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2025年10月22日水曜日

買い換えるべきか? スノーボードブーツのヘタリ

そろそろ25−26シーズンに向けて早割リフト券とか、シーズンパスをどうするか、ソワソワし始めている人もいるのではないだろうか。何を隠そうボクもです。

ギアを買い替えようか考えている人もいるだろう。ギアの中で、買い替えの判断が難しいのはスノーボードブーツではないだろうか?

板やバインなら、シーズン中でもなんとか納得のいくものを買えるだろう。でも、ブーツは、サイズとフィット(甲高とか)とフレックスと、組み合わせする要素が多い。

なによりも、「平均的なブーツサイズから外れる人」は、在庫のあるシーズン初めでないと希望のサイズが手に入らないことがある。

ボクなんか足のサイズが 25.0cm…  US7…

バートンとかの大手ブランドや、小柄な民族もいるヨーロッパ発のブランドはまだマシなんだけど、北米オンリーのブランドだと結構厳しい。北米の新興ブランドだと、メンズモデルのサイズ下限がUS9 なんてこともある。そうなると、もう最初っから選択肢に入らない。ウィメンズならサイズあるけど…もうサロモンでいいです

そんなわけで、シーズンが始まる前の今、ブーツを買い替えるべきか迷っている人に向けた投稿を書いてみた。

「ブーツのヘタリ」には、「アウターシェルの剛性低下」と、「インナーブーツのクッション性低下」の2つの面がある。

アウターシェルの剛性低下(フレックス・レスポンスの低下)

シェルがフニャフニャになってサポートが不足した状態がこれ。こうなると、トウサイドエッジがうまく抑えられなくなる。

トウサイドエッジを強く踏む時、ブーツのタンをスネで押し込む動きが出る。押されたタンがトウボックスを押し込み、ボックスが力をエッジに伝えてくれる。

ということで、プレッシャーが集中する、「タンとトウボックスの境目」にダメージが出る。
裂けちゃった…

ブーツメーカーもそれは分かっているので、この部分の素材を変えたりして補強する。でも、繰り返し繰り返し加わるプレッシャーは、ここにシワを作り、やがては縫い目から裂けたり、素材に折り目ができて崩壊する。

タンそのものにもシワや変形が起きる。
BOAやスピードレーシングのような、細い紐やワイヤーでタンを抑えるモデルは特に注意が必要だ。可能ならば、履くたびに、紐がかかるところを少しずつずらしてやるといい。閉める場所が1箇所だと、そこにクセがついてやがてそこから折り目ができる。

タンの足首にできる溝

ブーツのフレックスを固くする時、「変形しにくい・剛性の高いタン」を使う方法と、「アウターシェルの剛性を高くする」方法がある。もちろん、どちらかだけではなくて、両方を組み合わせて、狙ったフレックス(固さ)とレスポンス(反発のスピードと強さ)を出していく。

で、モデルによっては、タンやアウターシェルに嵌めて剛性を高めるパーツが付属している。

ボクがここ数シーズン履いている、サロモンのブーツにはアウターシェルに嵌め込むパワーバーが付属している。

サロモン・マラミュート

上の写真、左手で押さえているバーで「この辺りに収まる」というイメージがわかると思う。写真の下側に、アウターシェルの一部が写っている。ここに赤く見えるのが、この強化バー。アウターシェル内側の上下に、バーの端っこが収まるポケットがあって、そこにバーを嵌め込んで固定する。

ボクは剛性が高めのブーツを好んで履いてきた。今は、Salomon Malamute を履いている。以前は Burton Driver Xを履いてきた。

個人的な印象だけれど、Driver X はタンの剛性で、Malamuteはシェルの剛性で、それぞれフレックスとレスポンスを高めていると感じている。んで、ボクは、Malamute のほうが合う感覚があったので乗り換えた。

バートンとサロモン

インナーブーツのクッション性低下(フィット感の低下)

「ブーツのヘタリ」のもう一つの要素が、インナーブーツのヘタリだ。クッション性が低下して、足の一部が圧迫されたり、むくんだり、擦れたりといったトラブルが起こる。

ブーツのクッション素材には、可塑性のあるゴムやスポンジが使われている。素材の特性として、ヘタったり、加水分解を起こしたりするのは避けられない。

個人的な感想だけれど、クッション性が優れてソフトなインナーブーツのほうがヘタリが早い感じがする。熱成型方式のサーモインナーも同じで、初期のフィット感がどれくらい続くかというとなかなか難しい。

