僕のBC黎明期は、積雪量の少ないところでスタート、理由はラッセル下山とかでハマると翌日の仕事に差し障るからとも言った。でもね、ホントのところは…
アバランチビーコン持ってなかったんだ wwww
だってさ、単独なんだよ。一人で埋まった時、ビーコンが電波発信してても、周りにだれもいなければどうしようもないよね?なのに5マン円のビーコン買う?(注1)
そんなわけで、僕のBCは「ビーコン無し・雪崩レスキュー期待値ゼロ」 ≒ 「雪崩のリスクミニマムで遊ぶ」からスタートした。で、浅間・草津・武尊でトレーニングして、次は尾瀬に目標を定めた。
雪解けの進んだ春先に、尾瀬探検をスタート |
大清水から、林道をとぼとぼ歩く。日程が限られているので、夜明け前の暗い林道をとぼとぼツボ足で歩く。そして、登山道に入って、シールをつけて峠を超え、尾瀬沼に出る。
一ノ瀬で休憩 |
尾瀬沼に出ると、そこから先はステップソール(ウロコ板)ならではの、軽快な行動力を生かして遊ぶ。
マウンテンダックスの、ツアースキー用バックパックは今考えても良品だった |
燧ケ岳 双耳峰のコルから尾瀬沼にダイレクトに落ち込んでいるのがナデッ窪 |
確か禁漁区だったはずなので、そこら中に魚がいる。
ちょっとした水路にもデカイのがのんびり泳いでいる |
で、登山道から離れたところにツェルトを張って寝る。軽量化・スリム化を進めたせいで、寝袋は夏用だけど、マイナス20度を経験した僕だから無問題。
モンベルの名品、ULツェルトには随分とお世話になった |
翌朝はまだ暗いうちに起きて準備。気温は確かマイナス8度くらいだった気がする。締まった雪で、テレマークブーツでもキックステップがしっかり決まる。で、雪が緩む前に、ナデッ窪を直登し、慌ただしく双耳峰を両方回って山頂を踏み、そのままナデッ窪を滑降して降りた。
ほら、あれ、あの白い花綺麗ね。なんていう花かしら?
僕はたまらなくなって言う。
あれが水芭蕉ですよ。え?うそよね、水芭蕉は夏の花よ。いいえ、水芭蕉は、雪解けの時の花です。まさか〜、歌にもあるでしょう?そうそう、なーつが来ーれば思い出す〜ってね。
僕はなんだか面倒くさくなって、その場を離れた。
あの、周囲数キロメートル、間違いなく誰もいない尾瀬沼のほとり。
あそこよりも、なぜか、人がたくさんいるここの方が孤独感を強く感じた。
そろそろ、もうちょっと斜度があるところで、人がいないところに行ってみようか。そんな風に思いながら僕は車に戻った。
おしまい
注1 こんな感じでBC始めたので、僕はビーコン持たずに「入らざるを得ない」人の気持ちがわかる気がする。この間の至仏で聞いたけど、ロストアローがビーコンの取り扱いを始めて、値段が随分と海外相場に近くなって、買いやすくなったそうです。ロストアローって会社は、なんというか、本当に良い物を、手が届きやすい値段で提供しようって気持ちが溢れてて好き。
注2 ビーコン(アバランチトランシーバー)は、単独でもしましょうね。ヒトココって電波発信機による捜索サービスも強く推奨します、ググってください。