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2021年3月23日火曜日

雪山宴会部という奇跡

僕がスノーボード を始めたのは、確か35歳の時。それまではスキーにハマっていた。始めたきっかけは、スノーボード 業界の会社に転職をしたから(注1)。スノーボード を始めてからも、どちらかというとスキーを履く日の方が多かった。スノーボード 一本に絞ったきっかけなどについては、いつか機会があれば書いてみます。

それは今の2020-21シーズンから振り返ると、ほぼ20年くらい前のこと。当時、スキーヤーとスノーボーダーには、今よりももっと高い壁があって、分断されていたように思う。だが、僕がラッキーだったのは、転職のタイミングより前に、雪山宴会部という集いのメンバーだったこと。そこでは乗り物に関係なくライディングを楽しむカルチャーがあった(注2)。

雪山宴会部は、なんというか名前の通りの会。雪山で宴会をして(雪洞とか、雪洞が掘れない場合はテントとかでネ)、食って呑んで泊まって、周りの山を登って滑る会。で、当時はまだBCが今ほど一般的でなかったので、自立してBC行動ができれば、乗り物はなんでもいいんじゃね?というくらいのサークル(笑)だった。

これはある日の朝食風景だけれど、タカと青ちゃんはテレマーカー、Shinyaはスノーボーダーだ。
タカ、青ちゃん、Shinya

入山する時は、こんな感じの荷物感になる。後ろ向きなのが僕で、スキーは荷物を背負っての行動が有利なので、こんな時には積極的にいいカッコを演じてみる(注3)。

Ainomine, Kusatsu

で、雪洞とかテントから出ると、こんな斜面が目の前にある。ここには写っていないけど、左に伸びる尾根筋からハイクして、正面に見えるカール状を滑ったりするのだ。
Ikenotohyama

みんないい冬用の寝袋を持ち込んでいるので、基本的にはどこでも寝られる。宴会場で直接寝たり、自分用のテントで寝たりと自由に過ごす。

candle

納得の行くまで飲み続けたり、食べ続けたりも、もちろんできる。その分、入山するときの荷物が増えるワケだが… 雪山で良いことは、燃料さえあれば水に困らないこと。外は吹雪が吹き荒れていても、鍋を囲んでいれば天国。

鳥の水炊き野菜シャブシャブ

食材が余ったら(大体においてあまりそうになるのだが)、スパイスを組み合わせておつまみを作ったりして。
Pan grilled peppered chicken with sage and rosemary

散々食べて早い時間に寝落ちして、おしっ●が我慢できなくなって起き、外に出ると夜明けだったり。

Dawn time, Yoshigataira

最終日に一本滑ってサイトに戻り、残っていた牛肉を焼いて食べたり。
Beef Steak, Sirloin, prime grading

で、ある時、タカさんと話をした。

世間一般では、スノーボーダーと、スキーヤーって仲よく無いって言うね。なんで俺らはそんなことないんだろうね?

彼はちょっと考えてこう言った。

乗り物でどうこう言うのって変じゃないですかね。それぞれの得手不得手をよく理解して、お互いに楽しく過ごせばいいと思うんですけど。僕はこの部活が好きなのは、乗り物によっての分け隔てなく、一緒に楽しめるのがすごくいいと思うんです。 

レスペクトってことかね。 

なんでそこ英語なんすか。ま、そうですよね。 

パウダーヒャッホーイって、ボード楽しそうだなって思うしね(注4)。 

ですね…

基本でかい荷物背負えないしな、Shinya以外 。

ですね … 

斜度が変化してるところで止まっちゃうと、「スキーは動けるんだから前に回って雪を踏んでくれ」とか、「ストックで引っ張れ」とか言うしね。 

それはwww…いや、そんなこと言わないでしょwww 

言うよ〜!約1名!www

俺らの活動的には、スキーのほうが有利だよなって思いますね。でも、有利不利に関係なく、楽しんでる姿っていいですよね。こっちまで幸せになりますよね。

 結局のところ、メンバーに恵まれたってことがすごく大きかったのかなと、今改めて思う。当時BCで出会った他のグループ、x-Tele(テレマーク) や 山ボ研(スノーボード )の皆さんとも、「埋まった時はお互い様」のいい関係性を持たせていただいた。そうした皆さんからも、暖かい声援をいただくことも結構多かったしね。

「君たち変態❤️」って

Rider ユーヤ Ikenotohyama, Kusatsu

周囲はすべて冷蔵庫

(注1)スノーボード 未経験なのにスノーボード業界に転職ってのもスゴイ話だ…

(注2)乗り物には拘らないけど、一緒に雪山に入るにあたってはいくつか条件があった。まず、複数のメンバーが推薦すること。日帰りの場合は、コースの難易度にあった滑走技術があること。で、荷物が多い泊まりの場合は、冬山での生活技術があるか、圧倒的な体力があるかのどちらかとしていた。

(注3)基本的に、荷物は大きければ大きいほど、重ければ重いほど偉かった。だからビールと言えば、350ml ではなくて500ml が基本。

(注4)当時、パウダー用のスキーって言っても、センター幅が100mm超えるかどうかくらい。今普通に見かけるスーパファットなんて影も形も無かった。浮力に乏しいので、俺たちスキーがひたすら直滑降で耐えてる横を、スノーボード はバキューンって追い抜いてスプレー上げまくってた。「いいよなー」と、うらやましく思っていたところに到達できて幸せです。