目的は?と尋ねると、「車のタイヤ交換とか、バイク(スポーツサイクルのことを、自転車乗りはこう呼びます)のメンテナンスとか?」という話。
あーね…
締結トルク管理は大事!そう言われるけれども、いざ、そのためのトルクレンチを買おうとすると困る。自分が必要なのはどれか?そう考えるとわからなくなるよね。
そんな人に向けて、サービス投稿を投げ込んでみる。
まず、僕の持っているトルクレンチは、下の4本。左側の数字は「管理最小値」〜「最大値」で、単位は N m(ニュートンメートル)
まず、僕の持っているトルクレンチは、下の4本。左側の数字は「管理最小値」〜「最大値」で、単位は N m(ニュートンメートル)
上から3本目 21-105N mを追加購入 |
元々は、バイクメンテナンス用に上の2本を使っていた。そして、夏冬のタイヤ交換用に、一番下のゴツいのを買い足した。そして、つい最近4本目を買い足したのだ。
理由なんだけど、バイクのトルク管理って最小1〜最大はせいぜい12とか15くらい。だから、上の2本でほとんどカバーできる。
ところが、僕のバイクのシートポストは、サドルを固定するヤグラのボルトは1本締め。そのせいもあって、指定トルクが20N m。
赤字のところをカバーするために購入 |
自分が必要とするトルクレンジをよく考えよう |
もう一つ「ヘッドの大きさ」もポイント。レンチの先端のヘッドには、歯車とラチェットがついている。ハイトルクに耐えられるラチェット機構はどうしても大きくなり、それを納めるヘッドだって大きくなる。
そんな大きなヘッドだと、バイクのメンテナンスで狭い場所にアクセスしようとした時に入らなかったりする。
バイク(くどいけど自転車ね)に使うなら、コンパクトなヘッドのレンチをお勧めする。
左側のTopeakの先端は 6.3mm角の六角メスになっている。ハンドルに収納された、ドライバーとか、ヘックスやトルクスの「ビット」をそこに差し替えて使うのだ。
先端を差し替えて使う工具類があるよね。あの先端を「ビット」と呼ぶんだけれど、根本はほとんど6.3mm なんだ。
6.3mmは市販のビットを流用できる |
右側一番上のPWT(台湾メーカーで安いのに銘品多数)トルクレンチのヘッドは、 6.3mm 四角オス。そこに差し込むアダプタ(ビットアダプターソケット)が付属していて、アダプタ先端には6.3mm 六角メスの穴が空いている。ということは、このアダプタを介することで、Topeak 付属のビットも、他社の差し替え式ビットも、PWTのトルクレンチで使うことができるということ。
ここで 6.3mm ? なんでそんな半端な数字?と思ったでしょ。ソケットレンチが発展したアメリカの規格がインチサイズで、それをミリに置き換えて表現しているから、微妙な端数が出てくるのだ。
インパクトドライバに刺して使うアダプタ |
*ホワイトボードに 1 1/4 と書いてあるのは、 1/4 の書き間違いです*
トルクレンチの差し込みはこの3種類の四角形。ここに、四角穴の空いたソケットを差し込んで使うようにできている。
言うまでもないけれど、太い方がハイトルクに耐えられる。逆に考えると、トルクレンチの測定レンジに合わせて、ヘッドのサイズと、差し込みのサイズは決められているということ。
100N mで締められるレンチのヘッドが…細い 6.3mm というのはあり得ないということ、折れるかねじ切れちゃうからね…
自動車のホイールナットを締め付ける、 120N m で… ということなら、測定レンジ、ラチェットの耐久性、ヘッドの強度、もろもろを考えると、12.7mm がベストな選択であるということ。
長さもまったく違う |
ハイトルクをかけるためには、てこを効かせるハンドルの長さも重要だ。ハンドルが長いと、全長も当然に長くなる。長くて巨大なレンチは、細かい場所での作業も苦手になる。
ここまでをまとめると、「測定可能レンジ」「ヘッドの大きさ」「差し込み角」「全長」…この4要素によって、選ぶべきトルクレンチが変わるということ。
こうした理由で、トルクレンチを一本で済ませようとするよりも、必要な作業に合わせて複数持った方が幸せになれると言うわけ(注)。
しかも差し込み6.3mm のコンパクトヘッド。1-15 N m と、低すぎるwレンジが、むしろバイクメンテナンスにピッタリと言うことで買ったわけです。右は…死ね、見えん
この投稿を書くために、トルクレンチ一式を出してきたので、ついでに奥様のタイヤ交換を済ませる。
タイヤ交換セット |
ものぐさな僕は、ジャッキアップとか、ホイールナットの締め込み・緩めは、最初と最後をのぞいて電動ドリルドライバでやっちゃう。
その後の空気圧調整は、シュコシュコと地道にやるわけですがね…
注 デジタルトルクレンチというのがある。力をかけると、測定素子が変形して電気抵抗が変化する。これを利用してトルクを計測するので、「カバーするレンジが広い」「可動部が少ないので耐久性が高い」のが売り。だが、レンジが広いからってデジタルなら万能というのは間違いです。バイクメンテなら、短くてヘッドの小さいのがいいし、車ならその逆。要は、「レンチとしての物理的な能力」は、大きさに依存するので、デジタルで解決できないところもあるということです。