワンフットが苦にならなくなったのだ。エッジングパワーが改善されてノーズがふらつかず、意図する方向へ進むようになった。

股関節の可動域が正面に矯正されてきたのも大きい。これは意図していたわけではない。ブルベやロングライドでビンディングペダルを履いてペダリングしているとき、つま先は強制的に真正面を向く。その状態で、脚の曲げ伸ばしを繰り返すことで、股関節の柔軟性が増して、つま先が正面を向くようになったのだと思う。

そんなわけで、フロントは12~9くらい、リアは0~-9くらいで滑っている。そう、ゆるいダックでスイッチスタンスにもトライを始めている。

横ノリスタンスにすると…エッジングに力がいらない。以前はフロントが流れた分を、リアで辻褄合わせてなんとかする、みたいな…余裕が少ない滑りになっていた気がするのだ。

楽に滑れるので、「硬いブーツでなくても大丈夫かも?」そう思うようになってきた。

ブーツのフィッティングも、以前はしっかり密着!隙間ダメ!が基本だった。今はわりと…緩めでもいいかなぁ、そんな感じで滑れるようになった。この2〜3シーズンで、それまでなんとなく感じていた壁を超えた、そんな気がしている。

未来は…もう少し短くて(適正サイズ)、柔らかい、細身のボードに乗り換えたら、もっといいんじゃないかな?そんな感じがしています。

おしまい