忘れている人もいるかと思うので、念のためにもう一度書くけれど…
このブログはフィクションです、ソコントコヨロシクゥウ
昭和の男子学生寮と聞いただけで、ものすごい封建的で、上下関係に厳しいイメージがあると思う。僕が4年間を過ごした学生寮もそうだった、新歓コンパまでは。
入寮(僕らは「入塾」と呼んでいた)のプロセスはこうなる。
入塾面接(不合格だと入れない)
引越し
新入塾生オリエンテーション部屋回り新歓コンパ…以下略
とりあえずオリエンテーションの話をしよう。
じこしょーかいさせていただきます!!!しめい!! 和敬太郎ぅ!!学籍ッ!! 馬鹿田大学ぅ商学部ッ!!しゅっしんちーー!! 群馬県ん渋川市ぃ!!!しゅっしんこー!!!
ハアハアハア
群馬県立ぅしぶかーわこーとーがっこうですぅ!!!
まるで…この先輩は気が(ピーーー)ってしまったのか?
何か変なものが憑依したのか?
おかしなものを拾って食べたのか??
呆気にとられていると、
息継ぎの後に最後のフレーズを吐き出しながら、腰を90度まげてお辞儀をする。
どうぞよろしくぅ!!! おながいいたします!!!!
この…「お手本」を見せられた段階で…新入塾生の半数くらいの表情は曇り、3割くらいは「ムリ」という死んだ目になる。
残りはというと…
まぁ、あるよねーこーゆーの
と、冷静に受け入れる。
ちょっと話はズレるが、僕は高校で空手部だった。空手部ってものすごい上下関係とか厳しくて(ピーーー)なところがあるって思うでしょう?確かにそーゆー噂のある学校もあった。
でも、僕が通っていた高校はリベラル(「日本的リベラル」ではなくて、真の意味でのリベラルね)な雰囲気だったのだ。そこでは武道系の部活でも上下関係は緩やかで、いじめとかしごきとかも無かった。
ただ、武道なので「気合」の練習はする。
新入部員は声が出ない。
タートォーセィィィ
顧問の先生(殺人術のプロであり、自衛隊で格闘戦教官を勤めたことがある空手八段)は苦笑しながら浅い中段突きをミゾオチに入れてくる。腰が入っているから力が入ってなくても痛い
ほらぁ、腹をギュッと締めて、ヘソの下から気合出すんだよ、わかるだろ?
まがりなりにも進学校とされている高校の、理系科目の先生らしく、わかりやすく理論的なご指導、誠にありがとうございます、押忍
そうやって日々練習していると、だんだんと気合の入った声が出るようになる。
サァアッツ!タァァッ!ダァァアッ!!
チェェストォオー!! ← これはなぜかダメ出しされた
アチヨ!アチヨオオー!! ← これもやはりダメ出しされた
組手だって、「審判がついつい一本取ってしまうくらいの裂帛の気合」で、実際は極まってなくても、気合いだけで勝ち残るやつもいるくらいだから練習は必須なのだ。
柔道やってる奴って絞め技で落とされて、脳細胞やられてる感じなのに、論理的でちょっと意外だった。
弓道部は…まぁいいや…
キングダムの弓隊に狙われた歩兵かよ…
話を戻して…
気合いが重要なのは剣道もそうだ。
柔道部はちょっと違って、「お前らなんで気合かけないの?」って聞いたら、
…それは…そうだよね…口開けられないよねって納得した。
竹刀がカスリ気味に入っても、気合次第で一本もらえることもある
(剣道部談)
柔道部はちょっと違って、「お前らなんで気合かけないの?」って聞いたら、
うっかり舌噛んじゃったら死んじゃうから
…それは…そうだよね…口開けられないよねって納得した。
弓道部は…まぁいいや…
一射毎に「セィイイィイィィーー!」とか気合入れてたら、周囲から一斉射されそうだもんね。
話を戻して…
元塾生という人に「自己紹介やって見せてください」とか、冗談でも言わないように。
奴ら、やるから、マジでそこがザギンだろうが、ギロッポンだろうがチャンネェのいるクラブだろうが、高級ホテルのラウンジだろうがやるから奴ら
「自己紹介」というワンフレーズを聞いた瞬間に、肺が空気を取り込み始め、横隔膜はアップを始める、それくらいにココでは「自己紹介」を叩き込まれるのであった。
就職活動の面接で「自己紹介」を披露して内定もらったとか、それを真似して役員面接でフルパワー自己紹介やって落とされたりとか、
人生を左右するくらいインパクトのある自己紹介、それが和敬塾流の自己紹介。