サーモインナーとクロックスっぽいインナー

上の写真右側の、グリーンが差し色に入っているインナーブーツは、BurtonのSLXで使われていたやつ。確か…2015年くらいだったかな…

昔のバートンには、クロックスみたいな素材でできたインナーブーツがあった。これは重いし蒸れる感じがするけれど、へたりにくく、変な圧迫もなく、とても気に入っていた。アウターシェルと足の間を隙間なく埋めてくれるので、ブーツをフレックスさせた時の反発の出方も自然だった。

バートンがこのインナー素材をやめて、サーモインナーに変わったのもブーツを乗り換えるきっかけになった。

タンが沈み込んでいく

上の写真は、処分する直前のDriverX
タンにスピードレースが擦れた跡がついているのがわかるだろう。そして、その位置が大きくずれているのも見て取れる。

ついている跡は、「インナーが生きていた時についた」跡だ。アウターシェルと足の間に、しっかりとクッションがあるインナーが「みっちり」詰まっていた。

ブーツを履き続けていると、インナーがだんだんと痩せてしまって、シェルと足の間に隙間が生まれてくる。その隙間を埋めるために、タンを上から押さえるので、過去についた跡とちがうところにシューレースがかかるようになる。


長くなったのでそろそろまとめよう。

「今シーズンいっぱいブーツが保つかどうか?」を、今の時期に見極めるとしたら…

アウターシェルのトウボックス周辺に、「シワ」「変形」「縫い目の裂け」がないかどうか。そして、「タンに付いたレースの擦れ跡」を良く観察してほしい。

そして…
自分が小足族か大足族であるという自覚があるならば…在庫がある今のうちに…目星をつけておくことをお勧めしたい。








2025年10月1日水曜日

自分史上もっとも過酷なブルベに挑戦した話

以前の投稿でボクは、「DNFは勇者の証」と書いた。自分の限界に挑戦した結果のDNFは決して敗北では無く、勲章である、みたいなことを書いた。

でも…そんなこと書いてる自分は…どうか?

加齢と衰えを言い訳に、限界っぽい挑戦をしていないんじゃないか?そんなふうに自問自答をして、エントリーしたのが 300kmで 4,300m+アップのブルベ。

ただ、これが走れないとSRが取れない。それは困るので、保険の意味で1週間前に別の300kmを走っておいた。もうSRは確定したので、途中で嫌になったらやめればいいや、もう歳も歳だしネ…

さて、ブルベのルートの難易度には2つの要素がある。一つは言うまでもなく走行距離。もう一つは獲得標高だ。この組み合わせでそのブルベが、どれぐらい困難であるかが「だいたい」分かる。

ボクは登りが苦手なので、長くてもフラット気味なルートのほうが得意だ。そんなボクがほぼほぼ完走できると判断するのは、距離200kmなら獲得標高2,000mくらいまで。300kmなら 3,000m くらいまでなら、貯金を持ってゴールできる。これが400kmくらいになると疲労が蓄積されるので、獲得標高が3,500mくらいが完走できそうなプロファイルになり、600km になれば4,000mくらいになる。

今回のブルベは、300kmの4,300m アップ…
距離が短いので、貯金を稼げるボーナス区間もほとんどない。小さなタイムロスを丁寧に潰して、トラブルを避けるのが最重要になる。

ただでさえ鈍る思考力、限られた時間…安全に完走するには、「いかに余計なことを考えないで済むように準備するか」が重要になってくる。

ポイントのメモ
最近やっているのがこれ。マスキングテープに、チェックポイント(CP)の距離と名称を書いて見えるところに貼っておく。コンビニがCPになっていれば、レシートをもらい、それをブルベカードにこのマスキングテープで貼っておく。こうすれば、CP不通過も、CP間違えも、レシート紛失も避けることができる。

今回はこれに加えて、顕著なピーク(峠)の標高と、走行距離も貼り付けた。ペース配分を上手にやって、脚を残しておかないと帰って来れなくなるからだ。

前夜に天気予報をチェックしたら、天候も風向きも上々。わずかに残っていた降雨予報も消えたので、前後のドロヨケを外し、レインパンツは置いていく。レインジャケットは、モンベルのゴアテックスで、ウインドブレーカーがわりにも有用なので持っていく。

