SNSでつながっている友達の中には、この人とあの人は合わないだろうなって、なんとなく思うような人もいる。直接会ったらダメ、なのに僕とは繋がっていてくれる。
山の道具にも相性がある。最初からすぐに馴染んで仲良くなれる奴。ライトハイキングシューズみたいな奴らかな。
最初に履いた時から、まったく当たるところもなくて、あくまでもソフトに、かつしっかりと足をホールドしてくれる。まぁ、その、パッキングウェイトが15kgを超えるようになってきたりすると、流石に踏ん張りが効かないケド、もともとそんな用途じゃないしね。
つま先に注目 |
昔は布製のハイキングシューズって言ったら、帆布製か、良くてナイロン。雨が降ったり草露であっという間にグシュグシュに濡れてしまう。でも、最近のはゴアテックスのブーティがラミネートしてあったりして、長靴クラスの防水性能があったりする。
ただ、ひとつ大きな問題があって、ミッドソールから加水分解でベロリンチョって剥がれることがある。
僕は、これ、一度だけ経験がある。わかりやすいように、ペグを支えにして広げてみた |
で、春先に赤湯温泉から苗場山日帰りに行った時に剥がれた。山頂湿原に出る直前で剥がれ始めて、木道に上がった時にはもうつま先がカポカポ言い始めてた。
このルート、春先はまだ雪が残っているので、キックステップをしていたのが良くなかったのかもしれない。それか単なる経年変化なのか。ともあれ、とりあえず山頂まで行ってすぐに引き返す。
下りで使うのはかかとで、そっちはまだ加水分解が進んでいなかったのがラッキーだった。その時持っていたダックテープとか、ポリ袋とか、とにかくいろんな物を使って下山できた。
で、つくづく思ったんだけど、
「別れたいなら、事前に匂わせてくれよ」
こころの準備をさせてくれ。
さっきまで、仲睦まじく過ごしていた。何の不満もないと思っていた、お互いに。それがいきなり、腰を決めた平手打ちというか、掌底打ちを決められて、
「これ以上付き合えるかボケ!」
「あとはええようにしとってやー!」
みたいに去って行くのは無しにしてくれ。
で、僕は、欠点はいろいろあるものの、ここぞと言う時に履いて行くのは昔ながらの登山靴だ。ビブラムソールと、頑丈な皮革製アッパーを、昔ながらの製法で接着と糸で繋ぎ止めたヤツ。
こいつらは重い、油断するとカビる、どんなにワックスとかアマニ油とかで防水しても、わりと速やかに浸水する。そんでもって、一度濡れるとなかなか乾かない。そして、含んだ水の分だけさらに重くなる。なによりも、簡単には僕を受け入れてくれない。最初は靴ズレが必ず起きる。
左 先代、右 後継者 |
メリットは単純で、重いのでキックステップがバチ効き。
そして…イキナリの別れがないと言うこと。
先代は20年くらいの酷使に耐えて引退した。最初はハトメ飛びが2件あって、ソールはすり減って3回張り替えたけど、やばいトラブルは本当に皆無だった。最後は、ソールを貼り付ける革製のミッドソールが薄くなってしまい、それ以外にも小さな穴がいくつか空いたので引退させた。で、後継者たるブーツを徐々に育てている。
残雪の黒戸尾根、テン場でくつろぐ |
人によって登山に求めることは違う。だから、使う道具は人によって違うのが当たり前。
ま、原点に戻ると、どんな靴を履くかは手段であるはず。目的は、自分が登りたいところに登って、安全に降りてくることのはず。その辺を見失わないようにしつつ、念のために、ブーツのソールを思いっきり剥がそうとしてみてください。
そして、この投稿を読んでチンプンカンプンな人は、ローカルの登山専門店で助言を受けて買うのがいいと思います。