スタート地点の高崎まで車で移動し、秋晴れの中を走り出す。

安中杉並木

横川を通って坂本宿でダブルボトルを満タンにする。ここまで脚を使わないように気をつけていたのでペースは遅いけれども、20分程度の貯金ができていた。

碓氷峠は斜度はそんなにキツくない、けど、距離が長い。焦らず軽いギアで、クルクル回して登っていく。

メガネ橋

自分史上最もラクに、疲労を溜めずに碓氷峠旧道トップに抜けた。
碓氷峠旧道最高点

ここのカーブは184箇所。
碓氷は184(イヤヨ)

軽井沢を過ぎて中仙道に入り、宿場町を辿っていく。
望月宿入口

次の峠は、笠取峠。ここを走るのは2回目だ。佐久南に車を駐車して自転車で走り出し、ここを通って池の平へ出て、麦草峠を越えて佐久南に戻ったことがある。その時に、短いけれど割と大変な印象があった。

笠取峠峠松並木

その時気になっていたけれど、見ていなかった松並木。
笠取峠最高点

ピューっと降ってから、和田峠に向かって長い登りが始まる。
中仙道(和田宿周辺)

この辺の旧道をのんびり歩いてみるのもなかなか楽しいんじゃないか、そんなふうに感じる。それこそ Bike & Hike がいい。峠のてっぺんに自転車をデポしておいて、麓からハイクアップする。てっぺんで自転車に乗って、シャーーーって車まで戻ればいい。今度やってみよう。

和田峠の茶屋(廃墟)

和田峠の旧道をそのまま越えていくのが今回のオリジナルルート。ところが、峠の諏訪側が豪雨災害のため通行止め。そんなわけで、一度ビーナスラインに上がって霧ヶ峰を通って諏訪湖に降りる。
ビーナスライン(車山のドーム)

このコース変更のおかげで、距離は10km弱、獲得標高も数百メート増え、ボクにとっての難易度はさらに上がっている。薄い空気の中、余力を削らずかつ速度を維持するようにしながら前へ進む。
霧ヶ峰
霧ヶ峰の通過チェックで時間を見たら、次のチェックポイントまで1時間を切っている…

油圧ディスクブレーキさん…ありがとう…そう叫びながらダウンヒルで借金を返すアブナイ
高島城

CP2の足切りタイムは16時だった。

レジに駆け込んだボクの受け取ったレシートは 15:59の印字wwwww

これ実はCP2の直前でいろいろあった。

ファミマがチェックポイントだったのに、その手前のセブンにボクは入ってしまった。ボクに釣られて後続の Bianch 乗りの人も入ってきて、レシートもらって、あー時間に間に合って良かった〜ってところで、そのBianch さんが「ん?CP2ってファミマな気が?」って気がついてくれたの。あっ!!!ってんで、二人とも鬼立ち漕ぎでファミマに移動して、ギリギリ通過ってなったのだ。

この Bianch 乗りの人、見覚えがあったので尋ねてみたら、やっぱり以前一緒に走ったことのある人だった。一昨年(2023)の銚子400で寒さに震えつつ、コンビニの駐車場でホットドリンクを啜っていた時になんどか出会って話した人だった。バイクとホイール、そして、いかにも優しそうな笑顔で楽しそうに話すので覚えていたのだ。

そんなわけでドタバタしたのでw、諏訪湖の写真は残念ながら無し。

富士見峠に向かって走り出し、富士見パノラマのすぐ脇を掠める。

富士見パノラマ入口
なんだ…富士パノって自走で来れるんじゃん…

長坂のセブンがCP3。貯金はかろうじて30分程度になっていた。野辺山へのヒルクライムに向けて軽食を取り、サドルにまたがって走り出す。

清里まで、何度か休みつつ登るが、野辺山への最後の直登で押しが入って借金生活。

小諸のCP4までの降り基調で借金返して、追分宿までの地味でキツイヒルクライムこなして、碓氷峠を体重ターボですっ飛ばして降って、気がついたら4人くらいのパックができあがっていた。

せっかくだから、つかず離れずで付いていって無事にゴール。

今日もありがとうございました…

走り切れたことが我ながらちょっと信じられず、ボーゼンとしつつ、一緒にゴールした人たちと完走を祝いつつ、片付けをして帰宅しました。

このルートを時間内できちんと完走できたことは、多分一生忘れないんだろうなと思う。

今までイッチバンキツかったブルベは、2023年の「雲海を見に行こう」300kmの3,600mアップだった。その時を超えた自分にお疲れ様。

おしまい